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【枯れても走ることを】能力者スレ【命と呼べ】

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321 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/07/10(水) 17:57:52.94 ID:pvzro5Ex0
>>319-320

【そうやって預かる傘も、彼女は特に気にした風もなくぶら下げるのだろう。それを見ているフィオがどんなふうに不安がっているのか、知っているのかいないのか――多分ないけど――】
【持ってしまえばふらついたりなんてことは当然ないのだとして、"だとしても"、やっぱり、どちらかと言えば、お箸より重たいものは素敵な花束しか持ったことないですとでも言い出せそうな風であったから】
【不安をぬぐい切れないのはきっと仕方のないことだった、――ちょっとやっぱり彼女は少し細すぎる、みたい】

――――お店。そうなんだ? ハーブのお店……、ああ、だから――、――私もハーブ、よく使うよ。お料理が好きなの。だから……。
……最近はお料理ばっかりしてるの。お料理と、お散歩と――――しばらく、ずっと、"忙しかったから"。

【――ぱちと瞬いた眼で尋ね返した、ハーブのお店と聞いて、少しだけ目線を下げる、――ちらり。堂々と見るのは少しだけ憚られるらしい、それでも袋の中から香るものに、中身を理解するなら】
【こちらはずいぶんと楽しげに漏れる声、お料理をするのが大好きだから、ハーブだってよく使うの、なんて。であれば、フィオの出すという店に興味があるのだという表明にも似て】
【お料理をしてお散歩をしてなんてずいぶんと気儘な生活をしているらしい、あどけなくも店を構えるのだというフィオに比べたなら、ずいぶんと、「だめなひと」っぽく聞こえてしまう】

……なら、よかった。さっきもお散歩をしてたの、私――――眩しいの、少し、苦手だから。これくらいのお天気のほうが好き。だけど……雨は、あんまり。
降ってくるようなら帰ろうかなって思っていたら、女の子が困っていたから。――うん、お友達に居るの、とーっても、お花が好きな子。

お花って言うか……植物、が好きなのかな。いろんなこと、知ってて。

【それでも時としてお姉さんのような顔をするのが上手な娘だったから。見た目だけで述べるのなら十六歳ほどに見えるのだけれど、まなざしの色の移ろうのに似て、年齢すらもどこか朧気に】
【見ようによっては十四にも十八にも見えるのだろう。それは浮かべる表情によるのかもしれなかった。夜空の月が雲によって容易く表情を変えるみたいに、それよりずっと近い距離感にて】
【眩しいのは嫌いだけど雨も嫌いなんて我儘を言うのさえ許される年齢に今は見えた。――厳密にはそういう感じの表情をしていた。女の子が困っていたから、なんて言う瞬間には、悪戯ぽく笑むけれど】
【"友達"については、花というより植物全般が好きであるらしい。「私も、おうちのお庭に植えるやつを選んでもらったりして」なんて言うから、仲のいい友達らしい】

ううん……、私ね、実は……、

【――――――――――――ざわりと冷たい風が吹き抜けた、雨が降り出す一歩手前に似て、思わず見上げてしまう空は相変わらずの曇天模様、ああもう今にでも雨が降り出してしまいそう?】
【なんて不安になる刹那に、彼女はぽつと切り出すのだろう。鈴の音を沈痛そうに潜めたなら、次に続く言葉の色合いを嫌でも思い浮かべさせる、そんな刹那に】

…………――――――この後も、別に、用事なくって。退屈なの。

【――、けろりと元通りに戻る声音は、きっとおそらく、いや、ううん、間違いなく。フィオのことを揶揄おうとしていた、そんなのひどいって怒っちゃっても、いいくらいに】
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