過去ログ - 劇場版アイマスで水瀬家に宿泊した志保のお話 抄
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VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
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2014/10/12(日) 11:37:20.16 ID:NHNSY0P+o
どっちかというと官能小説です。
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『止まない雨はない』
どこかの小説や歌謡曲で使い古されたようなこのフレーズを、私は好いていない。
天気という人間の力ではおよそどうにもならない現象に対して、いつ止むのかを明言しなければ、止むまでの現状打破の方法も教えてくれない。無責任に輪をかけた身勝手な物言いだと思っている。
現に今だって雲から滴った雨粒が地面を叩き、私を含めたアイドル数人が水瀬家のお屋敷にカンヅメになっていた。
窓とカーテンを閉めてある状態では外の雨音はほとんど聞こえないが、明朝に帰宅できるかどうか雨足を確認しようと、うっすらと窓を開けたとたんに庭の草木に水滴が叩きつけられる音が入り込んでくる。
これだけの遮音ができているので、かなりしっかりとした防音環境が整っているようだ。深夜にさしかかる手前だから廊下を歩く人の気配もないし、仮に誰かが歩いていたところで絨毯敷きの床だから足音もほとんど聞こえないはずだ。
かすかに漏れ聞こえる雨音に耳を傾けながら、今日の経緯を思い返す。
ここしばらく都内を覆っている雨雲はスクール生の私たちが765プロの先輩たちと合同練習をしていた今日の日に限って、いっそう勢力を強め公共交通の不通を引き起こして帰宅困難者を発生させた。
タクシーで帰宅できるほどの稼ぎを持っていない私たちなので、いっそ近場のビジネスホテルにでも泊まった方が安上がりになるだろうかと考えていたところ、もう時間も遅いからと765プロの先輩二人が実家への宿泊を提案してくれて、そのお言葉に甘えることになった。
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2014/10/12(日) 11:39:17.12 ID:NHNSY0P+o
練習に参加していたスクール生六人を含めた全員を片方の家に泊めることは難しいとのことで二手に分かれることになり、
星梨花、百合子、杏奈が萩原先輩の家へ、私と美奈子さん、奈緒さんが水瀬先輩の家にやっかいになることになった。
765プロの練習についていけている組と、そうでない組。
以下略
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2014/10/12(日) 11:41:15.85 ID:NHNSY0P+o
家主である水瀬先輩を除いて、七人もの人数が天候不良で急遽訪れたはずなのに部屋のすみずみまで清掃が整っていることを考えると、この客室の維持にどれだけの費用がかかっているのか想像できない。
やよいさんが「伊織ちゃんのお家は博物館みたいにおっきいんだよ」と説明してくれて、私は最初それを誇張表現だと受け取ったわけだが、ほとんど言葉通りだった。
急なお泊まり会。ダンスレッスンの後に着替えをする予定だったから、下着の用意をしてあったのは幸いだった。
レッスン用のジャージを寝間着代わりに寝るつもりだったのだけど、お風呂を貸してもらって、脱衣所に戻ったときにはもう私たちの洋服はお手伝いさんたちに回収されてしまっていて、かわりにバスローブが用意されていた。
以下略
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2014/10/12(日) 11:42:30.79 ID:NHNSY0P+o
コンコン。
足音もなにもなしに部屋の扉がノックされ、体をびくつかせてしまった。
寝る時間には少々早いとは言え、人様の家で部屋をノックされるとは思わなかったから来訪者を警戒して身体が固まってしまう。決して驚きとか恐怖とかが私の心を占めていたからではない。
以下略
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2014/10/12(日) 11:43:52.86 ID:NHNSY0P+o
床に正座でお説教を受けるわけではなさそうなことに安堵しながら着席し、そのまま腰を折る。
「先日は、失礼しました」
「……何の話かしら。春香に対してのイザコザのことなら春香に直接話するべきだし、”それ以上言うな”をきちんと守った志保に謝られるような謂われはないわ」
以下略
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2014/10/12(日) 11:44:59.35 ID:NHNSY0P+o
「765プロでもグチの言い合いがあるんですか? ……なんとなく、水瀬先輩は想像がつくんですけど」
「案外言うじゃない……。そりゃあ女の子だらけの職場だもの、トーゼンにあるわよ。
どっちかというと感想戦とか反省会と言った方が正確かもしれないけど。
それから、伊織でいいわ。水瀬の名前で呼ばれるのは好きじゃないの。先輩ってのも学校や部活じゃないんだから気恥ずかしいわ」
以下略
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2014/10/12(日) 11:45:48.41 ID:NHNSY0P+o
「母と弟は、応援してくれています」
うそをつくのも忍びないと考え、事実を事実のままに告げることを選んだ。
「……? お父さんは反対しているの?」
以下略
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VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
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2014/10/12(日) 11:47:03.76 ID:NHNSY0P+o
「伊織さんは、できない方に合わせる側……ですよね?」
あの日春香さんが提案した、『演出を変える』という選択肢に納得はせずとも同意していたはずだ。
「違うわ。みんなでひとつのステージを作る側、よ。
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2014/10/12(日) 11:48:42.35 ID:NHNSY0P+o
そもそも、どうして可奈がダンサーチームに選ばれたのだったっけ。たしか、スクール内でメンバーが集められて……。ああ、そうだ。
「私たち、スクールの中では上にいるつもりだったんです」
「ダンサーに選ばれるためのオーディションでもしたのかしら。今のメンツが上位七人ってこと?」
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2014/10/12(日) 11:50:14.55 ID:NHNSY0P+o
「とにかく、戻ってくるつもりのない子のことを考えている時間が無駄なんです。それを話し合う時間で少しでもレッスンを重ねたいんです」
萩原先輩の家に泊まっているダンサー組の面々は体力が足りていなさすぎる。
スクール内でのオーディションでは”総合力”を評価されてメンバーに抜擢されたはずだったが、今必要とされているのはダンスの実力だ。
歌唱力や演技力ではない。そこで脚を引っ張っていたら本末転倒にもほどがある。
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2014/10/12(日) 11:52:17.30 ID:NHNSY0P+o
レッスン場でもない、話し合いの場でもない。
人様の家で真夜中に大声を出した自分自身を、それでも抑止することができなかった。
「違うんです……。私たちは、まだ、765プロのみなさんのレベルに追いついていない……。
練習を重ねて、だんだん上手になっていくことが評価されるのであればなおさら、次のライブで私たちダンサー組のためにパフォーマンスのランクを落とせば、それこそファンが残念がるに決まってる……!
以下略
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2014/10/12(日) 11:53:29.76 ID:NHNSY0P+o
「志保……?」
なにものかに私の肩が掴まれた。タオル地のバスローブの上から触れてきた”それ”は、ぬらりぬめりと死人のような生ぬるさで私を引き寄せようとしてくる。
「いやぁ!」
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2014/10/12(日) 11:55:14.14 ID:NHNSY0P+o
「不安でしょう。怖いでしょう。……安心なさい。その分の苦しさは、私がしっかり癒してあげるから」
正面に見据えられた伊織さんの表情に厳しさはどこにもなく、泣きはらす子供をあやす母親のような慈愛に満ちた微笑みがあった。
視界がにじむ。頬に添えられた先輩の手のひらを私が流した涙がつたう。
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2014/10/12(日) 11:57:01.16 ID:NHNSY0P+o
@
「私よ。水と氷と……布巾を二、三枚持ってきてもらえる? そ、志保の部屋にね」
以下略
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2014/10/12(日) 11:58:51.05 ID:NHNSY0P+o
コンコン。
「!」
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2014/10/12(日) 12:00:24.50 ID:NHNSY0P+o
「はぁ……はぁ……」
寝ぼけ眼で見た夢か何かだと思いたかったのだけれど、伊織さんがどいてくれて開けた視界のすみにはしっかりと先ほどまで用意がなかった水差しが鎮座していた。
「完全に見られちゃったじゃないですか……。ここ、私の部屋だって、メイドさんも知ってるでしょうし……」
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2014/10/12(日) 12:02:04.26 ID:NHNSY0P+o
「やっぱり起きられません……」
「ウソでしょ。もう半分以上起きてたじゃない」
脱力してベッドに崩れ落ちる私に伊織さんは呆れ半分だった。
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2014/10/12(日) 12:03:23.58 ID:NHNSY0P+o
「くちゅくちゅ、もごもごってして、返してください」
甘えた口調で要求したところ、目の前のお嬢様の眉間の皺が深くなったように見えた。多分気のせいだろう。
伊織さんは鼻息で器用にため息をついて見せて、それから言われたとおりに頬とあごを動かし始めた。
お互いの口内を一往復して体温を奪い合ったミネラルウオーターは、もう常温に戻ってしまっているだろう。
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2014/10/12(日) 12:04:15.85 ID:NHNSY0P+o
「水をたった一口飲むのに何分かけるつもりよ……。そんなので喉の渇き、癒えるの?」
「全然足りないので、もっとください」
「自分で飲めっ」
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2014/10/12(日) 12:05:50.71 ID:NHNSY0P+o
「……はあ。次はそれで遊ぶの?」
リップクリームを塗るように、唇の端から端まで氷を往復させる。
二人の体温が触れ合っているせいで氷はどんどん溶けてしまい、三分の一ほどが水に変わってしまった。
唇を這った水分はシーツへと流れてしまっているが、少量なので特には問題ないだろう。
以下略
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VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
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2014/10/12(日) 12:07:39.96 ID:NHNSY0P+o
バスローブの袂を割って、氷に冷やされた伊織さんの指先が私の脇腹をくすぐった。
突然の温度差に腹筋が収縮し、身体が小さく跳ねた。
たまらず身体を捻って逃げ出そうとするも、体力が枯渇ぎみの現状では背中から回された腕を振りほどくことができない。
じたばたしてホコリを飛ばしているうちに息が切れてきて、伊織さんに抱きかかえられる形となってしまう。
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