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【枯れても走ることを】能力者スレ【命と呼べ】

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239 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/05/16(木) 23:51:25.30 ID:6z+14K+X0
>>238

【ならば今度は怯えた子なんていなかった。それよりも嫉妬していた、うらやましくって、ねたましくって、――震えてしまうとしたなら、多分、そのせいだ】
【ずるいずるいって言って泣きじゃくって肩を震わしていた、苦手だからやめちゃおうって思いついたことも、それをしてしまえたことも、そのための勇気があることも、】
【いろんなことなんでもかんでもずるく思えて仕方がないんだから、なんでも手渡したくなる、だってほしいから/なのにもらってくれやしないんだってもう知ってるから】

――――――――――――――――っ、

【涙がぼろぼろ溢れては落ちていく、そのたんびに透明でまあるい水面は光を悪戯に弄んで、彼女のまなざし、ところどころ赤く、黒く、宝石の煌めくみたいに】
【そうしたら宝石の涙を流す伝承のエルフみたいにも見えてしまうんだろうか。だったら彼女はきっと泣き虫だから、うんとうんと儲かるに違いない】

【――ぶんぶんって首を振る仕草にしぶきが散った、いろんな言葉に一緒くたに返してしまうのは狡い仕草、なら彼女だって狡くってしかたないのに、】
【そんなのごまかしちゃうみたいに、――広げられた両腕、納まる暖かさはありふれた平熱の温度。そうして伝わるのは女の子らしいと呼ぶには少し憚られる感触なのだとして、】
【せめてふわふわの衣服が隠しこんでくれるだろうか。だってそのために着てるんだ。痩せてかわいくない大人にもなれない無様なものを隠してしまいたい、そんな理由で、】
【暑苦しい姫袖だって溢れんばかりのフリルだって窮屈な編み上げだってがんじがらめのリボンだってなにもかもなにもかも全部、世界に対しての武装、武器で防具で、そのためだから】

【――――――ひぅ、なんて、ごく情けない音がした。そのすぐ耳元で。だって彼女は間違いなく飛び込んできた、人懐っこい犬よりなんにも疑わなかった】
【なれば続くのなんて子供みたいな嗚咽なんだろう、――山の中に響いていく声、もしも誰かが通りがかって聞いたなら(そんなことはありえないんだけれど)、精霊の歌声と間違うかしら】
【とりあえず確かなのは、それを耳元で聞くと結構/相当/かなり/――――――、だけれども、】

――――――ごめん、なさいっ、ごめん、なさぃ、わたし、――わたし、だって、ら゛って、――っ、――――っ、
――ひっ、ぅ、っ。っっ。……――っ。わたし。わたし、――夕月ちゃんのいってくれた、こと、きこえてた、
ないて、くれてるの、――しってた、しってて、――、しってて、むしした、――、しらない、ふり、した、だって、


だって、みんなに、おなじようにして、ほしくて、


――――かみさまなのに、それだけじゃやだって、――、がんばったから、――いっぱい"いいこ"したから、だから、だから、

【妖精の歌声にも精霊の歌声にも程遠いなら結局どこまでも蛇の鳴き声/そして蛇は鳴くはずないから、だからやっぱり何かおかしくて、(だって彼女は蛇なんだ)】
【ぎゅうって抱き着いた身体に抱きすがるのは放してほしくないんだろう。このまま手を離されてしまったら消えてしまうんだろう。だからめいっぱい力を込めてしまって】
【なら彼女にだって謝ることがあった。いつかのこと。あの時に名前を呼んでくれたこと、――――無視していたこと、謝る、告げる理由なんてどこまでも自分勝手が過ぎていた】

【いっぱい頑張ったから/勝手に】
【めいっぱいに"いいこ"をやったから/勝手に】
【苦手な"いいこ"をいっぱいいっぱい頑張ったんだから/勝手に】
【――頑張ったからご褒美をください/世界を滅ぼしちゃえるくらいの神様に/そうじゃないと世界なんて滅ぼしてやるという脅しを添えて、】

(【――――開け放たれた窓から緩く風が吹き込んだ。薄クリーム色のカーテンが揺れて、窓辺でしゃべくっていた男子どもを巻き込んだ】)
(【ふざけた悲鳴と笑い声にわずかに目線を上げた、――特別な友達なんていなかった。別に誰かに嫌われてるとか、無視されてるとか、たぶんそうじゃないけど】)
(【なんとなく誰とも仲良くなかった。誰に向けてでもない溜息をついて、図書室で借りた外国のレシピをまとめたような本に目を戻しかけた、刹那に、】)
(【ふっと目が合って、――――無視するには気が引けるから曖昧な目礼をした、そしたらなんだかそのあと気になっちゃって、ああそうだ、】)
(【このよくわかんない食べ物について、検索してもらえたりしないかな。――――だって今日携帯電話、家の玄関に忘れてきちゃったもん】)

ごめんなさい、

【その結果がどうだったなんて記すまでもないんだから、】
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