タイトルを書くと誰かがストーリーを書いてくれるスレ part6

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113 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/08(日) 00:35:41.39 ID:TVrQw8aao
>>88
タイトル「地獄じみた天国」


「えっと、今日の○○地区の拾得予定はあと何件だったかしら?」

女神様は身に纏った衣装から水を滴らせながら尋ねる。

「本日分は先ほどの木こりが落とした斧で終了ですね」

膨大なリストに目を通すことなく私は答える。

「そ。じゃあ、今日の仕事はこれでお終いね」

「まだ出勤して2時間しか経っていないのに、働いているみんなに悪いわね」

女神様は心持ち申しわけなさそうに、しかし手際よく帰り支度を進める。

「いやいや、むしろ毎日出勤される方の方が珍しいですよ」

「死者回収計画を立てる神様なんて、月に2、3日働くだけだと聞いていますし」

ここ天国では神と呼ばれる存在が優雅な生活を送りつつ、世界の運営を担っていた。
神は細かく分業された業務を家業のように代々世襲で受け継いでおり、職にありつけないということはなかった。

「あの陰険オヤジは職場にいない方がみんなの為よ」

「私もデスクワークはあの陰険オヤジのいる月初は外すようにしているし」

「だからと言って、月次報告書を月内に書き上げるのはどうかと思いますよ」

「上からは『あいつの報告書は何でいつも月末の報告が抜けているんだ!』って怒られていますし」

一応忠告はしておく。多分聞き入れられることはないだろうけど。

「ちゃんと『25日現在』って書いてるわよ」

締め日を勝手に決めるから怒られるんですよ、という言葉を飲み込む。

「さて、私はこれで失礼するわね。あ、明日の拾得物回収順路の作成と、交換品の在庫管理と補充をお願いね」

女神様は矢継ぎ早に指示を出して帰っていった。

ここからが天国に住む平民の私達の仕事の始まりだ。
多分女神様は知らない。
膨大なリストから回収順路を作成するのに深夜までかかることを。
そのあとの交換品の在庫管理に明け方までかかることを。
私達は毎日、明け方から女神様の出勤してくるまでのわずかな時間しか眠れないことを。

天国は私達平民の過酷な労働の上に成り立っている。
代々世襲の天国では私たち平民は死ぬまでこの生活が続く。
もし死んで生まれ変われるなら地上で生活する人に生まれ変わりたい。
しかし、死を願うには私達の寿命は長すぎる……

【了】
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