タイトルを書くと誰かがストーリーを書いてくれるスレ part6

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312 : ◆axPwtNeSoU [saga]:2018/05/19(土) 15:32:49.23 ID:7K81y8SA0


――何だろう。思い出せない。

――何かの記憶が欠けている。何かが足りていない。

――だが、それが何なのかが思い出せない。




『記憶欠乏症』と呼ばれるそれが、新たな現代病として話題になり始めてから、もう随分になる。

記憶喪失、というのとは全く違う。

具体的に何かの記憶が欠損したり思い出せなかったりという訳ではなく、ただひたすらに得体の知れぬ記憶の欠落感や喪失感だけが付きまとう病。

この病は国も人種も年齢も関係なく広がり続けており、それに伴って、自己の存在基盤を見失い、自己の存在意義を薄れさせていく人々は増加していた。

ガンもエイズも遥か昔に克服されたこの世界。

しかしこの病だけは、原因も有効な治療法も見つからず、ついには世界的な死因の第一位を【自殺】が占め続ける有り様となっていた。

「いったい、何が原因なんだろうな……」

人々は原因も解らぬまま、喪失感と飢餓感を抱えながら、日々、鬱々と暮らしていくしかないのだった。




   ◆   ◆



「――また記憶機構の不祥事か」

管理官の1人が、苦虫を噛み潰したような顔で天界新聞をぐしゃぐしゃと乱暴な手つきで広げた。

見出しには大きく、【消えた記憶問題】【またしても記憶機構の怠慢か】の文字が踊っている。


「最近、多いですよね―」

傍にいた部下も眉をひそめる。

「前世の記憶を徴収するだけしといて、新しい命に対しては未払いのまんま放置したりとか、記憶を支給するためのデータを大量に消去してしまったりとか、記憶の過払いを気づいておきながら隠匿したりとか……」

「おまけに神界からの天下り問題だ。全くけしからん」

「世界記憶保存庁の時から、看板かけ直しただけで体質が変わってないですからねえ。いや、むしろ世保庁の時よりひどくなってる気がします。――まあ、人間達があまりにも増えすぎたってのもあるんですけどねえ……。データ管理が大変なのも解るんですが……」

「……いっそ天変地異で一気にギリギリまで人口減らしてから、余った記憶を1人か2人にぶち込んで最初からやり直す方が楽かも知れんな」

「アダムとイブからのやり直しですか。過激ですけど、それがいいのかも知れませんねえ……」




天界での休憩時間。

彼らの政治談義は、まだまだ終わりそうになかった。



FIN.

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