過去ログ - ゲームは一日一時間
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1: ◆tSiWM5GIyDZg[saga]
2013/07/14(日) 18:14:01.21 ID:EnRHzSex0

僕は心からゲームが好きだと断言できる。

ひたすらやりこむし時間も宿題も何もかも忘れてプレイする。
電池が切れれば買いに走ったし、今では充電式になっている。
となれば充電しながらも僕は寝そべりゲームをするのである。

さて、そんな人ならきっと一度は耳にする言葉があると思うのだ。

それが「ゲームは一日一時間」という耳が痛くなる言葉である。
確かに目も悪くなるし勉強する時間とやらも失くなってしまう。
良くないことだとわかっていても折り合いはなかなかつかない。

そこで僕が出した結論が一つある。子供の小賢しい反逆だと思う。

母に伝えれば「そんな事より勉強しなさい」と勉強を勧められていた。
父に伝えれば「お前は天才だ。定時帰宅も夢じゃない」と褒められた。

あろうことか家庭内で賛否両論が巻き起こったのである。

そんな他愛ない家庭内分裂はさておき、僕は今のところ困っている。
それは何故か。僕は神など信じていないが信じざるを得ないからだ。
「神は時に残酷だ」と言うが本当に文字通り時に対して残酷だった。

「一日を一時間にするゲーム」をはじめたからである。



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2: ◆tSiWM5GIyDZg[saga]
2013/07/14(日) 18:14:49.06 ID:EnRHzSex0

あなたは 幸せ ですか?




3: ◆tSiWM5GIyDZg[saga]
2013/07/14(日) 18:15:27.86 ID:EnRHzSex0

全てのはじまりは、僕の携帯に届いた、この一通のメールだった。

前述の「一日を一時間にするゲーム」のはじまりより、少し前の話だ。
その時の僕は、一年もゲームを絶ち、進学校の合格を勝ち取っていた。
以下略



4: ◆tSiWM5GIyDZg[saga]
2013/07/14(日) 18:15:53.78 ID:EnRHzSex0

その言葉は、僕にとって、言い表せない感情を生む要因となっていた。

確かに堕落していたのは僕であり、両親の言うことは正しかった。
しかし、僕はこの一ヶ月の間は、寝る間も惜しんで勉強していた。
以下略



5: ◆tSiWM5GIyDZg[saga]
2013/07/14(日) 18:16:19.18 ID:EnRHzSex0

あなたは 幸せ ですか?

 ○はい ○いいえ

以下略



6: ◆tSiWM5GIyDZg[saga]
2013/07/14(日) 18:16:54.29 ID:EnRHzSex0

送信先のメールアドレスは文字化けしていて、とても判別できない。

冷静であったなら「スパムメールか」と、すぐに削除していただろう。
しかし、僕は冷静ではなかった。「冷静を装っていただけ」であった。
以下略



7: ◆tSiWM5GIyDZg[saga]
2013/07/14(日) 18:17:20.62 ID:EnRHzSex0

そこには、僕の幼なじみの名前が表示されていた。

「幼なじみ」と彼女を形容するには、あまりふさわしくないかもしれない。
何故なら、彼女とは小学校低学年のときに、彼女の引越しで疎遠になった。
以下略



8: ◆tSiWM5GIyDZg[saga]
2013/07/14(日) 18:17:52.71 ID:EnRHzSex0

「ああ。これ。演劇用のビデオ。音声字幕付き。おかげで吐きそうなのよ」

「窓を開けるから待って」という彼女の言葉の後には、溜息がこぼれていた。
疲れているのだろうか。そういえば、彼女は、何か用があったのではないか?
以下略



9: ◆tSiWM5GIyDZg[saga]
2013/07/14(日) 18:18:26.84 ID:EnRHzSex0

「それって、幸せを運ぶ不幸のメールじゃない。わたしのところにも来た」

一瞬でも、僕は耳を疑った。何なのだろう、その矛盾に満ちたネーミングは。
どうにも、彼女は何かしらの詳細を知っていたようなので、僕は尋ねていた。
以下略



10: ◆tSiWM5GIyDZg[saga]
2013/07/14(日) 18:18:53.08 ID:EnRHzSex0

「『いいえを選ぶ。どうせ、噂なんだからな』そう言って、彼は選んだ」

「その日から、彼は一変していた。どこに行っても、彼はおかしかった」

以下略



11: ◆tSiWM5GIyDZg[saga]
2013/07/14(日) 18:19:24.04 ID:EnRHzSex0

僕が帰り道で抱いていた淡い期待は、母の厳しい声によって砕かれた。

帰ってくるなり、僕の言葉を待つ事もなく、激しく批難されていた。
玄関で立ち尽くしている僕に同情したのか、父が母を止めに入った。
以下略



12: ◆tSiWM5GIyDZg[saga]
2013/07/14(日) 18:19:54.64 ID:EnRHzSex0

すると、すぐにメールの着信音が鳴り響いた。

僕は、その音を聞いて、すぐに表情が青ざめていくのを感じていた。
まさか。僕は自殺する事になるというのか?いたずらじゃないのか。
以下略



13: ◆tSiWM5GIyDZg[saga]
2013/07/14(日) 18:20:20.95 ID:EnRHzSex0

気がついて携帯で時刻を確認したら、二十四時を迎えようとしていた。

身体が痛いと上体を起こし、ゆっくりと辺りを見回してみた。
どこだ、ここは。僕は、先ほどまで、自室にいたはずなのに。
以下略



14: ◆tSiWM5GIyDZg[saga]
2013/07/14(日) 18:21:14.77 ID:EnRHzSex0

「では、仮にその話を信じるとしましょう。願いを叶えてくれるのですか」

「はい。とは申しましても、叶えるのは、わたくしではないのですけれど」

以下略



15: ◆tSiWM5GIyDZg[saga]
2013/07/14(日) 18:21:51.12 ID:EnRHzSex0

「一生ですから、一生を賭けるに値する神様へのお願いです。つまり信仰」

「神様を信じるからこそ、願うのです。これは、神様にとって有益なので」

以下略



16: ◆tSiWM5GIyDZg[saga]
2013/07/14(日) 18:22:21.45 ID:EnRHzSex0

「…メールしてみます。少々、お待ちください。ああ、それと、もう一つが」

「観測者を選択いただけます。誰になさいますか。彼とか、オススメですよ」

以下略



17: ◆tSiWM5GIyDZg[saga]
2013/07/14(日) 18:22:48.33 ID:EnRHzSex0

疑心暗鬼になるかとも思うのだが、神様のフェア精神は中々なものだった。

選べるというので、僕は男性から女性まで、様々な観測者に目を通していった。
と、その中でも、一際に大きく装飾された女性らしき観測者が目を惹いていた。
以下略



18: ◆tSiWM5GIyDZg[saga]
2013/07/14(日) 18:23:16.76 ID:EnRHzSex0

「平均寿命は何歳ですか。これは、どういう意味なのでしょうか」

「ええと。恐らく、猶予期間のようなものではないでしょうか?」

以下略



19: ◆tSiWM5GIyDZg[saga]
2013/07/14(日) 18:23:50.14 ID:EnRHzSex0

件名 : ゲームは一日一時間

本文 : 一日を一時間にするゲーム

以下略



20: ◆tSiWM5GIyDZg[saga]
2013/07/14(日) 18:24:25.86 ID:EnRHzSex0

あなたは 幸せ です。




21: ◆tSiWM5GIyDZg[saga]
2013/07/14(日) 18:25:04.76 ID:EnRHzSex0

僕が次に目覚めたのは、ノックの音と共に、母親が部屋に入ってきたときだった。

後々聞いた話だが、僕はベッドの中で酷くうなされていたらしい。
それを母が見つけて、僕を揺り起こしたところ、飛び起きたのだ。
以下略



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