真・恋姫無双【凡将伝Re】4

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1 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2019/11/15(金) 20:56:18.10 ID:V4qJYoLE0
 時は二世紀末、漢王朝の時代。
 四世三公の名家たる袁家に代々仕えし武家である紀家に生まれた一人の男児。
 諱(いみな)を霊、真名を二郎というこの男は様々な出会いや経験を重ねていく中で、やがて世を席巻していく。
 しかし、彼には誰にも言えない一つの秘密があった。
 彼の頭の中には、異なる世界における未来で生きてきた前世の記憶が納められていたのだ――。
 これは、三国志っぽいけどなんか微妙に違和感のある世界で英雄豪傑(ただし美少女)に囲まれながら右往左往迷走奔走し、それでも前に進もうとする凡人のお話である。


※リトライとなりますが大筋ではそんなに変わらない見込みで
※なろうにても投下しております。こっちで書いて推敲してからなろうに投稿って感じです
※合いの手長文歓迎です


前スレ
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1526044205/
過去スレ
ttp://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1480942592/
ttp://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1445344769/

どんどこいくよ。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1573818977
2 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2019/11/15(金) 21:03:41.04 ID:V4qJYoLE0
時は二世紀末、漢王朝の時代。
四世三公の名家たる袁家に代々仕えし武家である紀家に生まれた一人の男児。
諱(いみな)を霊、真名を二郎というこの男は様々な出会いや経験を重ねていく中で、やがて世を席巻していく。
しかし、彼には誰にも言えない一つの秘密があった。
彼の頭の中には、異なる世界における未来で生きてきた前世の記憶が納められていたのだ――。
これは、三国志っぽいけどなんか微妙に違和感のある世界で英雄豪傑(ただし美少女)に囲まれながら右往左往迷走奔走し、それでも前に進もうとする凡人のお話である。


        | / ィ/  /  / ∨ イ:|  | ト、 | ヽ  ∨  |
        ∨. //    ' !l /´    !|: ,ハ!| Y.  V  | ̄ ̄ ̄¨ヽ
        /乂 〃    |.l |! |    |イ::.ム仕≧!|  ∨ |       \
      , ィ´/¨7' i  | |::|:l !|:匕   //::/ィ'チ无勹 | | | \    /
     / .l.,'  ,'.| | ::! !::!从弍≧、/ レ' 弋::::::リ リ .,' | |ハ     /
     \ .|l  ! | | ::::いレ/「::::└!       `辷, イ / :: | |∧   i ←袁術
      \|  |ハ | ::::いト、弋‐リ_       ノイ:::: | | W  |
        W Vハ! | ハ \ ''"´   ′  '´´ l::::. | ト、| l\ l
         ヽク  ハ  ヽ >-     rヽ    ノ:::.  |   い! `┘
         /  /ハ   :::> 、     ┘  イ/:::.  :|   ヽヽ
        / _/:::::::::::\   ::::.≧ー ‐「 W7 レ::::.  ハ   \\
  _,, -iイ>'"..::::::::::::::::::::::≧: 、 .:::::マ‐┤ |ノ_!:::.   /:: ハ:..   ヽ > 、
./ , イ /  ..::::::::::::::::://    \ .:::} _| 「  ` く / ̄`ヽ:::::..   \:::::...> 、_
 / //  .:::::::::::::::::::::l ̄ ̄ ̄|⌒ヽ', .::「J      )     V::::::::... >、:::::::::..`>-
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.. / /  .::::::::::>' ̄`>_」―‐-、   い :| _>――-、j ! レ´ /  / 〉-┐:::::::::::::::\:::::::::::
:/ /  ..:::::::::└‐ '"´ノ |    \  !厂       \| /  /  | :::::::::::::::::::\:::::::
3 :俯瞰者 ◆e/6HR7WSTU [sage saga]:2019/11/15(金) 23:02:00.19 ID:tkqH/Ehp0
わぁ。早くも4スレですか。早いですね。

新スレ突入おめでとうございます。

……袁術ちゃんかわええ。でも誰かさんに初めてを捧げちゃうんだろうな(憶測)
じ……き……誰かさんは爆発四散しろ(呪い)
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/11/16(土) 14:47:29.54 ID:1bLC/zqEo
建て乙
5 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2019/11/18(月) 21:17:36.81 ID:MAElKcUL0
>>3
どもです。
サラマンダーより早くありたいとは思っております!

>……袁術ちゃんかわええ。でも誰かさんに初めてを捧げちゃうんだろうな(憶測)
それもどうなるか分からないようなご時世になりそうです。ご期待くださいませませ。

>>4
どもです。
6 :赤ペン [sage]:2019/11/18(月) 21:56:13.34 ID:ib875aHT0
立て乙です
さて…明日になっても埋まってなかったら私が前スレの1000を頂こう
7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/11/18(月) 22:45:37.78 ID:y7b2GEDWO
完結したら前スレを埋めよう
8 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2019/11/20(水) 21:17:01.66 ID:trIZpCq90
「なん、だと……」

地面が崩れていくような感覚が俺を襲い、そしてよろめく。

「では、ボクはこれで失礼しますね。あ、流琉によろしくお願いします」

桃色の髪を二つに結い上げた少女が物凄いスピードで去っていく。
その少女――許?――がもたらしたのは一通の書状。華琳からの書状。そこには二つのことしか記されていなかった。
曰く。

――董卓、叛す。
――呂布、何進を誅す。

どういう、ことだ。いや、詮索は後だ。よりによって華琳からの急報だ。

「風と七乃を呼べ!」

室の外に控える侍女に声を張り上げる。多分これは、やばい。
ちり、と危機感。

「どうされましたの?お顔の色がすぐれませんわね」

風だか七乃だかの機転だろうか。それとも余程俺の様子がおかしかったのだろうか。
室には風と七乃だけではなく、麗羽様、美羽様に猪々子と斗詩までいる。

「何進が討たれた、と華琳が報せてきました。
 呂布の手によるとのことです。
 であれば、おそらく此方にも手の者が来るでしょう」

報告する俺――ぐったりである――に麗羽様は柳眉を逆立てる。
そこに口を挟んだのは七乃だ。

「それはまた……。
 信憑性はあるのですか?
 曹操さんのことですから、此方の軽挙妄動を誘うという意図はないですかねえ」

「ないな。こちらを騙すつもりならもっとありそうなことを言ってくるさ。
 そして華琳のことだからな。迷ってる時間も与えてくれてないに違いない」

恐らく董家軍は今にもこの屋敷に殺到するべく迫っているはずだ。
それくらいのギリギリ、でもどうにかならないわけでもないくらいのタイミングを華琳なら狙う。

「では、押し寄せる董家軍にどうしましょうかね。守りを固めるのは論外ですねえ。多勢に無勢です。
 まあ、降るか逃げるか、ですが」

洛陽での軍事力は月と、禁軍を統べる朱儁に集約されている。
即応性を考えれば董家軍の優越は明らか。恐らく朱儁のとこにも兵は差し向けられているだろう。
で、あるならば。

「――降伏は性に合わん。逃げるとしよう。
 それで、よろしいですか?」

麗羽様に問う。いやまあ、これでダメって言われたらどうしようとか今更ながらに思いながら。

「よろしくってよ。二郎さんがそうおっしゃるならばそうしましょう。
 ――委細、お任せいたしますわ」

即答。その信頼の篤さにぎしり、と肩が軋んだ。
が、今はそれどころじゃあない。脱出行の最中にとっ捕まるとか間抜けの極みだ。
俺のみならばともかく、麗羽様や美羽様に恥をかかすわけにはいかん。
風と七乃にざっくりでもいいから計画を、策を求めようと目を向ける前に、七乃は口を開く。

「はいはい。こんなこともあろうかと北部尉は買収済みです。既に日は落ちていますが、鼻薬を嗅がせてますので、北面の門扉は開け放たれるかな?」

は。さっすが七乃。手回しがいい。
だが、それに風が異を唱える。

「今現在洛陽の警備は董卓さんの手中にあります。それはあからさますぎやしませんかねえ。
 囲師には必ず逃げ道を用意すべしと申します。
 そちらは危うい道かと〜」
9 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2019/11/20(水) 21:17:28.31 ID:trIZpCq90
むむむ。そこいらへんどうなのよ、七乃ってば。

「そうですねえ。正直洛陽に於いてはまだまだ情報網は整備できてないのが現状です。
 ……ただでさえ黄巾の乱と袁胤様の乱で腕利きの細作がいなくなりましたからねえ。
 ですから、私からはなんとも」

……多分それは七乃にとっては屈辱だろう。諜報がための張家であるのだから。
それでも、張り付いた笑みでこう言ってくる。

張家の面目なんて、勝ってからいくらでも立てますから、と。

つまり、それほどの窮地なのだ。今は。
だったら、逃げるにしても全力を尽くさんと不味いな。

「屋敷にある甕、壺、そして匣(はこ)を馬車で連ねて北面へ。
 風、頼んだ」

「囮ですね、任されました〜」

だが、それだけでは時間をそんなに稼げないだろう。あっちには地の利がある。

「時間稼ぎは任せてもらいやしょう」

うっそりと、それでも確たる意思を込めて雷薄が口を開く。

「皆々様、ごゆるりと。きっちり時間を稼いでみまさあ!」

呵呵大笑。
体中に走る傷跡。兵卒から紀家軍の副将まで登り詰めた運も実力もある古強者(ベテラン)が、ぶ厚い胸を叩く。

「なーに。董家軍とは知らぬ仲でもないですからねえ。
 いよいよとなったら降りますよ。
 ……ようやくにも授かった初孫の顔を拝むまでは死んでも死にきれないですから!」

「ああ、そうか。だったら任せる」

迷う暇なぞない。
俺の言葉に、いかつい顔を綻ばせて、どすどすと足音も勇壮に室を去る。戦の準備なのだろう。
いくら降ることが前提とは言え、時を稼ぐには武威が必要だからして。

「それでは、華麗に遁走するとしましょう。でも、その前に……」

麗羽様、そして美羽様に相対する。

「ええと、流石にそのままでは無理があるのです」

きょとんとしたお二人になんと切り出したものか。

いや、なんだ。

貴女達、煌びやかすぎて悪目立ちするから遁走とか無理っぽいんですよとか――!

◆◆◆
10 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2019/11/20(水) 21:18:26.40 ID:trIZpCq90
「アニキー荷物こんなもんかな?」
「おう。金目のもんは置いてけ。時間稼ぎになる。時間が金で買えるなら安いもんさ。
 服も着替えろよ。絹の服とかいっぺんでばれるからな」

うっそりと言うと、えへへ、とばかりにすり寄ってくる。

「分かってるってばー。そこいらへん、アニキの分も含めて斗詩が用意してくれてるよ?
 それはともかく、姫にはアニキからよろしくなー」

やっほうとばかりに身を翻して駆けていく猪々子。いや、なんか元気をもらった気がする。というか。
あんな目で見られたら、へこんでられんわなあ……。

「もう、ごわごわしますわねえ。それにこう、安っぽいというか、無粋と言うか……。
 いやですわ二郎さん。そんな、見ないでくださいな。見れたモノではないと云うのはわたくし自身が一番分かっておりますの」

粗末な、つぎはぎだらけの衣服を身に纏って麗羽様と美羽様が。

「や、正直これほどまでとは思ってなかったですよ。
 こんなにも、纏う衣服に関わりなく光輝あるとは思いませんでした」

いや、隠密行動するためには本当に駄目なんだよ。なんか満足げな姉妹にこれを言うのは気が咎めるなあ。
でも逡巡する余裕もないしなあ。

「どうしましたの?」
「いや、そのですね。お二方の光輝が隠しきれないのですよ。主に、その輝く御髪(おぐし)で……」

麗羽様に至ってはくるくる縦ロール全開なのだ。
 なんでも専用のセットのための器具があるらしい。歴史考証仕事しろ。

俺の言葉に麗羽様は苦笑して美羽様に顔を向ける。

「美羽さん。時として美しさは罪なのです。どうやらわたくしたちはその存在だけで世界の注目を集めてしまうようですわ」
「むむ、麗羽ねーさま。よくわからんが、それはまずいのではないかや?」
「その通りですわ。ですから、こうするのです!」

ばさり、と金色の欠片が地に墜ちる。
手にした短刀で麗羽様が自らの御髪をばっさりと切り捨てたのだ。

「美羽さん、よろしいですわね?」

無言でこくりと頷く美羽様の、蜂蜜色に輝く御髪をいっそ無造作に。

「二郎さん、これで身軽になったでしょう?」

ええと。
お流石でございます麗羽様。
でも。

「あ、あんなにお見事な御髪でしたのに……」

そうするべしと思っていても、口から出るのはそんな言葉。いや、軟弱者!
そんな風に思うのは感傷なのだろう。それを覆い尽くすが如く、暴風が吹き荒れることになる。

「はいはーい。これでもくらえ!ですー!」

ぶはり!とばかりに視界が灰色に染まる。

「みなさん、もっと薄汚くないといけませんよー」

どっから集めたか知らんが、大量の灰を俺たちにぶつけて七乃はにこやかに笑う。

――抗議の声を上げられなかったのは。彼女が、七乃が。
普段は絶対に身に付けない黒装束に身を纏っていたからだ。

どうやら、本当に生きるか死ぬかの局面なのだな。

「それでは、参りましょうか」

「頼んだ」

そうして俺たちは、洛陽の夜闇に踏み出すのであった。
11 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2019/11/20(水) 21:19:03.68 ID:trIZpCq90
本日ここまですー感想とかくだしあー

題名案は
「大脱走」

よさげなの、よろしくお願いします。
12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/11/21(木) 00:03:51.76 ID:NRPsOLXBo
乙です

さーて緊迫感が高まって参りました
しかしショートの袁姉妹とかそれはそれで見たいですよね、絶対美人さんですよ


題案は
『灰被り達の逃走』
などと。
13 :青ペン [sage]:2019/11/21(木) 03:29:49.37 ID:vK0h7L80o
>>11
新スレ乙からの乙なんだよ

むむむ…
今回は敢えて【run for survive】
14 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2019/11/21(木) 21:52:10.25 ID:2+Mbb2E/0
>>12
どもです。

>さーて緊迫感が高まって参りました
あと3-6シーンでこの章完結予定です

>しかしショートの袁姉妹とかそれはそれで見たいですよね、絶対美人さんですよ
俺になあ、絵心あればなあw
絶対美人さんなんだよなあ

>『灰被り達の逃走』
ミスリードもできそうでよいですね。遁走のほうがいいかもしれないまである。
ほむ。

>>13
どもどもです。

>今回は敢えて【run for survive】
オサレ!でも英字はよっぽどじゃないとやらんです
だってニュアンスが制御できないもの


しかし、今月中に終わらせて冬休みあたりにあっちで投下っていけそうやで!
15 :青ペン [sage]:2019/11/22(金) 03:09:11.81 ID:fCnhQmIWo
>>14
(後ろにに〜逃走中〜ってつけるか迷ったのは内緒だよ)
16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/11/22(金) 06:36:33.66 ID:5pK+deHNO
「明日への転進」なんてどうでしょう
17 :赤ペン [sage saga]:2019/11/22(金) 18:07:08.10 ID:OHSFnRog0
乙でしたー
>>8
>>囲師には必ず逃げ道を用意すべしと申します。  意味は分かりやすいので良いと思いますが
○囲師には必ず闕(か)くと申します。      原文はこれかな?もしくは【囲師は周することなかれと】とか?なんかちょっと気取った言い方をするのはもはや習慣(そんな事するから後世の人が意味を解読しなきゃならなくなるんだよ…古文なんて嫌いだ!
>>9
>>うっそりと、それでも確たる意思を込めて雷薄が口を開く。 これって【うっとり】とほぼ同じ意味なんですよね
○のっそりと、それでも確たる意思を込めて雷薄が口を開く。 【のんびり】とはちょっと違うけど動きが遅い。と言う意味ならこれかな
>>きっちり時間を稼いでみまさあ!」   喋り言葉だと分かり難いけどこれって《時間を稼いでみますよ》になるのかな
○きっちり時間を稼いでみせまさあ!」  だとしたら《稼いでみせますよ》になる方が良さそうかな
>>10
>>うっそりと言うと、えへへ、とばかりにすり寄ってくる。 こっちは慌てないためにあえてそう振る舞ってる感じもするので
○おっとりと言うと、えへへ、とばかりにすり寄ってくる。 二郎らしくないか?あとは【のほほんと】とか【のんびりと】とか?

雷簿!約束だからな!!いよいよとなったら降るって紀霊も袁術も袁紹も聞いたからな!口約束だからって破ったりしたらのk…故郷の家族がどうなるか分かってるよな!?
その髪の毛ガチで金になりそうよね…昔の鬘の材料的に。なんとなく七乃が懐に忍ばせてそうだけどまさかね
18 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2019/11/25(月) 21:57:22.31 ID:sTNFGTqg0
>>15

そういうことかw

>>16
よきです。
いい。こういうセンスは一ノ瀬にはないもので、嫉妬すらしてしまう。

>>17
赤ペン先生いつもありがとうございますー!

>雷簿!約束だからな!!いよいよとなったら降るって紀霊も袁術も袁紹も聞いたからな!口約束だからって破ったりしたらのk…故郷の家族がどうなるか分かってるよな!?
これ言った時にどういう覚悟を決めていたか、ということですよね。
故郷の家族は、雷薄が儚くなったら優遇されますよね?

>その髪の毛ガチで金になりそうよね…
そのネタは黄金拍車で割と効きます
多分無為に炎となるのではないかな(ネタバレ)
19 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2019/11/25(月) 22:22:45.05 ID:sTNFGTqg0
七乃に先導されて俺たちは夜の洛陽をひた走る。足音一つ立てず――黒装束もあって――ともすれば見失いそうになるほど七乃は穏行していて。彼女の本領を改めて認識する次第である。
通りごとに足を止め、手鏡で先を慎重に確認しているのに追いつくのも一苦労である。
治安のよろしくないエリアを通っているので、そこいらのごろつきに絡まれそうになることもあるが、猪々子が瞬時に黙らせる(物理)。

七乃に続くのは猪々子、麗羽様が続いて美羽様を背負った俺を斗詩が後ろでフォローしてくれている。そんな構図(フォーメーション)である。

迷いなく進む七乃。いや、実際大したものである。
基本、何進という裏表に絶対的な影響力がある存在があった。その手前、洛陽では諜報活動を自粛していたのだが、美羽様入内が決まってからは精力的に動き回っていた、みたいです。
きっと、今進んでいる道だって彼女の地道な積み重ねがあってのルート選定なのだろう。
そして、目的地にたどり着く。そこは門扉……などではなく、洛陽を取り囲む防壁である。

「はい、到着しましたー。ひとまず私のお仕事はここまでですねー」

そ、と視線を外に向け、索敵を。いつ追手が来るか分かったもんじゃないしな。いや、雷薄や風がうまいことひきつけてくれているとは思うのだが。

「じゃあ、私達の出番ですね」

にこり、と斗詩は笑って準備運動を始める。背負った荷物を下ろし、ゆっくりと柔軟体操(ウォヲーミングアップ)を始める。
それは、いつも俺たちの鍛錬の前にやっていたルーチン。万全を期すためにもこれは外せない。

「頼むぜー、斗詩ー。アタイらの未来は斗詩にかかってんだからさー」

にひひ、とお気楽な口調で猪々子が煽る。

「うん。文ちゃん。そうだね。今、すごく気合いが入ってるよ。すっごく身体が軽い。怖いものなんてない。
 そう。絶好調、ってやつかな」

斗詩にしては珍しくそんな軽口を叩く。屈伸、そして伸び上がり、軽く跳ねる。
にか、と猪々子は笑ってこちらを見る。

「アニキ、アタイらはいつでもいいぜ」

軽く頷き、三尖刀を手にする。
俺の身体能力はこの二人に及ばない。だが、こいつの力を発動させることで俺の力は猪々子に匹敵するのである。
これを知るのは袁家でも限られた面子。そしてこの子らはずっとそれを知っていて。その上で俺を。

「よしこい!斗詩!」

三尖刀に何かが吸われ、全能感が身体に満ちる。筋肉の一筋、細胞の一つまでもが活性化されたようなそれに意識を馴染ませる。
俺と猪々子が並び立つその中央めがけて斗詩が全速力で走ってくる。一陣の風となり、踏み込む。
20 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2019/11/25(月) 22:23:11.36 ID:sTNFGTqg0
「そおおおおおおおおおおおおおおおい!」

斗詩のその運動エネルギーを、ベクトルを上方に置換する。捕えた足からもたらされる運動エネルギーを全て上方に変換して跳ねあげる。いけ! 
ぶち、と筋肉の切れる音が内側から響くのも構わずに。

「ああああああああああああ!」

猪々子の絶叫がかすかに耳に入る。
そう、これは昔日によくやった遊びの延長。どれだけ高く飛べるかを競ったそれの延長。
違うのは、その行為にかかっているものが大きいということ。

見れば、ぎゅん、と斗詩は上昇を続ける。跳んでいく。斗詩の運足の妙あってのことだ。俺や猪々子ならば城壁にぶち当たってしまう。

ぐんぐんと上昇し、その最頂点に達しても流石に城壁の頂上には届かない。だがそれは織り込み済み。

ギン!と鋭い音が響く。いつの間にか手にしていた双剣を、見事詰まれた石の隙間にねじ込んだのだ。

「――ふう、うまくいったか」

「そう、みたいだね。
 よかったぁ」

ぎゅ、と猪々子が後ろから抱きついてくる。僅かに振るえているのはそれでもやはり心配なのだろう。
これからが斗詩に無茶振りした正念場である。

「きっと、大丈夫だよね?アニキ……」

双剣だけを頼りに、少しずつ斗詩が登り始める。石の隙間に双剣を突き立て、その身体をじり、じりと持ち上げていく。
突風の一つもあれば飛ばされそうなほどそれは危うくも見える。

「斗詩さん……」

心配そうに麗羽様が俺に縋り付いてくる。美羽様は無言でぎゅ、と。

ええい、見守るだけの身が情けない。
急速に力が抜けていく感覚に身を委ねながら、俺は無言で斗詩を見守ることしかできない。

どれだけの時間が過ぎたのだろう。永劫とも思えるそれは案外そうでもなかったのかもしれない。
じりじりと、それでも確実に上る斗詩。まあ、たまに剣が弾かれた時にはもう心臓がタップダンスを踊ったものだが。
それでも、ようやくに城壁の上に到達したのを見て。

「よ、よかったあ」

門扉が警戒されてるならば城壁を越えればいいじゃないというのを通しきったのだが、精神的に疲れた。いや、多分一番疲れたのは斗詩だろうけども。

「はいはーい。二郎さんは周囲の警戒お願いしますね。ここまできて捉えられたら意味がないですし」

にこりと笑って七乃が壁際に立つ。
――呆けていた俺たちに代わって周囲を警戒していてくれたのだと今更ながらに気づく。
21 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2019/11/25(月) 22:23:38.33 ID:sTNFGTqg0
「それでは、お先です。美羽様、お待ちしておりますねー」

斗詩が落としてきたロープをノールックで掴み、軽やかに駆けあがる。
うん、登攀するというよりは駆け上がるというべき速度で、たちまちに登り詰める。

「うし、次はアタイだな。アニキ、何かあったら呼んでくれよな。駆けつけるから」

いや、駆けつけるというか飛び降りるって感じだろうが。そんな突っ込みをするまでもなく、猪々子も軽やかに昇っていく。
俺ときたらこの場では役立たず一直線なのに、信頼が重い。頑張る。

そしていよいよ俺たちの番だ。
垂れるロープを腰に巻きつけ、美羽様を背負い、麗羽様を――。

「失礼します」

真正面から抱きかかえる。常ならば落とす不安なぞないのだが、今の俺にそんな筋力があるかは疑問。
それを知っている麗羽様は、ぎゅ、と俺にしがみついてくる。

「二郎さん……」

ずり、ずりと引き上げられる。猪々子が引き上げているのだろう。あっという間に洛陽の街を見下ろせるほどの高さまで到達する。
振り向いて袁家の邸宅らしきを灯りを探す。
ほ、と息をつく。どうやら、火は放たれていないようだ。

ぎり、と歯を噛みしめて呟く。

「雷薄。死ぬなよ……」

ぎゅ、と背後から伸ばされた手、俺に抱きつく手が震えた気がした。

「ここから出て、当てはありますの?」

微かに振るえながら麗羽様がそんなことを問うてくる。

「勿論。まあ、伊達に放浪しちゃいませんって」

軽薄に応えながら、思う。
雷薄、風。無事でいてくれよ、と。
22 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2019/11/25(月) 22:25:19.65 ID:sTNFGTqg0
本日ここまですー感想とかくだしあー

題名募集しまくりんぐですよ本当に!未定です。
何もなければ遁走とかになります!

あと4エピソードくらいで終わりそう

なんとか上皇様のお誕生日には再開したいものです。
がんばゆ
23 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/11/25(月) 23:05:42.60 ID:CxclsI7TO
「勝利への脱出」って書こうと思ったらまんま昔あったスタローンのサッカー映画のタイトルだったww
24 :青ペン [sage]:2019/11/26(火) 05:08:46.76 ID:aXQ+BbN6o
>>18
はい、そーゆーことです(笑)
25 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2019/11/28(木) 21:43:18.03 ID:+YAhAMYQ0
>>23
どもです。
あれ、スタローンがGKやってるやつですよね
地味にペレが出てて草生えましたな
アクションがサッカーで超地味な感じという印象w

>>24
くさ
26 :赤ペン [sage saga]:2019/12/02(月) 16:44:37.69 ID:qofE6UVT0
乙でしたー
>19
>>七乃に続くのは猪々子、麗羽様が続いて美羽様を背負った俺を斗詩が後ろでフォローしてくれている。   接続詞に違和感が
○七乃の後ろに猪々子、そして麗羽様が続いて美羽様を背負った俺を斗詩が後ろでフォローしてくれている。 こんな感じでどうでしょう
>>ゆっくりと柔軟体操(ウォヲーミングアップ)を始める。 ケアレスミスですね
○ゆっくりと柔軟体操(ウォーミングアップ)を始める。  こうですね
>>20
>>その最頂点に達しても流石に城壁の頂上には届かない。 【頂点】に既に最もの意味があるので
○その最高点に達しても流石に城壁の頂上には届かない。 もしくは【その頂点に達しても】の方がいいと思います
>>見事詰まれた石の隙間にねじ込んだのだ。 すし詰め的な?
○見事積まれた石の隙間にねじ込んだのだ。 こうですね
>>僅かに振るえているのはそれでもやはり心配なのだろう。  これだと《剣を振る》とかの意味ですね
○僅かに震えているのはそれでもやはり心配なのだろう。   こうですね
>>21
>>そんな突っ込みをするまでもなく、猪々子も軽やかに昇っていく。 【するまでもなく】だとちょっと意味が違うような
○そんな突っ込みをするひまもなく、猪々子も軽やかに昇っていく。 もしくは【する間もなく】でもいいですね
>>振り向いて袁家の邸宅らしきを灯りを探す。 【を】が多いですね
○振り向いて袁家の邸宅らしき灯りを探す。  それとも【邸宅らしき辺りを探す。】でしょうか?
>>微かに振るえながら麗羽様がそんなことを問うてくる。 さっきの震えは雷簿を思って、今度の震えはこの先を思って、かな?
○微かに震えながら麗羽様がそんなことを問うてくる。  大丈夫だ、問題ない(震え声

猪々子もどちらか代わってあげれば…いや実際最後の3人の場面で襲われたら二郎ちゃん2人足手まとい護りながらはかなりきついぜ
そして斗詩が凄い勢いでフラグ立てて「こいつぁやべえぜ」って思ったねw
27 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2019/12/02(月) 22:00:09.75 ID:CvCetfbh0
>>26
赤ペン先生いつもありがとうございますー!

さて。

>猪々子もどちらか代わってあげれば…いや実際最後の3人の場面で襲われたら二郎ちゃん2人足手まとい護りながらはかなりきついぜ
むしろ二郎ちゃんも足手まとい状態です!
なのでさっさと三人引き上げようという態勢ですね。
七乃さんに周囲警戒任せて引き上げ斗詩猪々子。
非常時には(消耗度合いの高い)斗詩が飛び降りて壁となる感じでした。
実はここは追撃戦が設定されてたんですけど、七乃さんの隠密スキルが活きてしまったのです。

本気になった七乃さんはすごいなあ、と観念したのでした。
しゃあない。
物語的には脱落者が出た方が美しかったとは思うのですけどね。
ここらへんは内緒でござるよ。
28 :赤ペン [sage saga]:2019/12/03(火) 10:19:51.11 ID:fQc/ZrE10
ゲーム世界、漫画世界に転生モノで主人公が【原作を知ってるけどある日気づいたらその世界にいた】タイプのモノって二次元キャラが三次元になった違和感はどの程度なんだろうか
特に髪の色とか目の大きさとか…たまに【知らない天井だ→ふと鏡を見るとそこには大好きなゲームの誰誰の顔が!】みたいなのあるけど見える世界そのものの現実との違いがありそう。趙雲の髪?ハハッ
29 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2019/12/03(火) 21:02:49.60 ID:lI6EtF5s0
脳内くちゅくちゅされて違和感が仕事しない、だと闇が生まれるます

あくまでディフォルメだけど、そのキャラだと分かるってどういうことだってばよ
30 :赤ペン [sage saga]:2019/12/04(水) 09:44:26.75 ID:VA/eXJld0
銀魂(実写)の世界なら銀魂世界だと気付きつつ違和感も少ないかもしれないかな?
DB(ハリウッド)の世界に転生したよ!とかだったら主人公がそれを受け入れられるか…
ネギ魔も確か実写があったっけ…とはいえアニメや漫画やエロゲの可愛いorエロいキャラをリアル化されてそう受け止められるのか
31 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2019/12/04(水) 21:02:54.65 ID:c1wVtIMX0
銀魂はイメージしやすいですねえ
見た瞬間銀さんとか神楽ちゃんとか分かりますし
ああいうレベルで脳内変換されるのかなあ

しかし平穏に生きようとして自分の容姿が銀髪オッドアイとかだったら草生えるw
無理じゃんw
32 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2019/12/04(水) 21:58:07.10 ID:c1wVtIMX0
「総員、傾注!」

白を基調とした甲冑に身を包んだ雷薄が居並ぶ部下に喝を飛ばす。
いや、厳密に言えば彼ら彼女らは直属の部下ではない。袁紹、袁術。そして四家の長に仕える近侍たち。
いずれも素性の正しく、将来を嘱望される幹部候補生たちである。いずれは彼らが袁家を担っていく。そうなってもらわないといけない者たちだ。
そんな、まさに人財を雷薄は睥睨し、躊躇いなく使い潰すことを選択する。
多くは言わない。

「まことに済まんが、死守だ!」

明敏な彼らにはそれだけで十分。これから稼ぐ時間により仕える主たちの命を贖うのだ。贄となるに異存はない。

「いやー、参ったなー。でもまあ、ここが踏ん張りどころってね!」

へらへらと鉄鞭を手にした青年が口を開く。口先の英雄とも言われる彼は正直荒事には向いてはいないが、この際そうも言ってられない。

「はいはい、泣き言は後でたーっぷり聞いてあげるから黙ってようね。おじさんたちの頑張りが袁家の命運を握っているんだからさ」

鷹の目、と異名をとる少女が混ぜっ返す。

「はうー。かあいいかあいい美羽様のためだもの。頑張っちゃうかな、かな」

かつての如南攻防戦にて功績を挙げ、袁術の真名さえ許された彼女が笑う。
彼ら彼女らはけして使い潰していい人材ではない。雷薄は苦虫を噛み潰したような顔で内心詫びる。

……雷薄の生まれは貧農の三男坊だ。食うに困って軍に志願したクチだ。腕っぷしには自信があった。が、野盗になるのは嫌だった。彼自身が貧農出身だったから、だ。
それに、畑を耕すよりは兵隊になった方が女にちやほやされるだろう。そんな思いもあった。
恵まれた体格と膂力で頭角を現し、あの匈奴戦役でも生き残り、武勲も立てた。気が付けばまさかまさかの大出世である。

だから、自分に関しては命燃やす時は今と決意している。巻き込む若人らに詫びる言葉を雷薄は持ち合わせてはいない。
いや、それでも。
それでも死んでくれと言わなければならないのが指揮官というものなのだろう。
きっと目の前の彼らはそんな逡巡すら見抜いてなお自分の判断に付き従ってくれるのだろう。
では自分も、彼らに相応しい立ち振る舞いをせねばならない。

「では、多くは言わん。一秒でもいい。我らが主君を逃がすための捨て石として、死兵となってくれ」

言い捨てて、門扉に向かう。
既に此処は戦場。既に包囲されている。まさに、死地であった。
33 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2019/12/04(水) 21:58:33.34 ID:c1wVtIMX0
◆◆◆

「貴様ら、ここが四世に渡り三公を排出した名門袁家の当主、袁紹様。
 そして畏れ多くも入内が決まっている袁術様の逗留先と知っての狼藉か!
 ただちに立ち去れい!下郎ども!」

隠しもしない殺気を込めて雷薄が威圧する。
場を圧倒するその声量。それは紀霊が高く評価するもの。堂々とした体格から発せられるそれは質量すら感じさせるほどになり、並の胆力では抗うことすらできない。

「その袁紹殿に用がある!袁紹殿はいずこにおわすか!お目通り願いたい!」

であるから、それでもなお怯まずに述べる彼の胆力は評価されるべきであろう。
雷薄の威圧に刹那怯むも朗々と用件を述べる。

「既に時間も遅い!明日出直すがよかろう!」

門前払いである。が、それを予想していたのだろう、気圧されることなく歩を進めてくる。

「ええい、話にならん。ことによれば力ずくでもいいのだぞ――」

取り囲むは数百。守るは十数名。力押しされたならば鎧袖一触であろう。
さて、どうしたものかと雷薄が考え込もうとした時。

「行きます」

雷薄の横を通りながら、口も動かさずに伝える。
それで張家所属と分かる。
その極秘の話法。それこそは伝え聞く張家の秘伝の一つ。
それに彼女は如南攻防戦にて袁術から真名を許された英傑の一人である。そうと知って雷薄は覚悟を決める。
どうせどん詰まりなこの状況。動かすならば彼女のような英傑が相応しい。
そして火消しならば慣れている。得意というのは語弊があるだろうが。
34 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2019/12/04(水) 21:59:00.41 ID:c1wVtIMX0
◆◆◆

「呂家軍の将軍様。
 ご進言が。ご進言があるのです」

気弱げな口調、しとやかな仕草。女官としての気品、そして漂う色気に対した呂家軍の士官は。

「ほほう、どうしたというのかね」

前に出てしまう。

「ああ、そこにいられましたか。
 耳寄りな情報がございます。お求めになっているものです」

歩を進める女官がしゅるり、と帯を緩める。
媚びを売ろうというのであろうか。その身体で何かを贖(あがな)おうというのであろうか。
その期待にごくり、と生唾を飲み込み、更に数歩進み出る。

ゆるり、とした運足。ゆらりとした脱衣。彼女が場を支配していたからこそ、達した。

「しゃおらぁあああああ!」

闇に紛れての一撃。衆に混じりて成した会心の一撃。まさか後方から、自軍から成されるとは思ってもみない。
だからそれはまさに必殺。

会心の雄叫びを上げるのは、これもまた如南攻防戦の英雄。
兵士を、領民を鼓舞し士気を高止まりさせた口先の英雄。
そして今ここに、口先だけではないことを証明した。彼の手にした鉄鞭は見事に指揮官の頸椎を砕き、返す一撃で顔面を粉砕する。

「は、ちょろいもんだぜ!」

残心もそこそこに先の女官に並び立つ。
両者が纏うのは黒装束。

「あはは、流石だね!
 知ってたけど、ここでそうくるかー。
 私がやっちゃうつもりだったんだけどなあ。
 これは、負けてられないなあ」
 

すらり、と女官が構えるのは鉈、のようなもの。
男と背を合わせ、周囲を睥睨する。

「まあ、俺だってたまにはいいとこ見せないと、な」
「そうだね。うん、すっごく格好よかったよ」
「俺に惚れたら火傷するぜ?」
「だったら、それもう手遅れ、かな。今更だし。
 全身火まみれで、燃え上がっちゃったよ」

軽口を叩く二人を取り囲むのか、袁家邸宅に突入するのか。指揮官なき董家軍。
その揺れを歴戦の雷薄は見逃さない。
轟く声。
重低音のそれは場に響き渡る。
かつて紀霊が、夏候惇にすら匹敵するとまで評したそれは場を支配する。

「総員、突撃ぃ!
 袁家の存亡ここにあり!踏ん張れい!」

指揮官先頭は紀家の伝統とばかりに雷薄は吶喊する。連携なんぞは激戦のうちに生まれるものである。
そして、力の限り足掻いて見せよう。
それが今の自分にできる最善であると信じて。
手にした得物を振りかぶり、矢嵐を受けながら雷薄の口元はニヤリと吊り上っていた。
35 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2019/12/04(水) 21:59:26.73 ID:c1wVtIMX0
◆◆◆



「誰かある!」

応えは、ない。
初手において敵指揮官を潰し、一時は優勢ではあったが流石に多勢に無勢。
統制なくとも数の暴力に押されて下がりに下がって背にした扉は屋敷の最奥。
ここが突破されればここに袁家首脳がいないことが決定的に露見してしまう。そんな最終防衛線にいるのは雷薄ただ一人。
幾多の勇士既に散った。散ってしまった。

「やらせるものかよ……」

それでも雷薄は気力を振り絞って迫る敵を睨む。
白を基調とした甲冑は返り血のみならず自ら流した血で紅く染まっており、修羅もかくや、という姿である。
幾本も矢が突き刺さり、傷からは血が流れ出て意識が白くなりそうである。
いや、実際気が付くと膝をつき、倒れ込みそうになる。
数瞬意識すら手放し、顔を上げるのも億劫だ。

それを好機と見たか、或いは力尽きたと見たか、敵兵がとどめとばかりに槍を突き立ててくる。
その激痛すらどうでもよいとばかりに倒れ伏したくなる。
それでも、それでも。

「やらせはせん!やらせはせんぞ!貴様らごときに、やらせはせん!
 袁家の栄光を!世の平和を!やらせはせん!」

吠えて手にした得物を振るう。暴風がごときその勢いに押されて包囲の輪は距離を取る。

「ここを通りたくば!俺の屍を越えていけい!」

仁王立ちする雷薄は凄絶に笑い、威圧する。
その威を畏れ、矢嵐を以って無力化しようとするも揺るぎもしない。
むしろ呵々大笑して煽るほど。
さしもの董家軍が、その武威に三度下がったという。


絶命してなお威圧する武威は後世語り草になった。
36 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2019/12/04(水) 22:01:04.44 ID:c1wVtIMX0
本日ここまですー感想とかくだしあー
難産でした。

題名案
「防戦」
ネタ案
「暁に雷薄死す」

いやもうjほんとにお助けくだしあー

後少しで区切りだがそれが遠いよ助けろくだし
37 :青ペン [sage]:2019/12/05(木) 00:21:43.81 ID:28k68zu1o
>>36
乙なんだよー

歴連の猛将、命賭して民草を護る

でどない?
38 :赤ペン [sage saga]:2019/12/05(木) 15:41:24.03 ID:OnfMPz4J0
乙でしたー
>>32
>>白を基調とした甲冑に身を包んだ雷薄が居並ぶ部下に喝を飛ばす。 【喝】だと叱責とかの印象があるので(例えばざわついてて落ち着きないとかならともかく彼らは後の幹部候補とあるのでそういう事はなさそう)
○白を基調とした甲冑に身を包んだ雷薄が居並ぶ部下に檄を飛ばす。 コトバンクさんによると《自分の主張や考えを広く人々に知らせ同意 を求める。また、それによって人々に決起を促す。》なのでこれでどうでしょう
>>袁紹、袁術。そして四家の長に仕える近侍たち。  この書き方だとこの場に袁紹、袁術がいる様にも読めるっちゃ読める(言いがかり
○袁紹、袁術、及び四家の長に仕える近侍たち。   もしくは【袁紹、袁術……そして四家の】とかかな?
>>口先の英雄とも言われる彼は正直荒事には向いてはいないが、 《彼》の異名は口先の魔術師だけど【口先の英雄】って揶揄っぽくない?
○弁舌の英雄とも言われる彼は正直荒事には向いてはいないが、【演説】、【口舌】、【弁論】、【饒舌】…この辺が良さそうかな
>>34
>>全身火まみれで、燃え上がっちゃったよ」  【火まみれ】…言わなくはないけど何となくこれだと【火の粉にまみれてる】感が
○全身火だるまで、燃え上がっちゃったよ」  それとも【火あぶり】?全身火傷してるような表現ならやっぱり【火だるま】かなあ?
>>35
>>いや、実際気が付くと膝をつき、倒れ込みそうになる。  これは(気を一瞬失って)気が付くと、という意味かしら?それだと実際に膝は着いた?ううむ
○いや、実際気を抜くと、膝をつき倒れ込みそうになる。  (一瞬でも気を抜いたら)膝をついて倒れ込みそうだ。と言うならこうかな?
○いや、実際気が付くと膝をつき、倒れ込みそうになった。 ふと気が付いたら膝をついていた、あと少しで倒れ込むところだった。ならこうですね
>>さしもの董家軍が、その武威に三度下がったという。  《さしもの孔明が騙された》とかだとちょっと違和感があるので
○さしもの董家軍も、その武威に三度下がったという。  《(勇敢で知られる)さしもの董家軍(ですら)も》を縮めた言い方と思えば

信念に殉じて死ぬなんて漢としてはさいこうだろうけど約束を反故にされた上司とか残された家族としては溜まったもんじゃないぞ!!…いやまあ皆うすうすは彼らがここを死地と定めたことを分かってたけどさ(美羽様も多分感付いてたよね
【死中に活を見る】…自分の命を公平な重さで天秤に乗せたこの20人弱が生きていればこの先袁家がどれだけ楽だったことか
39 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2019/12/09(月) 20:19:47.24 ID:sH1+4U600
いやあ、師走師走。
割と忙しいですね。さっさと仕事やめて隠遁したいものです。
仕事やめたら社会貢献するんや。

>>37
どもです。

>歴連の猛将、命賭して民草を護る
素敵すぎです。
浪漫ですね。
流れるようなその表現、妬ましい

>>38
赤ペン先生いつもありがとうございますー!

>信念に殉じて死ぬなんて漢としてはさいこうだろうけど約束を反故にされた上司とか残された家族としては溜まったもんじゃないぞ!!
本人はやりきった感ですね。
周囲は「ちょ、待てよ!」状態
美談になるエピソードですが、ご指摘の通りなのは確定的に明らか。
それでも彼は何度でも同じ選択をするでしょう。

さて、虜囚になって交渉材料とされることを拒んだのか的な指摘が外部からきましたが、
多分そこまで考えてなかったんじゃないかなー
ただひたすらに目の前の案件を処理する現場指揮官なのであろうと

>…いやまあ皆うすうすは彼らがここを死地と定めたことを分かってたけどさ(美羽様も多分感付いてたよね
そこはどうでしょうね。つきあいの長い七乃さんくらいかな?
少なくとも二郎ちゃんは全く勘づいていません

>【死中に活を見る】…自分の命を公平な重さで天秤に乗せたこの20人弱が生きていればこの先袁家がどれだけ楽だったことか
実際、十年単位で人事を考えている袁家にとっては晴天の落雷ですものね
ものっそいコストかけて教育していた珠玉の人材が……
そらもうね、人の情としても、袁家の面子としても全力で潰さないといけないやつになります


あと一話で章が終わります
クリスマスくらいからあっち投下開始かにゃあ
40 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/12/10(火) 10:58:20.31 ID:lGWgJYZK0
猪猪子は勘で気づいてそう・・・あの子もいざとなったらそういうことするタイプだし
41 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2019/12/11(水) 21:17:21.09 ID:YdM4ueeZ0
>>40
ああ、確かに!
猪々子は勘づいて層ですね。
あの子は大切なものを見失いません

じゃけんさっさと逃亡しましょうねー(本編ムーブ
42 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2019/12/11(水) 21:55:48.81 ID:YdM4ueeZ0
次々ともたらされる報告に賈駆は時に頷き、時に顔をしかめて次々と指示を飛ばす。
今のところ、想定の範囲内だ。
もとより最善の結果なぞ望むべくもない。時間的猶予などなく、根回しなんて何一つできずに蜂起せねばならなかった。ならなかったのだ。
李儒の要求はただ一つ。――何進の誅滅である。
何進、である。あの馬騰と互角の豪傑であり、この董家軍を引き上げてくれた恩人でもある。そしてその武勇は目の当たりにしている。彼を討つなぞ手持ちの札では呂布しかありえない。
最重要のそれは上手くいった。
だが、後は何とも言えない。
その馬騰については、張遼を宛てた。自刎して果てたというが、まあ、はなから抱き込めるとは思っていなかった。せめて虜囚とできればと思っていたのだが。
それでも、これで馬家軍は敵となる。だがそれもまた想定の範囲内。なに、それでも韓遂を動かせばなんとでもなる。馬騰ならばともかく、馬超相手であればどうにでもなるのだ。
朱儁についてもそうだ。軍権を示せば、万が一くらいには恭順するかと思ったのだが。
それもいい。禁軍の司令官が恭順しないのであれば除くのみ。この洛陽で執金吾たる董家軍の次に武力を抱えるは禁軍。その首魁を除けたのはまずまず。
張遼と陳宮は悄然としていたが、賈駆にとっては想定の範囲内。最悪は避けられたとすら思っている。

「なんですって……」

だが、続く報告にはさしもの賈駆も言葉を失う。
曹操の行方が知れないのはまあ仕方ない。宦官より情報が漏れていたのであろう。しかし、皇甫嵩までその足跡を追えないとは、不覚である。
彼奴はやっかいだ。禁軍にも影響力があり、なにより清流派の首魁の一人。どう蠢動するかなぞ考えたくもない。
苦虫を噛み潰していた賈駆に、とっておきの凶報がもたらされる。

「袁家当主袁紹の逗留地に於いて、現在交戦中!敵指揮官は雷薄!
奇襲により痛撃を喰らうも、現在優勢に戦局は推移しております!」

くら、と眩暈を覚える。
なぜ、と思う。平和裏に袁紹の身柄の確保を命じたのにどうしてそうなる。
それに雷薄だと?
匈奴大戦を生き残り、一兵卒から将軍までに出世したという立志伝の主人公もかくや、というほどの紀家の宿将が防衛戦に立つとはどういうことだ。
なによりどちらから仕掛けた。袁家と仕掛ける意味を分かっているのか。
43 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2019/12/11(水) 21:56:15.21 ID:YdM4ueeZ0
「な、なんですって!退きなさい!袁家との交戦は認めないわよ!」

その舌の根も乾かぬうちに派遣した指揮官が袁家の兵卒――あくまで董家軍からしたら一兵卒でしかない――により討たれるという報に呆然とする。

「な、な……!」

転がるように移りゆく戦況に自失する。
そして、貴重な。贅沢なその時間は失われた。

「敵指揮官雷薄討ち取りました!」

誇らしげに報告する士官に罵声を投げるのを辛うじて自重する。
いやあ、難敵でしたなどと得意げに語るその士官の口調に絶望する。これでは、これでは。
いや、自失していてはいけない。今でもできる最善を。

「よ、よくやったわ。天晴れ寡兵にて挑んだ彼の死を汚してはいけない。丁重に扱いなさい!首は塩漬けにしてけして腐らさないように!」

同時に、抵抗した兵卒――それが兵卒でないことには流石に賈駆も思いが至る。主の逃亡を助けるにあたり身を挺して刻を稼ぐなど――についても死体を汚さぬように厳命する。
せめて、せめてそれくらいはしないと交渉の席にもついてはくれないであろう。
袁家は、それくらい情が深いということを賈駆は知っているのだから。

それが幸か不幸かはともかく、である。

「なんでよ。なんでよ。なんでよぉ……」

がくがくと震える身体を抱きしめて、暫し賈駆はうずくまる。

せめてこの震えを配下には見せてはいけない。抱える腕に爪が食い込み数条の紅い筋が流れるのも構わずに。
それでも賈駆は立ち上がる。顔色は白く、唇は朱に染まっても。
44 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2019/12/11(水) 21:56:40.96 ID:YdM4ueeZ0
それからの報せは、ことごとく凶報であった。皮肉にも賈駆の想定通りに。
曰く、曹操、行方分からず。皇甫嵩、行方分からず。

曹操はまだいい。宦官を手駒とした時からある程度こちらの動きを察されていたはず。あわよくば巻き込もうとしたが果たせず。
まあ、それはいい。
だが、皇甫嵩の不在は痛い。朱儁亡き今、禁軍に号令をかけられるのは彼くらい。せめて誅滅したかったと思う。
取り逃がした魚の大きさに歯噛みする。

「ほ、北面の大門に於いて袁家の一行を捕捉しました!」

だから、賈駆はそれにすがる。
なんとか、袁紹の身さえ確保すれば。あの、あの男に窮状を訴えればなんとかなるのではないかと。
だから今度こそはしくじるわけにはいかない。

「て、丁重に扱いなさい!ボクが行く!」

目の前に垂らされた蜘蛛の糸に飛びつく。

「二郎さえ……袁家さえ抱き込めば大丈夫、なんとでもなる。二郎ならばなんとでもしてくれる。
 雷薄の討死についてはどうしようもないから、素直に謝ろう。そこで謀ったら取り返しがつかない。
 もう、ボクはどうなってもいいからどうにかして二郎を懐柔しないと……」

馬を急がせながら賈駆はそれでも思考を放棄しない。

そして、彼女を待ち構えるのは、蜂蜜色の髪の、眠たげな少女であった。
紀霊が全幅の信頼を寄せる程立その人である。

「いやあ、これは参ったのですよ〜。風はこの荷物を南皮に届けるべし。可及的速やかに、と指示を受けたのですね」

ですから、夜半に北面の門扉を突破しようとしたのかと賈駆は程立を睨む。

「おおこわいこわい。いや、いささか誉められない手段であったのは自覚してますよ〜。
 ですが、この北面についてはそれが常習化していたようだったので、風は風で最善を尽くしたまでなのです〜。
 いや、これは命乞いをした方がよろしいのですかねえ」

くふふ、とほくそ笑む程立。わざとらしいその笑みはこちらの神経を逆なでるためのものであろう。そんな安い挑発に賈駆は乗らないしそんな暇もない。

「いいから袁紹殿と二郎を出しなさい。貴女じゃ話にならない」

その声に程立はにんまりとほほ笑む。それは微かであるも、わざとらしく、狩人が獲物を罠に嵌めた笑み。

「いやいや、ここにはそんなお偉方はおりませんので、お引き取り願えればと思うのですよ〜。
 無論、洛外に出るのは明日以降にしますので〜。
 こんなところで時間を使ってはいけないのではないですか?
 老婆心ながら風は心配するのですよ。
 ええ、二郎さんと浅からぬ縁のある貴女を風は心配するのですよ」

くふふ、と笑う程立になんと言ってやろうか。いや、そんなことに関わっている余裕すら自分にはない。
この一行の荷物は大きな匣であったり壺であったり。ややもすれば人が隠れるに相応しいもの。

ここで袁家当主たる袁紹。入内を控える袁術。そして彼女らに大きな影響力を持つ紀霊。いずれかを捉えるだけで状況は変わる。変わるのだ。

◆◆◆

――そして程立が率いる一行の、思わせぶりな荷からは誰一人発見できなかったのである。
45 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2019/12/11(水) 21:58:27.96 ID:YdM4ueeZ0
本日ここまですー感想とかくだしあー

この章最終話dす

案については 破綻 かなあ

もっと格好いいやつ募集しまくりんぐですよ本当に!
ほんとこれいつもお助け頂いております
ボスケティ

そして、クリスマスめどにあっちで投稿し始める見込みです
頑張るぞいっと。
頑張るので、オナシャス。
46 :青ペン [sage]:2019/12/12(木) 01:27:12.86 ID:3r3X7NyMo
>>45
乙なんだよー

【撒き遅れた毒、飛び立った翼】
かな
47 :赤ペン [sage saga]:2019/12/12(木) 12:09:15.74 ID:tT+/wq930
乙でしたー
>>42
>>苦虫を噛み潰していた賈駆に、とっておきの凶報がもたらされる。 【とっておき】だといざという時の為の隠し玉、みたいな感じなのでちょっと違う気が
○苦虫を噛み潰していた賈駆に、最大級の凶報がもたらされる。   《とっておきの秘策》みたいな感じなので誰が取っておいたのよ?となるので…これでどうでしょう
>>袁家と仕掛ける意味を分かっているのか。  意味は分かりますが
○袁家に仕掛ける意味を分かっているのか。  あるいは【袁家と相対する】とか?
>>44
>>曰く、曹操、行方分からず。皇甫嵩、行方分からず。 上でもこのあたりの事言ってるので一か所にまとめた方が良さそうですね(>>42の曹操の行方が〜考えたくもない。のあたり)
これは>>42の該当部分を削ってこっちにまとめればすっきりしそうかな
>>ですから、夜半に北面の門扉を突破しようとしたのかと賈駆は程立を睨む。     【ですから】に違和感が
○だから、夜半に北面の門扉を突破しようとしたのかと賈駆は程立を睨む。      これはこれで変か?
○ですから、夜半に北面の門扉を突破しようとしたのですとカタる程立を買駆は睨む。 どう考えてもそれ【騙り】だよねと言うツッコミをしつつ

その暴力で適当な宦官やらなんやらの一切合財の鼻と耳を削いで人質にでもした方が良かっただろうに(なお月の生存確率)
向こうは謀略とかにステ振りしてるんだからそっちで争わずに武力で争った方が勝ちの目が大きいのにそうしなかったのは、まあ油断してたんだろうなあ
48 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2019/12/12(木) 21:12:57.82 ID:LxwWnE9U0
頑張るぞいっと。

>>46
どもです。

>【撒き遅れた毒、飛び立った翼】
かっこいいやつありがとうございますー!
これはいけるね

>>47
赤ペン先生いつもありがとうございますー!

>その暴力で適当な宦官やらなんやらの一切合財の鼻と耳を削いで人質にでもした方が良かっただろうに(なお月の生存確率)
実際悪手この上ないのですよね。
多分、月ちゃんの髪の毛一房でも贈られてきたら詠ちゃんは何もできませんわ
それが指の一本とかにいつなるか、と。

>向こうは謀略とかにステ振りしてるんだからそっちで争わずに武力で争った方が勝ちの目が大きいのにそうしなかったのは、まあ油断してたんだろうなあ
油断、慢心、環境の違い……

イイ感じに月ちゃんが地歩を固めてましたからね。まさかね。
謀略は仕掛けた方が有利、を地で行く李儒さんです。

李儒恐るべし、ということで一つ。
49 :赤ペン [sage]:2019/12/12(木) 22:13:30.65 ID:tT+/wq930
そりゃもう持ってきた人とその親類縁者を市中引き回しにしてそいつの家は焼き討ちよ
何進と袁家と馬家を敵に回すくらいならこれやってそれ以外を敵に回した方がましだわ
殺したら向こうも董卓をどうするか分からんけど引き回した後は牢屋にでも押し込んでおけば
指一本送ってきたら適当な人一人磔にしてお返しすれば交渉のレートも理解するでしょ(暗黒微笑
天涯孤独の単独犯相手ならともかく敵対しちゃいけない人たちを抜いて残った有名人宅にほんの200人程度で訪問すれば袁家みたいなガンギマリ相手じゃ無ければ楽勝よ
50 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2019/12/13(金) 21:02:13.75 ID:SOsEyI0/0
>>49
まあ、テロリストの要求を呑んじゃいけないってのは鉄則ですわなあ……!

ここぞというところで選択を誤るのが詠ちゃんにしてもそれは悪手ですよ(原作無印感)
51 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/12/14(土) 10:27:58.76 ID:lc+OwmL60
テロリストの最大のアドバンテージは一方的に攻撃できて相手側に守勢に回らせられることだからなあ
本拠地の割れてる上に明確なトップがいない組織でそれやっても・・・普通なら大鉈(物理)振るって終わりのような
あり得るかはともかく京都とか大阪の府知事が東京じゃなくウチが日本の首都だって武装蜂起(都知事人質)したようなもんじゃろ?
52 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2019/12/16(月) 20:55:37.46 ID:71dAkpsp0
>>51
>テロリストの最大のアドバンテージは一方的に攻撃できて相手側に守勢に回らせられることだからなあ
>本拠地の割れてる上に明確なトップがいない組織でそれやっても・・・普通なら大鉈(物理)振るって終わりのような
広義の謀略ですね
そして、仕掛ける方が圧倒的に有利なのですよね。
これが宦官勢力なのか董家のことか分かりませんが、本質はいっしょですわね

>あり得るかはともかく京都とか大阪の府知事が東京じゃなくウチが日本の首都だって武装蜂起(都知事人質)したようなもんじゃろ?
んー?
クーデターだから警察とか自衛隊じゃないっすかねえ。日本には州軍ないですものね。
州軍蜂起が近いのか?
なんにしても武力ですよ武力。
大体のことは暴力が解決するのです。
なお。
53 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/12/17(火) 10:47:23.19 ID:lOt8Guii0
都知事(皇帝)を人質にしてクーデター起こした警察(董卓軍)を裏で操る府知事(十常待)? や、どっちかっていうと十常待は官僚だけど
野党(何進)がトップになったら首が確定してる官僚とかが近いか
54 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/12/24(火) 20:56:57.15 ID:fFMtIlkS0
乙ー
ご無沙汰しております
最近忠臣蔵が恒例の年末再放送されてたので違うのに近しい何かを感じます
幽州や洛陽が北の方で雪も多そうなのもその一つww(実際は乾燥しててあんまり降らないっぽい

凡将伝ならともかく、三国志とか時代劇とかは海外の人には理解も受けもしにくそうだなー
55 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2019/12/24(火) 21:26:19.38 ID:oQj4ap7k0
>>54
どもです。

まあ、長いことやってますからねえw
リライトですし。じゃなかった、リトライだ。

>凡将伝ならともかく、三国志とか時代劇とかは海外の人には理解も受けもしにくそうだなー
円卓とか、ギリシャ神話とか受けてますからいけますって。
訳者の筆ちから次第かなって

頑張るぞいっと。


それはそれとして忠臣蔵はねーw
あえて凡将伝的に語るとどうしても吉良上野介側が袁家なのでねw

しかし老人一人、殺しきれない浅野内匠頭って、という評価見て、綱吉さんの偉大さを思い知りましたよ
56 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/12/27(金) 12:58:07.07 ID:vjuLT/Eo0
稀によくいるから…30代で大暴れしてその後悠々自適。からの主筋が世代交代して「あの老害が敵に回るとヤベえからやっちゃおうぜ」しようとしたら60越えて覚醒する奴
57 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2019/12/27(金) 19:32:37.06 ID:0IXAyBNc0
伊能忠敬が浮かんだす
58 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/12/28(土) 11:06:13.53 ID:3AfxkL/70
強い爺ちゃんで真っ先に浮かんだのは朝倉さんちの宗滴三かな…そのお方でも撲滅できなかった宗教狂いもマジパネエが
59 :青ペン [sage]:2019/12/30(月) 00:14:59.93 ID:lSoQxd+Mo
個人的には水野勝成かなぁ…
↑30代暴れまくり60でもパネェ
60 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2019/12/30(月) 21:18:30.89 ID:iBLF60Rs0
大久保彦左衛門は実際の印象ないです
上泉信綱が最高にして最強というイメージ

個人的には、佐久間象山と大村益次郎が生きてたら歴史がそれなりに変わったと思っています
ですが、どっちも人格がアレなのでどっかで暗殺不可避かなあって

でも万次郎は酷使したいし江川英龍は過労死せんようにしたい

そうなったらどんな世界になったかを観測したいっすなあ
61 :赤ペン [sage]:2019/12/31(火) 22:17:06.57 ID:lLGJ+Qr00
今年もあとわずか…来年もよろしくお願いします
62 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/01/01(水) 06:56:30.58 ID:lDibUuBz0
明けましたおめでとうございます!
本年もよろしくお願いします。
今年での完結は難しいですが、なんとかかんとかしたいです。

蕪農家として独立ワンチャンあると思ってます。
頑張るぞいっと。
63 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/01/02(木) 14:17:46.55 ID:J2kZHEdW0
ようやくあっちの予約投稿終わったわ
しんどかったすわ
明日から頑張ろうそうしおう
64 :俯瞰者 ◆e/6HR7WSTU [sage saga]:2020/01/03(金) 12:24:50.12 ID:bWmA4woE0
謹んで新年の喜びを言上仕ります(明けましておめでとうございます)

兼業蕪農家としてアドバイスすると、「数こそは力」「忙しなく動くな」「最低利益は常に確保せよ」これですね。
蕪専業なら、撤退資金は絶対必要ですよ。蕪仲買は手数料が命ですんでとにかく動かそうとしますのでね、それもばかにならない。
撤退資金の温存先なら日本国債かなぁ。
そういや専門系にしかニュースになってませんが、例のリクシル騒動。あれで結構損食った人いるとおもいますよ。
私も漬けてますが珍しく追証払いましたね。乱高下が一番迷惑。

さて今年はまずは新しい命に全力です。おとっつあんになるんだし、いやならせてほしいっす(超願望)
年末に靖国の御霊にすがりましたし、新年は氏神様に三回頭下げましたし、なんなら伊勢の御二方にもお願いしておきましょうかね。
「子供の顔が見れたら死んでも」で嫁に思いきり引っぱたかれましたwwwそりゃそうか。

本年もよろしくお願い致します。
65 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/01/03(金) 19:41:37.76 ID:LwXD1POj0
>>64
明けましたおめでとうございます!本年もよろしくお願いします。

>兼業蕪農家としてアドバイスすると
やったぜ

>「数こそは力」「忙しなく動くな」「最低利益は常に確保せよ」これですね。
元手がないとリターンがアレっすからねえ
動きは、それなりですかねえ。かつては数百円の利益でキャッキャしてましたw
いやまあ、ランチ代稼げたらええやん!みたいなw
離角が一番難しいですね。上への握力は割と弱いっすわw

>蕪仲買は手数料が命ですんでとにかく動かそうとしますのでね
基本的に自分との戦いなので、卸さんが凸してくることはめったにないですね。
禿Gの時には2回ほどありましたが、その後上司さんからお詫びの連絡がありましたな
あれは空売りでインしたかったw

>例のリクシル騒動
鹿サポなので情報はすっごく見てました。あれはひどい事件だったね(日暮感)
久美子さんHDよりはマシかな?屋台骨まではいかへんかったから。あ、手は出してないです。
まあ、損ぶっこいてるのも多いですけどね、街のホットステーションとかレモン堂とか!
鉄は国家なりはどうしたもんかなってw

>さて今年はまずは新しい命に全力です。
ここは本当にね。本当に。こればっかりは。。。


>嫁に思いきり引っぱたかれましたw
こういうさりげない惚気が素敵なご夫婦だと思います。
健やかなれ。

本年もよろしくお願いします。
66 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/01/03(金) 21:50:07.96 ID:LwXD1POj0
では今年もよろしくお願いしますということで投下します
67 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/01/03(金) 21:50:35.35 ID:LwXD1POj0
董卓、叛す。そして何進、馬騰、朱儁を誅滅。
遺勅により今上帝を廃位。弘農王とする。
弘農王とは劉協の陳留王と比較し、相当位の低い地位である。
劉弁はこれに異を唱えず、大人しく皇位を譲った。
そして至尊の座に就いた劉協により、董卓は相国となり絶大な権力を手にした。漢王朝をその手に握ることになったのである。

その報せは衝撃を以って中華を駆け巡る。

最も衝撃が大きかったのは間違いなく袁家であろう。先帝たる、現弘農王への輿入れに向けて調整をしていた矢先の変事である。
これで動揺しない方がおかしい。
それを何とか抑えきっている沮授と郭嘉の能力と尽力は賞賛されるべきであろう。無論、あらゆる支援を行っていた張紘にもそれはあてはまる。
今のところ袁家の首脳の行方については情報が途絶えている。死んだとも、捕えられたとも伝わってはいないのだが。

「……そろそろ、抑えきれないかもしれません」

常ならば涼やかな笑みを浮かべる沮授が、流石に疲労困憊といった風に呟く。

「いや、沮授はよくやってるぞ。もう董卓の謀反から三か月だ。これまで表立った動きがなかったってのは、すげえことなんだぞ」

張紘の言葉は本心ではあるが、慰めにしかならない。
袁家の今後は誰が担うのか。水面下では動きが本格化している。留守居役が沮授であるのもそれを助長するのだ。
袁家の権力争いからは身を遠ざける彼の姿勢(スタンス)は、能あっても欲なしと好意的に取られていた。彼はあくまで袁家の補佐に徹するというのは袁家の共通認識である。
だから、逆に、である。
誰が袁家を牛耳っても、沮授さえ抱き込めば。と思う輩が出てくる。無論それを座視する沮授ではないのだが、袁家の後継争いに口を出すわけにもいかないという二律背反(ジレンマ)。

「こうなると、いかにも袁胤様の件は痛かったですね……」

まさに痛恨、である。
68 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/01/03(金) 21:51:02.44 ID:LwXD1POj0
袁紹の予備として袁逢は袁術を産んだ。だがその袁術が輿入れとなれば予備がいなくなってしまうのだ。
その座には袁胤があるはずであった。であるからこそ不穏な動きがあっても袁胤は誅されなかったのである。
李儒の一手はこの上なく袁家に深刻な影響(ダメージ)を与えていたのだ。

「幸い、景気はいい。そのおかげで民の動揺はない。
ほんと、それだけが救いって感じかなあ……」

不穏な空気も、目前に迫っていた黄巾の脅威に比べれば雲の上の出来事。目前の好景気により袁家領内の民は落ち着いている。
黄巾賊残党は半ば流民と化して袁家領内に流れ込む。それを養うために大規模な公共工事――大規模農場や鉱山、橋梁建設に街道や港湾整備他多数――が計画、実行される。その需要に応えるために各種生産活動は全力(フル)回転。
それを支えるための財政出動があるが、袁家の金蔵は揺るぎもしない。
治安出動のための軍備の強化も相まって、袁家領内は空前の好景気に沸いていた。
それがあるから、これまで袁家内部の蠢動も抑えられていたのではあるが。

「流石にそろそろまずいですね。
いや、つい数か月前までは袁家は盤石と思っていたのですが……」

肩を落として盛大にため息と弱音を吐く。張紘の前だからこそであろう。
張紘も深く懊悩の表情を浮かべる。ぐったりとした様相の親友にかける言葉もない。

そんな二人を黙って見ながら茶を淹れ、甲斐甲斐しく茶菓子を出していた赤毛の女性――赤楽――が呆れたように口を挟む。

「本当に君ら二人だと辛気臭いな。
あの暢気かつ軽佻浮薄かつ女好きであれこれ厄介ごとを呼び込む御仁がいないと見てられないのだな」

そしてつかつかと歩みを進め、張紘の頬を引っ張り、弾く。
盛大に。

「い、痛いぞ?!」

恋人の抗議の声に赤楽はフン、と呆れたように鼻息を一つ。

「当たり前だろうが。痛くしたんだからな。
 目が覚めたかな?ああ、それは結構。
そもそもだ。あえて聞こうか。これは本気で疑問なのだがね」

やれやれ、といった風の仕草から問う視線は炎。
それが二人を射貫く。

「君らはあの御仁がこんなことで儚くなるなんて本気で思っているのか?」

それは決定的な言。これまで敢えて口にしなかったもの。

「これは手厳しい。確かに二郎君の安否についてはあえて口にしていませんでしたとも。
 ですが、それは最悪を想定していたからこそです。
 備えはしています、が……。
 いえ、これは甘えというものですかね」
「よせやい、おいらだって認めたくなかったのさ。
 それは、思っても、言ったらそうなっちまうんじゃないかって、な」

やれやれ、とばかりに赤楽は肩をすくめる。

「便りのないのは良い便り。あの御仁がこんなことでくたばるはずはないさ。
 君らは義兄弟なのだろう?君らが信じてやらなければ誰が信じるというのだ?」

ニヤリ、と口を歪ませる麗人に沮授と張紘は呆然とする。彼女は最悪に備えろ、と言ったのではなかったのか。
そんな二人の表情を愉快そうに見て再び口を開く。双眸は力に満ち、碧眼は炎すら纏いそうで。

「あの御仁、ひいては仕える主君がこんなことでどうにかなるはずはないだろう。
 考えても見ろ。まあ、袁紹殿の豪運については語るに及ばないよな?
 ここではあの御仁についてだけ語ってみようか」

艶然と微笑む。楽しそうに。
69 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/01/03(金) 21:52:47.10 ID:LwXD1POj0
「たまたまお忍びで市場に来ていたらたまたま居合わせた張紘と私に出会ってその場で口説き落とした。
 たまたまふらりとこれまた街中を歩いていたら李典、楽進、于禁という俊才に出会い、登用した。
 たまたま立ち寄った料理屋で知り合った典韋殿を、たまたま立ち寄った町で見かけ、そのまま登用した。
 武者修行と称して出奔したら旅先で皇族に連なる劉璋殿を助け、誼(よしみ)を結んだ。
 更にその道中で程立、趙雲、郭嘉なぞという傑物が野盗に襲われている現場に巡りあって、なんだかんだで全員登用した。
 ――こんなに天に愛されている御仁がこんなことで果てるわけがないだろう」

文句あるか?とばかりに、どちらかと言えば薄い胸を張る赤楽に張紘は苦笑する。

「いや、すまねえ。確かに二郎は生き汚いからな。こんなことで死ぬはずはないや。
 おいらとしたことがどうにもいけねえや。随分弱気になってたみたいだ」

「そうですね。二郎君ならばそれこそ何をしてでも同行されている方々を無事に送り届けるでしょう。
 いや、女は強しと言うべきですかね?いや、これは妬いてしまいそうですよ、張紘君」

言いながらも沮授は舌を巻く。時折見せていた明敏さに加えてこの事態においても全く揺るがない。
彼女であれば袁家内部においても柱石となれるであろう。間違いなく。

「クク、沮授殿。
よしてくれよな。これは岡目八目という奴さ。私にとっては結構他人事だからな?
 おのずと見える景色も違うというだけさ。
 ウン、そうだな。もっと言えば一度死んだような身さ。だからあれこれ好き勝手に言えるってだけ。そしてね」

――身一つで惚れた男一人ならばいかようにも養ってみせるさ。

そんな、無言の悪戯っぽい目線を受けて沮授は苦笑する。

「そうですね。僕らの動揺。それはたちまちに波及してしまうでしょう。そうですよね。
 いや、今日はご馳走様でした。色んな意味でね。
 二郎君が帰ってきたときに余計な気苦労を背負わせないようにするとしましょうか。
 ええ、本当にご馳走様でした」

訪れた時と同様に、にこやかに。しかし含んだ表情は変わって明るく、沮授は席を立つ。

「なに、漢朝全てを敵に回してもお釣りがくるほどですよ。気楽にいくとしましょう」

それも全てはあの男が無事であったならば、である。
言外のそれを理解して張紘も笑う。

「二郎は楽をしたがるからなあ。だったら先回りして徹底的に楽をさせてやるってのもいいな」

「それはいいですね。
 いつも二郎君には驚かされてばっかりですから、たまには僕らが驚かせてやるのもいいかもしれません」

「その時の二郎の顔、見てみたいもんだな。
 いやあ、楽しみが増えたな」

軽口を叩く二人を見て赤楽は暢気にむしゃり、と茶菓子を頬張るのであった。
70 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/01/03(金) 21:54:01.09 ID:LwXD1POj0
本日ここまですー感想とかくだしあー

タイトル案
「その頃の南皮 男子会編」

いまいちなので、もちっとおセンチなのオナシャス。
71 :青ペン [sage]:2020/01/04(土) 03:19:21.77 ID:o6ZV7E2Fo
>>70
新年乙ー。
んー、そうね。
【時の奔流に抗うは龍の担い手】
かなぁ
72 :赤ペン [sage saga]:2020/01/04(土) 16:48:56.35 ID:9aX5fMzJ0
乙でしたー
>>69
>>いや、女は強しと言うべきですかね?いや、これは妬いてしまいそうですよ、張紘君」    間違いでは無いですがちょっと【いや、】と言いすぎかな?
○いや、女は強しと言うべきですかね?いやはや、これは妬いてしまいそうですよ、張紘君」  それとも先の方を【いやはや……女は強し】にしたほうが良さげかな?

今回はペケマーク付けるような部分は無かったのでムリクリ一か所
袁紹様以下主要な人員の生死不明は痛いよね…雷簿に付き従った100人足らずもその全員が次代の幹部候補だったし
むしろ幹部になったら迂闊に外に出れなくなるから今のうちに首都の観光しとこう、みたいな感じだったのかもしれん
それにしてもこうして見るとやっぱり違和感…怠け者の劉弁をわざわざ廃さなくてもそのまま何進の後釜に座っても良かっただろうに
劉協に配慮する必要がどこの誰にあった?逆に劉弁が病気を拗らせなかった(を殺さなかった)理由は?あの3人は殺すしかなかったといえばその通りだけどそれで言うなら求心性のある劉弁も殺すしかなさそうだけど
この辺考えるとあの怠け者も結構面白いことになりそう
73 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/01/04(土) 19:25:58.98 ID:5YCEdtDt0
>>71
どもです。

>【時の奔流に抗うは龍の担い手】
かっけえ
時の奔流はいいですね。これは使うかもですよ本当に!ありがとなす!

>>72
赤ペン先生いつもありがとうございますー!

>今回はペケマーク付けるような部分は無かったのでムリクリ一か所
滅茶苦茶久しぶりですねそれってw
頑張るぞいっと。

>袁紹様以下主要な人員の生死不明は痛いよね…雷簿に付き従った100人足らずもその全員が次代の幹部候補だったし
割とこれはマジでしんどい
マンチェスターUのボビーさんが味わったアレよりしんどいかもしれないっす

>むしろ幹部になったら迂闊に外に出れなくなるから今のうちに首都の観光しとこう、みたいな感じだったのかもしれん
それはあるかもしれません。幹部候補生の交流もかねた、あれか、修学旅行的な!

>それにしてもこうして見るとやっぱり違和感…
ご考察楽しみにして、ますーw
太陽と月のあれ、好評でしたよ!
74 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/01/04(土) 21:32:34.44 ID:5YCEdtDt0
郭嘉は手元に届いた書付にため息を漏らす。
どこをどうやったのか、厳重に情報封鎖されている洛陽からの便りである。送り主は、彼女の親友。

「反董卓、連合。ですか……」

その五文字のみが記されていた書付。巧妙に隠蔽されたそれにより、親友の無事を知る。
そして苦笑する。大きく出たものだ、と。
今の袁家にそのような余裕はない。内部の権力闘争を押さえるのに精いっぱいなのが現状。
矢継ぎ早に出された大規模投資計画により、官僚の業務負荷を増大させて暗躍できぬようにするのもそろそろ限界であろう。
そもそもの根幹に対しては何ら対策を打てていないというのが実際のところである。

……こうなると郭嘉が重用されるようになった経緯、後ろ盾であった存在――無論紀霊その人である――そのものが足を引っ張る。
郭嘉の能力は万人が認めるものではあったのだが。

「おやおや、これはどうもお疲れの様ですね。少し休まれた方がよいかもしれませんね」

声をかけてきたのは、今や袁家の屋台骨を一身に支える沮授である。
貴方こそ憔悴しきっているではないか。
そう言ってやろうとして振り向く。そこには、にこやかな笑みはそのままで、見違えるように生気に満ちた表情である。
誰だこれは、などと思う。
いや、涼やかな笑みに胡散臭い香りがまとわりつく。そういえば沮授という人物は本来こういう感じであったか。

「……。
そうですね。正直、見違えました」

郭嘉の言に沮授は笑みを深める。
くすり、という笑みの口元にはごまかされない。鋭い視線が周囲を睥睨しているのだ。
ふむ、何があったか知らないが本調子に至ったということであろうか。
探る郭嘉の視線を真正面で受け止めて尚笑みは柔らかく、深い。

「いや、正直僕も追い詰められていたようで。知人に叱られましたよ。
 辛気臭い、ってね」

一体誰がこの青年にそんな言葉を投げることができるのだろうか。さしもの郭嘉も言葉を失う。

「いささか、現状維持に汲々としすぎたかもしれません。袁紹様や二郎君が帰還した時にこれでは呆れられてしまいます。
 いかにも袁家の首魁となるには権謀術数に長けねばなりません。ですがそれでは足りません。
 さて、蠢動する方々。様々です。
 郭嘉さんから見てどう思われますか?」
 
75 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/01/04(土) 21:33:00.60 ID:5YCEdtDt0
ふむ、と郭嘉は幾人かの顔を思い浮かべようとするが、どれもこれも小粒にすぎる。
なるほど。袁紹というのは傑物なのだと今更ながらにそう思う。
彼女の日輪の如き光輝が目に焼き付いているためであろうか、有象無象はいずれも取るに足りない存在に思えてしまうのだ。
なるほど。

「――陰謀ごっこで袁家を牛耳って、私たちの主人面しようとする凡骨たちが多いなと思ったものです。
いえ、夢想するのは勝手です。ですがその夢に酔っているのに付き合うというのは実際苦痛でしかないですね」

我が意を得たりとばかりに沮授は微笑む。
なるほど、本来の彼はこうなのかと郭嘉は内心で沮授という人物の評価を改める。
唯々諾々とした官僚かと思えば、こんなにも覇気があるのではないか。袁家の差配を任される訳である。
非常時にこそ、その人物の真価が発揮されるというのは誰の言葉であったろうか。
なるほど。

「ええ、そうですね。袁家の本領は武に在ります。袁家に覇を唱えるのであれば、武勲なくしては叶わぬというのは必然というもの。
 ええ。袁家の当主が滞在する邸宅を襲い、紀家の宿将を討つ。このような暴挙に対して黙するなぞありえません。
 一当てせねば武家として面目が立ちませんもの」

いささか挑発的な言を郭嘉は吐く。
探るような視線の郭嘉に沮授は応える。にこやかに。

「そうですね。大義名分なぞ勝ってから考えればいいでしょう。
 まあ、必要最低限のことは陳琳さんにお任せするとしましょうか」

沮授の言に郭嘉は声を出して笑う。ああ、それは適任だ。さぞかし名分を起草してくれるだろう。

「では。そちらのあれこれは、お任せしますよ。流石に僕が出るわけにはいきませんから。
 取りあえずはお任せします。二郎君が惚れこんだ軍才、当てにしていますよ?」

す、と眼鏡を整えて郭嘉は応える。
託されたものを確認する。

「では、任されました。これより袁家は反董卓連合を糾合します。
 まずは涼州に遣いを出し、馬家軍と連携を謀ります。これにより二正面作戦を強います。
 此方は、まず星を如南より呼び戻して兵を率いさせます。襄平よりは公孫賛殿を招聘。彼女の白馬義従あれば董家軍の騎馬軍団に伍することも可能でしょう。
 そして南方よりは孫家に派兵を求めます。最悪将だけでも。彼方は歴戦。客将としても使い様があります」

次々と流れる郭嘉の言。それに沮授は満足げに頷く。流石である、と。
眠れる獅子はいよいよ起きようとしているのだろう。

郭嘉が語る百の戦略に対して、沮授は千の内憂を想定する。
それらを全て平らかにして、沮授は微笑むのだ。

そして、郭嘉という軍事的才能の塊がいよいよ本領を発揮することになるのはこれ以降のことである。
76 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/01/04(土) 21:34:21.19 ID:5YCEdtDt0
本日ここまですー感想とかくだしあー

題名案は

「臨戦」
「臨戦、その前に」


なんかいまいちなので、格好いい奴オナシャス
77 :青ペン [sage]:2020/01/05(日) 08:27:00.38 ID:viekSq/jo
>>76
乙なんだよー
前回の流れから【龍の背に乗るは鬼才】
78 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/06(月) 20:39:16.51 ID:A0cM2VU/0
乙ー
ありそうなのにこの二人の組み合わせは珍しい気がします
そのせいかいつもに比べると袁家の(官僚達の)どろどろした感があんまりないですね

色置いてみたら一応見られる程度になったので(p:BL)
ttps://light.dotup.org/uploda/light.dotup.org629287.png.html
(475×800、56.1kb)
ttps://light.dotup.org/uploda/light.dotup.org629288.png.html
(1286×3164、179kb)

いつものお年賀お待たせしました(待ってません
一応凡将伝(Boshouden)大好き(Love)の略です(何
BLに引っ張られ過ぎたのか一樹きゅんが妙に恵体にww
気が向いたらその内仕上げたいなぁ
79 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/06(月) 20:41:02.02 ID:A0cM2VU/0
間違えましたBonshoudenでした
重ね重ね申し訳ありません
80 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/01/06(月) 20:58:45.70 ID:MCe9xQOR0
>>78
やったぜ
支援絵ありがとうございますー嬉しいワッショイ

>ありそうなのにこの二人の組み合わせは珍しい気がします
大体三人一緒ですからね。仕方ないね。
まあ、実務者協議としては二人はなかよし!じゃなくてそこそこ打ち合わせしてると思うんです。
うん、描写してないだけですね!

>気が向いたらその内仕上げたいなぁ
楽しみにして、ますーぶへへへへ
81 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/01/06(月) 20:59:50.61 ID:MCe9xQOR0
>>77
どもです。

>【龍の背に乗るは鬼才】
流れが出る題って考えたらやってないんですよね
その弐とかでやってるので

こういう連続性は思いつくのすげえなって。
嫉妬。
82 :赤ペン [sage saga]:2020/01/08(水) 17:49:36.69 ID:MhjvHt710
乙でしたー
>>76
>>眠れる獅子はいよいよ起きようとしているのだろう。  間違いが本当に見当たらないので違和感があったここを
○眠れる獅子はいよいよ起きようとしているのだ。  もしくは【起きるのだろう】ですかね【〜しようとしているのだろう】だとなんか仮定が二重っぽく読めますので
○眠れる獅子はいよいよ目を覚まそうとしているのだ。  もしくはちょっと弄ってこんな感じ?【眠れる獅子はいよいよ目覚めようとしていた。】とかも有りかもしれない

ところで>>「――陰謀ごっこで袁家を牛耳って、〜中略〜「ええ、そうですね。袁家の本領は武に在ります。〜中略〜いささか挑発的な言を郭嘉は吐く。
これだと>>「ええ、そうですね。 の部分も郭嘉の言葉っぽく誤読しそうなので
>>我が意を得たりとばかりに沮授は微笑む。 これの前に移動させて
○いささか挑発的な言を吐く郭嘉に、我が意を得たりとばかりに沮授は微笑む。 とかにした方が良さそうかな?と思います

そりゃまあ袁紹様と比べても見劣りしないような人がいたら既にそれ相応の派閥になってるわ
83 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/01/09(木) 22:04:21.18 ID:QMZNhXRi0
>>82
赤ペン先生いつもありがとうございますー!

>そりゃまあ袁紹様と比べても見劣りしないような人がいたら既にそれ相応の派閥になってるわ
これがまあ、袁胤様でしたのですよね。

続きも頑張るぞいっと。
84 :赤ペン [sage saga]:2020/01/14(火) 13:05:26.03 ID:0VCnxJNF0
そう言えば向こう見てて気づいたんだけど
>>凡人と絡新婦(接触編)
>>実際どう考えても騙しにきているとしか思えないんだよなあ・・・・・・。

このあたりまで3点リーダーの使い方間違ってたんですね……知らん振りしとく?
85 :青ペン [sage]:2020/01/14(火) 14:15:46.04 ID:L0aqVzNMo
>>84
あっちは修正利くから
気づいたらするんじゃないかなっと
86 :赤ペン [sage saga]:2020/01/14(火) 15:30:09.99 ID:0VCnxJNF0
つ?○○ !○○
本来ならスペース空けないといけないらしいけどローカルルールと言う事にして空けていないんよ
それにしてもナロウのアニメ化作品見ると世界観が訳わかめで二次創作の便利さがよく分かる…女が強かろうが時代的にあり得ないものがあろうが原作にそれっぽさがあれば気にしなくていいから
逆に1から作ると常識を知らないはずの転生主人公が主席入学したり、中世ヨーロッパっぽい異世界でマヨネーズ作ったり、商品(奴隷)を滅茶苦茶雑に扱ってる商人がいたりすると読者から突っ込まれたりするからなあ
87 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/01/14(火) 19:25:36.57 ID:GCp+HjRp0
り、リソースは有限じゃけえ……
手が空いたら対応したいという気持ちがあるということは忘れず、大切にしていきたいと思っております。
88 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/01/14(火) 21:18:38.00 ID:GCp+HjRp0
約束した董家ルートも実装できてませんしねぇ
いや、筋は完成したんよ
出力するリソースが足りないのん

早く農家にならねば
89 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/01/14(火) 21:50:19.07 ID:GCp+HjRp0
☆その頃の劉璋ちゃん

「こら、ここから出しなさい!
 こんな所に私を閉じ込めるとか、どういうつもりなの!」

こんな所と言うが、ずいぶんと立派な邸宅である。
それは分かっている。
それでも劉璋は黙らない。
何が起こったか。おおよそのことは理解している。ならば、それならば、だ。
自分にしかできないことがあるのだ。
皇族である自分にしか。

「弁君に会わせなさい!協君を呼びなさい!」

敢えての呼び方。そしてそれが出来るのは自分のみ。
二人の橋渡し、仲立ちなんてできない。そういう状況でもない。
それは理解している。

それでも。

それでも皇族として劉璋には義務がある。世を平らかにする義務がある。
そして自分に価値があるというのも理解している。学んだ知は力であると確信する。
自分の身に価値があるということを最大限に利用する。

そうして知った事実にはちょっと脱力してしまったりしたものだが。
いや、自分を守るべき厳顔がとっくに逃亡していたというのは、流石に思うところがあった。
だがしかし、考えれば彼女は母である劉焉の部下。
であれば今の洛陽の状況を確実に伝えるというのはそれが本来の業務であるのだろう。
馴染んで、気安かったのは確かだが。
それはまあ、そういうことなのだろうと劉璋は割り切っている。割り切った。

それはそれとして自分のできることをするのみ。

自分の言jは、けして無視できないものである。
それを理解している劉璋は、発声を鍛えることにする。
どうせならば洛陽全土に自分の叫びを伝えよう。

「えっと、声量には肺活量だったかな。肺活量って確か息が苦しいほど鍛えられるのよね。
 それには鍛錬あるのみ、と。
 水練が一番いいって二郎は言ってたけど流石に無理よね。
 だったら走るか、馬術か、よね」

劉璋としては宮廷内を身軽な格好で走って、ついでに情報収集をしたかったのだが、流石にそれは許されることはなかった。流石に。
なので、幽閉されている劉璋がひたすら馬術に興じていたというのは、複数の資料に記されているのである。
90 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/01/14(火) 21:51:30.95 ID:GCp+HjRp0
本日ここまですー感想とかくだしあー

正直最近、JANE使いづらいんですよねえ。
いいや、誤差範囲内ですが。

書き込みと本スレの切り替えができないとか、なんとかならんかなあ。
91 :赤ペン [sage]:2020/01/15(水) 00:07:01.43 ID:+nwLZWTs0
乙でしたー
>>89
>>馴染んで、気安かったのは確かだが。 はて…いつだったかの黄巾に兵を出す出さないで溝が出来たと思ってたけど修復できたんか(安堵)…そして即行で投げ捨てたんか(溜め息

>>自分の言jは、けして無視できないものである。  これは単純なミスですな
○自分の言は、けして無視できないものである。  もしくは【自分の言葉は、】かな?

乗馬は許されたんか…まあ小さい馬で馬も走ると言うより歩く程度だったのかも知らんが
いっそ馬走らせる場所で劉璋ちゃん走らせちゃいかんのか
92 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/01/15(水) 20:50:15.26 ID:Hvp11W2u0
>>91
赤ペン先生いつもありがとうございますー!

さて

>乗馬は許されたんか…まあ小さい馬で馬も走ると言うより歩く程度だったのかも知らんが
>いっそ馬走らせる場所で劉璋ちゃん走らせちゃいかんのか
ちょっと面白いかもしれませんね。
考えてみよう
93 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/01/16(木) 20:02:13.86 ID:LgjHVKE/0
明日は阪神大震災の日です
なんで悲惨な記憶を掘り起こすことしかメディアはしないのか
そこから復興したとか未来に希望を見いだすようなことが何故出来ないのか
やっても数字が取れないのかなあ
後ろ向きで鬱々とばっかりしているようなのが、と
不景気な面してる方が視聴率とれるのかなあ

NHKの特集予告で思いました
でもNHKって視聴率関係ないよねスポンサーいないし

ああやだやだ辛気くさい

以上、愚痴でした(これはこれで後ろ向き)
どうにも調子がよくないなあと
94 :青ペン [sage]:2020/01/16(木) 21:03:34.39 ID:UlvST0T/o
>>93
わすれちゃいけない。
でも引きずっちゃいけない。


難しいよね。
95 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/01/16(木) 21:06:52.87 ID:LgjHVKE/0
>>94
自分自身被災者ですが、本当にね。
悲惨な話の方が飯の種になるってのはいけないな、と思います。
最近では災害の時の自粛について反論異論が出るようになってマシだなと思うのです。
マグマのような感情を込めて書き溜めするのぜ。
96 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/01/16(木) 21:12:21.06 ID:LgjHVKE/0
「ち、父上が死んだ……?
 嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ!そんな馬鹿なことがあるか!
 あんなに強い父上がやられるはずがないだろう!」

三か月前のその慟哭を厳顔は忘れることはないだろう。悲痛な、幼子(おさなご)のようなその声は何かしら胸をうつものがあった。
……厳顔がここ涼州にいるのには理由がある。
董卓が起こした変事の詳細について可能な範囲で情報を集め、辛くも洛陽を脱した彼女が向かったのは益州ではなく、涼州。
最も激発する可能性が高いのが涼州であったからだ。可能性としては袁家もあるが、馬家と違い未だ当主はじめとした首脳は行方不明。
なれば袁家は捜索に力を注ぐであろうという判断である。

一方馬家については馬騰の死亡が確認されている。
馬超はいささか直情径行にあり、暴発する可能性は大いにあった。その場合益州にも派兵の要請が来たであろう。
まあ、函谷関で防がれる分には問題ないが、馬超の武勇を考えれば洛陽まで迫る可能性もある。
そのまま押し切ることもありえるであろう。その場合、劉璋を人質とされている益州が兵を出すことはありえず、それを逆恨みされることもありえる。
故に馬超の暴発を抑えるために厳顔は涼州に赴いたのである。

無論、劉璋を置き去りにしたことに対する風当たりは厳しいものがあるであろう。
だが、同じく囚われるよりは主君に正確な情報を送り、その上で最善を尽くすことこそが肝要。
直接的な地位も権力も持たない劉璋が害される恐れはほぼないと言っていい。
名よりは実を。主たる劉焉が常々言うことである。
そして厳顔は益州と密に連絡を交わしながら涼州にある程度の影響を築くことに成功していたのである。

「とは言ってもねえ。多分お姉さまもうすぐ爆発するとたんぽぽ思うなー。
 まあ、これまで抑えていたのが不思議なくらいだしね」

肩をすくめながら馬岱は厳顔に言う。そろそろ限界だと。

「とは言え、函谷関は要害。更に韓遂の蠢動もある。いかにも動くのは不利であろう。
  何より、相手は主上を奉っておるぞ?
 武の名門馬家を逆賊とするのは本意ではなかろう?」

お主ならば分かっておるじゃろとばかりに厳顔は馬岱に目線を向ける。
馬岱は、たははと手を振り。笑って応える。

「いや、あのね。何て言うのかなあ。こんなに厳顔さんと私たちで認識に差があるとは思ってなかったなあ。
 確かに月さん……いえ、董卓は今上陛下を擁立してるよ。でも、それは大したことじゃない。
 厳顔さんも分かってるんでしょ?今上陛下が正統だとは言えないということ。
 ならばそれを糾すのが武家の名門たる馬家の義務なんだよね。董卓を配下にしていた馬家ならなおのことだよ。
 おじ様からよく言われてたんだよ。『命を惜しむな、名を惜しめ』ってね。
 あの時は分からなかったけど、今ならよく分かる。
 うん、覚悟完了、って奴かな」
97 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/01/16(木) 21:12:47.59 ID:LgjHVKE/0
「な、なんと?
 しかし、韓遂は難物なのだろう?」

くすくす、と馬岱は澄んだ笑みを浮かべる。いかにもおかしげに。いや、これは見知っていた馬岱なのであろうかと厳顔は瞠目する。
その表情に迷いなく、面差しには覚悟が現れている。

「うーん。正直、今のお姉さまだったら鎧袖一触だと思うなあ。
 それに韓遂だって根っこは同じだと思うよ?何せおじ様の義兄弟だしね。
それでなお立ちふさがるならばまあ、錦馬超の真価、というやつ。その武威ってやつ。それを、ね。
身をもって知るんじゃないかな?」

「……匈奴はどうする。背後の備えは」

「洛陽を落としてから返す刀で蹂躙すればいいでしょ。匈奴に領土欲はないからね。あっさり逃げると思うし。
 まあ、もし長城を越えて本当に来たならば、こちらも長城を越えるだけだし」

血で血を洗う戦場を駆け抜けた少女と、要害に楽園を築こうとしていた艶女の認識の差は埋めがたく。

「お姉さまをね、止めていたのは。準備が整っていないからというのは厳顔さんにも言ってたよね。
 あれは方便じゃなかったの。
 そしてその準備は整ったんだなこれが。
 ああ、そんな顔しないでほしいなあ。たんぽぽ嘘は一度も言ってないし。勝算だって十分あるしね」

勝算?首を傾げる厳顔に馬岱は笑いかける。

「うん。馬家が万全に戦の準備を完了したんだから、袁家だって同じだと思うよ?
 根拠?
 だって、二郎様とたんぽぽは気が合ったもの。武家の匂いがしたもの。
だからおじ様もあんなにも気に入ってたの。分かるかなあ。分からないかもしれないけどね。
 袁家と馬家は似た者同士だよ。そりゃあ、色々と違って見えるし、実際違うんだろうけどね。でも、根っこは同じ」

さて、お前はどうする?益州劉家はどうするのだと笑う。
これが連綿と国境を守っていた武家の凄味かと厳顔は思う。ならば。

「劉璋様には申し訳ないことになるかもしらんな……」

主たる劉焉に送る書状の内容を推敲しながら厳顔はそうつぶやいていた。
98 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/01/16(木) 21:13:15.11 ID:LgjHVKE/0
◆◆◆

「という訳で、どうやら袁家は出兵の準備をしているようですね」

諸葛亮の報告にふむふむと北郷一刀は頷く。なるほど、袁紹という盟主がいなくとも歴史の流れは変わらぬのかと。

――県令として劉備が任地に赴任し数か月がたつ。余り紀霊と友好的な関係を結べていないこともあり、とんでもない僻地、荒地に左遷されるのではないかという危惧は杞憂に終わった。
前任者はそれなりに有能、それなりに善良であったようでよく治められている。
これまで政に携わったことのなかった劉備一行にはあれこれと丁寧に引継ぎすらしてくれており、今のところ大過なく治められている。

――劉備の治世についての領民の評判はすこぶるいい。清貧を地でいく劉備の人徳もあるが、官庫を開いたことが大きい。
二千人の義勇兵を養って余りあるほどのそれを領民に還元したのである。
余程の天変地異でもない限り問題はない程度に食糧、金銭の貯蓄を減らす。更には付き従う義勇兵には開墾を命じる。
屯田兵、と北郷一刀が命名した彼らは実に熱心に地を耕している。きっと秋の収穫には大いなる実りがあるはずである。
なに、慣れぬ農作業も農徳新書さえあればある程度の収穫は見込めるというものである。

――閑話休題。諸葛亮の報告を受けて北郷一刀は口を開く。

「反董卓連合、か」

その推察が自らのそれと重なり諸葛亮は改めて自らの主人に心服する。これだけの限られた情報でそこまで至るとは、と。

「洛陽で暴政を敷く董卓。大いにありえますね」

諸葛亮の言に劉備は戸惑う。

「え、でもでも!
月ちゃんがそんなことするかなあ。あんなにいい子だったのに。
 ねえ、ご主人様。本当に月ちゃんがそんなことするって思う?」

劉備の疑問は無理からぬこと。あの穏やかな娘が権力を求めて蜂起するなど。

「だから、ここにいちゃあそれも分からないから。だから俺たちも洛陽に向かおう。
 本当に何があったのかを見極めよう。もし、月が本当にそんなことをしていたのなら、叱ってやろうよ。
 そして、誰かに騙されているんだったら救ってやろう。
 きっと洛陽に向かい挙兵がある。それに乗じて俺たちは俺たちで動こう。
 きっと俺たちにしかできないことがあるはずさ」

そう。思えば劉備が飛躍したのは反董卓連合での活躍からだったはず。
だったら、そういうことなのだろうと北郷一刀は思う。
天下三分の一つを占めながらも徒花と散った蜀。
自分がここにいるのはきっと彼女らを導くためなのだ。それが、右も左も分からぬ自分を守ってくれた彼女らに対する恩返しのはずだと北郷一刀は確信する。
桃園の三人に加えて伏竜と鳳雛がいるのだ。何を畏れることあろうか。

「桃香、頑張ろうな。皆が笑って暮らせる世界のために!」

そう、まさに北郷一刀と劉備。それは雌雄一対の剣であるのだ。
99 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/01/16(木) 21:13:41.33 ID:LgjHVKE/0
本日ここまですー感想とかくだしあー
100 :青ペン [sage]:2020/01/17(金) 01:04:48.83 ID:auBaa/izo
>>99
乙なんだよー

【西涼に馬家気炎を挙げ大徳は都に走る】

かなぁ
101 :青ペン [sage]:2020/01/17(金) 01:06:53.79 ID:auBaa/izo
>>95
ぶっちゃけるとおいらも2016の被害者ではある。
まあ、被害ほぼなかったけどね。
だから、あの言葉が出た次第さね
102 :赤ペン [sage saga]:2020/01/17(金) 15:23:52.54 ID:W7xtXCNi0
乙でしたー。昨日の事のように思い出される。とかテレビで言ってたけど…いい加減踏ん切り付けて過去のことにして前向いて歩いていいと思うけど
>>96
>>馬岱は、たははと手を振り。笑って応える。  間違いと言うほどでは無いですが
○馬岱は、たははと手を振り、笑って応える。  の方が良さそうかな?手を振った後の笑顔に含みを持たせたいなら【たははと手を振り……わらって応える。】とかどうでしょう
>>97
>>それでなお立ちふさがるならばまあ、 上の方は父の言葉を思い返してる感じもあったのでそのままでいいかと思いますがここは彼女自身の言葉っぽいので
○それでなお立ちふさがるならまあ、  【ならば】だとちょっと硬い感じがするのでちょっと違和感
>>錦馬超の真価、というやつ。その武威ってやつ。それを、ね。 【やつ】が2回続くとちょっとしつこい感じが
○錦馬超の真価、……その武威ってやつそれを、ね。      でどうでしょう
>>98
>>余り紀霊と友好的な関係を結べていないこともあり、とんでもない僻地、荒地に左遷されるのではないかという危惧は杞憂に終わった。  そうされる危惧があっても趙雲をスカウトするあたり…というかあの件は良くないことをちゃんと諫言したんかあわはわ軍師
>>本当に何があったのかを見極めよう。 間違いでは無いですがこの場合の意味だと
○本当は何があったのかを見極めよう。 の方が良さそうかな?

ところで、さ>>前任者はそれなりに有能、それなりに善良であったようでよく治められている。 この人が溜めてた【領地の財産】を
>>二千人の義勇兵を養って余りあるほどのそれを領民に還元したのである。  こうすることで劉備の評判を良くするとかなかなかできる事じゃないよね
と言うか屯田兵とか既に農徳新書で使われてるんでねーの?フジリュー太公望が鍬を振る動きと剣を振り下ろす動きは似てるとかなんとか言ってたし
そもそもこいつらは何なんだ?基本領主の土地を耕して戦争の時は兵士になる(命と稼ぎを搾取されるブラックと言うのもおぞましい何か)?基本は農民(耕した土地は自分のもの)で戦争の土地は兵士になる(そりゃ戦国時代の足軽だ)?
よっぽど裕福か騎馬民族に四六時中狙われてて常備軍で防波堤してるのでも無けりゃ平時の兵士の食い扶持稼ぐために元から領兵たちも土地耕してそうだが
兵農分離するってことは基本的に何の生産性もない存在を作るってことなんだが…そしてそいつらが食うための給料を領主が出す
前任者が兵農分離してたんなら袁家の意向で多分ココ匈奴の略奪をうける場所だし、してないなら既に農徳新書ブースト受けて十分開墾されてそう(劉備SUGEEされなさそう)
103 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/01/20(月) 21:04:24.08 ID:KqZ5Idpj0
どもです。
ちょっと間が開きましてすみませんです。


>>100
>【西涼に馬家気炎を挙げ大徳は都に走る】
かっこい!
この勢い的なものは本当に妬ましい

>>101
正直余計なことを言ったかもです。
まあ、金出すならルミナリエ的なものにも金出せよ!と思うのです。毎年資金難らしいし。


>>102
赤ペン先生いつもありがとうございますー!
うひょう。

>昨日の事のように思い出される。とかテレビで言ってたけど…いい加減踏ん切り付けて過去のことにして前向いて歩いていいと思うけど
たとえば殺人事件案件なら絶対そうなりますよね熊谷とかね

>前任者が兵農分離してたんなら袁家の意向で多分ココ匈奴の略奪をうける場所だし、してないなら既に農徳新書ブースト受けて十分開墾されてそう(劉備SUGEEされなさそう)
劉備すげーできないからこそ、飛躍が必要なのです。多分。
正直平時の事務仕事ってすごい手柄とか無理ですもの。
そういうとこで飼い殺しにしたかったんですよ。

なお野心。
104 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/01/20(月) 21:38:26.16 ID:KqZ5Idpj0
政権奪取より数か月。
賈駆は相国となった董卓の腹心として国政を思いのままにしている、と世間一般では思われている。
権勢をいいことに先帝に退位すら強い、権勢は留まるところを知らない、とされている。
だが勿論、実際はそうではない。
董卓を人質に取られ、最早李儒――或いはその背後――の操り人形に近しい。
朝廷の人員からは冷たい目で見られ、官僚たちからも面従腹背(サボタージュ)状態であるのが実際のところである。
それでいて、辛うじて政権運営が果たされているのは賈駆の有能さと勤勉さを示すものであろう。
とは言え、最早それは恐怖政治に近しいほどに成りはてている、あまりに不服従の過ぎる官僚は幾人かが見せしめとなっている。
それを見てまた官僚が反感を募らせるという悪循環を分かりながらも賈駆は止まることが出来ない。

そして更に扱いに困るのが禁軍である。
呂布、或いは張遼に押さえさせようとするも内部の政治的抵抗が激しく、ままならない。
だが、意に沿わない武力集団を抱えることほど危ういことはない。煩悶しながらも打つ手なく賈駆は摩耗していく一方である。
そんな時に来客が告げられる。
正直それどころではないと門前払いしようとするも。

「ここで李儒、か……。通しなさい」

ぎり、と歯ぎしりしながら賈駆は身なりを整え、軽く化粧して出迎える。

「あら、思ったより元気そうね。お仕事は順調かしら?」

くすくす、と笑うこの女を今すぐ縊(くび)り殺してやりたいとばかりに無言で賈駆は李儒を睨む。

「やだ、こわいこわいわね。そんな目で見られたら、やあね。うっかり手が滑っちゃいそうねえ」

にまりと何かを示唆しつつ李儒は笑う。蛇のような湿度に賈駆は改めて嫌悪を感じ、それを押さえ込む。
105 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/01/20(月) 21:38:52.55 ID:KqZ5Idpj0
「何の用よ」

素っ気なく賈駆はもはや態度を繕おうともしない。どうあっても、何をしても事態は改善されないのである。目の前の存在に忖度しても自分がすり減るだけである。

「いえね。あまりにも貴女が大変そうでね。正直、色々と回ってないでしょう?
 いえね、よくやっているとは思うのよ、本当に。でもね。あまりにお粗末だから心配になってね。 
 多少なりとも助けてあげようかな、って思ったのよね」

「アンタに助けてもらうくらいならば今ここでアンタを刺すわよ。
 どうせボクでは無理だろうから、そろそろ武官でも呼ぼうかなって思ってるくらい」

「怖いわねえ。でもまあ、なんでだか私は嫌われているみたいだから。
 だから、貴女の助けになりそうな方を紹介しようと思ってね」

す、と手を上げる。それが合図であったのであろう。人影が姿を現す。

「何だな。この状況だと僕は悪者一直線なんだが……。
 もうちょっと話の流れとか、そういうものについて気配りしてほしいなあ」

苦笑しつつ姿を現したのは皇甫嵩。賈駆が取り逃がした漢朝の大物の一人である。

「な、なんで!アンタら、あんたらっ!
 そうか、そうか……っ!
最初から、つるんで、たの……ね!」

絞り出すよな賈駆の言葉に、皇甫嵩は困ったような顔を浮かべる。

「そう思われても仕方ないけどね。まあ、経緯は置いておこう。そしてはっきり言おう。
 君らの統治は見ていられない。ああ、見ていられない。
 だからね、せめて禁軍の面倒くらいは見てあげようというのだよ。
 それで大分違うだろう?」

確かにそうだ、その通りだ。禁軍を皇甫嵩が押さえてくれるならば、相当賈駆も楽にはなる。
だが、それでいいのかと思う。それはいけないと思う。この、目前の男は信用してはならないと本能が警告してくる。
だが、それでも賈駆には選択肢はあってなきが如し。李儒が提示した選択肢をどうこうできるわけもない。それでも。

「まあ、思うところはあって当然さ。僕だって思う所あるしね。
 ただまあ、それで被害をこうむるのは、か弱い民たちさ。
まあ、ひとまずよろしくね。
 ああ、主上にもご挨拶しときたいなあ。頼まれてくれるかな?」

にこやかな皇甫嵩を苦々しげに賈駆は睨む。
だが、確かに、確かに皇甫嵩が禁軍を掌握するにつれて賈駆の負担は減っていったのである。
故に賈駆は皇甫嵩その人の真意は捨て置くことにする。

いや、それを深く考える余裕なぞなかったと言ってもいいであろう。
まさに忙殺、であった。

そして、それより暫し時を置き、時代を動かす人物が再び舞台に姿を現すことになる。
その報を受け、賈駆は項垂(うなだ)れ、皇甫嵩は舌打ちする。そして李儒はほくそ笑むのだ。

その無益さ。
それに気付くにはもう少し時が必要となる。
106 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/01/20(月) 21:39:37.23 ID:KqZ5Idpj0
本日ここまですー感想とかくだしあー

題名募集しまくりんぐですよ本当に!

今回は前回と合わせてなんかしたいですねというか、次からがいよいよなので区切りたいというか。

よろしくお願いします。
107 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/01/21(火) 21:23:39.49 ID:kZuWh2Jg0
――目の前に広がるは曇天。今にも雨が降りそうな黒いそれは、今の漢王朝の行く末を思わせる。
どんよりとした空気は重く、湿っぽい。ひょっとしたら薄く雨粒が落ちているのかもしれない。それくらいに粘つく空気だ。
それでも、それでも俺はこうして生きている。だったら歯を食いしばってでも生きるしかない。前に進むしかない。

などと珍しくシリアスさんと仲よくして雰囲気に浸(ひた)っている俺に声がかけられる。いや、人間暇だとロクなこと考えねえってことさね。

「旦那!あね……呂伯奢様がお呼びだ――ですぜ!」

あいよと軽く応えてどっからどうみてもごろつき寸前の男に手をひらひらとさせて持ち場を離れる。
今の俺は呂伯奢率いる商会の用心棒……ぽい感じで振舞っている。
呂商会は母流龍九商会がカバーできていない南皮から洛陽の北回りのルートを牛耳る商会だ。
その会頭たる呂伯奢と知り合ったのは俺が放浪している時にたまたま――って訳じゃあない。

「お呼びだそうで。入るぞ」

応えも聞かずに戸を開け、室に踏み込む。

「おや、お早いお着きだことで」

出迎えるのは着飾った妙齢の麗人。艶然と笑いながら俺を差し招く。優雅なその様は貴人のもの。漂う色香は成熟したそれであり、思わせぶりにしなをつくる。
まあ、普通に魅力的な麗人ではあるのだが、それどころではないのである。今の状況がね、それどころじゃないのですよ。

「うるせえよ。さっさと用件言えってば」

「つれないねえ。そんなんじゃ女にもてないよ……と言いたいところだけど、そうでもないみたいだしね。
 ま、いいさね。南皮までの道程に敵影なし。明日払暁に発つことにする。
 二刻もすりゃあ無事に我が家への帰還がかなう見込みさね」

くすり、と妖艶と言っていい笑みで呂伯奢――ええい、面倒だ。張燕がそう言う。
そう、俺が、俺たちが南皮までの道程を、身を任せたのは黒山賊であった。

「まあ、しかし驚いたよ。まさかアタシ達のとこに来るなんて思ってもみなかったからね」

艶然と、しかし苦笑気味に張燕は呟く。

「そうかい。お前さんがそうなら、他の誰にも読むことはできんってことだろうからな。そりゃあよかったよ」

洛陽を脱出した俺たちが身を寄せたのは薄汚い寒村。洛陽からほど近いそこは実は黒山賊の出先機関。
政局、機を見るに敏。その張燕は中央の動きには非常に高い関心を寄せており、いち早く動きを捉えるために村一つを買収していたのだ。
その、いわば隠れ里的なそれを俺が知っていたのは張燕に渡された一枚の地図。黒山賊のそのようなアジトを克明に記したそれのおかげだ。

「でもねえ、思わなかったのかい?アタシが、アンタたちを売る、ってことは」

挑発的なその言葉。
まあ、そうよねえ。でもね。

「ないね。生死を問わず、洛陽に俺たちを売ったとしたら黒山賊に未来はない。
 面目にかけて袁家は本気で黒山賊を討つさ。それくらいは自明の理。そんな選択をするかね」
108 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/01/21(火) 21:24:05.25 ID:kZuWh2Jg0
張燕は、フン、と何か拗ねたように口を尖らせる。

「ああ、そりゃあ勘弁願いたいねえ。あたしゃ大きな博打は勘弁さね。
 一世一代の大博打に勝ったんだからさ、あとはこつこつと積み重ねていきたいものだよ」

そして、打って変わったようにけらけらと軽やかに笑う。
そう、そうだからこそ。それが分かっていたからこそ俺は黒山賊を選んだのだ。表面的には不倶戴天の黒山賊――実際は馴れ合いも甚だしいのだが――に身を預けたのだ。
それは成算あってのこと。張燕という女傑を高く評価しているからこそ、である。

「まさかに、黒山賊を率いる女傑がなあ。言行不一致甚だしいとはこのことだろうな」

「おやおや、アンタがそれを言うのかい。袁家という巨大な組織を牛耳るアンタがそれを言うかね。
 まったく。重ねて言うけどね。あたしゃ分の悪い賭けは大嫌いでね。アンタだってそうじゃないのかい?」

フン、と一つ笑って俺は言う。

「賭け事は、胴元に限る」

その言に呵呵大笑する張燕。いつぞやもこうだったな、と思い出す。
黒山賊の本拠地に身を寄せた時に、裂帛の気迫をひた隠しにしながら問われた時だ。

――曰く、アンタの目指すところはどこだ、と。

無論、応えてやったよ。さっさと隠居したい、ってね。隠居した後にあれこれ悩むのも面倒だから、世は平らかでないといけないと。
だから、俺はさっさとのんびり隠居したいだけだと。そのために色々やっていると。
いや、張燕みたいな麗人が呆けた顔というのは中々見れないから、ある意味眼福であったのだろう。艶姿の今よりもきっとね。

まあ、張燕が恐ろしいのはそれだけではない。いつまでも野盗なんかやってられないとばかりに母流龍九商会に目端の利く者を数十名送り込んできた。
そしてでっちあげたダミーカンパニーの呂商会。これにより直接物流に携わる。南皮から洛陽までの最短ルートはもともと黒山賊が押さえていたこともあり、これが莫大な利益を生む。
張燕がしたたかなのは、これを呂商会独占としなかったことだ。他の商会もそのルートを使う。ただし護衛料がマージンとして上乗せされるので、価格的優位性はダントツ。
野盗まがい、というよりほとんど野盗の集団であった黒山賊を、一部とはいえそうして使いこなし、十万とも言われるその数をきっちり養う。しかも合法的に。
その、ソフトランディングのための調整能力というか、統率能力というか、先見性に俺は感嘆しきりなのである。

「まあ、黒山賊と袁家は不倶戴天の敵だけどな」

ぴしり、とそれでも馴れ合うつもりはないと一応主張してもまあ、蛙の面になんとやらである。

「ま、固いことはいいっこなしさ。そら、一献」

いつのまにか手にした酒を、これまたいつのまにか掴ませた酒杯に注いで張燕はにんまりと笑う。俺もしょうがないから、笑う。

「そうだな。できることなら、長いお付き合いであってほしいね」

「おや、嬉しいことを言っておくれでないかい。そうだね、どうせならより親しくなっとくかい?」

むわり、と成熟した女の色気が俺を取り巻く。肌を重ねるか、と露骨に問うてくる。

「いや、俺は情に流されるからな。それはやめとく」

あらそうかい、と残念そうに身をひるがえす。

「ま、きっちり南皮まで送り届けてやるよ。姫さんたちと一緒にね。
 今後とも。どうぞお引き立てのほどを」

その言葉を聞き流し、思う。
明日だ、明日には帰れる。南皮に帰れる。
それから、どうするんだ?決まっている。でも、気が進まない。それは許されない。

室に一人。

酒精を呷りながら、意識が混濁していくのを心地よく迎えて、沈む――。
109 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/01/21(火) 21:24:36.61 ID:kZuWh2Jg0
◆◆◆

郭嘉は其の報を受け、走りだした。
それが真ならば、真ならば。
――郭嘉はそれほど身体能力に恵まれてはいない。いや、劣っていると言ってもいいであろう。
謀士なんぞにはそれほど価値を求められない世の中だ。彼女は大いに苦しんだ。
脳髄の冴えを誇ろうとも、武家に於いては枝葉末節。故に、約束された声望を捨て、流浪したのだ。
遠回りをしたように思う。結局今自分が仕えるのは袁家なのだから。だが、かけがえのない友人に恵まれた。

郭嘉は走る。既に脳髄には必勝の戦略が幾筋も出来上がっている。
だが、その根源を、前提を満たすための材料がまだ足りない。だから郭嘉は走る。脆弱な心肺が悲鳴をあげる。
その悲鳴すら弱々しく、ひゅぅ、と鳴る。それでも郭嘉は棒となった足を前に進める。そして夜明けの一番鶏を合図に開く城門。
そこに立つ青年を見る。

多少薄汚い恰好であっても見失うものか。全く。身を隠すならば得物くらいは取り繕うべきなのだ。
必死に呼吸を収めて、努めて平静に声をかける。

「お早い御着き、とは言えませんね。ともあれ、ご無事でなによりです。
 それでは、後ほどに。落ち着いたらご相談と承認を頂きたいことがあります」

踵を返す郭嘉に戸惑ったような声が追いすがる。

「え?稟ちゃん?ちょっとそれ冷たくない?久しぶりの再会なんだし、もうちょっとこう、反応があると思うの。
 あれ、稟ちゃん?稟ちゃんさーん?」

フン、と郭嘉は決して振り返らない。
その彼女の脇を弾丸と化した幼女――多分典韋だろう――が通り抜ける。
後方でドゴォ!と微笑ましい音響が響き、やや遅れて駆けてくるのは、もう一人の親友。常山の昇り龍。

「おお、稟よ。主が帰って来たというのは真か?
 いや、これまでも幾度もそのような報はあったが。稟が動くということは今度こそは、という奴だな」

この、心根が真っ直ぐな親友になんと言ってやろうかと思うのだが。

「そうですね。どうやら今回は確かだったようです。どうぞ歓迎はお任せしますとも」

きっと、立場的にも、性質的にも、彼の横に立つのは武人であるべきだ。
誰にともなく言い訳しながら郭嘉は歩を進める。自らの責務を果たすべく。

反董卓連合。既に考え付く状況において袁家は最終的に勝利する。
それを郭嘉は確信するのであった。
110 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/01/21(火) 21:25:25.24 ID:kZuWh2Jg0
本日ここまですー感想とかくだしあー

題名案は、
「凡人、還る」

ですけどもちっと色気あるやつが欲しいなあ欲しいなあ。
よろしくお願いします。
111 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/01/22(水) 21:39:19.64 ID:+gB018zg0
さて、大騒ぎです。南皮は大騒ぎです。
そりゃあそうよね。消息不明だった幹部が揃って帰還したんだから。
稟ちゃんさんとか流琉とか星とかは俺の顔を見たらそれで納得したけど、中枢の官僚はそうもいかないわけで。
呂家の馬車から麗羽様と美羽様が降り立った時のどよめきはすごかった。
いや、お二人の御髪というのもあるとは思うけどね。
それも、麗羽様の一喝で皆通常業務に帰っていった。流石麗羽様。オーラ半端ない。流石です麗羽様。さすれい。
今も動揺する領内安堵のため各方面に送る書状をしたためられている。

美羽様だって拙いながらも頑張ってらっしゃる。具体的には如南の動揺を抑えるために色々とご尽力されてらっしゃるのだ。
なんでも、如南攻防戦で功のあった奴らに書を出すそうだ。十傑衆に、四十七士、かあ。十傑衆の中に沙和の名を見て愕然としてしまったのは内緒だ。
七乃は張?に引き継ぎをしている。

「……聞いているのですか?」

稟ちゃんさんが俺に冷たい目線をくれる。ありがとうございます!ありがとうございます!という性癖はないので、普通に謝る。ごめんねって。

「ああ。風から聞いてたから、な。反董卓連合。それに異はないさ。ないとも。
 だが、馬家を函谷関に向かわせるのはなしだ」

俺の言葉に怪訝そうに稟ちゃんは聞いてくる。

「何故です。純軍事的に、敵に二正面作戦を強いるのは有効ですよ?
 しかも董家軍に将帥少なく、その効果は計り知れません」

確かにそうだろう、そうだろうとも。
112 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/01/22(水) 21:39:45.72 ID:+gB018zg0
「稟ちゃんさん、よ。勝ちゃあいいってもんじゃあないんだよ。
 袁家が本腰を入れるんだ。勝てばいいってもんじゃあない。
 つまりな。
誰が漢朝を背負うのか。ここからは、それを問う戦いになるのさ。
 だからね。有力諸侯だけじゃない、全諸侯に使者を放て。
 敢えて言えば、そうだな。お前らはどっちに与するか、ってね」

――ショー・ザ・フラッグ゙!

「こっから先は漢朝全土を相手取るくらいの意気込みでないといかん。
 そして、袁家は勝者でないといかん。勝たねばならんのさ。色々とね。
 そして、勝つ算段は任せるよ」

「さて。ご信頼はありがたく、確かに。
 しかし、いいのですか?賈駆殿は……」

情を通じた愛人だろう、と鋭く俺の心を抉る。

「……。詠は、詠ちゃんは、さ。優先順位を間違えない。きちんと大事なものを選べる子だ。
 だから、月を選んだ。だったら、そういうことだ。そういうことさ。
 何度やっても同じ選択をする。そういうこと、さ」

ああ、そうだ。そうだろう。きっと月を誰かに人質に取られたとかそういうことなんだろう。
だとしても、俺にも譲れないものはある。大事な人がいる。だから。

「では、諸侯に檄文を発します。既に草稿は陳琳に作らせていますので推敲をお願いします。
 ……それでよろしいのですね?」

「ああ。脅し付けろ。どっちにつくか、選ばせろ。兵を出せないならば銭か物資を拠出させろ。
 従わない奴らは……。まあ、勝ってから考えよう。精々見せしめにしてやろう。
 単に勝つだけじゃない。逆らう気を起こさないくらいに徹底的に勝つ」

無論、圧倒的な戦力を見せつけるのは敵というよりは。

「諸侯に見せつける。袁家の武威をな。
 そして、勝つ。無論、勝つ。
洛陽にて暴政をする董卓を討つのは袁家だ。
 そこんとこ、よろしく」

「承りました。なるほど、董卓は暴政を敷くのですね。
 ええ、風が洛陽に残るというのはそういうことなのでしょう。董卓の治世は、荒れるのですね」

フン、と応じるしかない。そうか、風ならばそれを果たすだろう。やるのだろう。
俺にだって思うところはある。あるのだ。

「――雷薄が、やられた。奴の下に付けてた若手もそうだ。みんなだ。
 袁家の次代を担う奴らが死んだんだ。皆死んだんだぞ。
だからさ。
 袁家を敵に回すってことはどういうことかを、示さないといけない。いけないってことだ。
 ああ、そうだな。それでこそ破邪顕正ってもんだ」

「……よろしいでしょう。なれば袁家の総力戦、ご相談申し上げます。ええ、ご相談申し上げますとも。
 勝つのみにあらず、大いに結構。大いに結構ですとも」

「……頼んだ。頼む」

心から、頭を下げる。負けられない。負けてはならない。その思いが今更背を貫き、身を震わせる。

――おずおずと伸ばされて、俺を包んだその手は思いのほか、温かかった。

◆◆◆
113 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/01/22(水) 21:40:41.74 ID:+gB018zg0
「まあ、ご無事でなにより、と言わせてもらいましょう」

沮授の言葉を聞きながらぐびぐびとお酒を頂いております。いやあ、美味しい。
沮授と張紘。俺の半身とも言える義兄弟。多忙極まる中お時間いただきまして恐縮でございます。あれ、半身が二人いたら俺、いらなくね?とか言ったら、流石にそれは笑えない。と冷たい視線が来た。
すまぬ。

「ほんと、これで沮授なんか相当狼狽えてたからな。いや、勿論おいらもだけどな。
 二人揃ったら辛気臭いことこの上なかったみたいだぞ」

マジか。お前らが鬱々としているなんて想像もつかんのだが。

「それで、陳琳殿に檄文を書かせるんだろ?概略は二郎が指示したって聞いたが」

――反董卓連合。それに参加を呼び掛ける檄文は陳琳に任せている。そしてその骨子は俺が指示した。
とは言え、それはこれしかないというもの。

「君側の奸を除く。それしかないだろうさ」

漢王朝に叛くのではない、佞臣を除くための蜂起なのだ。陳腐ではあるが、それしかないとも言える。

「――二郎君はそれでいいのですか?」

「いいも悪いもない。やらなけりゃあ、やられる。それだけさ」

「そうですね。益体もないことを言ってしまいましたね。ですが、二郎君の本気度が分かってよかったですよ。
 そして、袁家と相対するならばその最大の敵を動員するはずでしょう、彼女ならば。
 ええ、そうです。匈奴と結び、けしかけるでしょう。僕ならそうします。そうしない理由がない。
 かなりの譲歩に利権を提示してでもそうします。それほどまでに匈奴は、強い」

ああ、そうだろう。俺だってそうするよ。袁家と対するとしたら外患を招いてでも牽制せんとまともな勝負にならない。
だが、そうはならない、そうはさせない。

「袁家の戦力、武家四家を洛陽に向けたならば確かに匈奴からしたら好機だろうさ。だが、そうはさせない。
 沮授に留守番は頼むけど、丸投げはしない。
 袁家の総力を挙げるって言ったろ?なりふりかまわないって言ったろ?
 だから、さ。ここが勝負どころなのさ。匈奴、なにするものぞ。
 出し惜しみはしない。俺が頭を下げればなんとでもなる……と、思う……」

多分。なんとかなると思う。なれ。なってくだしあ。

「そうかい。二郎がそう言うなら、きっとそうなんだろうさ。
 おいらたちだって二郎の助けになるからさ、何でも言ってくれよ」

勿論、頼りますとも。特に張紘は俺の計画の中枢だってーの。
まあ、それはともかくである。
やれることはきっちりやる。やるよ。やるとも。
だから、さ。

「匈奴への備えは一番の懸案事項だ。洛陽に向かうは袁家の旗本、そして武家四家総出だ。
 後背が無防備なんて、匈奴にとってはいい狩場さね」

「まあ、二郎君がそこまで言うのです。
 期待してますよ、腹案とやら」

「まーかせて」

最も信頼する二人に頭を下げ、戯れ、前後不覚になり。
そして向かうは英傑なのだ。
真正面から臨み、頭を下げる。願う。吠える。そして叶う。
 ありがとうございます。

◆◆◆

――田豊、麹義。袁家の至宝。
両名現役復帰。袁家の、漢朝の北方の護り手となる。
114 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/01/22(水) 21:42:49.24 ID:+gB018zg0
本日ここまですー感想とかくだしあー

いけてる題名募集しまくりんぐですよ本当に!

案はなんだろ

「ここから始まる」
「総力戦」

ほんといまいちなのでよろしくお願いします。
115 :青ペン [sage]:2020/01/23(木) 07:18:24.63 ID:UviEGQ6wo
>>105
乙なんだよー

【巡りし毒】かね、シンプルに。

>>114
こっちは【両翼、再び】
116 :赤ペン [sage saga]:2020/01/23(木) 11:41:53.84 ID:ZBhG6pUL0
乙でしたー
>>104
>>「やだ、こわいこわいわね。 ちょっと違和感が
○「あらやだ、こわいこわい。 それとも【「いやだわ、怖いわね。】とかどうでしょう

>>だが、意に沿わない武力集団を抱えることほど危ういことはない。 そうだ!敵対してる李儒に紹介された皇甫嵩に任せよう! …なんて冷静で的確な判断力!!本能が信用してはいけないと警告してるし多分理性でも任せてはいけないとなってるけど…KOOLに判断するんだ

そもそもせっかくの悪名を使わないのがイカンよね…先帝(無能)とか何進(成り上がりの肉屋の倅)はまだしも元直属の上司の馬騰さんを殺した時点で恩義やら情理で思いとどまる人と認識されるわけないんだから
董軍をさっさと集結させて禁軍に踏み絵させて洛陽にある馬家の屋敷辺りでお焚き上げしなきゃだし、皇帝が代替わりしたんだから洛陽に住む文武百官で謁見して来ない奴の家は打ちこわししてきた奴らを接待してるうちに家宅捜索もしなきゃだし
言ってはなんだけど大恩ある馬騰さんやら袁家の将を無意味に殺した以上有象無象を殺す事に有意義さを求めちゃ筋が通らん…目についた、くらいの理由で適当に殺して恐怖政治しなきゃ
117 :赤ペン [sage saga]:2020/01/23(木) 12:51:03.10 ID:ZBhG6pUL0
さて続きを
>>107
>>「旦那!あね……呂伯奢様がお呼びだ――ですぜ!」          誰だっけ?と思ったら曹操にイチャモン付けて殺されたと噂の人か
○「旦那!あね……呂伯奢(りょはくしゃ)様がお呼びだ――ですぜ!」  普通に名前読めるかどうか微妙なんで振り仮名ふっといた方が良さそうかな
>>108
>>無論、応えてやったよ。さっさと隠居したい、ってね。 ここは問いかけに対してなので
○無論、答えてやったよ。さっさと隠居したい、ってね。 《問答》としてこっちかな?《あんたは世を泰平に出来るのか?》と問われたなら《できる》と応えてもよさそうですが
>>それから、どうするんだ?決まっている。でも、気が進まない。それは許されない。 これだと【どうするかは決まっている。でも(本当は)それは許されない】みたいに読めるので
○それから、どうするんだ?気は進まない。でも、それは許されない。決まっている。 それとも【決まっている。気は進まない。でも、それは許されない。】の方がいいかな?
>>109
>>後方でドゴォ!と微笑ましい音響が響き、 音響は響くものだからこれだと所謂頭痛が痛いみたいな
○後方でドゴォ!と微笑ましい音が響き、  もしくは【音響が上がり、】とかどうでしょう

近くにいるはずの本来の主の袁紹様にも声をかけてあげてw二郎ちゃんだけにお帰りって言ってさっさと踵返すとか女なら大体察しちゃうゾ
そもそもお帰りを一番に言うためだけに走ってるのもどれだけの見回りに目撃されたやらwww
118 :赤ペン [sage saga]:2020/01/23(木) 13:44:16.18 ID:ZBhG6pUL0
肺炎とか怖いなーとづまりしとこ
>>111
>>だが、馬家を函谷関に向かわせるのはなしだ」  そういえば函谷関(かんこくかん)も振り仮名あった方がいいか?
○だが、馬家を函谷関に向かわせるのは無しだ」  【話だ】と読み間違えたりするかな、しないかな
>>112
>>フン、と応じるしかない。そうか、風ならばそれを果たすだろう。 風がそうすることは二郎ちゃん分かってたよね?自分から「董卓の治世は荒れる」って言ったし
○フン、と応じるしかない。そうさ、風ならばそれを果たすだろう。 もしくは【そうだ、】の方がいいと思います

実際なあ【愚帝】、【肉屋の倅】、【戦争狂】まではぎりぎり対外的に無力化の言い訳が立ったのに…馬騰さんに張遼ぶつけるしか無かったとはいえ袁家に無名差し向けたのは…いっそ自分が交渉に行くか何進殺したら返す刀で呂布に陳宮と代わってもらって陳宮を袁家に向かわせれば
それにしても今回は張燕さん大分色々と得られたな…まさか二郎ちゃんに「抱いたら情がわく」とまで言われるとは。
何時二郎ちゃんが自制を辞めて黒山賊ブッコロになるかとか、漢王朝と完全敵対したら漢王朝への兵力増強の言い訳に使ってたけどこれでもう言い訳する必要もねえ!からの不倶戴天ルートを常に考えてただろうに
そして次郎ちゃんの恐ろしい所はこれを本気で言ってるけど同時に情を交わした詠を悪名かぶせて殺すと喧伝することよ…
張燕なら当然二人の関係も、董卓の治世も、今回の裏側も、大体辺りを付けれるだろうし…下手したら梁剛さんの件も知っててもおかしくないよね
二郎ちゃんのこの公私のバランス感覚があるからこそ張燕もここで袁家に張ったんだろうなあ…
119 :赤ペン [sage saga]:2020/01/28(火) 17:47:52.08 ID:GjEYmFqa0
間違えた…辺りを付けるってなんだよ。当りを付けるだわ

さて、ここから月詠生存ルートを考えなくては…顔がつぶれた女性の死体を董卓だってことにしてつるし上げるか。丁度素材に使えそうな奴もいることだし
問題は董卓たちの顔を知ってる相手か…義勇軍擬きはまだしも曹操がなあ。借りが高くつきそうだし
120 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/01/28(火) 20:29:33.32 ID:X4YAPSA40
風邪引いてしまいました
回復したが抵抗力が落ちている
食べて寝ような日々でした(言い訳)

>>115
どもです。

>【巡りし毒】かね、シンプルに。
これは良案。よき。

>こっちは【両翼、再び】
シンプルでよきです。ほむ。

>>116
赤ペン先生いつもありがとうございますー!

> …なんて冷静で的確な判断力!!本能が信用してはいけないと警告してるし多分理性でも任せてはいけないとなってるけど…KOOLに判断するんだ
草不可避w
KOOLはpowerワードですねほんと。

>そもそもせっかくの悪名を使わないのがイカンよね…先帝(無能)とか何進(成り上がりの肉屋の倅)はまだしも元直属の上司の馬騰さんを殺した時点で恩義やら情理で思いとどまる人と認識されるわけないんだから
ぐうの音も出ないとはこのことですね!その通りですわ。

>言ってはなんだけど大恩ある馬騰さんやら袁家の将を無意味に殺した以上有象無象を殺す事に有意義さを求めちゃ筋が通らん…目についた、くらいの理由で適当に殺して恐怖政治しなきゃ
それを思っても、出来ないのですよね。
やってもうた感

>>117
>二郎ちゃんだけにお帰りって言ってさっさと踵返すとか女なら大体察しちゃうゾ
なるほどですね。でも稟ちゃんさんのいっぱいいっぱい具合他を結果として匂わせることができているということでひとつ
>そもそもお帰りを一番に言うためだけに走ってるのもどれだけの見回りに目撃されたやらwww
こっちが本命でしたw

>肺炎とか怖いなーとづまりしとこ
奈良、名古屋、札幌!ジェットストリームアタックをかけるぞ!

>実際なあ【愚帝】、【肉屋の倅】、【戦争狂】まではぎりぎり対外的に無力化の言い訳が立ったのに…
詠ちゃんは謀略を夢想しても実行するとへたれる。はっきりわかんだね。ということで一つ。

>それにしても今回は張燕さん大分色々と得られたな…まさか二郎ちゃんに「抱いたら情がわく」とまで言われるとは。
流石張燕さん考察の第一人者。その視点はありがたいのとなるほど感ありました。やったぜ

>同時に情を交わした詠を悪名かぶせて殺すと喧伝することよ…
やっぱり張燕さん安心できないじゃないですかーやったー

>二郎ちゃんのこの公私のバランス感覚があるからこそ張燕もここで袁家に張ったんだろうなあ…
張燕さん、お気づきかもしれませんが大好きなキャラです!
121 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/01/28(火) 21:18:34.99 ID:X4YAPSA40
はあ、と大きくため息を漏らし、ずびりと茶をすする。うん、まずくないけど美味しくもない微妙な味。ごくごくと一気に乾す。
うん、これだよこれ。これを飲むとなんか安心するのだ。うん、つまり陳蘭が淹れてくれたお茶である。
ぼへ、とぐったりしている俺に何か言うでもなく、まったりとした時間が流れていく。
それが何と言うか、とても落ち着く。だから、ちょっと甘えてみたくなる。

「雷薄が、逝ったよ。あいつ、結局孫の顔を見ずに、さ。
 馬鹿だよな。意地張らずにさっさと会っとけばよかったのに」

悪態を、吐く。そして
手招きを一つ。
ぎゅ、と陳蘭を抱き寄せる。柔らかい感触が、落ち着く。
黙ったままの陳蘭の――ちょっと低い――その体温に落ち着く。

「詠と、月と、さ。事を構えんといかんことになった。
 まあ、色々あった。色々あったんだ。
 少し、疲れた。流石に、堪えた」
 
詮無い愚痴を垂れ流す。誰にも言えない。こんな俺は誰にも見せられない。
だって俺の背には袁家が、幾万の兵が、幾百万の民がいるのだから。

「賈駆さん、でしたっけ」

うん、と頷いて陳蘭に抱きしめてもらう。
背を撫でられる感触が、とても落ち着く。

「私、頭よくないから二郎さまに気の利いたこと、何も言えないです。
 でも、ずっと、ずっといっしょです。
 それに、ご無事でよかったです……。
 心配しました。とっても、とっても心配しました」

きゅ、と。
ふと気づくとその身体は細く震え、双眸からはぽろぽろと大粒の涙が零れ落ちる。

「もう、離ればなれは嫌です。お傍に、置いてください」

ぐ、と抱きしめる。手にした温もりが懐かしく、愛おしい。

「無論だ。賽は投げられた。これからは決着の時さ。
 でもさ。
……やっぱ陳蘭が傍にいないと調子が出ないんだなって」

お前がいないとダメだなんて言える相手はやっぱりこの子だけなのかもしれない。
みっともないとこを見せ、見られ、愚痴を垂れ流し、弱音を吐く。
この子の前ならそれが許される。

「当たり前です。わたし、二郎さまよりお姉ちゃんなんですから」

涙と鼻水でくしゃくしゃな顔で、それでもとびきりの笑顔で得意げに笑う。
今は、今夜だけは甘えよう。
幼子(おさなご)のように身を寄せ合い、傍らの温もりに安心し、俺は意識を手放す。
明日からは、頑張るから。明日からはみっともないとこ見せないから。そう誓いながら。

ただいま。

――おかえりなさい。
122 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/01/28(火) 21:20:00.83 ID:X4YAPSA40
本日ここまですー感想とかくだしあー

前回、前々回合わせての投稿が納まりいいかな

今回は、今回のみならば
「お帰りなさい」
かなって

イイ感じのやつ、オナシャス

それはそれとして、皆様、移動時はマスク着用オナシャス
123 :赤ペン [sage saga]:2020/01/29(水) 13:57:04.28 ID:R9P2fMOt0
乙でしたー
今回は直し無しかな…

まあ弱音を吐ける相手って言うなら祖授張紘もいける気もするけど…あと程立も大徳に当てられた時に助けられたし黄巾潜入の時も…
このいい意味で空気のような、二郎の体の一部のような一体感…幼馴染は負けフラグなんて言わせねえな
124 :赤ペン [sage saga]:2020/01/29(水) 14:18:27.68 ID:R9P2fMOt0
と言う事で遡って誤字報告を一つ(ォィ
>>凡人の事業計画
>>だからと言って食べる量を減らすなんてのはナンセンス。 《乱が起きる理由は?》→《ひもじいのが嫌だから》で、答えがこれだとそれひもじいですやん!?
○だからと言って食べる口を減らすなんてのはナンセンス。 100の食料を100人で分けるよりは100の食料を10人で分けた方がお腹いっぱいになるよね!というのはナンセンス、という意味ではこれかな?もしくは【食べる人】でも良いかな?

最初の>>30くらいまでの所はノータッチしてたんですね、探せばまだあるかな…
125 :青ペン [sage]:2020/01/30(木) 06:39:58.31 ID:2YipqqpXo
なんか小説推敲支援ソフトなるものがあるらしいずぃ

ttps://crocro.com/pc/soft/novel_supporter/
126 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/01/30(木) 22:01:23.89 ID:5B62vMf40
>>123
赤ペン先生いつもありがとうございますー!

そしてやったぜ。超久しぶりじゃないでしょうか。やったぜ。
いやまあ、短いからね、分かって増すとも。

>まあ弱音を吐ける相手って言うなら祖授張紘もいける気もするけど…
愚痴ならなんぼでもいけますけどね、やっぱ見栄ってのもあるというか、その二人に弱音はマジ窮地

>あと程立も大徳に当てられた時に助けられたし黄巾潜入の時も…
醜態見せてるからこそ、というか陳蘭ちゃんが特別なのやで、ってことで一つ

>このいい意味で空気のような、二郎の体の一部のような一体感…幼馴染は負けフラグなんて言わせねえな
大勝利Vやねん

>>124

>と言う事で遡って誤字報告を一つ(ォィ
きゃあ!
勘弁してください
もしくはあっちで指摘してくださったらぽちっとボタン一つで修正されますので一つ
り、リソースは有限なので……っ!

>>125
そういうのもあるのか。

まあ、勢い任せなのでそういうの導入してみてもいいかな。
ワードのチェック機能と比べたらどうなんでしょ
127 :俯瞰者 ◆e/6HR7WSTU [sage saga]:2020/02/02(日) 09:42:31.76 ID:j823vfdX0
乙です。
陳蘭さんの癒し愛人感が半端ない。『陳蘭ハンパナイ』
ホンマ、離したらあきまへんえ。子供でけたらちゃあんと認知して籍入れて養育費の面倒は見るんやでぇ(なんちゃって京言葉)
こんな彼女も前線にかりだした鬼畜がおるけどね(紀霊dis)

絶対二郎ちゃんは権力で陳蘭さんの縁談破壊しまくった過去があるはずだ(決めつけ)

続き期待です。それとごめんなさい。
128 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/02/02(日) 21:15:39.99 ID:VQW40nQ40
>>127
どもです。

>陳蘭さんの癒し愛人感が半端ない。『陳蘭ハンパナイ』
ありがとうございますー!うひひ。
癒やし愛人、いい表現ですねえ。まさに、って感じです。

>ホンマ、離したらあきまへんえ。子供でけたらちゃあんと認知して籍入れて養育費の面倒は見るんやでぇ(なんちゃって京言葉)

実は死亡フラグ満載の子でしたがなんとかかんとか生き残っております。

>こんな彼女も前線にかりだした鬼畜がおるけどね(紀霊dis)
だ、だって奥向きのことでできることあんまりないんす、多分

>絶対二郎ちゃんは権力で陳蘭さんの縁談破壊しまくった過去があるはずだ(決めつけ)
ここだけは我が儘に我を通しそうですね、互いに

頑張りまする
129 :赤ペン [sage saga]:2020/02/03(月) 13:11:07.78 ID:UaRlL9Z/0
基本的に破壊する前にそもそも発生しないようにしている。に一票
戦わずして勝。これぞ絶対勝利の法則よ
130 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/03(月) 19:33:09.16 ID:HaVTL71ZO
陳蘭さん出てくると
テレサ・テンの歌が脳裏に流れてくるんだが
131 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/02/03(月) 21:16:38.25 ID:jmj/ziso0
>>129
どもです。

>基本的に破壊する前にそもそも発生しないようにしている。に一票
>戦わずして勝。これぞ絶対勝利の法則よ
ほむん
確かにまあ、あれだけ幼少期からイチャイチャしてたら周りは察するでしょうねw

>>130
どもです。

>陳蘭さん出てくると
>テレサ・テンの歌が脳裏に流れてくるんだが
出会いは誰より早かったからセーフw

時の流れについては、キャラロスト時のBGMですねわかりますん
ロストイベントは前も書いたかもしれませんが、最初期に既に完成されておりました
132 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/03(月) 22:04:22.87 ID:HaVTL71ZO
> 時の流れに
花の名前の戦艦の二次SSを思い出した
二次創作読むきっかけになった作品でした
133 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/02/03(月) 22:30:00.84 ID:jmj/ziso0
袁家よりの檄文はあまねく諸侯に届けられた。
無論、北方において対匈奴の盾としてある公孫にもそれは届いている。
むしろ事前に、袁紹以下が帰参する前にも打診があったほどだ。それに応じるために準備は整えていた。
北方の備えをしつつの参戦。そう、黄巾の乱の時でも公孫賛は全力を出してはいない。

「はは、やっぱり麗羽も二郎も無事だったか。さもありなん、だな。
 あいつらがそんなに簡単にくたばる訳がないんだよ。
そんなこと、私は知ってたけどな!」

「ご高説勇ましくお見事。
不安げにあちこちと、うろうろと彷徨う姿。
それは行く宛のない迷子のようであったと記憶している。
だが安心してほしい。こと、ここに至って、だ。
そのようなこと、誰にも言うつもりはない。士気に関わる案件であるのを私は理解している。
 涙目で私にあれこれ弱音を吐いていたのも――」

 淡々と述べる韓浩の言葉に、公孫賛は悲鳴と抗議の声を同時に発する。

「うわあああああああ!言うな!忘れろ!忘れてくれー!」

まあ、こんなものかと韓浩は追及の手を収める。
なに、仮の主の平常心を取り戻させるのもお役目というもの。
ぜえぜえと呼気荒い公孫賛を見やり、頷く。これでこそだ、と。
それはそれとして、だ。
韓浩はぎり、と歯を噛みしめる。常になく、額に皺が寄る。

「ま、まあ、そのなんだ。黄巾の時と同じく留守は任せた」

いささか想定よりも消耗した感のある公孫賛の言。それに韓浩は首を横に振る。
決意を胸に。
言説は相変わらず淡々としているが。

「それには及ばない。今回は私も参軍する。させてもらう。
 田豊、麹義の両名の武威で匈奴の蠢動は抑えられる。これは確実。
 なれば戦力の分散は愚策というもの」

淡々と語る韓浩。
だがしかし、公孫賛はそこに隠しきれない熱を感じ取った。感じてしまった。

「いや、韓浩が参軍してくれるなら百人力だ。実際、ほんと、助かる。
 でも、有利不利じゃなくて、理由があるんじゃないか?」

公孫賛の言葉に韓浩は言葉を選び、それでも言う。言うのだ。
常になく、ほとばしる。

「雷薄どのが、討たれた。紀家の宿将である雷薄どのが。だ。
……実際、小生意気な小娘でしかなかった私だ。それなのに何くれとなくよくしてくれた。
 常々、恩義は返さねばと思っていた。
 そう、雷薄どのが討たれた。討たれてしまった。
それについて、いささか以上に思う所がある。

 ――参軍の許可を」

素直じゃないなあと公孫賛は思う。
恩人が志半ばに討たれた。だから仇を。
実に普通の話なのに。

「いいさ。韓浩が来てくれるなら、千人力だ。見せてやろうじゃないか、公孫の武威を。
 董家軍の騎兵も武名あるけどな、白馬義従も捨てたもんじゃない」

頷く韓浩の肩を抱き、公孫賛は笑う。
この無表情で無愛想な腹心――借り物ではあるが――の思いは無駄にはしない。するものか。
準備は万全。高らかに公孫賛は命じる。

「白馬義従、出るぞ!」

漢朝騎兵の最精鋭一万、洛陽を目指して出撃。

◆◆◆
134 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/02/03(月) 22:30:33.68 ID:jmj/ziso0
くすり、と曹操は艶やかに笑う。
これでなくては、と軽やかに笑う。

「ふふ、そうよね。そうでなくてはいけないわ。麗羽、二郎。
 まさか董卓に捕えられるとは思っていなかったけども。
 正直、心が躍るわ……」

身体も、火照る。
艶然と笑う。きっと失ったものの大きさに身を震わせ、それでも前を向いて進むのだろう。
その覇気、意思の力を思うほどに曹操の官能は刺激される。

「か、華琳様!御身はかけがえのないもの!
 ここは戦力の温存もあるべく――」

ぎろり、と曹操は腹心たる荀ケを睨む。興醒めなことを言うなとばかりに。

「いい?桂花。
 私はね、この中華。盗むよりはね」

奪いたいのよ――。

そう。であるからこそ袁紹の発した檄文。
それが描く反董卓連合の絵図。
それが示す、強いる選択。董卓が牛耳る漢王朝を選ぶかどうか。
……いや、これは選別の儀式に近いのだろう。

「ふふ、面白くなりそうだわ」

なに、面白くなければ面白くするだけのこと。

曹操。
紀霊が最も警戒する英傑が見据える未来は定かならず。
ただ、その覇気は比類なきものであった。

曹家軍、洛陽に向け出陣。

総勢一万の大軍。いずれも精兵。
135 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/02/03(月) 22:30:59.79 ID:jmj/ziso0
◆◆◆

「桔梗さんは益州に帰らないの?」

馬家は既に軍を発している。そこに届いた袁紹による檄文。それに応じて馬家は函谷関を大きく迂回して反董卓連合への合流を目指す。
ちゃっかりと言っていいかもしれない。同行する厳顔に馬岱は不思議そうに問いかける。

「うむ。劉璋殿が囚われているのでな。益州劉家は動かん。じゃが、此度の戦に我が主は注目されておる。
 故にまあ、生き恥を晒しながらもこうして同道を願っておるというわけじゃ」

にまり、と口を歪める厳顔の心根を読めるほど馬岱は人生経験が豊富ではなく、それに思いを馳せるほどに智謀に自信もなかった。
故に、そういうものとして受け入れる。おかしな動きをすれば、その時はその時である。
戦場は千変万化。ならば目の前の事象を受け入れ、動くのみ。ましてや馬家当主たる馬超が決を下したのだ。それを支えるのが役目と馬岱は心得ている。
それをずっと、物心ついた時から期待されていたのだから。
それを疎かにしては敬愛する叔父に顔向けができないというものである。

「しかし、本当に韓遂を北方の護りに充てるとはのう。いやはや、たいした肝の太さじゃ」

揶揄したような口調。それに乗らずに馬岱が応えるのはあくまで飄々。

「んー、たんぽぽはいつでも本気だよ?韓遂さんが何かしたら、洛陽を落とした後に取って返す。
 そして今のお姉さまは無敵だよ?
 ねえ?」

これまで無言で馬を進めていた馬超がうっそりと応える。

「……誰だっていい。立ちふさがるやつは切り捨てる。それだけだ」

馬岱は苦笑する。馬超本来の闊達さは見る影もない。だが、こちらの言に受け答えするだけましになったと。
そして目にしたならば、牽制にはもってこいである。

「おお、怖い怖い。
今の馬超殿の前に立つ輩には憐れみすら覚えるのう」

茶化す厳顔の言葉にも馬超は眉一つ動かさない。

「ああ、そうさ。父上が死んだんだ。それ相応の報いはくれてやる。くれてやるとも。
 ――殺してやる」

いささか、いれこみすぎかなと。
馬岱にも思うところはあるにしてもこれはいひどい。

「……まあ、二郎さんがきっとその場を準備してくれるよ、ね!お姉さま」

意識して馬岱は馬超の意識を誘導しようとするのだが。

「二郎……。そうか、あいつも、狙われたんだな……」
「そ、そうだよ?だから、ね?」
「あいつは助かって、何で父上が……!」

その言に馬岱は顔を引きつらせる。しまった、話の持って行き方を間違えたかと。

「き、紀家の宿将の雷薄さんを……。ううん、それより、許せないのは董卓だよね、お姉さま。
 特に張遼なんか、あれだけ目をかけられてたのに、さ!
 ――お姉さま、頭を冷やしてね。武ならともかく、騎兵の運用ならば相当な遣い手だよ?」

慌てて矛先を逸らす。かつての盟友に。

「――は!少しはやるかもしれないけどな、叩き潰してやるよ」

にまり、と厳顔は内心ほくそ笑む。
どうやら益州に鎮座する主に色々と面白い情報が届けられそうだ、と。

――反董卓連合、一枚岩にあらず。
136 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/02/03(月) 22:31:31.83 ID:jmj/ziso0
◆◆◆

「穏、どうしたものかしらね」

袁紹より届いた、その檄文を手に孫権は腹心の陸遜に問う。
既に沮授より内々に出兵の打診……というより要請があって後のこと。
既にある程度出兵の準備は出来ていたので特に混乱はないのだが。

「そうですねえ。陣構えをもうちょっと豪華に、派手にしてもいいかもしれませんねえ。
 どうせこうなっては勝つのは袁家ですし」

既に袁家の勝ちを確信した陸遜に孫権は問う。

「――穏も袁家の勝ちは揺るがないと思うの?」

検算する。

「無論。負ける要素はほぼありません。
で、あればここは全力で袁家に張るべきかと思いますねぇ〜。
 長沙の太守の座すらまだおぼつかない孫家。声望が今は何より欲しいところです。
 そうですねぇ。もっと言えば」

荊州を頂けるくらいには活躍してみせましょうかと。

「――なるほど。いずれ劉表殿は益州に赴くと。
そしてその後釜には袁術殿が宛てられる予定だった、と。
 だけれども彼女は皇后となる身。空白地となりかねない荊州は確かに狙いどころね。
 あまり欲張っても仕方ないし、そこを此度の目標としましょう。
 ただ、それにはそれなりに手柄を挙げないといけないわね?」

陣構えはどうするのかと孫権は問う。

「まずはいかに此度の出兵に力を入れているかということを示すためにも、蓮華様にご出馬願います。不肖私が補佐を。
 そして副将にはシャオ様。その補佐には孫家最強の……」

「思春ね。確かに江賊上がりの思春の声望を上げるには絶好の機会。
 当然明命も連れて行くわよね。守りは祭がいれば大丈夫でしょう。そうね、亞莎もそろそろ責任ある立場で経験を積むべきだものね。
 でも、シャオまで連れて行くとなると、万が一の時が困ると思うけど」

一つ考え込んで孫権は眉を顰める。

「だからいいのです。それくらい大きく賭けるべきです。そしてシャオ様は袁術殿と懇意。なれば……」

それに孫権は得心する。

「そうね。袁術殿は皇后、いずれ国母となるべきお方。
なれば此度の仕儀に心を痛めているはず。
 シャオは当然お慰めするでしょうね。となれば。袁術殿と孫家の繋がりを諸侯に知らしめることができる。
 ……江南の一豪族と侮られることもなくなるわね」

無論、それだけではない。孫尚香は兵卒に絶大な人気がある。天真爛漫なその言動だけではない。
実際、兵を操るのも末恐ろしいくらいに巧みなのである。或いは瞬間の判断においては孫堅をすら凌ぐかもしれない。
よろしいとばかりに手を打ち、孫権は陣構えを命ずる。

「孫家百年の計はここより始まる。
 穏、頼りにしてるわよ」

「無論、お供いたします。ええ、二郎様にいいところ見せちゃいましょう!」

「じ、二郎は関係ないでしょ!穏!」

軽やかに主の怒気――とは言えぬほどのたわいもないものだが――を躱しながら陸遜は笑う。
いよいよ、戦場でまみえることになるのだ。
あの男は、いかなる絵図を描いてくれるのだろうか。いっそ敵でないのが残念なほどに心は昂ぶる。

褥での睦み合いを脳裏に思い浮かべ、陸遜は人知れず艶然と笑うのであった。
137 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/02/03(月) 22:34:22.36 ID:jmj/ziso0
本日ここまですー感想とかくだしあ

題名案については、

「鏑矢」

ですが、いまいちなのでオサレなやつオナシャス
オナシャス

頑張る。今を一生懸命頑張るんや。なのでガソリンをオナシャス。
前に進むために。前に。
138 :赤ペン [sage saga]:2020/02/04(火) 12:58:48.07 ID:1vO9QCos0
乙でしたー
>>135
>>馬岱にも思うところはあるにしてもこれはいひどい。 最近はこういうケアレスミス以外は減ったなあ、と感じたり
○馬岱にも思うところはあるにしてもこれはひどい。  違和感を感じたり、胸先三寸で決まったりしなくなったよね
>>――お姉さま、頭を冷やしてね。武ならともかく、騎兵の運用ならば相当な遣い手だよ?」  固い感じが違和感を
○――お姉さま、頭を冷やしてね。武ならともかく、騎兵の運用なら相当な遣い手だよ?」   喋り言葉としてはこの方が良さそうかな?
>>にまり、と厳顔は内心ほくそ笑む。 顔に出ておりますぞ厳顔殿!内心が隠せておりませぬぞ?
○厳顔は内心ほくそ笑む。      それとも【にまり、と厳顔は内心の笑みを隠しきれない。】とかかな?

雷簿さんやっぱり慕われてたんやなあ…いったいどれだけの兵卒が雷簿がつき従ってるからこそ二郎に忠誠を誓ったことやら
韓浩のこれほどの激情は二郎にまだ帰りたくない、と言った時以来か?イライラで言うなら桃色の時に静かに燃えてただろうけど
さて…ここはあえて荀ケを評価してみるか。状況から言って曹操が参銭しない理由はないのにあえて止めに回ったのは【艶然と笑う】ほど猛ってたから落ち着かせたのかね
夏候惇は一緒に燃え上がるだろうし夏侯淵もこの状況だったら止めることは無いだろうからここで曹操を落ち着かせられるの彼女くらいなのよね
昔の曹操しか目に入らないようなネコミミだったら曹操の怒りを買うことを恐れて忠言なんぞしなかったろうし(しなくても大きな問題は起こらないだろうし)むしろ【艶然と笑う】曹操にうっとりしてたかもしれんな
ところで馬超さん的には【上司を裏切って切り殺した董卓】と【上司を置き去りにして逃げ出した厳顔】を重ねて嫌がらせ(温和な表現)したりしない?
あの場(洛陽)にいたのに生きてるって意味では二郎と一緒やで
孫家は…凄い良い所を上手く突いてくる感じがw公私を無理なく両立させてると言うか…私的な利益と公的な利益を一挙両得してるね。多分尚香も生死不明を聞いたときはガチで助けに行こうとしただろうし今回も裏表無く無事な袁術に抱き着く、いや、裏も表も合わせて袁術の無事を喜ぶか
139 :赤ペン [sage saga]:2020/02/04(火) 15:48:30.98 ID:1vO9QCos0
そういえば
>>133
>>「それには及ばない。今回は私も参軍する。させてもらう。 他でもいくつか使ってますが>>【参軍】軍事についての相談に関係する こと。軍の計画に参与すること
○「それには及ばない。今回は私も参陣する。させてもらう。 なんとなく違和感があるので>>【参陣】陣営に参着すること。軍陣に 加わること。 の方が良さそうかな?

【参軍】だと軍師っぽいと言うか、後方支援とか兵站管理とかでも良さそうかな?【参陣】だと轡を並べると言うか共に戦場に向かう感じがする
140 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/02/05(水) 20:59:25.34 ID:qJZTEwJZ0
>>138
赤ペン先生いつもありがとうございますー!

>最近はこういうケアレスミス以外は減ったなあ、と感じたり
い、一応自分でもチェックはしてるんですがやはり目が滑りますw

>雷簿さんやっぱり慕われてたんやなあ…いったいどれだけの兵卒が雷簿がつき従ってるからこそ二郎に忠誠を誓ったことやら
あの韓浩ですら恩義を感じてたくらいですからね
その雷薄も先代のとーちゃんに拾ってもらって……そうやって回っていくんやなって

>韓浩のこれほどの激情は二郎にまだ帰りたくない、と言った時以来か?
感情というか意思の発露はそうですが、今回はもっとですね

>状況から言って曹操が参銭しない理由はないのにあえて止めに回った
ほむ。確かにそうですねえ。なるほどなあ。

>あの場(洛陽)にいたのに生きてるって意味では二郎と一緒やで
ばっちょさんがそこまで考えが及ぶようならまた違った展開があるんだよなあ……
かなしみ

>孫家は…凄い良い所を上手く突いてくる感じがw
実際美味しいとこいきますよねw
141 :赤ペン [sage saga]:2020/02/06(木) 11:14:43.25 ID:QhMYgiqV0
>>ばっちょさんがそこまで考えが及ぶようならまた違った展開があるんだよなあ……
えっ馬超さん厳顔にどういう経緯でこっちに流れてきたか聞いてるよね?
むしろ短絡的に「自らの仕えるべき主を囮にして逃げ延びるなど恥を知れ―!」とか言って斬りかかりそうなものだと…
それともほとんど面識のない厳顔はどうでも良いけど知り合いの二郎には「なぜ父上を助けてくれなかった」とか思っちゃったのかなあ…同じ家に住んでたわけでも無いのに
142 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/02/06(木) 20:52:09.19 ID:hLXKEP5b0
ほむ。
ばっちょさんが厳顔についてマイナスなものを抱かないのは確定なのです。

めっちゃ久々にコンマ判定でもしてみましょう
末尾コンマで判定

1-3元々馬家との交渉を劉焉に命じられていたので、本当に無実。
4-9↑の予定だったのだが、ゴタゴタからなんとか逃げてきた経緯をごまかしている
0実は術者で思考誘導している
143 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/02/06(木) 20:53:25.15 ID:hLXKEP5b0
ということで、元々の仕込みがあってそれを利用してごまかしているということ。
これ劉焉さんマジでやべー陰謀家ですね
144 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/02/06(木) 21:07:47.43 ID:hLXKEP5b0
術者だったらどうしようと土器土器しました
145 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/02/07(金) 10:34:29.85 ID:1m4b0ZOa0
乙です
本当は董卓による襲撃があって逃げてきたんだけど、タイミングよく(悪く)馬家に交渉に来ているときに洛陽で劉璋が囚われたのをたまたま聞いたってことにしたってことでFA?
146 :赤ペン [sage]:2020/02/09(日) 17:47:32.68 ID:2z4d1fZO0
そういえば
>>105
>>絞り出すよな賈駆の言葉に、皇甫嵩は困ったような顔を浮かべる。  ここにもあった
○絞り出すような賈駆の言葉に、皇甫嵩は困ったような顔を浮かべる。 ですかね

ふと考えると袁術と劉弁の関係性から言って迂闊には殺せないのか
場合によってはそこから袁家との関係緩和に成り得るし
147 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/02/11(火) 21:37:38.60 ID:rLBTnl7I0
>>145
どもです。
そういうことでございますということになりました。

>>146
>ふと考えると袁術と劉弁の関係性から言って迂闊には殺せないのか
>場合によってはそこから袁家との関係緩和に成り得るし
誰が誰をでせうか

詠ちゃんは風ちゃんをコロコロできないというのであればそうです
148 :赤ペン [sage saga]:2020/02/12(水) 09:35:22.63 ID:4su2VJgH0
ああ、いや劉協派閥と言うか…この世界線でここまでやった以上反董卓連合の御輿になりうる劉弁を押し込め(軟禁)で済ませて殺さない理由ってなんだろな、と考えたんだけどね
逆に言えば劉弁君を殺しちゃうと劉協派閥(劉協がいるとは言っていない)がいざという時(董卓が負けた時)に出せる手札が劉弁君くらいだな、と
そしてこの手札を上手く使えば反董卓連合の発起人の袁家に「自分たちは何とか劉弁を護ってたんだ」とか言って温情を貰いつつ、袁家との関係を修復して他の諸侯も皇帝の一族が生きてるなら激発はしないだろうと踏んでるんだろうな、と
リアルではそういうのが特にないから病死()しちゃうけどこの状況なら劉弁の価値ってかなり高いよな、と思ったり
149 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/02/12(水) 21:09:37.24 ID:RxlJYC8G0
>>148
ほむ。

>劉弁を押し込め(軟禁)で済ませて殺さない理由ってなんだろな、と考えたんだけどね
いや普通に先帝をコロコロするってハードル高杉案件ではないでしょうか。
そんなんできひんやん普通……

>逆に言えば劉弁君を殺しちゃうと劉協派閥(劉協がいるとは言っていない)がいざという時
なるほどですね

よし!
150 :赤ペン [sage saga]:2020/02/13(木) 09:15:14.95 ID:S7ZYez4l0
>>そんなんできひんやん普通……
リアル先輩がリアリティー君をぶん殴った案件?まあリアルだと【董卓じゃ!董卓の仕業じゃ!】されてるから真実は闇の中ではあるけど
151 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/02/13(木) 21:17:48.24 ID:HUnWV9g80
天気晴朗なれど波高し。
時代の波濤は否応なく襲いかかる。敵味方の区別なく。

ついに袁家は兵を発したのである。発した。

麗羽様が率いる旗本一万五千。軍師は稟ちゃんさん。
俺が率いる紀家が一万。
斗詩率いる顔家が一万。
張?率いる張家が一万。
猪々子が率いる文家が一万。
真桜率いる工兵が五千。
陳蘭が率いる弓兵が五千。
袁家だけで六万五千の大軍である。

その兵站を司るのが張紘だ。食糧だけじゃなく、武器防具、その他雑貨に至るまでについても傘下の母流龍九商会が請け負う。
そこに諸侯の軍勢が加わる。ばっくり把握しているだけで白蓮とこから一万、華琳とこも一万、馬家から一万五千、孫家が五千。
確実に計算できるのは以上の戦力。
他の諸侯の兵には正直期待していない。というか、勝つだけならば袁家の兵力だけでやれるし。やるし。
後はまあ、勝手働きと称して有象無象が褒賞を求めてやってくるくらいだろうか。まあ、数千くらいだろうから大勢に影響はない。はずである。

そこいらへんをも織り込んで張紘は動いているだろうから、多分大丈夫だろう。何せ張紘だぜ。多少の誤差程度くらいはなんとかしてくれるさ。
だからこそ、そこを狙われると困ったことになるんだけどね。俺なら狙うし。
でも、だからこそ張紘の身の安全は赤楽さんの出番だ。あのおっかない美人さんが秘書兼護衛としているから大丈夫。
つまり、何が言いたいかというと、勝ったも同然!ってことだ。
これは勝ったなガハハ!

……。

いや、まあ、なんだ。メイン軍師たる風ちゃんがいないとこの思惑がどうかという答え合わせもできないから、ちょっと心配なのも確かであるのだ。
ほら、稟ちゃんさんとか、忙しいから俺の思惑とかぼんやりとした絵図の相談とかできないじゃない。アホなこと言ったら怒られそうだし。

「全く。思い違いも甚だしいですね。貴方はもう少し自分の立場というものを、重みを認識するべきです」

って。
げえ、稟ちゃんさん!

「ってなんでここにいるのさ。忙しいだろうに」

俺の言葉を聞いた稟ちゃんさんがにじり寄ってくる。with眉間に皺である。ふふ、こわい。

「その認識には正直戸惑うどころか呆れすら感じます。
いいですか。此度の反董卓連合を率いるは袁家。その武の責任者は二郎殿、貴方です。
 その貴方がふらついていてどうするのですか!
 いいですか。貴方の号令で十万を超す軍勢は動くのです。不甲斐ない様を見せてはいけないというのは先刻ご承知でしょう!
 ご心痛はあってもそれを見せてはいけない。それに――」

遮る。

「すまん。余計なことを言わせた。言いづらいことを言わせた。すまん、そしてありがとう。
 んで、俺に対する気遣いは無用。この身は袁家に仕えるが本懐。
 つうか、そうだな。
董家幹部を斬る覚悟ならば、既にしているとも」

だからさ、と笑いかける。

「味方の犠牲を少なく、戦後の不安要素をも少なく。
 勝ち馬に乗りに来た諸侯の勢力を削りながらも完勝する。
 なに、敵も味方も生身さね。斬れば死ぬんだ。
――斬っても死なぬ僵尸(キョンシー)に比べれば、さ。
楽なもんじゃないかい?」

踊らされるのはもうこりごりだ。

「そろそろ、清算せんといかん。頼りにしている」

立ちふさがるは月配下の諸将。だが、真に討ち取るべきは背後のくそったれ。

「頼む。俺なんて適当に使い潰してくれていいから、頼むよ。
完全勝利を、頼む。
 頼んだ」

「――もとよりそのつもりです。
 ええ、二郎殿。貴方のお好みの、つまらぬ戦いを積み上げてみせましょう。
 戦う前から勝ちが約束されたような、それでこの中華を塗り上げてみせましょう。
 戦わずして勝つのが最上ではない。きっちりと中華に袁家の武威を刻み込むとしましょう」

多分俺は稟ちゃんさんの言ってることの半分くらいしか分かってないのだろうと思う。
だが、それでも譲れないものはあるし、思う所もある。
そうして、挑むのだ。
こんなにも、やりたくない戦(いくさ)を。
152 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/02/13(木) 21:18:30.14 ID:HUnWV9g80
ほむん

本日ここまですー感想とかくだしあー

題名案「進軍」

よさげなの、オナシャス
153 :赤ペン [sage saga]:2020/02/14(金) 16:01:54.91 ID:E8KDhz250
乙でしたー
>>151
>>そこに諸侯の軍勢が加わる。ばっくり把握しているだけで白蓮とこから一万、 【ばっくり】だとなんか大口開けてる感じがする
○そこに諸侯の軍勢が加わる。ざっくり把握しているだけで白蓮とこから一万、 《大まかに》ならこっちの方が一般的かな?
>>後はまあ、勝手働きと称して有象無象が褒賞を求めてやってくるくらいだろうか。 台所仕事?>>【勝手働き】
○後はまあ、義勇兵と称して有象無象が褒賞を求めてやってくるくらいだろうか。  まあ劉備みたいなことをするやつとか、頼まれたわけじゃないけどあんたの味方するぜ!(後でお礼は頂戴ね)みたいなのも一応義勇兵…義勇兵だから
>>貴方はもう少し自分の立場というものを、重みを認識するべきです」   間違いでは無いです
○貴方はもう少し自分の立場というものを、重みを、認識するべきです」  ただここに一拍置いたほうが良さげかな?ともしくは【立場と言うものの重みを、認識】とかどうでしょう
>>戦う前から勝ちが約束されたような、それでこの中華を塗り上げてみせましょう。 ちょっと違和感が…間違いと言うほどでは無いけどこれだと【それで】が何を指してるのかちょっと分かり辛いので
○戦う前から勝ちが約束されたようなそれで、この中華を塗り上げてみせましょう。 最初は【塗り潰す】とかも考えたけど別に袁家で統一しようとはしてないしそこはこのままで

何となくだけど二郎ちゃんはまだ漢を延命させようとしてて、華琳辺りは先を見据えて袁家の手札を暴こうとしてる感じが…義理95と私怨5くらいで動いてそうな公孫に私怨60義理20、義務20くらいの馬家、損徳勘定70義理30くらいの孫家。かな?
袁家?別に国をとる気はないから二郎ちゃんが延命させたいって言うならまあ…ムリそうなら仕方ないから上に立つか。みたいな?余所が上に立っても構わないけど袁家が言う事を聞いたらいいですね?とか言いそう
154 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/02/14(金) 21:18:11.46 ID:tuto3YZH0
>>153
赤ペン先生いつもありがとうございますー!
ほむ。

>【勝手働き
これ、ググっても出ないのですね。
ローカルなとこで見たのでやめとくか。好きな言葉だったのですがw

>何となくだけど二郎ちゃんはまだ漢を延命させようとしてて、
いや別に所詮システムなんだからそれでよくね?
というやつです

>華琳辺りは先を見据えて袁家の手札を暴こうとしてる感じが…
手駒になるはずだった宦官の損耗次第じゃないっすかねえ

>義理95と私怨5くらいで動いてそうな公孫に私怨60義理20、義務20くらいの馬家、損徳勘定70義理30くらいの孫家。かな?
私怨の塊の韓浩もこれにはにっこり
孫家はもっと軽そうなイメージw

>袁家?別に国をとる気はないから二郎ちゃんが延命させたいって言うならまあ…ムリそうなら仕方ないから上に立つか。みたいな?余所が上に立っても構わないけど袁家が言う事を聞いたらいいですね?とか言いそう
国をとるのは、中枢を握ると同義なんやなって
なので、割と現状に対する認識も違う可能性もありますね

まあ、今のところ袁家は利益あって盤石ですな
ガハハ勝ったな。
155 :赤ペン [sage saga]:2020/02/19(水) 10:55:24.65 ID:Zm6RXC+70
SAOみたいなのってダメージ算出はどうやってるんだろうか?とふと思った
例えば力が100の戦士が攻撃力200の剣を装備してて守りが50の戦士が防御力100の鎧を装備してるとして、パンチとキックでダメージは変わるのかとか、剣の刃の部分と腹の部分で変わるのかとか、袈裟切りと切り上げで変わるのかとか、そこまでリアルにできるとしたら装備品の数値はどうやって決まってるのかとか
攻撃力10の人が防御力200の人に目つぶしを仕掛けて効果はあるのかとか…素早さの数値が倍近く違ったら体感時間も変わったりしないのかとか(まさか素早さ=足の速さじゃないよなとか)
156 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/02/20(木) 20:57:51.00 ID:mnjV/Xve0
「華琳さん、歓迎いたしますわ」

おーっほっほ、と高笑いする袁紹。内心曹操は苦笑するのだ。
変わらないな、と。
そしてそれでこそ、とも思うのだ。それでこそ、一手打った甲斐があったというもの。
そう、自分の一手により彼女は無事洛陽を脱したのだが、それを微塵も気にした様子もない。
この図太さ、あるいは面の皮の厚さは見習うべきであろうか。いや、本人は全く素なのであるのであろうけれども。

それはともかく、真名を交わした親友――これで曹操は袁紹を親友と思っているのである――の出迎えに曹操は気を良くする。
無理もない。袁紹が自ら出迎えたのだ。これは破格の扱いである。
反董卓連合を主催する袁家、その当主自らの出迎えは大いに曹家軍の立場を強めるものなのだ。
宦官の手先、元締め。ややもすると、敵視されても仕方ないのだ。
それを一気に解消してくれたのだ。笑みもこぼれるというものである。

「ええ、麗羽。
わざわざの出迎え、ありがとうね」

あくまで公的な立ち位置ではなく、私的な関係を押し通して曹操は軽やかにほほ笑む。
なに、自分の笑みなぞ安いものだ。目の前の親友、と比べればその価値は天と地である。
だからこそ曹操は袁紹と親しげに笑い、哂うのだ。実にいい友達を持ったな、と。

久方ぶりの邂逅に話は弾む。袁紹とて愚物ではない。ましてや袁家を率いるのだ。話題の共通事項は多い。
或いはかつてよりも有益な関係だったかもしれない。そう思うが、それもどうでもいい話。
そう思う、そう思った。そしてそれがいかに甘い認識だったかと痛感するのだ。
目の前の現実に。

◆◆◆

「――麗羽、これは、なに?」

十数万の軍勢が集まるのだ。大天幕くらいは想像していた。だが、目の前にあるのはそんなものではない。
煉瓦と土塁で固められた防壁。それだけで瞠目してしまうものだが、それどころではない。

「なに、と言われても困りますけども……。
華琳さん、貴女の逗留先でもあるのですわ。不備については随時改善しますとも。
 一旦は納得してほしいものですわね。
 いえ、むしろご不満なところがあればおっしゃってくださいな」

曹操は暫し自失する。そして、苦笑。
そして、ここで自失した自分を恥じようとも思わない。
なぜならば、目の前にあるのは要塞、とは言えないまでも。
ちょっとした砦以上のものである。
今現在もその領域を増やすべく人夫が工事を進めるそれに、流石の曹操が絶句するのだ。

「まさか天幕なんかに、このわたくしが逗留するわけにはいかないでしょう?
 反董卓連合に与(くみ)する皆さんが集結するのにも時間がかかりますし。だったらきちんとした宿泊施設は必要ですもの。
 流石に兵卒の皆さん全てには行き渡らないですけれどもね」

曹操は内心頭を抱える。前提とする地力の桁が違う。母流龍九商会より糧食の提供を打診された時に感じたのもそれだ。
不用意に借りを作る愚を犯さず、自前で賄ってはいる。おそらくそういう諸侯がほとんどではあろうが、時が過ぎるほどに袁家から提供される糧食に依存せざるをえなくなるだろう。
じっくりと腰を据えてその名が轟く二つの関を攻略するのだろう。ああ、そうだ。董卓軍のみならず諸侯の軍勢、財政をも磨り潰すということか。

やってくれる。
やってくれた。

そしてこの絵図を描いたであろう男の姿を認め、曹操は極上の笑みを漏らす。
そう、やはりあの男は自分の前に跪くべきなのだ。もっと早くに、多少強引にでも本気でそう動くべきであった。
猫科の猛獣の笑みを浮かべ、曹操はにこやかに笑いかける。

「――あら二郎、息災そうでなによりだわ」

――反董卓連合、未だ集結には時が要される。それまでの時を曹操は無駄にするつもりなんてこれっぽっちもなかった。
157 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/02/20(木) 20:59:13.18 ID:mnjV/Xve0
◆◆◆

「ふう、今のところ兵站は順調、か」

張紘はあちらこちらからもたらされる報告書に目を通し、やれやれとばかりに伸びをする。

「そうだな、街道の整備も順調に進んでいる。時が味方であると確信できるほどに、だ。
これはかなり楽ができそうだな。
 そら、だから少しくらいは息抜きしてもいいだろうよ」

白湯(さゆ)ですまんがな、と。赤楽が詫びながら武骨な湯呑(ゆのみ)を差し出す。

「まあ、そうだな。あまり気を詰めてもいいことないや。
ありがたくいただくとするか」

ずびび、とすすって尚、視線は遠くある。
脳裏には物資の調達と配分の計画。それが浮かんでは消えていく。

「まあ、実際十万余の軍勢への手配なんぞできるものかと思っていたのだがな」

なんとかなるものだなと赤楽はくつくつと、笑う。つられて笑う張紘の笑みはどちらかと言えば苦笑寄りであろう。

「まあ、なあ。それもきっちりと物資の確保を沮授がしてくれてるからさ。
今まで何進に遠慮して、進めていなかった洛陽への街道整備も進むし、だぶついてた食糧もはける。
 今はそれほどでもないけど、諸侯からの引き合いも増えるだろうしな」

実際、ぼろ儲けもいいとこさ。
と張紘は肩をすくめる。

「せいぜい高く売りつけてやればいいさ。あちらだって戦後の利権が目当てで参軍しているんだ」

地力のある者は戦後を見据えて返済を選ぶだろうってさ、と張紘は苦笑する。
参軍した諸侯の財布事情まで見据えて、すり潰す。なんとも悪辣なことさ、と。

「ふむ、流石と言うべきか、気が早いと言うべきか。既に戦後を見据えているのだな、あの御仁は。
 まあ、尋常にやれば、だ。
どう考えても負ける要素もないことだしな。
黄巾の乱で蓄えられた諸侯の力を削ぎつつ、勝つ。か。
 二兎、追うのは大変だな」

まあな、と曖昧に笑って張紘は歩き出す。物資の集積場に向かう。現場で何をするわけでもないのだが、総責任者の彼が姿を見せるだけで現場は引き締まるのである。

薄い笑みを浮かべつつ赤楽は付き従う。油断なく周囲に視線を配りながら。
どこに刺客がいるか分からないのだ。自分が董卓軍ならば目の前の青年をまず狙う。それだけで兵站は破綻するのだ。袁紹や紀霊なんていう警備や護衛が厳重な人物よりよほどお手軽かつ重要人物なのだ。
餓えた軍の行く末なぞ哀れなものだ。それを赤楽は痛いほどに理解している。故に気を抜かない。

◆◆◆

「ふーむ、劉焉殿は不参加か。まあご息女が人質にとられてるから仕方ないかー。
 劉表殿は五百の弓兵のみ、か。やはり積極的には関わらないか。でもその分物資の提供を、ってとこかねえ」

一応皇族に連なる方だし、軍を率いる方にも挨拶しといた方がいいかと張紘は決断する。

「少数精鋭って奴かな。おいらでも聞いたことがある方だ」

率いる将の名を見て呟く。

「ほう、いったいどなたが率いてるのか聞いてもいいか?」

「構わねえよ、これからちょっくら挨拶に行くしな」

――黄忠というのが、その将の名であった。
158 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/02/20(木) 20:59:43.39 ID:mnjV/Xve0
本日ここまですー感想とかくだしあー

かっこいい副題募集しまくりんぐですよ本当に!
159 :赤ペン [sage saga]:2020/02/21(金) 11:02:44.53 ID:6R+CfStK0
乙でしたー
>>156
>>おーっほっほ、と高笑いする袁紹。内心曹操は苦笑するのだ。    間違いでは無く好みの問題ですが
○おーっほっほっほ、と高笑いする袁紹。内心曹操は苦笑するのだ。  なんとなく3回言うのが典型的なタカビーお嬢様っぽい気がする
>>いや、本人は全く素なのであるのであろうけれども。  ちょっとゴチャッと感が
いや、本人は全く素なのであろうけれども。       でどうでしょう
>>或いはかつてよりも有益な関係だったかもしれない。 【だった】だけなら問題ないんですが【かつてより】と重なると違和感が…過去形っぽさが出てしまうと言うか
○或いはかつてよりも有益な関係かもしれない。    【かつて】を思い返して懐かしむような物言いなら(かつての方が有益な関係だったかも)とかなら【だった】があった方がいいんですが(アレ…これってもしかして本来の世界線?)
>>今現在もその領域を増やすべく人夫が工事を進めるそれに、流石の曹操が絶句するのだ。  「人中の呂布だ!」「大徳の劉備だ!」「流石の曹操だ!」…太鼓持ちかな?
○今現在もその領域を増やすべく人夫が工事を進めるそれに、流石の曹操も絶句するのだ。  《流石のあいつでも失敗する》みたいな使い方なのでこうですね
>>猫科の猛獣の笑みを浮かべ、曹操はにこやかに笑いかける。 いや、普通そこは猫をかぶって【猛獣の笑みを隠して】…曹操なら分かった上でこうするわ
○猫科の猛獣の笑みを浮かべ、曹操はにこやかに声をかける。 二郎が「俺また何かやっちゃいました?」とか言いそうな笑顔で声は凄い綺麗な感じで来るわwあ、【笑みを浮かべ、笑いかける】だと重なるのでちょっと変更
>>157
>>なんとかなるものだなと赤楽はくつくつと、笑う。 【、】の位置に違和感が
○なんとかなるものだな、と赤楽はくつくつと笑う。 の方がいいと思います
>>今まで何進に遠慮して、進めていなかった洛陽への街道整備も進むし、だぶついてた食糧もはける。        やっぱり違和感が…何となく読みづらい
○今までは何進に遠慮して進めていなかったけど、これで洛陽への街道整備も進むし、だぶついてた食糧もはける。  でどうでしょう

沮授と双璧を為す二郎ちゃんの弱点ではあるからな>>張紘…梨園の誓いが知れ渡ってる以上捕えて人質にすれば名か実かどちらかに傷はつけられる(その後?言わせんな恐ろしい)
それにしてもなんとすさまじい兵糧攻め…なにが恐ろしいって交渉の材料がまだあるから董卓たちに内部不和を起こさせられるって事よ、しかも反董卓連合に内情を知れば尚の事…のんびりやってる盟主袁家とできるだけスピーディーに終わりたいその他の連合軍、まだ生きてるのび帝とおあつらえ向きな生贄の董卓…董卓の叛旗に駆け付けた忠臣達に報いるとか言えば中央の影響力を強化しつつ地方に鎖も掛けられるし(取らぬ狸感)
160 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/02/22(土) 19:57:18.95 ID:jjEionxJ0
>>159
赤ペン先生いつもありがとうございますー!

ほむ。
ほむ。

>沮授と双璧を為す二郎ちゃんの弱点ではあるからな>>張紘…
頼りになる存在であり、精神的なよりどころでもありますものね

>捕えて人質にすれば名か実かどちらかに傷はつけられる(その後?言わせんな恐ろしい)
少なくとも横にいる恋人兼秘書兼護衛が単独でなんとかするでしょうという安心感
ダイス次第ではそういうイベントもありでしたが、へいわ!

>それにしてもなんとすさまじい兵糧攻め…
ありがとうございますー!
割と二郎ちゃんは悠長な策を出すのですが、規模が、見据えたとこが違うんですよね
それを義兄弟たちは過不足無く理解してます
なお、はおー

>のんびりやってる盟主袁家とできるだけスピーディーに終わりたいその他の連合軍、まだ生きてるのび帝とおあつらえ向きな生贄の董卓
連合軍の思惑以上にどっしりとした作戦なのですよね
そして二郎ちゃんのその思いを十分以上に汲んだ沮授と張紘はマジで頑張ってます
やる気のない二郎ちゃんがやるとキメたので、とことんです。ガチです。もしかしたら、気負っている稟ちゃんさんより前のめりまでありますね。

それと、兵站関連で色々エピソード浮かんでましたが、書こうと思ってましたが没にしました。
まあ、個人商店の飛躍に繋がるなあくらいの感じですね。
ロレンス商会とか、目端の利く人は大儲けでしょう。

呂商会?そらもう。
161 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/02/27(木) 21:34:19.82 ID:mIa3hCl/0
「あらあら」

使者がもたらした報せに黄忠は軽く戸惑う。
張紘が、袁家の台所を担う男が自ら足を運ぶという。その意味に気づかぬほど黄忠は愚かではない。
しかも、物資を提供したとは言え、精々五百ほどの軍勢を率いる自分に、である。

「どうやら、劉姓に対しては表面上であっても重視する。ということかもしれないわね」

この、反董卓連合という戦は、いわば新たな権力者を決める戦いである。
そう、本来であれば洛陽の、雲の上での暗闘で決するべきものが大地にその災禍を降り注いだようなもの。
その是非、善悪なぞ黄忠は知ったことではないし、論ずるつもりもない。それは一介の武人には過ぎたことだ。
だが、自らが仕える劉表は皇族に連なる存在だ。なればその、劉家に対する立ち位置というものに対しては無関心ではいられない。
自分一人ならばなんとでもなる。が、娘がいる。ぜひあの子には安寧な世において生きてほしい。それが母としての黄忠の願いである。
なればこそ、漢朝の権威たる劉家に対する扱いに対しては黄忠とて無関心ではいられない。
それを、張紘という重要人物が自ら足を運んでくれるということに黄忠は安堵を覚える。
そう、たかが五百。たかが五百のみなのだ、率いる軍勢は。
いや、無論黄忠が鍛えた精兵であるという自負はあるが、果たして北方においてかの匈奴と渡り合った袁家の、或いは馬家の軍勢と比べたらばその実力はいかがなものか。
――せめて自分は兵を率いるのみに専念できれば、とも思う。
だが、文治を志す劉表のもとには有望な軍師は集まらずいた。皮肉なことに。
いや、候補はいたのだ、いたのだ。だって、荊州には水鏡女学院という教育機関があるのだから。
だから、いつかは軍略を預けられる英才が仕官してくれると思っていたものだが。
同期や、近しい先輩後輩は水害を契機に荊州を後にした。
そして英邁を世に謳われた天才たちは世を憂いて旅立った。その真意は分からない。
いなくなったという事実だけが残るのみ。

「……考えても、馬鹿馬鹿しいわね」

くす、と黄忠は艶然と笑う。生き方が違う。目指すところが違う。きっとそれで済まされるのであろう。
そんな、天から授かった才能(モノ)のない身は、地べたに張り付いてその日を過ごすしかないのだ。
そんなことを言ったらかつての同期から怒られそうだな、なぞと思いながら黄忠は娘の笑顔を思い出し、奮起する。
そう、腰の重い主君が自分を派遣したのも、貴重な物資――袁家にとっては取るに足らないかもしれない――を供出したのも世の安寧が第一ということなのだ。そのはずなのだ・

だから、黄忠は柔らかい、慈母のような笑みを浮かべつつも苛烈な覚悟を課している。
いや、母だからこそかもしれない。
身を捧げてでも、と思うのは守るものがあるからであろうか。
そんな、ある意味悲壮な覚悟で訪れた賓客を出迎える。艶然と、柔らかい笑みで可能な限りに好意を得られるように。

だからこそ訪れた人物に渾身の笑顔を、と思っていたのだが。
その人物はいい、だが、その後ろに控えるのは。

「じょ……た、単福!あ、貴女(あなた)、無事だったの?!」

赤毛の麗人に黄忠は取り乱す。喪った知己がいるから?いたから?
喪ったあの時が甦るから?

「はて、誰かなそれは。人違いだろうよ。それはともかく、張紘よ。
何を呆けている。失礼じゃないか。
 なに、そんなにこの麗人に興味津々ならば後で私が口を利いてやってもいいのだぞ」

何やら張紘が返し、女が笑う。
その、ちょっと皮肉気で、でも相手を気遣うやり取りはやはり知己のもので。

だから、一瞬。
酷薄と言えるほどに鋭く突き刺さる視線に黄忠は身を震わせたのである。
162 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/02/27(木) 21:34:45.83 ID:mIa3hCl/0
◆◆◆

「なあ」

応える声は低い。常のように笑みを含んだものではない。
だからこそ張紘は重ねて問おうとする。
それを赤楽は言わせない。

「できればこのまま君の口を塞いでしまいたいものだな。
いや、割と本気で。
 いい。いや、いいんだ。これは私の我儘だろうな。
 違うな、ちょっと混乱しているだけ。気の迷いみたいなものだろうよ」

赤楽は、苦笑する。その笑みはいつになく、苦く、暗い。
それを見て張紘は窘める。

「そんな風に言ったものじゃあないだろ。だって、これで身元が分かったじゃあないか。
 あんなにもお前は根無し草だったのを気にしていたじゃあないか」

その言葉に赤楽――徐庶――は苦笑する。

「分かったところで。ああ、私は結局のところ、人殺しなのさ。
思った通りで意外性の欠片もないのが申し訳ないがね。
 更には天涯孤独ときたものだ。
ああ、今までと変わりなく、今までではいられない。
苛立ちしかないね。厄介極まりない。
 それが自分の足跡と思えばこそ、さ!」

吐き捨てる彼女に張紘は笑みを浮かべて言葉を紡ぐ。

「そうかい?
おいらは嬉しいけどね。あんなにも自分を、自分の足跡に悩んでたじゃあないか。
 だから、おいらはお前の旅路が終わって、嬉しいよ」

「やめてくれよ」

ぐしゃ、と。
それまでの取り繕っていた表情を崩して嘆く、泣く。

「何がだ。何がだ!
人を殺し、狂人を演じる。
恩を返す父母は無く、だからこそ因果に囚われる!
 一体私は!あそこで死ぬべきじゃあなかったのか!救われて!
君に救われて!どうしろっていうんだ!
 人の死と絶望しかない私をどうするんだよ!
君と義兄弟はあんなにも光に包まれているじゃないか!
 だから君も、もっと光に!
そっちにいけよ!私なんてほっといてさあ!」

「そいつは聞けない相談だな」
163 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/02/27(木) 21:39:01.55 ID:mIa3hCl/0
やなこった、と重ねて耳元で囁く。
足掻こうとする女の身体を張紘は意外に力強い力で抱きしめる。絡め取る。

「おいらは、そんなにたいしたもんじゃないさ。
 あの時、行き倒れてたお前を拾ったのはきっと運命ってやつさ。
それに、いちいちそんなのに深く考えてられるもんか。
 何より、おいらはな」

渾身の力で、消えそうなその魂魄を抱きしめ、口づける。

「過去も未来も知ったことじゃない。
 おいらは、お前が大事で、大好きで、一緒にいたい。それだけが大事なんだよ。
 これじゃ、不足か?」

足りないなら、もっと囁こう。伝えよう。
だって、こんなにも大事なのだ。その気持ちが伝わらないなんて、いやだ。
離れるなんて、いやだ。
放さない。

「張紘。君は、君が。
 そんなにも、と思ってくれるのか」

私なんかを、と。

「お前じゃなきゃ、嫌だ」

常の、穏やかな彼からは思いも寄らない情熱。
それが女に燃え移る。

「ああ、張紘。いつも、いつでも傍にいる。だから、もっと抱きしめてくれ――」

精一杯の願いに張紘は全力で応える。

――そして徐庶。彼女はその名を名乗ることはなかった。
彼女はあくまで赤楽。
張紘の愛人として人生を歩むことを選んだのである。
彼女の功績は献策一つ
164 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/02/27(木) 21:40:11.77 ID:mIa3hCl/0
本日ここまですー感想とかくだしあー

題名募集しまくりんぐですよ本当に!
案は「朱色の過去」
はい、いまいちなのでよろしくお願いします。

週末は後輩の結婚式なのでまた来週になりそうです。
165 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/27(木) 22:22:20.05 ID:y4Ng4X+D0
乙〜
やっぱりこの夫婦は良い
166 :赤ペン [sage saga]:2020/02/28(金) 13:03:02.06 ID:dcSS2BEC0
乙でしたー
>>161
>>なればその、劉家に対する立ち位置というものに対しては無関心ではいられない。  間違いではないですが【対する】が2度続くとちょっと違和感が
○なればその、劉家に対する立ち位置というものについては無関心ではいられない。  もしくは【劉家への待遇に対しては】とか【立ち位置というものに関しては】とかどうでしょう
>>なればこそ、漢朝の権威たる劉家に対する扱いに対しては黄忠とて無関心ではいられない。  同上で
○なればこそ、漢朝の権威たる劉家への扱いに対しては黄忠とて無関心ではいられない。    もしくは【劉家への遇し方については】とかかな?
>>貴重な物資――袁家にとっては取るに足らないかもしれない――を供出したのも世の安寧が第一ということなのだ。そのはずなのだ・   最後のミスとついでにちょっと好みを
○貴重な物資――袁家にとっては取るに足らないかもしれないが――を供出したのも世の安寧が第一ということなのだ。そのはずなのだ。  自嘲気味というかそういう雰囲気を醸し出せそうな【が】を加えてみたり
>>162
>>おいらは嬉しいけどね。あんなにも自分を、自分の足跡に悩んでたじゃあないか。 【自分を】の後に例えば≪見失って≫とかあるならそれを入れるか
○おいらは嬉しいけどね。あんなにも自分に、自分の足跡に悩んでたじゃあないか。 【自分(の立脚点)に】みたいな感じに読めるのでこれでどうでしょう
>>ぐしゃ、と。  何か握りつぶしたみたい
○くしゃりと。  【顔をくしゃくしゃにして】と【顔をぐしゃぐしゃ、にして】だとなんかこう、受ける印象がね
>>163>
>>足掻こうとする女の身体を張紘は意外に力強い力で抱きしめる。絡め取る。  【足掻こうとする】って結局足掻いているのかいないのか…ここだと本気で難しいな
○常とは比べ物にならないほどに力無く、それでも足掻こうとする女の身体を張紘は意外に力強い腕で抱きしめる。絡め取る。  とりあえず素案…どうだろう?
>>そんなにも、と思ってくれるのか」  感極まってる感を出すなら…
○そんなにも……思ってくれるのか」  とかどうでしょう、それとも【想ってくれる】もありか?
>>彼女の功績は献策一つ        もう一声
○彼女の功績は献策一つのみである。  本来のネームヴァリューを知ってればこそ感じるその損失と同時にこの安堵感…(なお功績として表に出なかったもの

劉表さん立地条件もいいし本来なら人材の宝庫だったろうに…そして水害でボロボロになった故郷を見捨てて遊興する伏龍鳳雛ぇ
それはそれとして人殺し云々言ってる赤楽はどした?過去を思い出したのかも知らんが状況的に仕方なかったことが大半だろうに、「お前がどれだけ自分を嫌悪してても張紘はお前が好きなんだよ」とかどっかの誰かが心中で呟いてそう
167 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/02/29(土) 06:09:58.57 ID:nwzYpBoP0
>>165
どもです。
出すと勝手にイチャイチャしだすのですが、それがいいw
そんな二人でした。
設定しながらも、蛇足かなと思って半ばボツにしていたイベントというか伏線回収ですが、
達成条件が満たされてしまったので。

>>166
赤ペン先生いつもありがとうございますー!

>彼女の功績は献策一つ        もう一声
尻切れトンボになってしまった

彼女の功績は献策一つとして歴史に記されてはいない

にするつもりでした。
徐庶的に!
168 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/02/29(土) 07:12:52.89 ID:nwzYpBoP0
関係ないけど、蕪がもっと安くなってほしいと思いました
狙ってるのはオリックス(1500)とマクナル(3800)と野村(350)とサイゼ(1300)と業スー(3000)
今思えば民主党政権の時は買い時であったことだなあ
手元資金がなかったけど!
169 :赤ペン [sage saga]:2020/02/29(土) 09:05:36.56 ID:OmeV9Da30
ああ、適当な箔付けに功績を奪われ()る張勲はいなかったんだね
実際賤業とは言え紀霊の義兄弟って相当だし同じ商人目線なら血の結びつき欲しがるだろうから奥さんはこいつだ。って言うときに功績あるのは大きいし
170 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/29(土) 09:40:47.59 ID:zGLP++yQO
正室になる気はないのではないかな
まあ、他に目移りする可能性が皆無なのは置いておいて
171 :赤ペン [sage saga]:2020/02/29(土) 14:58:54.27 ID:OmeV9Da30
赤楽にその気がないとして…周囲がそれを認めるかは別問題よwww
きっと上司とか権力者のパワハラで無理やり盛大な結婚式が執り行われるぜ
派手好きな領主様とか旦那の義兄弟とか
172 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/03/02(月) 22:08:38.43 ID:Xft0IoOD0
そう言えば公孫賛は糧食どうしてるんだろう
すまん、ありがとう。とか言いつつ袁家に頼りまくってるのか
173 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/03/03(火) 20:12:15.81 ID:pTAU8yib0
>>172
ほむ

◆◆◆

「さて、兵を発するとは言ったが、糧食の準備は万全なのか?」

そういえば、と公孫賛は韓浩に問う。

「万全、という言葉は便利なもの。
 安心を担保できるから。
 だが、今回に限っては万全であると断言できる。
 なぜならば袁家に公孫の陣容は伝達済みだから」

淡々とした口調に公孫賛はなるほど、と頷きかけて。

「いやちょっと待て、私が聞いたのはそうじゃないぞ。そういう意味じゃないぞ。
 自分たちの食い扶持くらいは自分たちで準備しないと。
 そういう意味で言ったんだ」

少し慌てた風な公孫賛に韓浩はあくまで淡々と続ける。

「今回の出兵に関して、こちらには全体的な計画の詳細は知らされていない。
 また、その意思決定についても介入する機会は少ないだろう。
 なれば、どの程度の期間を想定するか、というのは無意味と言っていい」

「いや、そりゃそうなんだろうがさぁ……」

「なれば、最初から袁家の兵站。袁家の構想に組み込まれるのが最善。
 袁家にとっても、どの段階から援助を求めるか分からないよりは徹頭徹尾求められた方が算段が立つ。
 ああ、無論袁家と合流するまでくらいはこちらから持参する」

むむむ、と公孫賛は唸る。

「なに、気にすることはない。
 公孫については袁家の後ろ盾というのは知れ渡っている。
 それに、別に完全に頼るつもりもない。
 単に効率を重視しているだけのこと。
 消費した物資は後でまとめて請求してもらえばいいだけのこと。
 ……それくらいの余裕はある」

「なるほど、流石韓浩だ。
 確かに、ここから洛陽までの道程。物資をわざわざ運ぶのも手間だしな。
 まあ、何か言うやつばらは武勲で黙らせればいいだけのことさ」

よし、と決意も新たに気力十分な公孫賛。
その様子に韓浩も頷く。

まあ、おそらく袁家からの請求はないだろうな、などと思いながら。

その予想は結論から言えば、正しいものであったのである。
174 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/03/03(火) 20:13:35.04 ID:pTAU8yib0
こんなとこっすかね

韓浩も参軍するので、後方の手間は省けるならば省こう的な。

多分これはあっちには載せない幕間でござるの
175 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/03/03(火) 22:02:10.17 ID:Re9h7Jf9O
そいやちうごくではバッタの大群がきてるみたいだけど
次郎ちゃんのところには来ないのかな?
176 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/03/04(水) 21:37:13.16 ID:vSmvO24c0
>>175
ないです

災害で解決とか、ハードル高いっすわw
「渚にて」みたいな初手災害での舞台装置ならばともかく、
災害がすべてを解決するとかでやりきったのってあれば読みたいです

あ、サメか。
177 :青ペン [sage]:2020/03/05(木) 07:38:56.45 ID:nvqRTYFzo
ぼちぼちタイトル案出していきますわー
しばしお待っちー
178 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/03/05(木) 20:21:04.58 ID:xedpohjv0
>>177
よろしくお願いします。
179 :青ペン [sage]:2020/03/05(木) 23:35:48.61 ID:fd99+5qvo
>>122
一つずつ潰していこう。
連コメはご容赦。

戦士の休息〜幼馴染みとの一時
180 :青ペン [sage]:2020/03/05(木) 23:36:52.49 ID:fd99+5qvo
>>137
飛ばされた檄、其々の想い
181 :青ペン [sage]:2020/03/05(木) 23:37:51.70 ID:nvqRTYFzo
>>151
細工は粒々
182 :青ペン [sage]:2020/03/05(木) 23:39:21.85 ID:ynL3WypNo
>>158
嵐の前の静けさ〜集結
183 :青ペン [sage]:2020/03/05(木) 23:40:04.06 ID:ynL3WypNo
>>164
紅蓮の過去
184 :青ペン [sage]:2020/03/05(木) 23:40:33.44 ID:ynL3WypNo
いじょ!
185 :赤ペン [sage saga]:2020/03/06(金) 10:18:25.69 ID:aJz7Vrcd0
乙でしたー
>>173
>>なれば、どの程度の期間を想定するか、というのは無意味と言っていい」  間違いが見当たらないので無理くり
○なれば、どの程度の期間かを想定する、というのは無意味と言っていい」  前提条件をもとにするなら上ですが、そもそも前提が不明なので下の方…がいいかなあ?

原作恋姫知らないである程度三国志を知ってるなら袁家としては公孫瓚とか全力で取り込みたいからね…人となりを知ればそりゃ恩売りまくって情交わしまくって雁字搦めにするよ
そして韓浩もどこまで分かってるかは知らんけど袁家と公孫家が争わないように楔と鎹と柵作りまくってらwまあ彼女自身もその一部だし袁家も公孫家も大切だろうからなあ

蝗害ねえ…史実で考えればもうしばらく後に起こったものではあるしあれって確か牛とか馬よりも草が大量の時に起こるらしいから、起こらないなら起こらないで理由付けが必要か?そこまで考えなくてもいいっちゃいいけど
ところで>>181 【細工は粒々】って【細工は流々】じゃないのは何か意味があるのか誤字なのか
186 :青ペン [sage]:2020/03/06(金) 13:44:28.35 ID:e+xhGRpyo
>>185
誤字っ!(笑)
187 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/03/06(金) 20:47:55.81 ID:Ve3p230L0
>>184
あざます!
どれもよきよき。つぶつぶしててよきよきw

>>185
くださいよ……。たまには満点花丸くださいよw

>全力で取り込みたいからね…人となりを知ればそりゃ恩売りまくって情交わしまくって雁字搦めにするよ
そらそうです。二郎ちゃんだけでなく袁家も全力です。

>そして韓浩もどこまで分かってるかは知らんけど
ほぼ認識して、その上で更に肩入れしようとしておりますね

イナゴはね、バッタはね。
草木という資源を動物タンパクに変える機構だから各方面で捕食されることでエネルギー循環させてるんですよね
それが、たとえば砂漠に雨が降って捕食者のいないとこで発生することで群体となるのですよね
そうすると別の地域に旅する存在に変わってしまって現地ではそのイナゴを補食しきれなくなるのです

まあ、肉体の変質もすごくて、カラッカラな肉体になってしまうらしいですけどね
カマドウマもそうですが、本来バッタ系って貴重な資源なんですよねー
日本の山林においてはカマドウマはガチで川魚のための資源です
188 :赤ペン [sage saga]:2020/03/07(土) 10:09:46.52 ID:saPjmLa20
三国志は横山版を軽く見た程度の恋姫プレーヤー「地味さんとか行間で死んだ雑魚やんけ、おバカの袁紹にひねりつぶされてるし二軍安定やな」
満点花丸になりそうな場合には【私の好み】を使って減点が発生しますからね(笑)まあ100点を出すことがあっても満点を出すことはないんですが
私としては何進さんが金の使い方を言ったあたりとか150点くらい付けますよ
189 :俯瞰者 ◆e/6HR7WSTU [sage saga]:2020/03/08(日) 14:22:56.03 ID:Wr1dDZOd0
乙です。快調に進んでおりますな。

声を大にして言いたい。「張紘。よく言った!!!!」自分が惚れた女はちゃんと言葉にして手元に置いとかなあかんよ(実体験)
赤楽さん、オリキャラじゃなかったのね。中身は徐庶さんって、十分張紘さんと釣り合うやん。張紘、おっちゃんが許す、妊娠させてまえ(おいこら)

中国発のバイオテロでてんやわんやです。嫁に会いに行くのに普通のマスクが無いので開き直って「アスベスト粉塵専用」のマスクして行っております。
毎回、受付でびっくりされ嫁に爆笑されております。施設のほうはマスクの備蓄が超大量にあるので(インフル・ノロ・強毒性感染症対策)なんとかなってますが、多方面から集られているのが悩み。在庫は有限だし補充のあても直近はない。なのに備蓄しておかなければいけない他の近隣社会福祉法人からけろっと、
「マスクないですか?」
と電話受けたときは「ない」で即切り。

細工は流々って、流流ちゃんが細工してるの?(寒い小ボケ)料理だったらそう言われても頷けるけどね。民明書房ネタになるなこれ。
あ、姓名は違うか。真名だから二郎ちゃんあたりが駄洒落るかな?

三国志でも見せ場の一つです。敵も味方もどんな人間ドラマを描くか、wktk期待です。

190 :青ペン [sage]:2020/03/08(日) 22:32:12.41 ID:DiFOttPqo
俯瞰者さんもご健勝なようで何より。
でもご自愛ですぜ?
191 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/03/09(月) 20:35:52.07 ID:zzPyaJmH0
>>189
どもです。
いやあ、割と足踏みしております。一ノ瀬の時間的な意味でw
まあ、どんどこ話を進めてさっさと洛陽に向かいたいものでございまする。

>声を大にして言いたい。「張紘。よく言った!!!!」自分が惚れた女はちゃんと言葉にして手元に置いとかなあかんよ(実体験)
俯瞰者さんのあれこれのエピソードは大好きです。
いや、ご自身のもそうですが、政治家の秘書のやつが心に残っております。当時のエピソードとか覚えてらっしゃったらぜひ。

>赤楽さん、オリキャラじゃなかったのね。中身は徐庶さんって
名前ありの登場人物で当方の完全オリキャラはございません。赤楽さんについてはいつ見破られるだろうかなあと思っておりましたが意外となかったですね。

>十分張紘さんと釣り合うやん
贅沢な人材ですが、これでよかったのかなと。
凡将伝では本当に自己評価の低いキャラです。だから自分が張紘に釣り合うか、というのをものっそい気にされていました
んで、自分の備えている技能、教養からして、それなりの名家とか士大夫じゃねーかなー、だったらいいなあとか思ってたらというお話ですね。
がーん、だな。
まあ、張紘と一生ラブラブしといてくださいということで一つ。
婚姻とかは未定でございます。まずは世を平らかにせんとね。

>と電話受けたときは「ない」で即切り。
実に正しいですね。
議員が高く転売とか論外ですよ。

>細工は流々って、流流ちゃんが細工してるの?(寒い小ボケ)
流琉だから!

頑張るぞいっと。
192 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/03/10(火) 21:30:32.35 ID:AEwN0Gam0
「二郎!久しぶりだ!」

稟ちゃんと今後の方針を打ち合わせたり、さっき食べた飯は流琉の差し入れだからものっそい美味しかったねと語ったりやら、うだうだ話していた俺に声をかけてきたのは……。

「おお、華佗じゃん。お久しぶり、だ!」

がしがしと小突いて久闊を除する。

「にしても、来てくれたのか!」

遠方より、朋(とも)が来たのだ。そりゃ嬉しいよ。

「ああ、当然だろう!
 張魯様もいらっしゃるぞ!」

マジか。マジでか。

「まあ、戦力としては考えないでくれ。百名程度だし、自分も含めて戦いはできんだろうからな。
その分、腕利きを選りすぐってきた。生きているならばどんな負傷でも死なせはしないさ」

なるほど衛生兵というわけか。助かる。これは実に助かる。

「にしても、よくぞ、だ。はるばる漢中から来てくれたな。劉焉が不穏な動きをしているんだろ?」

本拠地を空けるなんて。組織の特性を考えたら百人もの医師――当然、五斗米道の幹部であろう――が来てくれたことにも違和感がががが。

「そこからは、僭越ながら私がお答えしましょうか」

どう答えたものか、という華佗を見かねたのか稟ちゃんが口を挟んでくる。

「張魯殿には私から書状を差し上げました。漢中は劉焉に狙われている、と。
 五斗米道単体でそれを防ぐのは不可能。なれば此度、旗色を鮮明にすべし。
 さすれば、袁家に与するのであれば。たとえ漢中を空けても劉焉は攻め入ることをしないであろう、と」

劉焉が漢中に攻め入るのを口実にして、後日誅滅するというのは貴方の趣味ではないでしょう?

そう述べる稟ちゃんに俺は馬鹿みたいに頷くことしかできない。
これは出来る女ですよ。

「まあ、これで漢中に食指を伸ばすような俗物ならば楽なのですが、そうもいきません。
 ――二郎殿にご相談せず、裁可もいただかなかったことについては如何様にも」

ツン、としたままで稟ちゃんは悪びれた風もなく此方を見る。

ちらり、華佗を見ると苦笑している。

「なに、どうせ漢中を守るにしても劉焉が本気になればどうにもならないさ。だからまあ、郭嘉殿の申し出は渡りに船ではあった。 
 このどさくさに紛れて劉焉が進駐してくるという可能性は大いにあったからな」

「最悪でも張魯殿の身柄あれば、です。漢中を劉焉に奪われたとしても再侵攻後の統治は容易です。
 それとも、漢中を直接統治する方がよろしかったか?」
193 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/03/10(火) 21:30:58.61 ID:AEwN0Gam0
文句あっかと言わんばかりの稟ちゃんに再度苦笑する。

「ないない。面倒なのは勘弁だ。漢中は交通の要所。攻めるに易く、守るに難い。まあ、そうだな。
 旨みはあるんだが、あれだ」

言わば鶏肋のようなものさ。

ケンタッキーでいったらキールみたいなものである。いや、好みにもよるんだろうけどね。

「鶏肋とは、上手いことを言いますね。旨みはあれど労多し。
まあ、それを華佗殿の目の前で言う二郎殿の神経に唖然としそうなのですが」

「なに、ぶっちゃけたとこを聞いといてもらわないとな。ほんと。
まあ、華佗よ。そんなわけで袁家は漢中の太守たる張魯殿を全面的に支援するぜ」

華佗はやれやれとばかりに苦笑する。大きく肩をすくめて、顔を上げ破顔する。

「なんともまだるっこしいことだな!
だが、ありがたく甘えさせてもらおう。そして、傷病人は任せてくれ!」

いつも通りの暑苦しい笑顔で華佗は全面的な協力を約束してくれる。ことによれば追加して漢中から衛生兵を派遣してくれるらしい。
これはありがたい。いや、工兵隊でどうせ事故があるだろうし、戦闘が始まったら死傷者続出だろうし。

俺は華佗としばし笑い合い、稟ちゃんの目線に促されてその場を後にする。

「稟、ありがとな」

「――漢朝全土を管理するのは袁家の役割でしょう。今はそうでなくとも必ずそうなります。
 ですから、当然のこと。
 いえ、差し出がましいことをしたかと思っていました」

いや、その気遣いは無用。

「好きなようにやってくれ。責任は俺が被るから、さ」

ビシ、と決めたつもりだけど、稟ちゃんさんからは「似合いませんよ。深刻ぶるのは」と散々な俺でした。
解せぬ。

◆◆◆
194 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/03/10(火) 21:31:24.73 ID:AEwN0Gam0

額を伝う汗を拭い、華雄は水差しから直接水をごくり、と喉に流し込む。
冷たい奔流が喉を伝っていく。湯気すら立つほどに上気したその身体を冷やしていく。

まあ、こんなものかと華雄は日課の鍛錬を終えて湯殿へ向かう。

何進が禁裏へ参内する途中で暗殺されるという非常事態からどれほどの時が経ったか。
その報せを受けてより彼女は何進の屋敷に軟禁されていた。
いや、屋敷内であれば特に動きも制限されず、愛用の斧――金剛瀑布――すら取り上げられないことに解せぬ思いはあるのだが。
内実を見れば単純なもので、何進の護衛である華雄の処遇まで一々検討する余裕なぞなく、適当に、或いは雑にただ拘束しているだけだったのだが。

――その報せを受けて華雄は混乱した。耳を疑った。あの男が討ち取られるなぞ、と。
同時に納得もしていた。敵の多い男だった。世の中を敵と味方に分ければ敵が九分に味方が一分。そんな男だった。
そして討ち取った者が呂布――かの万夫不当である――と聞いて、その対決を見てみたかったなあ、などと思う自分はきっと薄情なのであろう。
守るべき対象が。情を交わした男が、道半ばにして逝ったというのにそんなことを思う自分はきっときっと薄情なのだろう。
悔しいとすればこの身が、武が何進に及ぶ前に手の届かぬところに逝ってしまったということか。
そして、手の届かぬ何進を討ち取った呂布はどれだけの武なのだろうか。
聞く噂は錯綜している。不意を打ったとも、真正面から打倒したとも。どうせならば白黒はっきりしてほしいものだ。

思えば単純なものだった。何進が存命の頃は。
目指す武の象徴として何進に立ち向かうだけでよかった。
その何進が討ち取られたならば、自分は一体何を目指せばいいのか。

分かるはずもない。

だから、華雄はあくまで何進の背を負う。幾度も、幾千度も自分を屈服させたあの男を思い、挑む。
目を開けずとも身体は、心はあの男の動きを容易に再現する。
それに合わせ、ひたすらに対決する。未だ幻影の何進にすら及ばぬ自分はきっと呂布にはまだまだ及ばない。
まずは何進に勝ち、そして呂布に挑む。

ごく自然に華雄は自分に対する最適解と思われるそれを為す。為そうとする。
見果てぬ武の先。天下無双を思い、ひたすらに鍛錬をする。為すべきことのない、また、出来なかった今。食事も、睡眠も、全てを自らの鍛錬に充てて華雄はひたすらに牙を研ぐ。
その牙の主を喪ったままに、磨く。それが弔いであるかのごとく。

強く、強く。ただそれを思う。それだけをひたすらに。

◆◆◆
195 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/03/10(火) 21:31:56.74 ID:AEwN0Gam0

「さてさて、お呼びとのことですが〜」

午睡したくなるような陽だまりの口調で程立はふわり、と笑いかける。
それを迎える少女はこれもまた美少女。ただ、眉間に刻まれたものがなければいいのに、と。どこぞの凡人ならば間違いなく思ったであろう。そう程立は思う。
彼女が政務に励むその机上には幾多の書類が積み重なっており、彼女――言うまでもなく、賈駆である。現董卓政権を一身に支えている人物だ――は険のある表情で程立を睥睨する。

「言うまでもないでしょう。さっさと世を乱すような行いはやめなさい」

冷然と発せられた言葉に程立は苦笑する。いや、どうにも。
単刀直入とはこのことか。だが。

「いや〜。風にはなにをおっしゃっているかまるで分からないのですね〜。
 軟禁状態のこの身。何を為すことができるやら、ご教授願いたいのですよ〜」

心底困った風に、或いはけらけらと嘲笑するように程立は笑う。くすくすと笑う。
その笑みに賈駆は激昂する。

「いい加減にしてよね!あんたらが物資の流通を妨げているってのは分かってるのよ!
 あんたら、何進より性質(タチ)が悪い!」

――控え目に言って洛陽の物流は混乱している。いや、滞っていると言ってもいい。それはこれまでの供給網(ルート)が機能していないからだ。
これにはわけがある。
洛陽の物流はかの何進の勢力下の商会が権勢を極めていた。心ある士大夫からは、みっともなく、利を卑しく喰う。蛮喰(ばろっく)商会と呼称される存在。
だが彼らの差配により、複雑怪奇な物流は運用されていたのである。が、それは破壊された。自然、代替の商流ができそうなものだが、それを賈駆は許さない。
管理できない物流の危険性を知っているからこそそれは許せない。

相対する程立は、目の前で柳眉を逆立てる少女を哀れにすら思うのだ。
既に彼女は、董家は詰んでいる。いや、市中の物流を滞らせているのは自分ではあるのだが。そして、蛮喰商会を魯粛の支配下に治めさせたのも自分なのだが。
そう考えると、目の前の少女が先ほど放った言葉は実に正しいのであろうな、と思う。思うだけだが。

「いやいや、魯粛さんを見くびっていましたかねえ」

賈駆が退出するのを見て。くふふ、と程立は笑う。
どんな手妻を使ったのか、確かに洛陽をかつて支配していた商流は手元にある。それを為した魯粛には程立も背筋に冷たい物を感じる。なるほど、主が目をかけるほどのことはある。
まあ、それはともかく。

「いやあ、明日のお米も肉も手に入らない。これが暴政でなくてなんでしょね〜」

くふふ、と笑う。艶やかに、哂う。

紀霊の悪評の八割は彼女の献策であるとまでに後世揶揄される彼女の本領はこれからであった。
196 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/03/10(火) 21:32:25.73 ID:AEwN0Gam0
本日ここまですー感想とかくだしあー

題名は
「前進」
くらいかな

思いつかないので、格好いい奴、オナシャス
197 :青ペン [sage]:2020/03/11(水) 10:48:42.41 ID:U4z8JThJo
>>196
乙乙の乙

仁の義と術、龍蛮の流
198 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/03/11(水) 20:05:36.35 ID:3rhsVJxZ0
華雄、何遂高を失うもなお武の頂を臨み、程仲徳、洛陽を枯渇させ董仲穎を奸賊に貶める。

そういやこれもらってましたわ
これまでの題名と比べて違和感ありすぎw
199 :赤ペン [sage saga]:2020/03/12(木) 13:52:09.55 ID:ECqCjuqY0
乙でしたー
>>192
>>稟ちゃんと今後の方針を打ち合わせたり、さっき食べた飯は流琉の差し入れだからものっそい美味しかったねと語ったりやら、 【〜たり】と(〜やら)を一緒にすると違和感が
○稟ちゃんと今後の方針を打ち合わせたり、さっき食べた飯は流琉の差し入れだからものっそい美味しかったねと語ったり、   もしくは【今後の方針の打ち合わせやら、〜語ったりやら、】でどうでしょう
>> さすれば、袁家に与するのであれば。 ればれば〜が仮定を重ねてるっぽいので
○ そうして、袁家に与するのであれば。 上の【旗色を鮮明にすべし。】の補強をする感じならこの方がよさそうかな
>>194
>>道半ばにして逝ったというのにそんなことを思う自分はきっときっと薄情なのだろう。 【きっと】を二回言ってるのはそう信じたくない時とかに【きっと、多分】とか不確実な時に重ねたりはしますが
○道半ばにして逝ったというのにそんなことを思う自分はきっと薄情なのだろう。    ここはこれでいいと思います
>>為すべきことのない、また、出来なかった今。  【出来なかった】なら過去っぽいかな
○為すべきことのない、また、為せる力も無い今。 もしくは【為すべきことの無くなった、また、出来もしない今。】とかどうでしょう
>>195
>>賈駆が退出するのを見て。       執務室に呼んだのに程立をソコにおいて部屋を出るの?何されるか分かったもんじゃないかと
○退出し、扉越しに賈駆を見やりながら。 怒鳴りつけてか苦虫噛み潰した顔でか歯ぎしりしながらかはともかく追い出すんじゃないかな

バロックワークスか…多分13人の数字で呼び合う男性幹部とかいたな
五斗米道が参加してくれたのは大きいね、医療のスペシャリスト集団とか完全に取り込む算段付いてるならともかくそうでないなら攻撃はしたらあかんわ
それにしても華雄さんの扱い雑過ぎへん?せめて武器は取り上げとけよw迂闊に触ったら暴発の危険性はあるけどさあ
賈駆?あの子はほら…ガイアがもっと不幸になれって囁いてるから(確か公式で理不尽な不運キャラとかあったよね)
200 :青ペン [sage]:2020/03/13(金) 23:49:18.92 ID:Y4HBPR4/o
>>198
あったんかーい(ずこー)
201 :俯瞰者 ◆e/6HR7WSTU [sage saga]:2020/03/15(日) 19:26:02.54 ID:C/9fWUgH0
乙です。

風さん魯粛さんえげつない事すんなぁ……(絶句)暴政の風評を立てようって策だろうが正直嫌いです。
理由?自分で商売やってりゃこの手の嫌がらせが一番かなわん。つか洛陽の庶民は民じゃないのね、風さんからしたら。
正直、董卓陣営に肩入れしたくなりました。

ここの華雄さんは果たして猪武者やらかすのかねぇ、師匠が師匠だけに本人も正しい脳筋の道を歩いていると思うのですが……
202 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/03/16(月) 21:16:44.63 ID:WZVfEUoH0
>>199
赤ペン先生いつもありがとうございますー!

>五斗米道が参加してくれたのは大きいね、医療のスペシャリスト集団とか完全に取り込む算段付いてるならともかくそうでないなら攻撃はしたらあかんわ
二郎ちゃん、医療については応急処置以下、どちらかと言うと公衆衛生の方にしか知識がないのですよね

>それにしても華雄さんの扱い雑過ぎへん?せめて武器は取り上げとけよw迂闊に触ったら暴発の危険性はあるけどさあ
UTUWAを見せたいところなのでしょう
初手抵抗されなかったのも大きいです

>賈駆?あの子はほら…ガイアがもっと不幸になれって囁いてるから
ひどE

>(確か公式で理不尽な不運キャラとかあったよね)
まじすかそれは初見情報な気がするます。忘れているだけかもしれませんが。

>>200
いや、それをやるとは言ってないというか。
前段というか前身にてもらってたなというだけっす

>>201
どもです。

>風さん魯粛さんえげつない事すんなぁ……(絶句)
実際えげつないです。発想もそうですが、それを実現できる彼女らの能力もえげつない。

>この手の嫌がらせが一番かなわん。
やられた方はたまったもんじゃないですよね。

>つか洛陽の庶民は民じゃないのね、風さんからしたら。
さて。

>正直、董卓陣営に肩入れしたくなりました。
同情の余地は大いにございます。

>ここの華雄さんは果たして猪武者やらかすのかねぇ、師匠が師匠だけに本人も正しい脳筋の道を歩いていると思うのですが……
ご期待くださいませませ。
203 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/03/16(月) 21:19:13.99 ID:WZVfEUoH0
実際俯瞰者さんの良識には背筋がピンとなる感あります
こういう方がいるから世の中捨てたものじゃないって

赤楽さんが張紘くんを見るとこうなるのかなって感じで腑に落ちた感すらあります
204 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/03/16(月) 21:24:39.33 ID:v3ffqGkn0
>>自然、代替の商流ができそうなものだが、それを賈駆は許さない。
まあ賈駆も自分が権力握るために物流ぐちゃぐちゃにしてるし・・・賈駆が自分がうまくやるために他の商人の足引っ張てるのと、程立が董卓の治世を貶めるために商人の足引っ張てるのを一緒くたにしちゃいかんかもしれんけど
とはいえ多分ぎりぎりでコントロールしてるのかもしれない、死なない程度に・・・程立はともかく慮粛は飢えの苦しみ知ってるはずだし
205 :赤ペン [sage saga]:2020/03/17(火) 09:35:31.25 ID:kgiIPTtU0
ピクシブの人物紹介で>>一ヶ月に一度、超絶的に不幸な日があり、自分ではなく回りの住人を巻き込んで大騒動を起こす。なお、今までに死人は出ておらず、月には一切被害を与えてはいないらしい。  とあったものでw
ちなみにそれは【恋姫無双】と【萌将伝】の設定で【真・恋姫夢想】とアニメ版では無いっぽいですな
206 :青ペン [sage]:2020/03/17(火) 11:46:58.58 ID:YvwkCmtQo
>>202
あー、ね。
リライト/リトライ前に案としてもらったやつね
207 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/03/17(火) 21:21:20.47 ID:gHMLdQLZ0
>>204
>まあ賈駆も自分が権力握るために物流ぐちゃぐちゃにしてるし・・・賈駆が自分がうまくやるために他の商人の足引っ張てるのと、程立が董卓の治世を貶めるために商人の足引っ張てるのを一緒くたにしちゃいかんかもしれんけど
>とはいえ多分ぎりぎりでコントロールしてるのかもしれない、死なない程度に・・・程立はともかく慮粛は飢えの苦しみ知ってるはずだし
コメントしづれえw
何言ってもネタバレになりそうなので脱兎です

>>205
>ピクシブの人物紹介で>>一ヶ月に一度、超絶的に不幸な日があり、自分ではなく回りの住人を巻き込んで大騒動を起こす。
あ、それ見たことありますわ
当時不憫枠なのかネタ枠なのか混乱した覚えがありますねw

>>206
それっす
今回話の尺が合ってないのですが、すげーの考える人いるなーと思ったものです

文才が欲しい!
208 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/03/17(火) 21:42:53.80 ID:gHMLdQLZ0
「うわ、すごいね、すごいよ!ご主人様!すごい人!それになにあれ!すっごい建物!」

「おいおい、桃香、あんまりはしゃぐなよ」

窘めつつも北郷一刀も驚くほどの人の集まり。それにちり、と郷愁にかられる。ごく僅かに、だが。
それを意思の力でねじ伏せ、周囲を見るとあちこちで工事が進んでいる。その忙しげな槌音にどこか安心するものを感じる。

「ほらほら、そこ邪魔やで、邪魔してんでー。ちょーっと脇にどいてくれへんかなー」
「あ、その!ごめんなさい!」

何やら図面を手にした少女が喧しくあっちへいけ、こっちは邪魔だと指示をしてくる。
本来であればびしり、と動くはずである配下の兵の動きも鈍く、人知れず赤面する。
関羽、張飛の調練により子飼いの兵は精鋭たりえるのであるが、今率いるのはそのような精兵だけではない。

――義勇軍、である。
無論劉備一行自体もそれに当たる。言ってしまえば、勝ち馬に乗り、あわよくば恩賞を得ようとする半ば愚連隊が多いのが特徴か。
だが袁家とてそ、れらを無下にできぬ、できぬのだ。
世に大義を謳う以上はそういった存在を無下にはできぬ。むしろその、義勇軍の存在こそ世に正当性を主張する一助にもなるのだから。

――もっと言えば、追い返せば野盗になるであろうそういう存在を飼殺すくらいの財力はある、ということでもある。

そこまで読み切っているのは劉家軍――道々そういった義勇軍を吸収して今や五千弱の大軍である――の中でも諸葛亮と鳳統くらいであろうが。

「うし、こっからだ。こっから始まるんだ」

なんにせよ、北郷一刀は気合十分である。ここから劉備という英傑の栄光は始まるのだ。
関羽に張飛。それに伏竜、鳳雛。
そしてその価値を知る自分がいるのだ。

飛躍を内心誓って歩を進める。そしてかけがえのないパートナーに声をかける。

「行こうか、桃香。少し遅くなっちゃったな。
 そして見極めよう。反董卓連合がいかなるものかを、さ」
「うん、ご主人様!行こう!」

義勇軍とは言え、無視できないほどにその兵は多く、将は英傑。
であるから袁家からは会議への出席を許されていたのだ。
ただし参加の人員は二名のみ。諸侯と同じ条件であるから、破格と言っていいであろう。

諸葛亮は自分か鳳統を伴うように主張していたが、自分と劉備が足を運ぶことを決める。

だって、二人は一心同体。まさに、雌雄一対の剣であるのだから。
209 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/03/17(火) 21:48:23.04 ID:gHMLdQLZ0
◆◆◆

「ほな、道の整備を最優先ってことでええのん?」
「ああ。補給物資が遅滞したらそれだけで瓦解する。街道の整備により兵站の負担をちょっとでも軽くする。
 街道整備の見込みと進捗は張紘と共有化するように。あいつなら、それに合わせて計画を修正するだろうしね」
「はいな、了解や。まあ、確かにおまんまがなかったら人夫も動かんわ」

にこ、と無防備に笑う真桜はううん、と一つ伸びをする。

「あんまり根つめるなよ?倒れたら元も子もないんだからな」
「大丈夫やでー。二徹や三徹かて普通やからな。むしろいつもよりお休み頂いてるくらいやよ。
 まあ、でも二郎はんが心配してくれてるからお言葉に甘えてもええかなあ」

にひひ、と笑いながらすりすりと身を摺り寄せてくる。うん、役得役得。
いやあ、おにゃのこの身体ってどうしてこんなに柔らかくて、あったかくて、素敵なんだろうね。
などと思いながら真桜の身体の柔らかさを堪能する。本当に役得様々、というやつである。

「いや、でもほんま今回はどうなることかと思っとったけどなあ。五斗米道の衛生兵ってやつ?
 あらすごいわ。どうしたってうちらの作業中は事故が起こるからなあ。
それがどうや、軽傷やったら気の力?って奴であっちゅうまに完治や。
 正直うちみたいな技術屋からしたら解せんねんけどな。まあ、気のどうたらこうたらはよう分からんわ。凪がおらへんかったら今でも胡散臭いと思ってたやろうな。
 せやからな、あの衛生兵、引っこ抜いてえや」

つんつんと俺をつついての真桜のおねだりである。
まあ、いつの世も……現代だって労災というか、事故っていうのは発生するものだしなあ。
そっからの復帰が早いとなれば工兵の士気も高まるってものか。いや、工兵に限らんだろうけど。

「一応、技術指導の打診はしているし、色よい返事も貰ってる。流石に華佗とかみたいな達人は無理にしても、治療の技術はある程度譲渡してくれるだろうさ」
「ほんま?いやあ、持つべきものは頼れる上司やわあ。ほんま、惚れ直したで!」

おどけてすり寄ってくるが、その瞳には真剣な光が宿っていたのを見逃さない。僅かに潤んでいる瞳を喜色で隠そうとする。
きっと、色んな現場で起こった事故を目の当たりにしてきたのだろう。
些細なミスで起こる事故。かつては何があっても自分の身一つであったのに、今となっては真桜のミスは即ち部下にその被害が及ぶのだ。
いっそ自分が傷ついた方が気も楽なくらいだろう。わかりみ。

「幸い張魯殿と華佗なんていう超一流の達人が来てくれているんだ。関係だって悪くない。だからまあ、大船に乗った気で任せろって」
「うん。二郎はんに任せたわ。よろしゅうたのんます」

いつになくしおらしい真桜をぎゅ、と抱きしめてやると、きゅ、と応じてくる。

「二郎はん……」

潤んだ瞳で俺を見上げて、そ、と目を閉じる。
そして、唇を重ねようとしたとき。

「やほー、二郎様ー!たんぽぽだよー!」

これは気まずい。実に気まずい。
ぎぎぎ、と軋んだ音をたてながら声の主に視線をやると、あちゃーという顔をした蒲公英と、ギロリとこちらを睨む翠がいました。

解せぬ。

わたわた、と慌てて真桜は場を辞し、取り残された俺の気まずさといったら、もうね。やめて!俺のライフはもうゼロなのよ!である。
210 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/03/17(火) 21:49:29.04 ID:gHMLdQLZ0
だが、沈黙しててもしょうがないのでこの状況を変えようと口を開く。

「このたびは、馬騰さんは真(まこと)に残念なことに……」

言い募ろうとした俺に蒲公英が言葉をかぶせる。

「袁家家中においても同様。お悔やみ申し上げます。
 かの匈奴戦役よりの宿将、雷薄どのをはじめ有望な人材を喪ったというのは――」
「いや、ご当主を亡くされた馬家に比べれば。こちらこそお悔やみ申し上げる。
 本当に偉大な方だった。英傑、というのは馬騰さんのことを言うのだろうさ」

暫し、しんみりとした空気が流れる。うん、さっきまでのいたたまれない空気よりははるかにましだ。
いや、馬騰さんを悼んでいるのは本当だ。
本当に、益荒男というのは、武人というのは、馬騰さんのことなのであろう。そんな人だった。

「――にしても遠路はるばる感謝するよ。実際、馬家単独で函谷関に挑むかと思っていたからな」

実際、危惧していたのだ。馬家はその怒りのままに函谷関に押し寄せるのではないかと。
それに、袁家の呼びかけに易々と応じるかという懸念もあった。ある意味袁家の下風に立つに近しいからな。

「は、戦場が虎牢関と水関ならば、あの張遼と対する機会を失うかもしれないじゃないか。
 董家軍を討つのはいい。だが、張遼だけは私に討たせろ。父上の仇を、そのために私はここにいるんだ!」

その瞳には暗い炎が宿っており、思わず一歩後ずさってしまいそうになる。
はい、全力の翠の前ではクソ雑魚ナメクジだからね。仕方ないね。

「神速の張遼。いいだろう。そこについては馬家軍に任せるさ」
「ならばいい。陣構えとか、そんなのはどうでもいい。張遼を討つためならば馬家軍は最後の一兵まで火の玉となって燃え尽きることも厭わん!」

それだけ言って翠は踵を返す。
なーんかなあ。もっと明るく笑う女の子だったのになあ。などと思っていたら蒲公英が俺の耳元で囁く。こしょこしょと。

「ごめんね、二郎様。でも、お姉さまの手綱はたんぽぽに任せてね?
 今のお姉さまと遣り合えるとしたらそれこそ中華に三人といないと思うけど、なんか危ういんだよねー。
 それはそれとして、お姉さまが言った通り馬家は反董卓連合の主導権について袁家と争うつもりはないよ。
 だからまあ、色々大目に見てね?」

「こら、蒲公英!行くぞ!」

はーいと応えながら蒲公英は踵を返す。一度振り返り、にこやかに手を振ってくる。

反董卓連合。
漢朝でも有数の雄たる馬家が、主導権をあっさりと譲ってくれたことに俺は安堵する。
ここでごねられるとちょっとばかし面倒だったからな。

これでひとまず稟ちゃんさんに大きな顔ができそうだ。

いよいよ、反董卓連合の第一回の会議が開かれるのだ。
ああ、メイン軍師の不在が痛い!

風!カムバーック!
211 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/03/17(火) 21:52:19.31 ID:gHMLdQLZ0
本日ここまですー感想とかくだしあー

題名案

思惑

もらったの
紀霊、李曼成と親しく語らい、錦馬超、馬伯瞻を伴い連合に合流す。

ご参考ください。
特に一ノ瀬の題名のアレっぷりに!
212 :青ペン [sage]:2020/03/18(水) 09:11:08.78 ID:WHRFvlD2o
>>211
おーつー

反董卓連合〜怨霊の牙〜
213 :赤ペン [sage saga]:2020/03/18(水) 12:41:41.25 ID:9h447P+j0
乙でしたー
>>208
>>だが袁家とてそ、れらを無下にできぬ、できぬのだ。  これはケアレスミス
○だが袁家とて、それらを無下にできぬ、できぬのだ。  ですね
>>ただし参加の人員は二名のみ。諸侯と同じ条件であるから、破格と言っていいであろう。  【ただし】だと条件の付け方が厳しめな印象を受けますね
○それも参加の人員は二名まで。諸侯と同じ条件であるから、破格と言っていいであろう。  もしくは【ただし参加の人員は二名のみ。とはいえ諸侯と同じ〜 でどうでしょう】
>>209
>>にひひ、と笑いながらすりすりと身を摺り寄せてくる。 【すりすりと】とあるってことはこれはにじり寄ってくるのじゃなくて体をこすりつける…マーキングっぽいものかな?
○にひひ、と笑いながらじりじりと身をすり寄せてくる。 一応≪距離を詰めてくる≫感じならこれで
○にひひ、と笑いながら猫のようにじゃれついてくる。  頭を擦り付けたり腕を絡ませたり太ももの上に乗ったりならこんな感じ?【体を擦り付けてくる。】とかもありかな?
>>正直うちみたいな技術屋からしたら解せんねんけどな。 喋り言葉としては有りでしょうけど一応
○正直うちみたいな技術屋からしたら解せねんけどな。  【解せん≒解せない】で否定が入って【ねん≒無い】でもう一回なので≪解せなくもない≫になって肯定になるので、もしくは【解せんのやけどな。】とかどうでしょう
>>わたわた、と慌てて真桜は場を辞し、 実際に擬音っぽい感じ≪ガチャガチャ、とノブを回す≫とか≪スパスパ、と紙を切る≫ではなく≪サクサクと話が進む≫とか【ちらちらと見え隠れする】のような副詞なので
○慌てた真桜はあたふたと場を辞し、  の方がいいと思います、もしくは【そそくさと】とかどうでしょう
>>210
>>だが、張遼だけは私に討たせろ。父上の仇を、そのために私はここにいるんだ!」  文章としては【、】と【。】が逆の方がよさそう
○だが、張遼だけは私に討たせろ、父上の仇を。そのために私はここにいるんだ!」  倒置法で【父上の敵を討たせろ】になるので【、】の方が自然かな

地位で見ると馬騰の部下っぽいものなあ…董卓。どこの誰に殺されるだけならまだしも自分の部下に、となると名に傷がつくどころじゃ無い(反逆させるほどの人望で、反逆される程の腕前ってこと)…そりゃあ全力で汚名返上しますわ
そういや五斗米道的に気の扱いってある程度系統立ってるのね…特殊な才能は必要なんだろうけど
214 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/03/19(木) 05:54:59.16 ID:HfDTa1O10
>>212
どもです。
反董卓連合、はどっかで使いたいですね

>>213
赤ペン先生いつもありがとうございますー!

>地位で見ると馬騰の部下っぽいものなあ…董卓。
少なくとも派閥の構成員ではありますものねえ

>)…そりゃあ全力で汚名返上しますわ
翠ちゃんはそこまで考えてないような気もしますが、結果オーライ……っ!なのかな

>そういや五斗米道的に気の扱いってある程度系統立ってるのね…特殊な才能は必要なんだろうけど
凡将伝ではそういうことになっております
特殊技術みたいな。
215 :俯瞰者 ◆e/6HR7WSTU [sage saga]:2020/03/21(土) 13:39:08.61 ID:mWvmytl60
彼岸でしたので、極楽浄土と天界でそれぞれの道を歩んでいるであろう兄姉達に弟か妹が出来た事を報告し、お父さんとしてそっちに連れて行かないよう厳命しました。
で、乙です。

二郎さんや、だからね嫁はちゃんと一人にしなさいとあれほど忠告しているのに。
具体的には幼馴染とかさ(押せ押せ)
来たな。天のパシリ。とりあえず、0.02ミリくらいの厚さしかない発言を皆でフルボッコしてやって。

>赤楽さんが張紘くんを見るとこうなるのかなって感じで腑に落ちた感すらあります
赤楽(徐庶)さんはもうすこし深く見て、張紘さんの立場と策を練った人物の意図も理解して、それでも抑えらない部分だけ理路整然と張紘さんを傷つけないように指摘するでしょうね。
つうか張紘、いつになったら「これ、俺の嫁」って義兄弟二人に紹介すんの?何度も言うけど絶対捨てるな、絶対逃がすな、絶対愛想つかされるな。
対外的な既成事実を作りなさいよ。

二郎さん、真桜さんのほてり(意味深)は後でちゃんと静めてあげてねっとwww
216 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/03/23(月) 21:26:02.01 ID:HiHelYOB0
>>215
どもです。
諸外国のコロナの影響に戦慄しております。
やべえよ……。

>二郎さんや、だからね嫁はちゃんと一人にしなさいとあれほど忠告しているのに。
タグに、ハーレムって入れちゃったので……っ

>具体的には幼馴染とかさ(押せ押せ)
俯瞰者さんの推しについては、当初案では退場予定でしたので、えらく違いが出たなあとかなんとか

>来たな。天のパシリ。とりあえず、0.02ミリくらいの厚さしかない発言を皆でフルボッコしてやって。


>つうか張紘、いつになったら「これ、俺の嫁」って義兄弟二人に紹介すんの?
嫁さんの方が拒絶しているのを押し通す日が来るのか
さて

>何度も言うけど絶対捨てるな、絶対逃がすな、絶対愛想つかされるな。
どれもないかと思います。比翼連理とはこのこと。

>二郎さん、真桜さんのほてり(意味深)は後でちゃんと静めてあげてねっとw
ちょw
217 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/03/24(火) 21:45:35.10 ID:xaOINL0f0
「ふむ、水関には張遼、呂布、陳宮が詰める、か。さっすが張家。きっちり調べてきたな」

手元の書類を火にかけて処分し、暫し思索にふける。詠ちゃんが水関にいないということはまだ月の身柄を押さえていないということか。
ならばさっさと攻勢をかけるべきかもしれないな、とぼんやり思う俺に声がかけられる。

「あの、二郎様。お食事、お口に合いませんでしたか?」

不安げに流琉が問うてくる。そんなわけないじゃん。

「いや、ちょっと考え事してただけさ。美味しいよ」

ほっとしたように流琉が笑う。流琉謹製のご飯がまずいわけがないのである。
――本来は戦場に於いては兵たちと同じ物を食べるのだが、今回はそうもいかない。
なんとなれば諸侯軍が集結しており、毒を盛られることも大いにあり得る。
なので袁家幹部は信頼できる料理人――流琉や凪も含む――により特別に誂えられた料理を、これも厳選された人物が配膳することになっていた。
これは七乃が強硬に主張していたことであり、袁家においては当然のごとく容れられている。
まあ、ちゃっかりとその食事を要求してきた華琳も流石と言えば流石ではある。なにせ今回の乱はそもそも宦官の動きがあったからな。
自分はそことは無関係というのを一緒の食事を摂ることで示しているのであろう。いや、勘ぐり過ぎかもしらんがね。
まあ、華琳のことだ。美味い飯が食いたいだけってのもあるだろう。あの子相手にするときは考えすぎたら負けである。多分。

「まあ、流琉のことも頼りにしてるよ。ほんとに」

流琉は美羽様の護衛を主任務として動いてもらっている。単体の武力で言えば袁家内部でも五本の指に軽く入るのだから当然だ。
それを感じているのか、真剣なまなざしで応えてくれる。いや、流琉はいつも真面目なんだけどね。

「はい、一生懸命、頑張ります!
 ――雷薄さんには、とってもお世話になりましたから!
 本当に、お世話になってたんです!
 ……本当に、色々と気にかけてもらってたんです」

そ、と目を伏せる流琉のまだ小さな身体をすっぽりと抱え込む。

「え?じ、二郎様?」

ぎゅう、と抱きしめてから膝の上にだっこしてやる。

「そうだな、頑張ろうな。俺だって雷薄には色々世話になった」

がしがしと流琉の頭を乱暴に撫で繰り回す。
ああ、あいつは本当に世話焼きだった。本当に助けられた。
実際、あの偉丈夫の後押しがあったからこそ、若僧の俺が紀家軍を上手く運営できたというのは確定的に明らかなことである。

「目にもの見せてやろうな。見せてやるとも。
 だからさ、頼りにしてるからさ。あんまり気張るなよ?いざって時に備えて、な?」

「は、はい……」

そんなふうに流琉を愛でていた俺の耳に、たん、たん、と。元気のいい、踊るような足音が聞こえる。そして。

「じろー!ひっさしぶりー!」

どーんといった風に突撃してきたのはシャオだった。

「あ、流琉もいたんだ、久しぶりだねー」

そんなことを言いながらよっこらせとばかりに俺の膝に昇る。
流琉と仲よく分け合う形である。
なにこの両手に幼女状態。

◆◆◆
218 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/03/24(火) 21:46:29.91 ID:xaOINL0f0

女三人集まればなんとやら。
いや、幼女二人でも十分に賑やかである。その震源地が俺の膝の上であるからして、こう、なんだ。元気だねえとしか。

「ねえ、二郎。最近ご無沙汰でしょー?こう、身体が火照って、夜鳴きするのよねー」

不意にそんな言葉を投げかけてくるのだが……。
ちょっと待ってみようか。

「誰に仕込まれたそんな台詞。十年早いぞ」

「えー、祭に聞いたらこう言って迫ったら、よほどの甲斐性なしじゃなければ可愛がってくれるって言ってたよー。
 二郎は甲斐性なしじゃないからシャオを可愛がってくれるよね?」

「あのなあ……」

なに教えてんだあの熟女。つうかそんなノリなのか孫家ってば。
思わず天を仰ぐ俺を流琉が心配そうに見つめる。うん、お前は汚れずにいてくれ。
内心滂沱している俺はだから、更に接近する存在に気付かなかった。

「二郎、久しぶりね!
 ……ってシャオ!何してるの!二郎、貴方も!って。
ええと、二郎貴方疲れてるの?」

なんだこのカオス。
両手に幼女の俺を糾弾しつつ気遣うのは蓮華。そしてその後ろに控えるのはあくまでにこやかな笑顔の穏である。
……ぼすけてー。

しかし現実は非情、助けが入るわけもない。

「じゃあ、二郎、美羽のとこいくね!流琉もいこ?」

「え?え?」

どうしましょうと見上げる流琉に軽く頷く。
行っておいで、と。

たたた、と去る幼女二人を見送り、残された俺はどうしたらええっちゅうねん。
いや、シャオはあれで空気読んで出てったんだろうけどね。それともここまで全部ブック通りだったらすごい。フフ、怖い。

「……シャオが迷惑かけたかしら?」

気遣うような蓮華。その優しさがちょっと心に痛い!でもその好意に甘えちゃう!

「や、流琉も気を張ってたからな。ああして気分転換できるのはありがたいやね」

「あら、気分転換しないといけないのは二郎、貴方じゃなくって?
 いつもの余裕が感じられないわよ?」

いや、別にいつだって余裕綽々というつもりはないんだが……。

「そうかな?ま、とりあえずは参軍に感謝するよ、蓮華」

「ええ、他ならぬ二郎の呼びかけですもの。お呼びとあらば、即参上するわよ?」

いたずらっぽく笑う蓮華である。うはは。
そりゃあ、実にありがたいこって。

「にしても、まさかシャオまで連れてくるとは思ってなかったよ」

敵には神速の張遼、万夫不当の恋、そして神算鬼謀の詠がいるのだ。何があってもおかしくはない。

「あら、私は分のいい賭けは大好きよ?二郎はどうかしら?」

「賭け事をするならば胴元に限る」

くすくす、と蓮華が笑う。穏の笑みが深くなった気がする。

「そんな二郎だもの。大きく張るわよ。全力買いよ?
 そりゃあ、私とシャオが儚くなってしまったならば孫家は潰えてしまうわ。
 でもね、シャオは単に孫家の覚悟を表すだけじゃないのよ?」

純粋に戦力として動員しているのだと蓮華は笑う。

「正直、戦場に於いて既に私はシャオに及ばないわ。悔しいけどね。
 母様や、姉さまみたいにね。
重ねて言いましょう。戦場での煌きにおいてシャオは既に私を凌ぐわ。
 嘘だと思うなら前線に出してみたらいいわ。あの子、末恐ろしいわよ?」
219 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/03/24(火) 21:47:15.36 ID:xaOINL0f0
マジか。
如南でのアレはてっきり穏あたりのフォローがあってこそと思ってたんだが。
まあ、用兵なんてのは生まれ持ってのセンスによるところが大きいからなあ。

――世に名高い「孫氏の兵法」その英訳題は「The Art of War」である。
つまり、戦争とは芸術、なのである。それはきっと凡人の理解が及ぶところではないのだろう。
つまり俺には分からないということである。

だから俺は。凡人たる俺は風に、星に、稟ちゃんさんに下駄を預けるのだ。
それが勝つためには最善だと思うから。俺が見込んだ芸術家に全幅の信頼を寄せることしかできないから。

そして目の前には戦争芸術家一族の当主が微笑んでいる。フフ、本当に怖い。

「だからね、二郎」

にこやかに蓮華が微笑む。今後ともよろしくと。
だったら俺にできるのは馬鹿みたいに首を縦に振ることしかない。

「そうですよ、二郎様」

穏がにこにこと蕩ける笑顔で迫ってくる。
自分たちは姉を、師をも切り捨てて俺に賭けたのだと。

「孫家は袁家と一心同体。それは、わきまえてくださいね?」

無論。

「ああ、無駄に孫家とことを構えるほど阿呆じゃないさ」

「そこまでは言ってませんよ?それに、そんなに他人行儀だと、哀しくなっちゃいますー」

いやんいやんと身を振るうそのしぐさにも目が釘付けになってしまう。主に胸部装甲あたりに。シェイクシェイク。ぶるんぶるん。

「……色々、変わってないわねえ……」

そんな蓮華の呟きは聞こえないふりをするに限る。うむ。
うむ。ありがたや、ありがたや豊穣の象徴よ……。

そして彼女らの隙をついてこの場から立ち去ろうと決意する俺であった。
いや、やろうと思えばやることいっぱいあるしね!

◆◆◆
220 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/03/24(火) 21:47:46.10 ID:xaOINL0f0
「……ふう」

風が吹く。乾いた風が吹いている。黄色い大地を風が吹いている。

振り返ると、大軍。反董卓連合だ。そして眼前には水関。文字通り難関である。
いや、前も後ろもピリピリしてるね。当たり前だけんども。

しかし目にすると、あれだ。ため息が漏れるね。
ここからガチで恋とか張遼とか……詠ちゃんとかと命のやりとりをするんだから。
これまでの、野盗の類とか黄巾とかを相手していたのとは訳が違う。

そんな俺のおセンチな感傷をぶちこわしにする声が響く。

「七乃〜、喉がかわいたのじゃ〜。蜂蜜水を持ってたもれ〜」

「えー今日はもう駄目ですよー。おしっこもらしても知りませんよー?」

「うう、七乃はこっちに来てから意地悪なのじゃー」

がくり、と崩れ落ちそうになりながら、それでも口に笑みが浮かぶのを押さえられない。

「ってなんで美羽様がここにいるんですか!危ないでしょう!
 きちんと陣にいてくださいな」

「退屈なのじゃー。いい加減、飽きたのじゃ。のう、シャオ、流琉?」

「そうだよー、とりあえず一当てしようよー」

「わ、駄目ですよ。お二人とも、二郎様を困らせては……」

きゃいきゃいと騒ぐ幼女三人に腰が砕けてしまう。
まあ、何があっても美羽様はお守りするけどね。

いや、いい感じで力が抜けた。
改めて水関を見る。
でかい。

「うん、無理だな」

俺ごときが見てもそんな、攻略案が出るわけもないよね。
まあ、なんとかするさ、なんとかしてくれるさ。

いや、メイン軍師が横にいないのがものっそい不安だけどな!

「さ、陣に戻りましょう。次に来るときは――」

きっと激戦になるだろう。血で血を洗うんだろう。それでも俺は、俺たちは止まれない。
もはや賽は投げられたのだ。

反董卓連合か、なんとも心が沈む響きだね、と苦笑しながらそれでも俺は止まらない。
なんとなれば、賽は投げられたのだ。

踵を返し、陣に向かう。

待ち受ける、参戦した諸侯を集めての会議に思いを馳せる。
まあ、なんとかなるさと苦笑しながら歩いているとぴとり、と貼りついてきたのが。

「二郎?あまり難しい顔をするでない。笑う門には福来る、なのじゃ」

気遣わしげに見上げる美羽様である。
あまりに可愛らしいので、えいやと持ち上げて肩車してやる。

「わ、高い。高いのじゃ……」

「あー、美羽、ずるーい、二郎!シャオもー!ってほら、流琉もおいで!」

シャオと流琉をそれぞれ両脇に抱えて。
なんだかその感触が懐かしく、笑ってしまう。

「ああ、美羽様可愛いなあ。あんなに無邪気にはしゃいじゃって……。ああ、美羽様のあの表情が見れたのはいいけど肩車している二郎さんが妬ましいぞーこのこのー」

幼女に囲まれ、七乃にこづかれ、なんだかもう抱いていた煩悶はどこへやら、である。

いやまあ、一人じゃないって、素敵なことよね。

よし、と気を取り直した俺でございました。
221 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/03/24(火) 21:49:45.69 ID:xaOINL0f0
本日ここまですー感想とかくだしあー

題名募集しまくりんぐですよ本当に!

一ノ瀬案
「凡人と水関」

まあ、今回はこれで決まりでしょ。
1話と繋がりますしね(慢心)

頑張るぞいっと。
222 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/03/25(水) 02:17:02.83 ID:0UMsQdYTO
乙っしたー

凡人策を浮かばず、作者題名を浮かばず

1話に戻って8回ループするのですねww

タイトル案
凡人、悩みを幼女にて解決する
戦場の三美姫
嵐の前の幼女
223 :青ペン [sage]:2020/03/25(水) 05:03:36.49 ID:aO4/jWXwo
>>221
おっつおつー

見下ろすは水関、蠢くは連合軍
224 :赤ペン [sage saga]:2020/03/28(土) 13:03:24.58 ID:hTUhQ/+i0
乙でしたー
>>218
>>内心滂沱している俺はだから、更に接近する存在に気付かなかった。  ちょっと違和感が
○内心滂沱している俺は、だから更に接近する存在に気付かなかった。  ≪裸≫と空目したことは関係ない
>>219
>>「孫家は袁家と一心同体。それは、わきまえてくださいね?」  【わきまえて】だと上から目線な感じがしますね二郎ちゃんが自分から言うならともかく
○「孫家は袁家と一心同体。それは、忘れないでくださいね?」  もしくは【覚えていてくださいね?】自覚を促す感じならこれ?【弁えていますからね?】自分たちは裏切らないよ、と釘を刺す感じならこうもありかな?
>>220
>>もはや賽は投げられたのだ。          この後でもう一回言ってるのが冗長くさいので言いかえを
○もはや止まることは、後戻りはできないのだ。 でどうでしょう

公園の花見が規制されるだって!?前日に花見しなきゃ…とか言ってるのをテレビで見てどういう顔をすればいいかわからなかったよ
コロナのせいで私の中で中国へヘイトが向いてます…これは凡将伝に対しても理不尽な難癖がつくフラグですよ

さて、胴元大好き二郎ちゃんと分の悪い賭けは嫌いな蓮華ちゃん。一皮剥けて好相性になったな
ところで流琉ちゃんはすでに男を知っているんだから体が火照って夜泣きするのなんざ十分理解してるのでは?(迷推理
華琳はいろいろと考えて一つの行動にいくつも意味を持たせてそうだけど多分そのうちの一つは二郎ちゃんの好感度稼ぎな気がする…多分まだ部下にするの諦めてないよ
225 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/03/30(月) 21:24:39.43 ID:vHsx831u0
>>222
どもです。

>」凡人策を浮かばず、作者題名を浮かばず
はっはは!喧嘩売ってんのかてめえ!
となる案件なので、秀逸な奴をオナシャス。頼んだよ。

って思ったらええ感じの奴を頂いてたー!
幼女だー

>>223

>見下ろすは水関、蠢くは連合軍
水、見上げてるんだよなあ……
いや、分かってるんでうよ

>>224
赤ペン先生いつもありがとうございますー!
赤ペン先生いつもありがとうございますー!
大事なことなので二回言った。

>公園の花見が規制されるだって!?前日に花見しなきゃ…とか言ってるのをテレビで見てどういう顔をすればいいかわからなかったよ
割と数日で事象が動いておりますね

>コロナのせいで私の中で中国へヘイトが向いてます…これは凡将伝に対しても理不尽な難癖がつくフラグですよ
やっべとうとう凡将伝も国際化かあ
恩恵とかあるんじゃろか

>さて、胴元大好き二郎ちゃんと分の悪い賭けは嫌いな蓮華ちゃん。一皮剥けて好相性になったな
これ、一方的に二郎ちゃんが胴元発想っす

>ところで流琉ちゃんはすでに男を知っているんだから体が火照って夜泣きするのなんざ十分理解してるのでは?(迷推理
<(_ _)>

華琳ちゃんはね、本当に恋愛弱者じゃ^
226 :青ペン [sage]:2020/03/30(月) 23:37:28.91 ID:egiJg4OCo
>>225
山の上から布陣を見下ろしてるように
脳内変換してくんろぃ
227 :赤ペン [sage saga]:2020/04/01(水) 10:13:53.86 ID:C+QfAVzW0
(連合軍を)見下ろすは水関、(水関を突破するべく)蠢くは連合軍  って意味かと思ってたもしくは
(戦場を)見下ろすは水関、(戦場に)蠢くは連合軍  とか
228 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/04/06(月) 21:36:17.20 ID:TCMDsT8z0
じろり、と俺は会議室に集った面子を見やる。
空席はもう上座の数席のみ。まあ、ぶっちゃけ麗羽様と猪々子、斗詩なんだがね。
美羽様は七乃の膝の上でうとうとと、おねむなご様子してるがまあ、七乃がいりゃあ問題はないね。十分以上だね。
曹家からは華琳と荀ケ(ネコミミ)。華琳は悠然と瞑目し、ネコミミは何かぶつぶつ呟きながらも油断なく周囲を窺っている。その挙動は実に小動物であり、可愛さしかないね。
馬家からは翠と蒲公英(たんぽぽ)。翠も瞑目し、微動だにしない。蒲公英は……目が合うと手を振ってくる。ウインクは余計だと思います。だって応えちゃうもの。
苦笑して視線を移すと白蓮と……ありゃ韓浩か。久しぶりすぎるな。相変わらず表情筋仕事してねえなあ。あれで愉快な言動なの、白蓮は分かってるのかなあ。いあ、目配せ一つ。多分あれは通じてますわ。

そしてにこりと、蓮華と穏が笑いかけてくれる。うん、にへらと笑顔で返そう。返すしかないよ。
ちなみに劉焉殿の配下の厳顔については列席を許していない。劉璋ちゃんが人質だから観戦武官でよろしくとか言われても困るっつうの。
そっからこっちの情報を手札に何をするか分かったもんじゃないしね。

コホン、と咳払い一つ。横の稟ちゃんさんが鋭い目を向けてくる。いいじゃんかよこれくらいー、と思いながらもきりりと表情を引き締める。
まあ、傍目には変わらんだろうけどね。

目の端で末席の劉備と北郷一刀を見やる。あちこちきょろきょろしたり、キャッキャウフフと……って孔明がおらんのかいな。
いや、その方が都合がいいんだけどいいのかそれで。と思うが、二人までの出席となるとこの場に孔明は出せないな。
だって諸侯が連なるこの場でどちらが欠席するのも容認できんだろう。いびつな二頭体制だからなあ。
まあ、どうでもいいけどね。

と、扉が開き、そこから光輝が溢れる。
斗詩と猪々子を従えて麗羽様がいよいよいらっしゃったのだ。ステンバーイ、ステンバーイ。
豪奢だったその髪は短く揃えられたままだが、その高貴さを損なうことは全くない。
悠然と歩を進め、上座に位置し、口を開かれる。

「皆さん。この、わたくしの呼びかけに応じてくださって感謝しておりますわ」

満足気に笑い、麗羽様は言葉を続ける。

「今更自己紹介も必要ありませんわね。では、二郎さん、お任せいたしますわ」

はい、任されましたとも。

「議事進行する紀霊だ。議事録はここな郭嘉が記録し、結果をお知らせするとも」

稟ちゃんさんがぺこり、と僅かに頭を下げる。ちょっとその仕草が可愛いなあと思ったのは多分華琳あたりには見透かされてるだろうなあ。
まあ、日ごろからねえちゃんだの田豊師匠だのに圧迫面接24時だった俺が諸侯どもの視線にびびるわけもなく、ごく自然に話を進める。

「では最初の議題だ。
 反董卓連合。その総大将について、だが。
存念がある方は発言してほしい」

まあ、様式美ではあるが必要な手続きでもある。
揃った諸侯もやはりか、とばかりに表情を改める。そして互いに様子を窺う。
そりゃまあ、ここですんなりと麗羽様が総大将になったら袁家総取りってのが見えるもんな。
消極的ではあるが袁家の足を引っ張りたいというのが透けて見える。
この期に及んで、だが。

ニヤリ、と口が歪むのを自覚して俺は口を開こうとする。
そこに涼やかな声が響く。

「いいかしら?」
229 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/04/06(月) 21:36:43.59 ID:TCMDsT8z0
◆◆◆

反董卓連合。この集まった大軍の総大将が誰かという議題。
曹操は苦笑する。そしてなるほどと納得もする。あくまで袁家は諸侯の合意のもとに洛陽に寄せるのかと。
それならば今上帝に叛するも、袁紹を推したという一事で諸侯は袁紹を認めざるを得ない。
なかなかに考えているではないか。
だが、袁家の独走を望む者なぞいないのだ。それを分かっていながらどうするつもりやら。

内心冷笑すらしながら曹操は傍観を決め込む。この状況で自ら総大将を名乗るか?そんな無様を晒すなら興醒めである。
お手並み拝見とばかりににんまりと笑い、深く座する。
そんな曹操の思惑を破ったのはしっとりとした、それでいて活力に満ちた声だ。

「いいかしら?」

目を向けると、褐色の肌の少女が艶然と微笑む。南国の太陽の輝きを宿したその熱量に流石の曹操が目を奪われる。
紀霊が発言を促すとその笑みを深く、輝かせて高らかに謳う。その言は場に響き渡る。

「我らは袁紹殿の檄文によって馳せ参じた。なれば袁紹殿が盟主となるのが必定と思う。
 家格としてもそれが妥当。格と言えば馬家を差し置いての発言、ご寛恕願いたい。
 馬超殿、如何(いかが)?」

やられた、と曹操は内心歯噛みする。いや。ぎり、という音が自らの内部から発せられたことに気づく。
出遅れた!
曹操はその内心が劫火に侵されるのを自覚する。

「馬家に異存はない。一切を袁家に任せるに異存はないとも」

うっそりと馬超は応える。黒い炎が立ち上るのを常の曹操ならば感じ取ったであろうが、今はそれどころではない。
とんだ道化になってしまう。腹心と打ち合わせる暇すらなく状況は動いていく。

「公孫も異存はないぞ。これまで私心なく袁家が北方の護り手としていたのは周知のことだろう。
 その一翼を私も担ってきた。袁家の差配ならば安心して全力を尽くせるというもの、さ」

いっそ穏やかな口調の公孫賛の言葉が決定的に、流れは袁家のものとなる。
そしてこの場での動きこそが肝要であると知っていたのに、と曹操は自身のうかつさを悔やむ。
既に勝ったも同然のこの戦。
なれば論功行賞は戦働きのみで決まりはしない。むしろこういう戦略的見地での働きこそ貴重と思うはずなのだ。
孫権の言は計算づく。そして馬超と公孫賛の言は何も考えていない本音。実力者であるからこその重みを弁えているものといないもの。
それらが絡み合って袁家を押し上げる。
ならば、と曹操は腹を括る。

「そうね、麗羽が総大将で問題はないでしょうとも。
 だって麗羽は太尉の地位にあるものね。漢朝の軍権を司るのだから、麗羽の号令で我ら諸侯は動く。何もおかしくはないわ」

ざわり、と無言のままに場の空気がどよめく。
それは単なる袁家への追従ではない。

元来、諸侯が蓄える武力、兵力に関しては認められていなかった。それが黄巾の乱が起こり、領内安堵の為に黙認されていたのである。
それは灰色の利権構造(グレーゾーン)から諸侯の既得権益となりつつあったのだ。
曹操の言はその、手にした武力の指揮権を返上したに等しい。
更には軍閥として兵を蓄える諸侯に対する掣肘ともなる。きっとこの場にその既得権益の代表たる厳顔がいれば大いに異を唱えたであろう。

だが、実際には異論は表立っては出ず。
袁紹の、反董卓連合の総大将たること。更にはその指揮権についてが認証されたのである。
230 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/04/06(月) 21:37:10.47 ID:TCMDsT8z0
◆◆◆

ふむ、と郭嘉は満足げに頷く。
これまでのやり取りで掴んだのだ。把握したのだ。
脅威たる勢力はどこかというのが理解できたのだ。つまり、この段階において戦後を睨んでいるのは曹家と孫家。
袁家が政権を担う漢朝。其れを支えるであろうは馬家と公孫。

さて、と思う間もなく仕える主君は盟主として承認を得る。
曹操が提示した、諸侯の兵力に対する支配については一先ず棚上げされることになるであろう。
まあ、それもこの戦に勝ってからのことではあるのだが。

「ちょっといいかな」

発言したのは末席の義勇軍を率いる男。不思議な言動で支持者も意外にいると聞く。
警戒しつつ、出鼻をくじくべく口を開く前に男は言葉を紡ぐ。

「袁紹さんが総指揮を摂るのはいい。でも、どうやって難攻不落の水関、そして虎牢関を落とそうと思ってるんだ?
 その腹案を伺いたい」

「はあ?そんなこと、このわたくしが考えることではありませんわね」

ざわり、と空気が動く。
それに気をよくしたのか北郷一刀は更に切り込む。

「精強なる董卓軍。それに頑強なる水関、虎牢関。いったい盟主殿はどのような絵図を描いているのかな?」

いっそ穏やかな問いかけに袁紹は艶然とした笑みを浮かべる。
そして袁紹の覇気、光輝は場を多い、席巻する。

「そんなの決まってるでしょう?
 華麗に。優雅に。雄々しく!」

名門袁家の勝利にはそれこそが相応しいと袁紹は高く笑う。

はあ?と声を発する者、無言で頷く者、どう判断していいか分からずに左右を見渡す者、ニヤリ、と口を歪ませる者、無関心で心の炎を燃やす者。
それらすべてを無表情に郭嘉は拾い上げる。いや、このように各人の心底を揺るがし、反応を引き出す主君に内心舌を巻く思いではある。
そして満面の笑みの青年の器についても評価を上方修正せねばいけないであろうと。

「おーっほっほ!
 二郎さん、些事はお任せしましたわ。
 いいですこと、みなさん。二郎さんの言はわたくしの言。二郎さんの決定はわたくしの決定。
 わきまえてくださいましね。さあ、行きますわよ、猪々子さん、斗詩さん」

悠然とその場を去る袁紹を留める者はいない。
ある者は格の違いに打ちひしがれ、ある者はここで争うのは得策ではないと思い定め、ある者はいずれボロが出るであろうと見極め、ある者はこれでこそ我が主君と意気軒昂。

そして、場を任された凡人はその重責に気を引き締める。
だが、その口元は僅かに緩んでいるのであった。
231 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/04/06(月) 21:40:22.58 ID:TCMDsT8z0
本日ここまですー感想とかくだしあー

題名案は、なんだろうなあ
「華麗に、優雅に、雄々しく」
もしくは
「覇王、出遅れる」
珍しいですからね

ぼすけてー
232 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/06(月) 22:35:38.04 ID:IUvfzDShO
乙っしたー

トップは方針決めるだけでいいのよ
その方針を実現するために配下がいるんだからね

タイトル案
大将の器(又は大将の度量)
凡人、君主の器に改めて感心する

うちのアホ社長に麗羽様の爪の垢煎じて飲ませたい
233 :俯瞰者 ◆e/6HR7WSTU [sage saga]:2020/04/06(月) 23:17:33.42 ID:tOBzwzn/0
前から素朴な疑問なのですが、爪の垢煎じた奴って効くのかしらん?
ならアホ社長の私も麗羽さんの爪の垢貰って煎じてみましょう。ひょっとしたら効くかもしれんしwww
いやうちは経営方針はちゃんと私が示して、それに沿って役員は動いていますよ。

やっぱこいつ発言がペラいなー、天のパシリ。おま働いたことねぇだろ(設定設定)

で、乙でした。
234 :青ペン [sage]:2020/04/07(火) 01:26:50.75 ID:PV5SkRtno
>>231
乙の乙乙。
上意下達と横槍と
かな
235 :赤ペン [sage saga]:2020/04/07(火) 14:53:31.53 ID:LglS3Dii0
乙でしたー
>>229
>>南国の太陽の輝きを宿したその熱量に流石の曹操が目を奪われる。 この書き方はもう一ノ瀬さんの癖みたいなものかな
○南国の太陽の輝きを宿したその熱量に流石の曹操も目を奪われる。 だったらあまり何回も指摘してもアレかしら
>>230
>>「袁紹さんが総指揮を摂るのはいい。 様を付けろよデコスケ野郎! 1領主の孫策が殿付けてたのにそれ以下のお前が何でさん付けしてんだこら
○「袁紹さんが総指揮を取るのはいい。≪執行≫なら【執る】なので細分化するならこれですね
>>そして袁紹の覇気、光輝は場を多い、席巻する。  多量で溢れてるよね
○そして袁紹の覇気、光輝は場を覆い、席巻する。  【覆いつくす】の意味ならこれですね
>>反応を引き出す主君に内心舌を巻く思いではある。  【内心】と【思い】が重複してますね
○反応を引き出す主君に内心舌を巻いた。       もしくは【主君に舌を巻く思いではある】ですかね

>>「華麗に、優雅に、雄々しく」  【華麗に】ってことは汚い事をしない≒降伏の受け入れやら途中の村への徴収()やらへの釘差しかな
【優雅に】ってことは食事や装備や寝床をしっかりさせる宣言かな
【雄々しく】は上だけじゃなく兵卒の士気を下げないことも重視してる、と
まあぶっちゃけここで袁紹様にあそこに囮を置いてここに伏兵させてとか言われても困るしね
それをなすだけの補給線がある以上この器の大きさは恐れるしかないわw>>ボロが出るであろうと見極め…(袁毛家臣団を見て)ウン、ソウダネ
236 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/04/07(火) 21:23:31.62 ID:YJpsidP70
>>232
どもです。

>トップは方針決めるだけでいいのよ。その方針を実現するために配下がいるんだからね
実際そうなのですよね。これは組織運営したことある人の金言や!

>うちのアホ社長に麗羽様の爪の垢煎じて飲ませたい
やだなあ、麗羽様に爪の垢なんてあるわけないじゃないですかー!

>>233
どもです。

>前から素朴な疑問なのですが、爪の垢煎じた奴って効くのかしらん?
漢方かな?別名じゃないっすかねw

>麗羽さんの爪の垢貰って
だから麗羽様に爪の垢なんて存在しません。ここ重要っす

>やっぱこいつ発言がペラいなー、天のパシリ。おま働いたことねぇだろ(設定設定)
そらそうよw
まあ、原作通りの描写で全然違う風景というのが凡将伝ですので

>>234
どもです。

>上意下達と横槍と
三次元の空間的題、ありがとうございます。これいいな。

>>235
赤ペン先生いつもありがとうございますー!
うへへ。

> この書き方はもう一ノ瀬さんの癖みたいなものかな
実は十二国記で見て痺れた表現なのですね。
小野主上がやるなら乗っかってやろうかというか、響きが好きなんです。
いえ、これまでの奴は不備として修正してますが、アリならこのままいきたい。
好きなんです、この表現。

> 【華麗に】ってことは汚い事をしない≒降伏の受け入れやら途中の村への徴収()やらへの釘差しかな
そんな細かいこと麗羽様が考えているわけない
配下が忖度するんですよ、まさに赤ペン先生みたいにね!
やったぜ
237 :赤ペン [sage saga]:2020/04/08(水) 13:49:15.35 ID:cFhNCHLj0
まあ今回の一刀君の発言は言い方はともかく内容はそこまでハチャメチャではないのでセーフ、ということで
周囲が袁紹の返答にざわつく様子からしてもどうやって攻略するつもりなのかの絵図面とは言わないまでも枠組みくらいは知りたいと思うのが人情だし
ただ根底に(多分横山版)三国志の知識があるから袁紹を見くびってるのがね…ぶっちゃけここにいる諸侯はこの一幕で一刀に対する認識がだいぶ固まりそう
238 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/04/08(水) 21:02:10.55 ID:Q2N+J7260
>>237
原作再現イベントですよ!
趙雲スカウトもそうですけど、再現してますよね!
してますよね?
239 :赤ペン [sage saga]:2020/04/09(木) 11:40:10.07 ID:9cPdXJy50
原作再現の難しさというかバタフライエフェクトは置いておくとしても
人の関わり方って難しいからね、原作の方では袁紹が盟主になるのに不毛なグダグダがあったからほぼほぼ全員が白けてたし、その状況から華麗とか優雅とか言っても、ねえ
そこを行くと今回の袁紹様はすごいスムーズにトップになったし頼まれれば糧食の手配もすると言ってるし(多分どこぞの義勇軍はこれ受け取ってるよね)光輝溢れまくってるし…
例えるなら襤褸切れ纏った老人がお金の無心に来るのと立派な袈裟を着た先祖の墓を建てた寺の坊さんが寄付を求めてくるのを同じ対応するのか?ってことよ
昔話に追い返された後立派な袈裟で歓待されたら袈裟だけ置いて帰った人がいたけどお前自分がどれだけ顔売れてると思ってんの?傲慢な自分を恥じれよ、と思ったね
原作では確かここまでほとんど関わりないけどここだと袁紹様(二郎?)の口利きで領地貰ったのよね?一刀(というか劉備)
240 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/04/11(土) 21:32:06.84 ID:EaF+7PMk0
麗羽様が斗詩と猪々子を伴って室を辞されてからも室内のざわめきは絶えない。
いや、俺もちょっと驚いている。まさかこの俺が丸投げされるとは……。それは俺の専売特許のはずだったのだと思うのだが、よく考えたら全然そんなことなかったね!
てか、無言の俺に少しずつ視線が集まる。まあ、ああまで言われた以上俺がこの場でもっとも発言権があるということなのだろう。
ちら、と横の稟ちゃんさんと視線を合わせると、こくりと頷いてくれる。
よし、なんかとちってもフォローは任せた。まあ、麗羽様の名代となればあまり無様は見せられないけどな!

よいしょとばかりに立ち上がり、す、と手を挙げる。
無言でそうしているうちに場が静まっていく。はーい、みんなが静かになるまで三分かかりましたー。

「それでは難攻不落の水関、それを落とす算段をしようじゃあないか。
 で、栄えある一番槍を望む勇者はいるのかな?」

ざわ、と声なく場がどよめく。
そりゃそうだ。誰だって手持ちの兵力、そのの損耗は避けたいとこだろうさ。
攻城兵器なんて持ち込んでるの袁家くらいだしな。ただの歩兵が万全の用意をしている要害に挑むとかどこの203高地だっつの。

「ふむ、では申し訳ないが先陣の誉は袁家が頂くとしよう」

稟ちゃんさんに目をやると微かに頷いてくれる。ヨシ!
そうさ。もとより。
もとより袁家単独での攻略が既定路線。そのための袁家総力戦。だから張紘だって前線に出ばる事態だし、虎の子の工兵隊も全力で投入なのだ。

「ちょっと、いいかな」

発言を求めてきたのは……天の御使い(仮)こと北郷一刀君である。

「俺たちは袁紹殿の檄文によって集まり、洛陽を目指す。
 でも、本当にそれは正しいんだろうか?」

まあ、正確には君のとこに檄文は間違っても届いていないはずなんだけどね。

「黄巾の乱のときに月……董卓殿とは知己を得た。彼女はけして暴政を布くような子じゃないんだ。
 彼女がそんなことをするはずがない。だとしたら……」

言い募る言葉に、俺は手を挙げて遮る。なんだかなあ。

「月とは俺も知己がある。ああ、腹心の詠ちゃん含めて親しくしていたよ。だから俺もこうなって残念で仕方ない。
 だが、洛陽が荒れているのは事実。目と耳で確かめた。
 今更。今更そこに疑念を呈すならば、洛陽が荒れていないという確証でも持ってくるのだな。話にならん」

残念ながら洛陽は暴政によって蹂躙されているのだよ。風がそう言っているんだからな。つまりはそういうことだ。

「先陣は袁家が受け持つ。後詰には馬家、曹家、孫家、そして公孫。
 他の方々には色々とご尽力願うことと思う」

露骨にほっとした空気が流れる。漲る闘志がひりひりと熱い。
前者は有象無象。後者は後詰を受けた信頼する勢力だ。
ふむ、と満足げに場をお開きにしようかと思ったが、また茶々が入る。

「待ってくれ!俺たち劉家……義勇軍も後詰に加えてくれ!
 そして作戦について腹案がある!」

えー。

北郷一刀君が示した案は、とりあえず昼夜構わずに攻めまくろうというものだった。
どうせ狭隘な関にはある程度の戦力しか展開できないから、絶え間なく攻めて消耗を誘おうというもの。

「却下」

稟ちゃんさんに目を向けるまでもなく言う。
だってそうじゃん。連携なんてどうせほとんど取れないぜ?夜にそんなスムーズに攻め手の交代とかできるとは思わんね。
しかも、そのどさくさにあの恋が出たらそれだけで潰走だ。
一軍の潰走で全軍が崩れるとかありえるからなあ。そんなリスクはご免である。
何か言い募ろうとする一刀君に畳み掛ける。

「意気はいい、少年。だが、そういうのはだな。せめて自軍の食い扶持の面倒を見てから言うんだな。
 つまりだ。十年はええよ」
241 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/04/11(土) 21:32:33.44 ID:EaF+7PMk0
純朴なんだな。かあ、と赤面し、着席する。よおし、いい子だ。
残念だったな。そりゃ劉備はこの反董卓連合で一躍有名を馳せるというのが筋書きだろうがね。
やらせはせんのだよ。
いや、そりゃあ関羽に張飛、伏竜鳳雛と手駒にできればえらいことになりそうなレアユニットがゴロゴロしてるけどさ。
その先を鑑みると、大人しくしていてほしいのよ。マジで。

「では、ひとまずこの場はこれでお開きということにする。じっくり英気を養ってくれ」

ちら、と横目で見ると稟ちゃんさんも頷く。うし、そこまでボロは出さずに済んだみたいだな。

まあ、手勢だけで恋とかと渡り合うことになると同意義ではあるがまあ、しゃあない。
いや、董家は精兵だし張遼とか泣く子も黙るけどね!
だからさ。

「稟ちゃんさん、黙ってくれててありがとうな。色々言いたいこともあったとは思うんだが」

毛ほども表情を変えずに応じる美少女。

「いえ。想定内です。もっと荒れることを想定しておりましたから。
 あっさりと場を治めた二郎さんには賞賛を惜しみませんよ。
 それと、北郷一刀、でしたか。ある意味彼のお蔭というのもありますね」

へ?

「彼の言う通り、董卓殿の人品は卑しからず。彼女が暴政を、というのはいかにも不自然です。
 それを、義勇兵上がりの成り上がりである彼が口にしたことにより、他の諸侯は与することもできず、結果封殺されることとなりました。
 いや、色々綱渡りではありましたが今はただ、ほっとしています」

な、なんだってー。

「……。
なるほど、狙っていたわけではないというのを確認できただけでもよかったです。
 なるほどなるほど。風が気に入るわけですね。まったく、手のかかることこの上ないですが……」

なるほど、わからん!

「ま、まあとりあえず真桜んとこ行こうぜ。攻城兵器がないと話にならんだろ?」

「ええ、そうですね。というか、正直攻城兵器が既に質、量ともに揃っているのでしょう。そういうところにしても、私からしたら色々と言いたいことはあるんですけどね」

浴びせられる稟ちゃんさんのお小言とか色々を背に、袁家技術部(出張中)に向かう。
どうせなら真桜にもこのガトリングお説教をお裾分けしてやるぜフーハハー!
242 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/04/11(土) 21:33:00.04 ID:EaF+7PMk0
◆◆◆

「さて、前線に張り付くことになってしまったのだけれども、穏はどう思う?」

ここは孫家に割り当てられた部屋。そこには孫家の中枢たる孫権と陸遜がおり、退屈そうに孫尚香が雑誌――阿蘇阿蘇――に目を通している。

「控えめに言って、ですが。
これこそ、もっけの幸い、というものですねえ」

くすくす、と陸遜は心底楽しげに笑う。ああ、あの紀霊の絵図に久方ぶりに現在進行形で触れたのだ。なんという悦楽かと。

「さてさて、現在反董卓連合の兵站は袁家が担っております。無論、これに返済の必要はありません。
 いやあ、十数万の軍勢を養って余りあるというのは分かっていても笑っちゃいますねえ」

そう言う陸遜の肌は桃色に染まろうとしている。
これは相当本気だなと孫権は気を引き締める。このさま――いっそ痴態とも言える――を主と言えども見せようとはせず、後日その結論のみで語るのが常の陸遜である。
それが、この場でその言を続けるというのはそれほどに一刻を争うこと、もしくは自分に生の感情をぶつけようという信頼の証であろう。

「実際、袁家の勝利は更に確かなものとなりました。
 それは戦場の勝利のみならず、戦後においてもそうです。
 蓮華様にはお分かりでしょう?」

こくり、と孫権は首肯する。

「ええ、そうね。あの北郷一刀はいい線を突いてたわ。彼がもし董卓と個人的な友誼を結んでいなければもっと面倒なことになっていたでしょうよ。
 そうね、そうよ。
 結局、袁家は一度たりとも屠られた家臣たちについて一言も発していないわ。あくまで兵を挙げたは民の為。暴政見過ごせず、君側の奸を除く。 
 まったくもって文句のつけようもない。
いえ、たとえ討たれた家臣の無念を、というのでも諸侯は付き従ったはずよ。
 なにせ、馬家なんて先代の復讐に燃えているのは見ても分かるしね。
 でも、これまた分かり易いその復讐をついに理由にはしなかったわ。
 そこは微妙だものね、兵を挙げる正当としては」

陸遜はにこにこと、満足げに頷く。

「そうです。袁紹殿の太尉、という地位はつまり軍権にあります。それを今回は諸侯の軍にも及ばせようという思惑でした。曹操さんがこれを幇助しましたね。
 ですが、宮中にて行われた非道、非合法なことに対する治安出動という面においては執金吾にその権はあります。これは現在董家にその地位がありますね。
 ですから、そこの、治安という面においては微妙なままに兵を進めるわけですね。
 これを機に既得権益として抱え込もうとしているのでしょうね。ああ、二郎さま、素敵です……。死線を潜り、腹心を喪い、それでも冷然と理路整然。
 ああ、私はこんなにも乱れちゃうのにぃ……。こんなにも貴方の憤りを理解し、それを鎮めるその心根に、めろめろですぅ」

言い募る陸遜に孫権は苦笑しつつもその言、確かなりと認める。
この腹心は、陶然となればなるほどその言は論理を飛躍しても尚、真実にたどり着くのだ。桃源郷にて未来を紡ぐ巫女のようなものである。
だから、確認する。

「では、前線で、行くわよ。孫家の武威を示すわよ?」

「ええ、それでいいですぅ。
 ――兵站も遠慮なくお世話になりましょう。
 二郎様は、怖いお方ですよ?
面子に拘る方には母流龍九商会を通じて貸し付けてらっしゃいますね。
 ええ、武具も含めて、ですね。孫家は虞翻さんのお蔭でそこまでじゃないですが、槍一つとってもその品質の違いは笑っちゃいますよ。
 そして、兵糧ですねえ」

くすくすと笑いながらも陸遜ははあ、と大きく息を。

「穏?」

「ええ、蓮華様。正直申し上げましょう。
 二郎様には逆らってはいけません。あの方は基本的に優しい方です。でも、ある一線を越えたら容赦しない方です。
 そこの取捨選択を、もう二度と誤りません。いえ、むしろ、もうあの方は一度でも期待を、思いを裏切られたら許すことはないでしょう。 
 それはとても哀しいことですが。あの方の闊達さ、鷹揚さはもうかつてのそれとはならないでしょう」

……それらの会話を孫尚香は全て耳に入れている。
そしてこの場に自分がいるということの意味を完全に理解している。
孫権と陸遜はこの場で何があっても退くつもりはないのだ。そして自分は退かねばならない。
そして、歴代孫家においても卓越した彼女らの定めた方向性、戦略。それを孫尚香は学んでいるのだ。
きっと例えばこの場に呂布が降臨したならば、孫権も陸遜もここで尽きるであろう。そして自分は彼女らの死を捧げて自分の命を購うのだ。

「そんなのは、やだなあ……」

常に闊達な彼女は思う。そして、その脳裏に浮かぶのは、いざという刻には頼りになる、最愛の青年である。

「二郎……、大丈夫、だよ、ね……」

聞く者とていなく、孫尚香の呟き、或いは祈りは虚空に飲み込まれていくのであった。
243 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/04/11(土) 21:33:55.40 ID:EaF+7PMk0
本日ここまですー感想とかくだしあー
題名募集しまくりんぐですよ本当に!

攻勢!くらいの感覚なので、かっこいいやつオナシャス
長くてもむしろ大歓迎す

にゃーん
244 :俯瞰者 ◆e/6HR7WSTU [sage saga]:2020/04/12(日) 09:20:25.97 ID:4OTPkEZB0
乙です。
久しぶりに題名応募に参加。
「実務者協議」「御前会議の後」「天を僭称せし少年、地を固める凡人に論破される」
なんか違う、なんか違うな。

「十年はええよ」
よく言ってくだされた。なんか二郎さんの凄みを見た気がする。

で、一読者の祈りでしかないのですが。死ぬなよ孫権、陸遜。無駄に死んでも意味がない戦いだぞ。生きて生きて生き抜いて、二郎さんの癒しになっとくれ。
そのためだったらハーレムも受け入れましょう(何様だコラ)
つうか、「放火魔」といじりたいから陸遜さんには生きていてほしいし、孫権さんの人柄は失うには惜しい。

わんっ!
245 :青ペン [sage]:2020/04/12(日) 18:27:09.21 ID:ZdCoBSiLo
>>243

わー、俯瞰者さんまで参戦しとーる。
【当然と、陶然と】でいこっかな。
246 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/04/13(月) 21:08:09.06 ID:O6E1HGod0
充電するにゃん

感想返しはもちっとまっってほしいワン

わん。
247 :赤ペン [sage saga]:2020/04/16(木) 13:03:22.60 ID:m30I56KT0
乙でしたー
>>240
>>それは俺の専売特許のはずだったのだと思うのだが、 例えば【あいつは死んだはずだったのだと思うのだが】だと違和感が出やすいですかね
○それは俺の専売特許のはずだと思うのだが、     もしくは【専売特許のはずだったのだが、】、【専売特許だったと思うのだが、】とかどうでしょう
>>誰だって手持ちの兵力、そのの損耗は避けたいとこだろうさ。  ケアレスミスですね
○誰だって手持ちの兵力、その損耗は避けたいとこだろうさ。   向こうに張遼が確認されれば…喜んで飛び出しそうなのがいるけどね
>>241
>>そりゃ劉備はこの反董卓連合で一躍有名を馳せるというのが筋書きだろうがね。  これを捕らぬ狸の皮算用といいます
○そりゃ劉備はこの反董卓連合で一躍勇名を馳せるというのが筋書きだろうがね。  もしくは【有名になる】、【名を馳せる】ですかね
>>242
>>聞く者とていなく、孫尚香の呟き、 そこの二人が聞いてそうだけどね
○聞く者とてない、孫尚香の呟き、  【聞くものとていない】だと一人で呟いてる感じがするからこうかな?

>>今更。今更そこに疑念を呈すならば、 本当【今更】だよね。それをするなら袁紹にどうやって砦落とすの?とか聞く前にしないと…そもそも袁紹の檄文の正当性をその部下に糾弾するとか筋違いだし、せめて袁紹が来る前か出ていく前に言えよ(そもそもこの場で言うことか、のレベルだけど)
ところで尊敬する親を殺された馬家の姫様としてはその下手人を庇う男をどう見てらっしゃいますかね?
この戦争で孫家の二人が死んだら…袁家による庇護はより完璧になるからなあ…まあそのまま組み込まれる可能性も大だけどうまくいけば袁術との義姉妹の誓いとかできそうだし
家族が立て続けに死んでいきなり頭首にならざるを得なくなった幼い姫様の弱みに付け込むベッドやくざの愛人ルートもあるし
248 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/04/17(金) 21:03:36.13 ID:DbASIUge0
>>244
どもです。

>「実務者協議」「御前会議の後」「天を僭称せし少年、地を固める凡人に論破される」
この視点はなかった
参考させていただきます!

>よく言ってくだされた。なんか二郎さんの凄みを見た気がする。
割と、実務もやってるのですよ、これでもね
その上で、薄っぺらい意見とかは、やはり思うところはありますよね

>で、一読者の祈りでしかないのですが。
かしこまりー

>そのためだったらハーレムも受け入れましょう(何様だコラ)
やったぜ

>>245
>【当然と、陶然と】
これね、読み同じで変えてくるの、琴線なんだすよねえ
好きなの、こういうの

>>247
赤ペン先生いつもありがとうございますー!
にゃん

>ところで尊敬する親を殺された馬家の姫様としてはその下手人を庇う男をどう見てらっしゃいますかね?
大丈夫!耳に入ってないよ!
ただでさえ不慣れな大人数の会議だもの!集中力なんて存在しないYO!

>家族が立て続けに死んでいきなり頭首にならざるを得なくなった幼い姫様の弱みに付け込むベッドやくざの愛人ルートもあるし
いったいだれのことなんだ……。
未登場キャラならどこでもいけますね!
オススメはやはり劉璋じゃなっく荊州方面かにゃ
249 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/04/17(金) 21:29:13.94 ID:DbASIUge0
「まあ、蛮喰商会についてはなんとかなったよ」

誉めれ、とばかりに魯粛は薄い胸を張る。それに応えて、おー、と感嘆するのは程立である。
ぱちぱち、と薄い音響。えっへんと反らされる薄い胸部装甲。
ほむ。とりあえず美辞麗句を注ぎ込んでいこうか。
てややー。

◆◆◆

「いやいや、鮮やかなお手並み、恐れ入るのですよ〜」

くふふ、と軽く笑う程立であるのだが、魯粛の功績には舌を巻く思いである。
なんとなれば、何進亡き後の蛮喰商会をその影響下に収めたのであるからして。

……魯粛はその卓越した弁舌により、かつては一枚岩であった組織を切り崩していった。

曰く、何進はその権勢故に排除された。その旗下ににあった者はどうなるであろうか。
曰く、名門馬家当主。それに禁軍の指揮官たる朱儁すら問答無用である。賤業と言われる――無論魯粛はその重要さを認識しているしそれを相手に伝える――商人なぞ風前の灯である。
曰く、袁家は大幹部たる紀霊を始め商業に対する理解が深い。

ここで重要なのは嘘を混ぜないこと。そして誠心誠意語ることである。
魯粛は誠心誠意、芽生えていた危惧に疑念という肥料を与えていったのだ。
いや、自身のみならず係累にも手が及ぶなぞ、あり得る事柄である。
で、あるから。
なればこそ、有為の人材は一時身を隠すべし。
なに、その生活は母流龍九商会が保証するとも。そしてほとぼりが冷めればその地位は保障するとも。

魯粛にとっては実にやりがいがあり、手ごたえのない簡単なお仕事である。
なにせ、実際に危機感を覚えて身を隠す彼等が帰ってこようがこまいがどうということはないのだ。
別に母流龍九商会は洛陽の市場をこれから押さえようとは思っていないのだし。
まあ、それはいい。結果として洛陽最大の商業組織は魯粛の手に握られることとなったのである。
そしてその生業は開店休業。それは無理もない。何進の手がけた商組織だ。時の権力者には目を付けられて当然。
わざわざ賈駆に営業自粛の申請をするという念の入り様である。

結果、洛陽の物流は混乱する。
これまで、何進という圧倒的な権力者――それも商売のいろはを知り尽くしていた傑物――がいなくなればどうなるか。自由競争と言えば耳障りがいい。
その実態は、混沌の一言。何せ、まっとうな商売なぞしてもいつ取り潰されるか分かったものではない。で、あれば一儲けしてとんずらするのが効率がいい。
かくして物価は順調にに跳ね上がり、前線――虎牢関と水関である――への補給物資すら滞り、品質は劣化する。
それを問題視した中央からの掣肘が加わるという負のスパイラルである。

魯粛は思う。恐るべきは目の前の程立だと。
自分は確かに洛陽の商流を手にした。だが、それがなんのためであるかという視点に於いては。

「敵わないなあ」

確かに自分は洛陽の商流の最大手を手に収めた。だが、それがどのような意味を持ち、どう影響するかまでは範疇外。
まさか、それが反董卓連合の論拠たる董卓の暴政に繋がるとは。
かつて郭図率いる義勇軍を堕落させた魯粛であるが、規模が違う。いや、敵わない。

「さてさて。細工は流々。後は……二郎さんに期待ですねえ」

悪い顔だなーと魯粛は思う。いや、自分が善良かといわれるとけしてそうではないのだが。
ともかく……と、思いに没頭しようとする思考を妨げられる。

「来客、みたいだね」

そ、と魯粛は室を辞する。
自分との繋がりは余り知られない方がいいであろうからに。

日陰の存在?

とんでもないと人知れず魯粛は笑みを深くする。
こんなに美味しいポジションなんてないさ、と。
魯粛はこれで結構今の立ち位置を気に入っているのだ。」
250 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/04/17(金) 21:29:41.84 ID:DbASIUge0
◆◆◆

「ふむ、少女よ。久しいな」

纏う空気にどことなく血と闇を漂わせる物騒な男。
張?が口を開く。本来であればそのような空気を纏うなぞ未熟の極みなのであろう。きっといかに血を浴び、幾つもの闇を抱えても、いや、それだからこそ闊達に明るく笑うべきなのであろう。

「おやおや、心ここにあらずといった感じですねえ」

そうとも、自分は姉に及ばないと自覚している。努めて無表情を気取っても、心の揺れを看破されてしまうのだ。
なるほど。自分はあらゆる意味で姉に及ばないと痛感する。

「否定はせんよ。どうにもいかん。自分では、な。
もっと無感動な人間だと思っていたのだよ」

張?は自嘲する。このように心が乱れるとは、と。

「おおう、これは思いもかけぬお言葉ですねえ。いやいや、世の中一寸先は闇とはこのことですねえ」

くすくすと笑う程立に流石の張?がなんとも言えない顔をし、苦笑する。
やれやれ、敵わないな、とばかりに。

「まあ、些事だ。忘れてくれ」

仕事の話をしよう。
251 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/04/17(金) 21:30:08.72 ID:DbASIUge0
そして張?は反董卓連合の様子を語って聞かせる。
その間程立は瞑目し、傍目には眠っているかのように身じろぎ一つしない。

「把握したのですよ。では二郎さんにお伝えください。
 『董相国、亡き者と思うべし』
 ……いえ、実際には軟禁されてるのでしょうが、ねえ」

変に希望を残せば紀霊は情に流されるやもしれぬ。
眠たげな顔に刹那苦渋。

「まあ、二郎さんの懸念は大体合ってるようですし、ね。
 少なくとも賈駆さんですら接触できないようですよ?」

無論賈駆はそのようなことを漏らしはしない。だが程立は言葉の節々、表情の一つ一つを積み上げて一つの結論を導き出していた。
即ち、董卓は何者かに拉致されている、ということ。
であれば董家軍が突如として叛乱を起こしたことも納得がいく。
いや、その結論に至った時は何とも悲惨なことよと程立は心から同情したものである。
そう、同情はしたのだ。

「二郎さんには重ねてお伝えくださいな。
 『洛陽は董卓の暴政に荒廃の一途』と」

「承知した。ではそろそろ失礼しよう」

見送ろうとした程立を留めて張?は聞く。

「そう言えば、ここの周りの狗は始末した方がいいのかね?」

「いえいえ、たまに遠吠えするくらいで実害はありませんので放置の方向でお願いします〜」

軽く頷き、音もなくその身を消す。

「やれやれ、ほんとうにご苦労様なことなのですよ。なにせ」

函谷関を越えて大回りで動いているのだからと程立は苦笑する。
だからこそ馬家軍が函谷関に詰めては不都合であったのだ、などとは冗談にしても言えないことではあるが。
洛陽という一大消費都市への物流の流れをあえて閉ざさなかったのにはわけがあるのだ。そして。

「進むも稟ちゃん、退くも稟ちゃん。いよいよ稟ちゃんの本領発揮なのですよ」

その声は誰に届くこともなく。だが程立はくふ、と笑う。
傍に在らずともできることがあるのだ。あるのである。それでも。

「おうおう、そんなにあの青二才が恋しいかい。
 それじゃあまるで恋する乙女みたいじゃねえか」

「おお、宝ャ。中々鋭いですねえ。どうやら、風は――」

本気でのめりこんでいるようだと、頭上の人形に語る。或いは自分に語りかける。

「困ったものですよ」

やれやれとばかりに頬を綻ばせて。

「処置なしじゃねえか」

「――全くなのですよ。
 これは責任とってもらわないといけませんねえ」

そしていつもどおり程cはくふ、と笑うのであった。
252 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/04/17(金) 21:30:59.59 ID:DbASIUge0
本日ここまですー感想とかくだしあー

題名、なんだろうなあ
連関の理とか?

かっこいいやつオナシャス
253 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/18(土) 06:49:35.52 ID:Ndt5smF8o
乙です。

このシーン、話してる内容は悪辣なのにイメージ映像が風とこなただと思うと、途端にほのぼのしますよねww
無論、そのギャップも楽しいものですが


題案はシンプルに『わるだくみ』
少しこねくり回すなら、『悪巧みは蜜毒に似て』
とかいかがでしょう
254 :青ペン [sage]:2020/04/18(土) 15:12:14.18 ID:Dj2yul7Qo
>>252
乙ーん

【暗躍〜情報戦と商流戦】
255 :赤ペン [sage saga]:2020/04/18(土) 16:05:37.68 ID:C+n70+En0
乙でしたー
>>248
>>いったいだれのことなんだ……。  えっ?もし反董卓連合で孫権と陸遜がお亡くなりになったら病で孫堅、地元の敵対勢力()で孫策、今回の戦争で孫権と立て続けで残された幼い姫様が継ぐしかないでしょ?
そうなったら圧倒的強者のベッドやくざな我らが二郎ちゃんに美味しく頂かれる薄い本が厚くなるのは必然じゃないですか(濁った眼
>>249
>>自由競争と言えば耳障りがいい。  【肌触りの良い】とか【舌触りの良い】とは言うけどね
○自由競争と言えば聞こえがいい。  耳に障る以上良くはならないので
>>かくして物価は順調にに跳ね上がり、 順調なのか(gkbr
○かくして物価は順調に跳ね上がり、  あれだね、商業を賤業とする思想とその中で大将軍まで上り詰めた何進という≪商人の英雄≫の存在、地方の大貴族といってもいい袁家と手を結んでこれから…ってところでこんなんされたらそりゃ商人はやってられませんわ
>>それを問題視した中央からの掣肘が加わるという負のスパイラルである。 二郎がいないので英語を言い換え
○それを問題視した中央からの掣肘が加わるという悪循環である。     一言加えるなら【掣肘により商人が減り、さらに物流が滞る、という悪循環である。】でどうでしょう
>>魯粛は思う。恐るべきは目の前の程立だと。
自分は確かに洛陽の商流を手にした。だが、それがなんのためであるかという視点に於いては。

「敵わないなあ」

確かに自分は洛陽の商流の最大手を手に収めた。だが、それがどのような意味を持ち、どう影響するかまでは範疇外。  ここ2行目と4行目で言ってることほぼ同じなので
○「敵わないなあ」

魯粛は思う。恐るべきは目の前の程立だと。
確かに自分は洛陽の商流の最大手を手に収めた。だが、それがどのような意味を持ち、どう影響するかまでは範疇外。  ちょっと順番入れ替えてこんな感じでどうでしょう
>>魯粛はこれで結構今の立ち位置を気に入っているのだ。」  心の声が外に漏れちゃった感?
○魯粛はこれで結構今の立ち位置を気に入っているのだ。   たまにそういう描写するのもあるよね

いわゆる黒こなモード?商流を握って台頭したらいちゃもんすら無しでバッサリされるからね、仕方ないね。文句があるなら自分でこの地獄のような洛陽で商売すればいい(買駆が制御できないと判断したら潰されるけど)
張郃さんは…やっぱりあの人がお亡くなりになったことに悲しんだのかしら
物価は際限なく上がる…逆に言えば金の価値が下がる…インフレスパイラルか
256 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/04/20(月) 21:26:06.94 ID:61KtQILc0
>>253
感想ありがとうございますー

>このシーン、話してる内容は悪辣なのにイメージ映像が風とこなただと思うと、途端にほのぼのしますよねw
どもです。そこが狙いなので、本当に嬉しい。

>『わるだくみ』少しこねくり回すなら、『悪巧みは蜜毒に似て』
どちらも素敵。シンプル故に味のある前者、色気の漂う後者。
これは迷うやつです。参考させていただきます!

>>254
どもです。

>【暗躍〜情報戦と商流戦】
ピリ、と作品を引き締めるスパイスになりそうな奴ですね。
これはよい。
映画みたい!

>>255
赤ペン先生いつもありがとうございますー!

中々満点とはいかないなあw
さて

>いわゆる黒こなモード?商流を握って台頭したらいちゃもんすら無しでバッサリされるからね、仕方ないね。
覚悟完了されてるだけですね。鶏ガラのような体格だから無事であったということで一つ。

>張郃さんは…やっぱりあの人がお亡くなりになったことに悲しんだのかしら
思うところはあったのですね。
無感動と思い込んでいた彼が、雷薄の死に何かを感じたか、感じないか。
どちらにしても無念だと思います。前者ならば特に。

>物価は際限なく上がる…逆に言えば金の価値が下がる…インフレスパイラルか
これは間違いなく暴政ですね
257 :赤ペン [sage saga]:2020/04/23(木) 09:31:17.73 ID:N2GocomF0
そういえば古代中国の一般的思想では良き王が治めれば自然と天が味方して治まるんだっけか(公害が起こるのは王のせい、とかいうよね)
258 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/04/27(月) 22:13:17.93 ID:4JeK3DJP0
>>257
全然関係ないけど、現状の疫病はどうなんでしょうね。
イナゴはヒマラヤ山脈を越えられないと聞きましたが。
259 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/05/04(月) 20:35:06.85 ID:JsRZXKypO
外出自粛のお供に凡将伝
260 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/05/05(火) 06:05:16.65 ID:hMKpAzkT0
続きはよということですね頑張りますw
261 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/05/06(水) 21:17:32.40 ID:XwBUKciu0
「圧倒的ではないか、我が軍は!」

目の前の軍勢の威容を目にした俺のセリフです。まあ、人生で一度は言ってみたいセリフだよね。やったぜ。成し遂げたぜ。
いや、正確には攻城兵器群を見てのセリフなんだけどね。
とんてんかんてん、と槌音が響く現場にお邪魔している俺こと二郎と、リポーター……はしてくれなさそうだけど、美人さんな稟ちゃんさんです。はいどーもこんにちわー。

「何を言っているのですか。兵器だけで勝てるなら苦労はしません。
 ……まあ、圧巻というのは認めましょう。これだけの数の攻城兵器、流石に目の当たりにすると迫力が違いますね」

おお、稟ちゃんさんでもそうなのか。
ってそうよね。普通攻城兵器なんて見る機会ないもんね。
つか、なんでこんなにたくさんあるのさ。つまり哲学だね(違います)。
衝車、櫓、霹靂車。それらが所狭しと並び、現在も組み立て作業が続いている。

「数だけやないで!うちが徹底的に改良を加えたからなあ。当社比三割増しくらいの威力は見込んでるで!」

マジか。よくわからんけど凄そうだ。
いや、マジならすげえし。この時代、盛ったもの勝ちではあるとしてもね。多少はね。

「まあ、数が数やからな。
もうちょっとばかし待ってほしいんや。
あ、聞いてぇな。それでも組み立て速度はどんどん向上しとるで!
 ただでさえこっちでは組み立てるだけで済むさかいな」

ほむ。なるほどと聞けばこうだ。要は南皮にストックされていた攻城兵器の部品を輸送し、こっちでは組み立てるだけという某一夜城的な工程により驚きのスピード。
むしろフォード的な効率化かもしれない。
だってこんなこと言うのだもの。

「通常の三倍の早さで出来上がるからな!」

……真っ赤に塗った方がいいのかなあ、攻城兵器。染料あったかなあ。いや、張紘に言ったら用意してくれそうなんだけどもね。

「それは重畳。で、当初予定通りの戦力にするにはどれくらいかかりそうです?」

俺の謎な感慨など知ったことかとばかりに実務の打ち合わせに入る稟ちゃんさん。これは勝ち申した。奥義、丸投げの術発動!俺が何も言わなくてもあれこれが進んでいく。実にすばらしい。

「せやなあ。組み立てるだけなら一週間くらいかなあ。慣らし運転もしたいから、万全を期するならもう一週間は欲しいとこやね」

流石技術者。きっちりしてる。作戦上必要な日程を無視しているのがヨシ!
これが逆だとえらいことになるからね。

「まあ、突撃してる途中で崩れたりしたら目も当てられんからなあ。
 しかし、流石だな真桜。攻城兵器なんて中華広しと言えども、運用したことのある奴は少ないからな。頼りになるよ」

真桜は、むふんとばかりに、だ。その豊満な胸部装甲をこれ見よがしに突き出してドヤ顔で言う。いやあ、震度6くらいはあるんじゃないっすかね。
※個人の感想です。

「当然!当然や!
うちが一番、あの子らを上手く扱えるんや!」
「頼りにしてるよ。兵器の運用については、お任せするともさ」

ご満悦で現場に向かう真桜を見送る俺に、稟ちゃんさんが声をかけてくる。

「攻城兵器の整備で半月ですか。流石に十余万の兵を養っては袁家と言えども、負担は大きくありませんか?」

御懸念ごもっとも。でもね。
262 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/05/06(水) 21:17:58.37 ID:XwBUKciu0
「なに、どうということはない。ここ数年は豊作続きだったしな。それに、だ。
 百万の民を十年食わせるだけの備蓄をしてきたんだ。十年以上かけてな。
 孫子曰く、食糧は現地調達に限るらしいけどさ。
そんな蝗みたいなことせんでもいいのさ」

ちょっと誇張はあるにしてもこんくらいの負担では小揺るぎもせんよ。つか、食糧の物価下落を防ぐために相当買い上げしてたからなー。
在庫一掃……とまではいかずとも、なんとかしたかったところだから渡りに船ではあるのだ。

「そうでしたね。糧食の提供。それにより諸侯への影響力を強めるという当初案ではありましたが、それをよしとしない方々もいるのでは?」
「まあ、そうよね。
それはそれでいいさ。領地からここまで運搬する費用も馬鹿にならんのにね。それは勝手にやらせるさ」

プライドって大切だからね!人はパンのみで生きていけないとかなんとか。
まあ、目端の利く者は上手いことやっている。やろうとしている。つまり、母流龍九商会から食糧を買い付ける、あるいは借り受けるのだ。
母流龍九商会を挟むことで一応袁家からの借りではなくなるという、多少苦しいがそれでも辛うじて体面を傷つけないやり方。
利子?格安ですが何か?

セットで真桜謹製の最新鋭の武器防具はいかがっすかー、ってもんである。
まあ、慌てる何とかはもらいが少ないってね!
じっくり腰を据えて万全を期するぜい。
勿論手持無沙汰な諸侯には簡単なアルバイトも斡旋してある。補給部隊の護衛という簡単なお仕事。
その任務に就いている間は食糧については無償提供するという条件故に結構人気なのだ。

「なるほど。そうであれば納得いきます。そして、であるからこそ、ですか」
「そうだ。そうなのさ。だから今更、軍閥なんぞ発生させねえよ」
「結構。董家軍と諸侯軍。二正面作戦。見事遂げて見せましょうとも」

ありがたや、ありがたやと稟ちゃんさんを拝むと、なんとも言えない表情を頂きました。
えへへ。

◆◆◆
263 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/05/06(水) 21:19:00.50 ID:XwBUKciu0
「よりどりみどり……」

馬上の麗人が艶然と微笑む。その笑みは肉食獣の獰猛さ、そのものを具現化したようなものである。
笑いとは本来攻撃的な所作であり、目の前の獲物に牙を立てる前の予備動作である。
そして目の前には無防備と言っていい輜重部隊。襲ってくれと言わんばかりの獲物である。
護衛の兵もついてはいるが弛緩しきっているようにしか見えず、屠殺を待つ家畜にしか見えない。

反董卓連合。その兵站の多くは南皮からの物資に頼っている。現在も南皮から洛陽に向けての街道は日に日に延びており、時が経つにつれ効率がよくなっている。
だが、無論それだけではない。周辺からも食糧や日常雑貨は買い付けている。むしろ周辺の村落が売りつけていると言ってもいい。
それによりだぶついている物資が消費され景気を刺激していくのだ。
目の前の隊列はその一つ。比較的大規模ではあるが、今も伸張を続ける赤い街道からは外れている。
馬上の麗人――張燕――は満足気に頷く。
彼女がここにいるのは二つの理由による。
一つは洛陽におわす、やんごとなき方よりの命――ということになっているもの――が内々に届けられたこと。曰く、逆賊を討てと。
そしてもう一つは、手元に補給部隊の運行スケジュールが届いていたことによる。
中華でも屈指の政治能力と実務能力を併せ持つ人物――張紘――が立てたそれは、精緻かつ弾力的なものである。
計画そのものに揺れ幅が設定されており、それでいて反董卓連合全ての口を賄うだけの壮大な計画なのだ。これを目にした時、流石の張燕が唸ったものだ。すさまじい、と。
なぜそんな重要なものが彼女の手元にあるのか。袁家と不倶戴天の黒山賊の首魁たる張燕の手元にあるのか。

「まったく、食えないねえ……」

誰ともなく呟き、さ、と手を揚げる。

「旗を揚げな!」

ばさ、と黒一色の旗が掲げられる。
抵抗すれば死を。その旗にはそんなメッセージが込められている。
黒山賊の名の所以ともなった黒旗、それが翻る。

「野郎ども、稼ぎ時だよ!」

ジャーン!ジャーン!と銅鑼が鳴らされ、それを合図に五月雨のように統率なぞなく襲いかかるのだ。
それを張燕は悠然と見下ろす。柔らかい脇腹をたちまちに食い破る手勢に満足げに笑い、とどめとなる一撃を最精鋭の手勢を率いて。

「はははははっ……。さあさあ、慌てておくれ。あたしゃ気が短いんだ。
 すぐ楽にしてあげるからねえ」

千々に乱れた敵味方の間を縦横無尽に駆け、その勝利を決定的なものとするのに半刻とはかからなかった。
264 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/05/06(水) 21:19:39.64 ID:XwBUKciu0
◆◆◆

――袁家が率いる兵は弱卒であるというのが諸侯の共通認識である。
なんとなれば匈奴に南皮の城壁を侵され、それ以後まともな戦もしていない。
此度の出兵にしても、董家軍と矛を交えずに砦の整備を優先しているのだ。

そして決定的なのは黒山賊。そう、賊ごときを相手取って誅滅できないのだ。
諸侯の指揮官は裏面で嘲笑う。賊ごときになにを手間取るのかと。三公を排出したと嘯(うそぶ)く名門が聞いて呆れる。
その嘲笑を後押しするのは黄巾賊の弱兵っぷりであった。
だから、兵站を襲う賊の存在はもっけの幸い。降って湧いた幸運である。
元々兵站の守護に当たる諸侯は矜持が高く、実利に聡い。
だからこそ袁家の出した条件に飛びついたのだ。
曰く、兵站の警備は非常に重要であるからして、その食事の一切はその補給部隊から無償で拠出させる、と。
当座の食糧を母流龍九商会に借り換えることを拒んだ諸侯は奮ってこの任に当たった。
それも無理からぬこと。後方に於いて安穏と補給部隊に随行するだけでいいのだ。
それに携わらぬ前線の諸侯、或いはそれすら判断できぬ者に冷笑すら内心浴びせていたのだ。
そして、だからこそ。
「お、落ち着け!落ち着いて迎撃しろ!ええい!落ち着かんか!」
声を発する指揮官自体が狼狽しているのだ。
突如として降って湧いたこの災厄。黒山賊に対して護衛なぞ名目以上のなにほどでもない。
勢いに勝る黒山賊の一撃を辛うじて防ぎ切ったかと思えば、眼前には第二波が。

「多少は出来るようだが……。それが不幸さね!」

閃光が走り、どさり、と首が落ちる。
たちまちに潰走が始まる。

「野郎ども、かっぱぎな!」

ただ一撃で戦いの趨勢を決定づけた張燕は返り血を拭うこともせずに矢継ぎ早に指示を飛ばす。
降伏か死か。
死を選べばよし。降伏すれば身ぐるみ剥がすだけで済ます。それが黒山賊。それが黒旗の意味。
知らぬとは言わせない。

「全く、忙しいったら!」

ともすれば笑みが漏れそうになる戦果ではあるが、その物資や資金を輸送するように命じて、次の襲撃に軍を急がせる。
全く、人使いが荒いにもほどがあると張燕は内心毒づく。

「何だい、あれくらい突破できないのかい。歯がゆいねえ」

そしてその稼働戦力をぎりぎりまで酷使して反董卓連合の後方攪乱に努めるのである。
ただ、補給部隊の護衛に当たった諸侯がそれなりにまんべんなく襲われていたのに対し、不思議に義勇軍はその被害に襲われることはなかった。

◆◆◆

「むむ、我らよりも兵站を担当する兵卒の方が立派な装備をしているとは……」

「はは、愛紗。気にすることはないさ。襤褸(ぼろ)を纏っても心は錦!それに愛紗と鈴々がいるんだ。問題ないだろう」

「そうなのだ!鈴々がいるからお兄ちゃんはのんびりしていたらいいのだ!突撃!粉砕!勝利なのだ!」

まあ、いいかと関羽は思う。
実際凡百の賊が出ても自分と張飛の二名で当たるだけでカタはつく。
その認識ははてしなく正しい。例え数千の賊が襲いかかっても彼女ら二人で返り討ちにできよう。

それを知ってか知らずか張燕は薄く、笑う。

「まあね、わざわざ虎穴に入ることもないだろうよ。別にあたしらは虎児なんて欲しくもないしね」

もたらされたのは兵站の運行スケジュールだけではない。おせっかいと言っていいメッセージも付随してあったのである。
曰く。

「劉には手出し無用」

とだけ。
そこまで言われて何かするほど張燕は好奇心があるほうではない。
なに、猫が死ぬのであればいいが。

「全く、食えないねえ」

劉家。それが果たして洛陽におわすやんごとない筋なのか、劉備なのか。
触れるなというのは優遇しろと言うのか、それとも触れないことで疑念を撒き散らすのか。

「ま、知ったこっちゃないさね」

せしめた物資の質と量に満足げに張燕は笑い指示を飛ばす。
いや、これはあの時の謝礼の一環なのだろうと笑う。

そして身の振り方について、思案にふけるのだった。
265 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/05/06(水) 21:20:20.26 ID:XwBUKciu0
本日ここまですー感想とかくだしあー

題名は、「準備、後方、不穏」

うん、今ひとつなので案をオナシャス
266 :青ペン [sage]:2020/05/07(木) 10:16:11.81 ID:GCIbqTzTo
>>265
乙乙の乙。

いやー張燕姐さん悪どいわー(棒読み)

んで、タイトル案は
兵站戦〜その実は繋がりありて〜
かな。

267 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/05/07(木) 15:18:43.31 ID:k09R4aS9o
いやぁ不自然ですねぇなんでやろなぁ()

タイトル案は「敵と味方、あるいはその逆」
268 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/05/07(木) 18:17:18.88 ID:F3RC62jNo
乙です

ほんと一石何鳥だよ、と言いたくなるくらいの一手ですよねぇ
楽して勝ち馬に乗ろうとする勢力には名実両方の痛手を、台頭させたくない勢力には疑惑を

題案は
『黒き燕は欲張らない』
なんて感じで
269 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/05/07(木) 22:24:18.48 ID:tHU/M4BBO
乙っしたー

文字通り「腹が減っては戦はできぬ」ですね
TOPの仕事は方針建てることと食わせること
270 :赤ペン [sage saga]:2020/05/08(金) 17:26:44.51 ID:BxYRBvpu0
乙でしたー
>>261
>>真桜は、むふんとばかりに、だ。 【むふん】って鼻息だよね、例えば【がちがちとばかりに緊張してる】とは言わないので
○真桜は、どうだとばかりに、だ。 もしくは【むふんと鼻を鳴らして】とかどうでしょう
>>262
>>二正面作戦。見事遂げて見せましょうとも」  【遂げてやろうじゃん】と言い換えられるなら
○二正面作戦。見事遂げてみせましょうとも」  ≪御覧じろ≫感を出すなら【遂げて魅せましょう】が好みです
>>263
>>手元に補給部隊の運行スケジュールが届いていたことによる。  予定は未定であって決定ではない(最終的に問題があるとは言っていない)
○手元に補給部隊の運行予定表が届いていたことによる。     十常待の顔は立てなきゃいけない、袁家とは仲良くしたい、両方やらなくちゃいけないのが黒山賊の辛いところだ
>>これを目にした時、流石の張燕が唸ったものだ。 さてこれについては流すべきか…
○これを目にした時、流石の張燕も唸ったものだ。 それにしても二郎から張燕とのつながりを聞かされた時はどう思ったのやら…というか二郎はどこまでの人にこのつながり教えてるんだろう
>>抵抗すれば死を。その旗にはそんなメッセージが込められている。  込めるっていうかまき散らしてるっていうか
○抵抗すれば死を。その旗にはそんな意味が込められている。     もしくは【この中華でその意味するところを知らない者はいない。】とか言ってみる
>>264
>>その嘲笑を後押しするのは黄巾賊の弱兵っぷりであった。 喋り言葉ならいいんですが
○その嘲笑を後押しするのは黄巾賊の弱兵ぶりであった。  地の文ならこっちの方が良いと思います
>>反董卓連合の後方攪乱に努めるのである。  【頑張った】と言い換えられるならこれでいいですが
○反董卓連合の後方攪乱に務めるのである。  【仕事をこなした】的な意味ならこちらですね…どっちだろう
>>襤褸(ぼろ)を纏っても心は錦! それを《天の衣》着てるお前が言うのか
○襤褸(ぼろ)を着ても心は錦!  もしくは【襤褸を纏えど心は錦】が正しい言い回しですが…【纏っても】だと難しい言い方しようとして変になるこいつらしさが出てるか
>>まあ、いいかと関羽は思う。 これだと本当は思うところがあるけど飲み込んだ感じが出てますがそんな感じはしないので
○まあいいか、と関羽は思う。 ≪まあ、(どうにかできるから)良いか≫と≪まあ(どうでも)良いか≫にニュアンスが変わりますね
>>それを知ってか知らずか張燕は薄く、笑う。  一刀(関羽)視点から張燕視点に変わったので
○◆◆◆  これを入れた方が良いと思います

 それを知ってか知らずか張燕は薄く、笑う。 
>>もたらされたのは兵站の運行スケジュールだけではない。おせっかいと言っていいメッセージも付随してあったのである。  梨園の誓いの二人には話してるだろうけど(一人で抱えるとか変なフラグたちそうだし
○もたらされたのは兵站の運行表だけではない。おせっかいと言っていい書き付けも付随してあったのである。        ていうかお前ら後方支援担当するのかw言ってたことの割と狡すっからいな

兵站護衛についたら黒山賊が襲ってくるのは分かる、俺たちもあいつらもどいつもこいつも運が悪ければ襲われる…ところでなんであそこの義勇軍だけ無傷なんですかねえ?(猜疑)
まあ関羽視点だと有象無象には襲い掛かっても自分たちには来ないあたり目端の利く奴だ、程度なんだろうけど
実際張燕さんなら一目であの二人の実力見抜いてただろうな、とも思うし
271 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/05/08(金) 20:33:39.62 ID:i5Oynv2e0
>>266
どもです。いつも一番槍ありがとうございます

>いやー張燕姐さん悪どいわー(棒読み)
さっさと退場するかと思いきや、独特なポジションになっておりますw

>兵站戦〜その実は繋がりありて〜
兵站戦はEですね!

>>267
どもです。

>いやぁ不自然ですねぇなんでやろなぁ()
あれれーおっかしいなあ


>「敵と味方、あるいはその逆」
ほむん。このエッセンスは使えそう。ありがとうございます。よきよき。

>>268
感想ありがとうございますー

>ほんと一石何鳥だよ、と言いたくなるくらいの一手ですよねぇ
ちなみに稟ちゃんさんの発案です。これには二郎ちゃんも苦笑い。
悪辣だな、くらいは言ってそう

>『黒き燕は欲張らない』
かっこいい。これかっこいいっすね!岸部露伴は動かない的なスタイリッシュを感じる!
これちょっといじりたいなあ

>>269
感想ありがとうございますー

>文字通り「腹が減っては戦はできぬ」ですね
なにせ兵站がないと悲惨です
気合い?2-3日で尽きますわな

>>270
赤ペン先生いつもありがとうございますー!
中々無修正とはいかないにゃあ

>それを《天の衣》着てるお前が言うのか
不覚にもわろうてしまいましたわw

>…ところでなんであそこの義勇軍だけ無傷なんですかねえ?
あれー、おかしいなーふしぎだなー的なw

>実際張燕さんなら一目であの二人の実力見抜いてただろうな、とも思うし
そこらへんの危機感知能力はすごそうですよね
まあ、彼女からしたら、でかい博打には勝ってますからね
後はもう、仲良く喧嘩するくらいでよいのでしょう
はねっ返りを袁家の経験値として捧げるだけの簡単なお仕事(簡単とは言ってない)
272 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/05/08(金) 21:42:31.98 ID:i5Oynv2e0
さて、攻城兵器の組み立てを見るのも飽きてきた二郎です。いや、お好きな方にはたまらないんだろうけどね。
攻城兵器を駆使した攻略案は稟ちゃんさんと真桜が色々練ってるからやることないしなー。
かと言ってあまり麗羽様んとこ言ってても太鼓持ちと言われかねないし。いや、俺は気にしないけど、そういうわけにもいかんということで。これも心の贅肉的なものであろうか。
だってね。麗羽様から反董卓連合の総指揮代理的な立場を頂いたからにはこう、それらしく振舞わんといかんというか。かっこつけたいと言うか。
それでも積極的に今はすることがないのが実情。まさかに後方に下がって兵站の護衛とかもありえんしね。
いや、色々稟ちゃんさんの布石で後方撹乱が効いてるってのは知ってるがまあ、大勢に影響はない。
集まる食糧にも何の問題もない。実際食糧供給ルートは多岐にわたるのだ。だからどうということはない。事前の説明でもそうだったし、報告でもそうなっている。
まあ、被害者には同情するがね。かの張燕と補給部隊の護衛なぞという制限がある中で矛を交えるなぞ遠慮したいところだ。シミュレーションゲームで定番の、足の遅い補給部隊を守るというのは非常に難易度が高いのだ。

んで、何が言いたいかというと、だ。
同病相哀れむと言うかだ。俺よりも時間を持て余してそうな知り合いの無聊を慰めようとその部屋を訪れたわけだ。
出番がないことにかこつけてそこいらへんで暴れられても困るしな!

「春蘭ー。はいるぞー」

「お?」

戸を開けてそこにあるのはある意味完成された肢体。
その身は引き締まりつつも女性らしい柔らかさを損なうことなく輝きを放っていた。
まあ、なんだ。つまり着替え中だったのですよ春蘭は。これは間違いなく死亡フラグ。
ぼこぼこに叩きのめされて野良猫に齧られる未来が確定的に明らか。
まあ、それでも眼福ご馳走様である。ありがたやありがたやと拝むこと数度。考えてみたらありそうでなかったね。ラッキースケベ。あはん。
呆れたような声が届く。

「……何をしとる、二郎」

「いや、これから黄泉路に向かってもおかしくないからな。せめて感謝の心を明らかにすべきだろうと思って」

「相変わらず素っ頓狂な奴だなあ。ほんと。
 ほれ、戸を閉めて後ろを向いていろ。すぐに着替えを済ますからして」

慌てて戸を閉めて後ろを向く。サーイエッサー、である。

常ならば室内の光景に、想像と言う名の翼をおおいに羽ばたかせるのであるがあいにくそんな心の余裕はない。
ああここで儚くなってしまうのかとばかりに走馬灯が走るかと思っても別にそうでもない。走馬灯仕事しろ。そういやこれも見たことないね。なかったよね?

「で、何の用なのだ?」

嗚呼、どうしたもんか。いい考えが突如ひらめくこともない。これは詰んだ。詰んだぞー!

沈黙を決め込む俺に不審そうに春蘭が口を開く。

「妙なやつだな。用があったのだろう?口を開かんとどうしようもないではないか」

いやでもいつ命が潰えるかと思うとそれどころじゃあないのですよ。

「なにを私の顔色を窺っているのだ。ほれ、さっさと用件を告げろ!私とて暇な身ではないのだぞ!
 あ、いや。言っておいてなんだが、最近はかなり暇ではある」

暇なの俺のせいですよね。ますます死亡フラグが積みあがるなあ。
ええい、ままよ!

「いや、その、怒ってないの?」

俺の問いに全身で疑問を呈してくる。

「ほう?
 二郎、貴様は何を言っておるんだ?」

「いや、だって春蘭の嫁入り前の裸身をだな」

いや、眼福ではありました。ごちそうさまでした。
273 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/05/08(金) 21:43:03.20 ID:i5Oynv2e0
「……ああ。なるほどな。まったく。
 そんなことで私が二郎をどうこうする筈はないだろう?
 何よりこの夏候惇!見られて困るような身体を有してはおらん!」

いやいやいやいやいや。話のベクトルが違うだろうそれは。

「まあ、華琳様以外に見せるつもりもなかったが、あれは純然たる事故だしな。戸に鍵をしなかった私も悪い。
 だからそのように二郎があれこれ思う必要はないぞ?」

うんうんと頷く春蘭。
それにつれてぷるんぷるんとその存在を主張する胸部装甲にやはり目が釘付けになってしまう。
巨、でもなく、貧、でもなく。
均整がとれていながもそれは魅惑、蠱惑。
艶やかに俺を魅了するそれはやはり魔性のもの――なんて考えてたら目の前には獰猛な笑みを浮かべた春蘭。
ちい!ぬかった!

「ほほう。二郎はそんなにも私の身体に興味深々と見える。だったらそうだな。
一撃は覚悟しているのだろう?」

観念して俺は目を閉じる。
せめて、やさしくしてね、とばかりに。

そして審判が下される。

ぺちん、と鼻が弾かれる。
へ?と漏れる声を聞いたのか、おかしげに春蘭が笑う。

「はは、なんて顔だ二郎よ。
それとも、そんなに打ちのめされたかったのか?」

いや、そういうわけじゃあないけど。だって春蘭だぞ?

「……お前は一体私をどう思っているのだ」

目は口ほどにものを言う。名言であることだなあ。

「よし、喧嘩を売るなら高値で買おう。
そうだろう、二郎よ」

言い捨ててそこらへんにあった木剣を放り投げてくる。

構える暇(いとま)もあろうか。

「おりゃああ!死ねええええ!」

えええええええ。さっき言ってたことと違うーでもこれでこそ春蘭かぁ!
274 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/05/08(金) 21:43:46.20 ID:i5Oynv2e0
俺の脳天に死を告げる天使がこんにちわしようとする。それをしのいだとおもったらば、返す刀できっちりと首筋に斬撃が。いや、普通に一撃がめっちゃ重いのだが。
いやこれ、普通に死ぬだろう。そんなことを思う間もなく襲いかかる斬撃に戦々恐々である。
いや、死ぬし。マジ死ぬし。
あかん、マジ躱しきれん。後数合なく俺は死ぬ。死んでしまう。
時が揺蕩(たゆた)い、春蘭の繰り出す太刀筋がスローモーションになり俺を襲う。

だが、見えるのと、それをどうこうするべく動けるかどうかというのはまた別の話であり、俺は死を覚悟せんといかんのだろうなあと。

こん、と俺の脳天から響く音は果てしな軽く。

「ふ、ふはは!二郎よ。まだまだ未熟よな!は!」

目の前で可笑しそうに笑う美女をどうしたらいいものか。その、なんだ。困る。

「え。いや。なんだ。ありがとうございました」

きっとこれはありえないほどに貴重な経験。格上の武人と命のやり取りをして生き残ったという経験。

「ふん、私も身体が鈍りそうだったからな。いい気分転換ではあった。
 ……それにな、二郎よ。以前より腕を上げたな。
 うん、強くなった。本当に」

春蘭のその言葉が俺の胸に染み渡る。俺は、少しでも強くなったのだろうかと日々自問していた煩悶が。

「本当に?」

問う俺に、獰猛な笑みで春蘭が応える。

「勿論だ。今ここで討ち取ったならば華琳様の覇道に益するのではないかと思うほどに、な。
 それに」

くすり、と。
澄んだ笑みで。

「それにな、二郎よ。
お前の子を孕んでやってもいい。
そう思うくらいには、な」

いやあんたなんちゅうこと言うのん。

そんな俺に春蘭はにまり、と意味深な笑みを浮かべる。
はたして武人として出番よこせというのか、それ以外か。

混乱まっしぐらな俺を見て春蘭は苦笑する。

「なに、そんなに難しく考える必要はないのだぞ」

頭のいい奴は変に深読みするからな、などとぼやく春蘭である。
その苦労は分かるような、分からないような。

まあ、いいか。

と思っていたが、一部始終を知った稟ちゃんさんからは冷たい目線を頂きました。
ねえねえ、怒ってる?

「怒ってませんよ」

ほんとにござるかー?

「怒っていませんとも」

その日はこれ以降何言っても無視されたんですけど。けど!
さみしいから流琉呼んで美味しいおつまみ作って貰いました。
今日はもう寝ようそうしよう。
流琉を抱き枕にしてっと。

おやすー。
275 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/05/08(金) 21:47:14.42 ID:i5Oynv2e0
本日ここまですー感想とかくだしあー

今回も題名募集しまくりんぐですよ本当に!
一ノ瀬案
「姉者、ちゃんとしようよ」
これ全く内容と関係ないし分かる人にしかアレだしね

頑張ってお盆までに、この章終わらせたいすなあ
本当はGWにいけるか、と思っていました
気がついたらおわってました
276 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/05/08(金) 23:26:11.72 ID:PLQzx3fco
乙です

ここの姉者はほんとなー、男前ならぬ女前すぎてなー、惚れてまうやろーですよ、ええ
個人的には脳筋キャラってあんまり好きにはならないのですけど、一ノ瀬氏の脳筋は姉者といい猪々子といいほんとお気に入りです


さて題案ですが
『飾らない心と言、されど凡人に今は届かず』
とでも。
植物の春蘭の花言葉には飾らない心、というのがあるようなのでこんな感じに
277 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/05/09(土) 01:23:27.27 ID:fx63qrdiO
乙っしたー

姉者の白い歯がキラリと光ったのが見えた気がするww

タイトル案「凡人、天国と地獄を垣間見る」
278 :俯瞰者 ◆e/6HR7WSTU [sage saga]:2020/05/09(土) 11:48:07.07 ID:W8XVo7SF0
乙です。

とりあえず、黒山賊というか張燕さんの立ち位置がつかめた。(つかこの時代地味に張姓多いのね)張姉弟と張紘さんと張燕さんと他にもいたよね?張姓だけで会話文作ったら
絶対作者殺しになるね(確信)

で、ですな。
じーろーうー。ほら言わんこっちゃない。ハーレム受け入れましたからとやかくはないですが、腹上死すんぞ。
とりあえず、たんぱく質とアミノ酸は今のうちに蓄積してなさいよ。
春蘭さんは高級将校育成メゾットがない時代の将校の典型例だと思われ。文ちゃんは気性というか元々?後天的にはじろさんの薫陶で成長してますが。
でさ、愛人(稟ちゃん)に嫉妬されたからって春蘭さんおかずに他の女と致すんじゃないの。
同じ致すなら癒し系が(幼馴染)がいるでしょうが(しつこいくらい推し)


さて稟ちゃん、どこでこのやりとり知ったの?おぢさんには話してくれるよね?(こら)
279 :赤ペン [sage saga]:2020/05/09(土) 16:09:20.54 ID:IfffdGZH0
乙でしたー
>>272
>>かと言ってあまり麗羽様んとこ言ってても太鼓持ちと言われかねないし。 【麗羽様とだべってる】可能性もあるけど
○かと言ってあまり麗羽様んとこ行ってても太鼓持ちと言われかねないし。 こうですね
>>それでも積極的に今はすることがないのが実情。 順番を入れ替えてみましょう
○それでも今は積極的にすることがないのが実情。 の方が良いと思います
>>慌てて戸を閉めて後ろを向く。サーイエッサー、である。  一応細かいことを言っておこう…多分二郎なら知らずに何となくこれ使ってそうだけど
○慌てて戸を閉めて後ろを向く。マムイエスマム、である。  女性相手なら本当はこれね…そもそもいうなら上官相手じゃないからこれも間違ってるけど
>>273
>>均整がとれていながもそれは魅惑、蠱惑。   なんかどこぞの完成生徒会長を幻視した
○均整がとれていながらもそれは魅惑、蠱惑。  でも【ながらも】だと相反する感じがするのよね…【均整がとれたその肢体は健康的でありながらも魅惑的、蠱惑的。】とか?
>>「ほほう。二郎はそんなにも私の身体に興味深々と見える。 【そんなにも〜と見える】って違和感が
○「ほほう。二郎は随分と私の身体に興味深々と見える。   もしくは【二郎はそんなにも私の体に興味があるのか。】でどうでしょう
>>274
>>こん、と俺の脳天から響く音は果てしな軽く。   当たる寸前で一気に減速とかいつの間にか春蘭武人として一皮むけてない?
○こん、と俺の脳天から響く音は果てしなく軽く。  多分登場時だったら振りぬいてたわ
>>さみしいから流琉呼んで美味しいおつまみ作って貰いました。   ≪ここではきものを脱いで、下さい≫
○さみしいから流琉呼んで美味しいおつまみ作ってもらいました。  ここでの【もらいました】は動詞ではなく【作って】にかかる補助動詞なのでこうですね

ところで基本的には武人の二郎ちゃんがちょいと体を動かすことに怒るのはおかしい…おかしくない?怪我したりさせたりしたならともかく
二郎のことだからラッキースケベの件から洗いざらいゲロっちゃったんだろうなあwえっ怒ってない?アッハイ
280 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/05/09(土) 20:59:05.92 ID:qHjGK1aj0
>>276
どもです。

>ここの姉者はほんとなー、男前ならぬ女前すぎてなー
ありがとうございます。書いてて楽しいし、勝手に動いてくれるキャラです。

>個人的には脳筋キャラってあんまり好きにはならないのですけど、一ノ瀬氏の脳筋は姉者といい猪々子といいほんとお気に入りです
脳筋を前に押し出すと、ポンコツやら理不尽やらになり易いですからねえ
お気に召したようでなによりでございまする

>『飾らない心と言、されど凡人に今は届かず』
素敵!これは一ノ瀬には出せないやつ。

>植物の春蘭の花言葉には飾らない心、というのがあるようなので
しらんかった
これはちょっと覚えておこう

>>277
感想ありがとうございますー

>姉者の白い歯がキラリと光ったのが見えた気がするw
実際姉者はヒーロームーブさせたら映えるのですよ

>「凡人、天国と地獄を垣間見る」
一気にコメディ色が強くなりますね。曲もぴったしかもしれません

>>278
どもです。ご無事でなにより

>とりあえず、黒山賊というか張燕さんの立ち位置がつかめた。
オフィシャルには仇敵でございます

>腹上死すんぞ。
ま、まだ清い関係やし(震え声)

>春蘭さんは高級将校育成メゾットがない時代の将校の典型例だと思われ。
なるほど

>でさ、愛人(稟ちゃん)に嫉妬されたからって春蘭さんおかずに他の女と致すんじゃないの。
り、稟ちゃんさんともまだそんな関係じゃないし(そうならないとは言ってない)

>同じ致すなら癒し系が(幼馴染)がいるでしょうが(しつこいくらい推し)
アッハイ
善処しますw

>さて稟ちゃん、どこでこのやりとり知ったの?おぢさんには話してくれるよね?(こら)
これは赤ペン先生のこれですね
>二郎のことだからラッキースケベの件から洗いざらいゲロっちゃったんだろうなあw
まあ、後々尾を引いても困るから自己申告したんじゃないでしょうか

>>279
そして赤ペン先生いつもありがとうございますー!

>女性相手なら本当はこれね
せやった。これはいけません……

>当たる寸前で一気に減速とかいつの間にか春蘭武人として一皮むけてない?
二郎ちゃんより強い、というのが基準にならないのが困ったとこですw
しっかり鍛錬されてますから、順調に強くなっていくはずです

>ところで基本的には武人の二郎ちゃんがちょいと体を動かすことに怒るのはおかしい…おかしくない?怪我したりさせたりしたならともかく
なるほどそうかもしれません
ちょっとあっちに投稿するときにいじろうかな
281 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/05/10(日) 11:34:52.50 ID:UvOTQ779o
乙したー二郎もげろ

稟ちゃんさんかわいいなぁ
282 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/05/11(月) 15:26:10.20 ID:5i2U4upW0
>>281
どもです。

もげたら困る人がおるがなw
そして稟ちゃんさんは実際かわいいですよね
実は当初プロットでは順当に曹家に就職する予定でした。
もしくは退場

風ちゃんが実は頑張ったのですよ
前も言ったかな?覚えてないや
283 :赤ペン [sage saga]:2020/05/13(水) 12:05:02.59 ID:3mbqz0se0
>>「怒ってませんよ」
>>「怒っていませんとも」
念押しするくらい言ってるからね、これはオコッテマセンヨ。これで怒ってるように思うならそれはその人が怒られるような事をしたからですね、ハイ(無言の圧力に屈した弱い俺を許してくれ
284 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/05/13(水) 21:08:20.20 ID:cKLreMZU0
>>283
しみじみ読み返すと稟ちゃんさんがカワイイヤッター
勢いで書いてるところあるからね、実際分かってないところありますよね……。
そして稟ちゃんさんは、どう考えても怒ってないですね。本人が言っているのだからこれは確定的に明らか。
285 :赤ペン [sage saga]:2020/05/21(木) 15:25:13.08 ID:o5ZAog1b0
ところでもの凄く下らないことに気付いたんだけどさ
ホウケイの持ち主の風って姓が程で名がイクって日本人だったら苛められそうだよね
下らないっていうか下ネタな話だけど
286 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/05/21(木) 20:35:23.22 ID:raidaerR0
凡将伝では程立だからセーフw
まあ、宝ケイは思ってました
そうなるとネコミミもそうですよねw
287 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/05/21(木) 21:11:47.29 ID:raidaerR0
「いやしかし、よおもまあ集まったもんやなあ。黄巾やあるまいし、あの数。
ありえへんやろ……」

寒風吹きすさぶ水関の城壁。その上。やがて訪れるであろう阿鼻叫喚の舞台。その上にて張遼は、たはは、とばかりに笑う。笑うしかない。
主将たる彼女の、いっそ軽率とすら言ってもいいこの動きに諫言する者はいない。彼女の身になにかあれば一気に守兵の士気は地に墜ちてしまうのだが。
だが。いや、だからこそ張遼は最前線となるそこに陣取り、酒を呷ってさえみせるのだ。
不安げな兵卒を目の端に納めながらにんまりと笑う。

「まあ、十万が二十万でもどうってこたあらへんわ。
 恋が、せやな。五回も出撃したら壊滅する計算やからな」

空元気も元気のうち、とばかりにからからと笑う。
その張遼の声に勇気づけられたのか兵卒たちからも笑いが漏れる。

……無論張遼とて自分の言を信じてはいない。いかに呂布が万夫不当といえど、あの時――単騎で三万の黄巾を撃退した――とは事情が異なる。
敵兵は黄巾とは比べ物にならない精兵であるし、英傑と言っていい武将が幾人もいる。
それに、今の呂布は万全とは言えない。
いや、やる気は十分ではあるのだ。だが。

「おなか、へった……」

今日も今日とて無意識であろうに呟く呂布の姿が思い出される。ぐったりとその身を横たえて動こうとしない。
心配そうに周囲で陳宮があれこれと世話を焼くのであるがそれに対する反応も極めて薄い。

「詠はよくやってんねんやろうけどなあ……」

張遼は内心嘆息する。
必要なだけの食糧は届いているのだ。帳簿上は。
しかし、それは例えば砂混じりの粗悪品だったり、半ば腐りかけのものが混入されていたりするのだ。
厳密な数字は張遼も把握できていないが、体感で二割くらいは目減りしているのではないか。
飢える兵を見て人一倍――どころではない――健啖家である呂布であるが、その心根は優しいのだ。常の食事量を考えれば信じがたいほどに小食になっていた。

中々に明るい見通しのない現状に流石の張遼も気が滅入る毎日である。
だが、現状悪くはない。それでも悪くはないのだ。

――反董卓連合はその大軍で囲みながらも不気味に沈黙を保っている。この状況はけして悪いものではない。
そう思って張遼は苦笑する。
なんのことはない。今自分は時間稼ぎの為だけに兵を、将を死なせようとしているのだと。

この期に及んでもはや董卓の栄達、董家軍の勝利などという甘い見通しを描いてはいない。
自分に、自分たちにできるのは精々時間稼ぎ。
あの、心優しい少女が救い出される時間を稼ぐのだ。
きっと、きっと賈駆ならば董卓を救い出すはずだ。
……生きていさえいればそれでいい、と張遼は思う。

そうだ、死んでしまったらばそれでおしまいなのだ。
ずき、と胸が痛む。
目の前で散った、益荒男の最期が脳裏によぎる。
そんなつもりはなかった。なかったのだ。
できれば董卓を救出するために力を、知恵を貸してほしかったのだ。
だが、それは叶わず。それでも踏み出した道を進むしかないのだ。

「後戻りはできんし……。
 やるだけのことはやるしかないわな」

皆が笑って暮らせる世の中。そんなのはやはり夢物語なのかなあという思考を軽く頭を振って追い払う。
そのような絵空事――語る彼らは本気だったみたいだが――に心躍らしていたのが馬鹿みたいだ。
いや、今でも呂布は「ご主人様」に執心のようだが。彼らも反董卓連合にいるというのに。
全く頭が痛い限りだと張遼は内心頭を抱える。こんなのは本来賈駆の役割のはずなのだが。

「まあ、ええわ。なるようになるやろ」

いっそ清々しいくらいに投げやりに張遼は呟き、実際的な防衛について思いを巡らせる。
張遼直卒五千、呂布、五千。そして水関と虎牢関に詰める守備兵が五万。
けして勝ち目がない数字ではない。
――だから、不可解なほどに動かぬ反董卓連合の動きはこの上なくありがたいのである。

◆◆◆
288 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/05/21(木) 21:12:14.71 ID:raidaerR0
さて、船頭多くして船山に登るという言葉がある。けだし金言だと思う。
頭がいい奴らを集めたらそれで上手くいくかというとそうではない。目の前の状況を見て俺はその金言を思い出していた。

「だいたい、無駄に胸ばっかり大きくして!
 頭にいく栄養がそこにいってるからそんなにお気楽な調子なんでしょうよ!」

「あら〜。これはこれで大変なんですよ?肩とかこっちゃいますしぃ。
 でもでも、殿方には喜んでいただけますけどねぇ」

ね、とばかりにこちらにふわりとした笑みを投げかけてくれる穏に俺の気持ちはどんよりと曇る。頼むから巻き込まんでくれよな。

「あのだな、仲よくせんでもいいから前向きな話をだな……」

「大体なんでアンタがこの場にいるのよ!残念な頭の中身のアンタがここにいても一つも役に立たないでしょうに!
 全く!作戦案を練ると聞いてやってきたら何よ。いちいち人の言うことに難癖つけてばっかりで!」

いやそれはお前の態度の方が問題だろうがと言いたいのをぐっとこらえる。ついでに出撃寸前だったため息もぐっとこらえる。
解せぬ、なんで俺がこんな苦労をしているのだ。
いや、美少女に囲まれているという状況はある意味天国なはずなのだがね。

無言で天を仰いだ俺に、これまた稟ちゃんさんが視線で仕事しろと促してくる。厳しい。

――会議室には反董卓連合の中でこれは、と俺が思う人材を集めている。
稟ちゃんさん、ネコミミ、穏という綺羅星のような軍師陣。そして工兵を率いる真桜といった面子だ。
いざ水関を攻めるにあたっての作戦案を練ろうと思ったのだが、こんなにも足並みがそろわないとは思わなかった。これじゃ俺、この場から逃げたくなっちまうよ……。

あ、なんで伏竜とか鳳雛がいないかは察してくれ。

「もうちょっと前向きに行こうぜ。あの、難攻不落の水関。そして虎牢関をどうやって抜くか。
 君らのお知恵を拝借したいんだってば。
攻城兵器を運用する真桜もいることだし、結構現実的な検討ができるんじゃないかなあと思うんだが」

「アンタ、馬鹿?作戦なんて立てようもないでしょ?ほんと馬鹿なの?
 これだけの攻城兵器があって、作戦なんてあってないようなものよ!アンタとこの大将が言ったようにね、真正面からぶつかるしかないでしょ!
 それに私たちに攻城兵器の運用なんて経験あるわけないんだから、そこでなんか絡繰りをいじってるそばかすの無駄乳娘が仕切ればいいじゃない!」

お、おう。

「あらあら〜。ご自分に攻城兵器の運用経験がないからって取り乱すことはないですよ〜。
 そんなのある方がおかしいのですから〜」

くすり、と穏が場を治めようとするがどう見ても火に油である。そんなに相性悪いのか君ら。
289 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/05/21(木) 21:12:44.85 ID:raidaerR0
「二郎はん、帰ってええか?うち、ここにいてもしゃあない気がしてきたわ」

げっそりとした表情で真桜が耳打ちしてくる。いや、お前はいないとまずいだろう。俺攻城兵器なんてわかんねえし。

「全く。黙って見ていれば好き勝手なことばかり。見苦しいことこの上ないですね」

これまで沈黙を保っ、ていた稟ちゃんさんが口を開いたらますます場が荒れそうな言葉が紡ぎだされたでござる。
もうどうにでもなーれー。
き、と明らかに攻撃対象を変えたであろうネコミミが口を開こうとするのを見てなんとなくげんなりする。

「二郎殿。そもそも貴方の投げっぱなしな態度がよろしくない」

おおっと!ネコミミが口を開くよりも先に稟ちゃんさんに糾弾されたでござる。って俺?

「いいですか。貴方はこの反董卓連合を仕切らねばならない立場なのです。
 いえ。だからこそ水関を攻めるにあたってこの場にいる人材を選別されたのでしょう。
 ですが、われ関せずというのはいかがなものかと思います。それぞれ背負っているものがあるのですから」

この場で風下になんて、到底受け入れられないのですよと言われてはっとする。
そっかー。そうだよなあ。皆背負ってるもんがあるんだよなあ。

「お分かりになられましたか」

あいよ。俺が仕切らんといかんってこったな。
さてとばかりに姿勢を正した俺に稟ちゃんさんからお題を頂きました。

「では、二郎殿。貴方ならどう水関を攻めますか」

えー。

どう、水関を攻めるかって言われてもなあ。
そんな妙案とかあるわけもなく。

「別に二郎殿の案を実行するわけではありません。ごく当たり前のやり方で結構です。それを私たちが修正する。或いは代案を出せばいいのです」

なるほどね。具体案の叩き台をまずは造ろうってことか。
まあ、先ほどまでの罵り合いに比べたらいかにも生産的で結構なことである。
じゃあまあ、思う所を述べましょうかね。
290 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/05/21(木) 21:13:35.47 ID:raidaerR0
「まあ、あれだな。純粋な力押し。これしかないだろね。折角攻城兵器を色々持ってきて、真桜が慣らし運転までしてくれてるんだ。使わない手はない。
 城門を破る衝車、城壁に乗り込む櫓車。それに霹靂車を組み合わせてなんとかするしかないだろう
 あとは董家軍の騎兵に蹂躙されるだろうから守備兵をたっぷりと付けよう!」

正直攻城兵器への攻撃が一番気がかりなんだよねえ、とか思ってたら真桜が思いもよらぬことを言ってくる。

「二郎はん、言っとくけど霹靂車な。門扉には使えへんで」

「え、なんで」

衝車より威力があるというイメージなんだけど。

「投じた岩が邪魔で衝車が使えへんくなる」

「あ……なるほど……」

なんだ、威力的な意味で一番数を揃えてきたのに無駄骨なのかな。流石に城壁を砕くのはしんどそうだしなあ。
などと思っていたのだが、ネコミミの冷たい視線が結構こたえたので話をずらそう。

「ち、近くに川とかあったら水攻めとかするんだけどなー」

「アンタ馬鹿ぁ?川どころか木一本たりとも生えてないわよ!」

はい。そうです。攻城兵器の材料となるのを嫌ったのであろう。周りは岩山で本当に木一本たりとも植生していない。

「周りにあるのは……土攻めとか意味わからんしなあ」

はい、ネコミミから更に蔑んだ目つきいただきました!ほんと嬉しくない!

「え〜と、でも、それってありじゃないですか〜?」

穏が何か言ってるのに縋ろう。とりあえず沈黙されたら心がストレスでマッハだ。

「ですから、敢えて水関の門扉に霹靂車で攻撃するんですよ〜」

「いやだってそうしたら衝車どころか俺たちだって突入できないじゃん」

にこり、と穏が身を寄せてくる。うん。柔らかい。でかい!

「それが狙いですね〜。だってだって。董家軍の本領は騎兵でしょう?
 こちらが門扉を使えないということはあちらも。
 まさか騎兵が水関に引き籠って勝てると思うほど相手も無能ではないでしょうし」

な、なるほど。相手の最大の長所を封じるってことか。

「それ、ええと思うで。二郎はん。ほんでな、さっき言ってた土攻め、アリやと思うわ。
 うん。ええ感じにいけると思うで」

真桜も賛同してくれる。ってか土攻めって何さ。いや、俺が口にしたことなんだけんども。
そうしてあれやこれやと数刻かけて打ち合わせは進んで。

「では。ご苦労様でした。どうやら水関を落とす方策が見えてきましたね。
 それでは明日戦場で」

稟ちゃんさんの静謐な声でこの場はお開きになったのである。
後は明日、攻めかかるだけってね。

準備は万端、というやつだ。あとは仕掛けをご覧じろ。
291 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/05/21(木) 21:15:10.58 ID:raidaerR0
本日ここまですー感想とかくだしあー

ううむ。思ったより間隔が開いてしまった反省。
お盆に間に合わなくなっちゃう!

お題は募集しまくりでございます。

「開戦前夜」
「踊る会議」

はい、今ひとつなので、よろしくどうぞ。
292 :青ペン [sage]:2020/05/22(金) 03:30:35.58 ID:tI9yi9rUo
>>291
乙ん。

んー、今回のも悩むねぃ。

【逆転発想〜出足を挫くは兵法の基礎】
293 :赤ペン [sage saga]:2020/05/23(土) 16:26:02.65 ID:FE4hgQJU0
乙でしたー
>>287
>>その上にて張遼は、たはは、とばかりに笑う。笑うしかない。  【たはは、とばかりに】だと【たはは、(と言わん)ばかりに】になるんですが違和感があるので
○その上にて張遼は、呆れた、とばかりに笑う。笑うしかない。  空元気としてはこれかな?もしくは【たはは、と笑う】とか【たはは、と苦笑する】とかどうでしょう
>>その張遼の声に勇気づけられたのか兵卒たちからも笑いが漏れる。 間違い?笑い声に勇気づけられたなら間違いではないですね
○その張遼の言に勇気づけられたのか兵卒たちからも笑いが漏れる。 言ってる内容に勇気づけられたならこっちですが
>>あの時――単騎で三万の黄巾を撃退した――とは事情が異なる。 間違いと言うほどではないですが
○あの――単騎で三万の黄巾を撃退した――時とは事情が異なる。 【撃退した】からスムーズに言葉が繋がる場所で言うなら【時】かな、と
>>「おなか、へった……」  この後の文を読むとこれってこの場にはいなくて張遼の回想というか想像ですよね
○『おなか、へった……』  最初は隣にいてつい声が漏れてしまったのかと思いましたが
>>……生きていさえいればそれでいい、と張遼は思う。 【いさえいれば】ってちょっと読みづらい
○……生きていさえすればそれでいい、と張遼は思う。 もしくは【生きてさえいれば】でどうでしょう
>>張遼直卒五千、呂布、五千。  勝ったな、風呂入ってくる
○張遼直卒五千、呂布直卒五千。 《兵種、呂布》が5千もいたら戦争とかどうにでもなるよね
>>288
>>ついでに出撃寸前だったため息もぐっとこらえる。  これだと≪出撃寸前だったため、息もぐっと≫に読みそうになるので
○ついでに出撃寸前だった溜め息もぐっとこらえる。  の方が良いと思います
>>289
>>これまで沈黙を保っ、ていた稟ちゃんさんが これはケアレスミス
○これまで沈黙を保っていた稟ちゃんさんが  ですね
>>き、と明らかに攻撃対象を変えた  表現としては
○キッ、と明らかに攻撃対象を変えた 刺々しさを出す意味でカタカナにして【ッ】で張り詰めた感じを出す…多分
>>さてとばかりに姿勢を正した俺に稟ちゃんさんからお題を頂きました。     これは【さて】と言ったのか言ってないのか、それと【俺に】にかかってるのが【頂きました】だと文脈が変なので
○気合を入れたとばかりに姿勢を正した俺は稟ちゃんさんからお題を頂きました。 もしくは【さて、と姿勢を正した】と【俺に稟ちゃんさんからお題を出されました】とかどうでしょう

関係ないけど山を登れる船とか100頭の獅子を引き入れる羊とかリアルにいたら絶対欲しいよね
>>皆が笑って暮らせる世の中。 ○○「幸せ、というのが私にはよく分からない」「だが、不幸、という状態、或いは感情に関してはいささか含蓄があると思う」
攻城戦と言えば公式で得意と言われてる絡新婦さんは…アッそんな面倒な事よりも美羽様のお世話の方が大切ですよね、ハイ
294 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/05/25(月) 05:59:11.67 ID:fu6CPMKT0
>>292
どもです。

逆転発想はいいですね
裁判みたいw

>>293
赤ペン先生いつもありがとうございますー!

>関係ないけど山を登れる船とか100頭の獅子を引き入れる羊とかリアルにいたら絶対欲しいよね
絶対ほしい
前者はヴィンランドサガ冒頭で見て度肝抜かれた思い出があります
終わるんやろかあれ

>攻城戦と言えば公式で得意と言われてる絡新婦さんは…
そらもう

>アッそんな面倒な事よりも美羽様のお世話の方が大切ですよね、ハイ
これですよねw


civ6が無料だったのでダウンロードしてしまった
半日単位で時間が溶けますねこれw
295 :青ペン [sage]:2020/05/25(月) 13:58:45.12 ID:HnX+Ka0mo
>>294
割と元ネタあったりするタイトル多いんですがねー。
(今回のは言わずもがな)

両翼再びも実はとあるゲームの楽曲タイトルを捻ってるし
296 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/06/03(水) 22:29:23.22 ID:rATsiXvy0
さて、というわけで水関である。嗚呼、水関である。
難攻不落の要塞にこれから挑むのだ。
ずらりと並ぶ袁家軍をはじめとした反董卓連合。
城壁の上には恋と張遼、陳宮もいるな。皆、流石の存在感である。のだが。
詠ちゃんがいないのはやはり洛陽から動けないということなんだろうさ。風よ、流石だ。パーフェクトだ。流石は俺のメイン軍師なのだぜ。

なんて思いながら城壁を見る。相変わらずそびえ立つ難攻不落は変わらずである。
まあ、そして様式美的な舌戦が始まる。こちらの攻め手は人を罵ってナンボの陳琳だ。
いやあ、陳蘭と姉妹とは思えないほどにこう、舌が滑らかである。檄文を起草したのも彼女だしな。俺、陳蘭にあんなに挑発されたりこきおろされたら精神的に即死だわわ。

……。おお、いよいよ佳境か。
ヒートアップする陳琳の言は流麗にして荒々しい。そして平易にして過激。
つまり、めっちゃむかつくやつ。
煽りマスターかな?

「そもそも相国などという地位に鎮座する董卓とは何か。
 その生まれ卑しく、品格は怪しい。それをかの馬援将軍の血を引く名門馬家。その当代きっての英雄たる馬騰殿に取り立てられた孤児に過ぎない。
 なるほど、確かに才覚はあったのかもしれない。だがその人品はいかに。
 犬でも一宿一飯の恩を感じて尽くすというのに。忘恩なぞという可愛いものではない。
 恩を仇で返すとはこのこと。引き立てられた恩人を謀殺して栄達を図る。いや、かつてこれほどの邪知暴虐があったろうか。いや、ないと断言する。
 相国なぞという大層な地位を標榜する董卓はまさに君側の奸。それを除くべく――」

いやあ、相手を罵るときほどいきいきと輝くってのは人としてどうなんだろうなあなんて思いながらも目線は城壁の上の―――!

「凪!」

俺の声を受けて陳琳の近くに控えていた凪が弾丸のように飛び出す。
目指すは陳琳。そこに向けて物凄い勢いで迫る物体。ノーモーションで恋が投擲したそれはこのままでは間違いなく陳琳を絶命させるであろう。

「断空砲!」

凪の放った渾身の気弾がその槍の進路を逸らすことに辛うじて成功する。
それでもその威力は凄まじく、陳琳の頬を掠めて地に突き刺さる。

「ひい!」

腰の砕けた陳琳を凪が無言で背負って安全圏まで逃がす。ナイスだぞ凪。安全第一でヨシ!
297 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/06/03(水) 22:30:10.85 ID:rATsiXvy0
そんな俺の思惑はともかく、その一部始終に周りはシン、と静まりかえる。
まあ、確かにだ。けして槍を投擲して届く距離じゃないっての。全く!あれでほんとに飢えてるのか?

「化けの皮がはがれたな!口上の途中で口を封じようとするなぞ非を認めたも同然!
 さっさと悔い改めて降るんだな!」

ある意味醜態をさらした陳琳に代わり俺が叫ぶ。
これで降ってくれたら楽なんだけどね。

「ふん、好き勝手言えるのもそこまでですぞ!」

ふんぞり返る陳宮が、手を振ると城壁に旗が翻る。そこに記されているのは漢。
錦の御旗、という奴である。
つまり勅が下されるということである。

「逆賊袁家誅するべし!そこな曹家、孫家!そして漢朝に連なる者ども!勅命ですぞ!
 ――袁家討つべし!」

は、チビのくせによーく響く声だことで。いや、マジで響き渡った。
ざわり、と背後の空気が動くのを感じながらも俺は悠然と歩を進めるのだ。
プランBだ!

◆◆◆
298 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/06/03(水) 22:35:49.38 ID:rATsiXvy0
「え、どうしようご主人様、私たちこのままじゃ逆賊になっちゃうの?」

声がでけえよ。狼狽えるにしろもちっと静かにしろや。つか、そんな覚悟もしてなかったんかいとか、そっちに心が折れそうだぜ俺は。
全く。運がいいのか悪いのかあいつらはこのタイミングでここにいたんだよ。いたんだよなあ。ほんとは後方で兵站の護衛に専念してほしかったんだけども。
まあ、手柄ということではここが稼ぎどころだし、名を上げるところという読みは正しい。腹立たしいがな。

「二郎殿、勅命だそうですが」

稟ちゃんさんの問いに、歪んでいるであろう笑みで応える。

「なに、こっちにだってあるさ」

ぱちんと指を鳴らす。あまりいい音はしなかったが、うやうやしく書簡を捧げて歩を進めるのは春蘭である。
常ならば勇ましい武者姿も今日この場では女官姿だ。いや、なんでって実は官位で言うと春蘭ね。相当上なのよ、偉いのよ。
そしてこの役割に相応しいのはその、声。

「勅である!密勅が下されている!君側の奸を除くべしと!既に何進大将軍より自らに変事あらば動けと命は下されている!
 貴様らこそが逆賊!名が惜しいならば直ちに降れい!」

烈火のごとく燃え上がる気迫が水関を揺らす。
さっすが春蘭、声でけえ。
いや、これ重要なのよ?

勅を以って勅を制す。
当然予想されていた逆賊認定スルー余裕です。

俺が準備していた切り札の一つだ。ちなみに春蘭が持つ勅は本物である。
いつぞやの際に白紙の勅を何進からもらったのを覚えてる人は偉い。記念メダルをあげよう。

まあ、形式的なもんだけどね。それでもここで朝廷を軽視するわけにはいかん。世が乱れるもとだからな。
あくまでこっちのスタンスは君側の奸を除くこと。そしてその正当性は洛陽の困窮、そしてこの密勅。

悪いが、あらゆる面で完璧に勝たせてもらうぜ?ほんとごめんね。

「問答、無用なようだな!いいだろう、ここからが本当の地獄だ。
 じっくりと味わってくれ」

ば、と右手を上げる。

ジャーン、ジャーンと銅鑼が響く。
そして鈍い、重い音が。

「圧倒的だぜ?我が軍は!よ!」

水関、なんぼのもんじゃい!くらいは言っても大丈夫と真桜が言ってた。後、稟ちゃんさんも。
だからまあ、大丈夫だろうて……。

地響きを上げて攻城兵器が進んでいく。いやあ、壮観ですね実際。
恐らく、今現在で。この中華で攻城兵器を運用したことのあるのは袁家工兵隊のみのはずだ。匈奴はそんなもの使わないからな。
逆を言えば、先の匈奴大戦で彼奴らが攻城兵器を使用していたら歴史は変わっていたかもわからんね。
まあ、ネコミミには会議後に散々となんでそんなもん大量に保有しているんだと糾弾されたがね。
いや、匈奴が今まで使わなかったからと言って、これからも使わんってこたあないだろうと反論したら黙ったが。
頭のいい人は勝手に納得してくれるからいいね!

……実際千年を経たらそれが故に蒼き狼の末裔は世界史上最大の帝国を築くだろうし。

閑話休題(それはさておき)。

今回様々な兵器を持ち込んだ真桜だが、この戦に限れば主役は投石器である。そういうことになった。

「いよいよ、か。きちんと見せ場はつくってくれるのだろう?」

春蘭が獰猛に笑う。

「んー、とりあえず門扉から出撃する兵は春蘭と秋蘭、それに斗詩で受け止めてもらうことになる。
 そんでまあ、機を見れば敏に突出してくれて構わない。なんなら水関、落としてくれても構わんぞ?」
299 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/06/03(水) 22:37:02.21 ID:rATsiXvy0
◆◆◆

呂布の牽制もあり、水関を守る董卓軍は退きながらも被害は軽微。
見事に退却を果たした張遼と陳宮の用兵は、実際見事と言っていいものである。

実にあっさりと水関を落とした前線指揮官たる夏候惇は、だから一言もそれを誇ることはなかった。

「フン。戦う前から勝敗は決まっていたということだろうが!」

それでも、築き上げられた土嚢の坂道を単身踏破し、一番槍を果たしたというのはいささか地味な展開であったこの戦いの彩ではあったのだが。
むしろ彼女はそれを耳にすると激昂したということである。

彼女を知る人は、それでこそと
300 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/06/03(水) 22:38:50.45 ID:rATsiXvy0
お待たせいたしました
本日ここまですー感想とかくだしあー

題名くださいよ……ほんともうね、羽化亜\場内ので
飲めば飲むほどええ感じという現状について、ご支援のほどオナシャス


つれええあわw
301 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/06/04(木) 03:41:50.10 ID:Wvq6bOO1o
お疲れ様です ほんとお疲れ様です・・・

あらゆる面で正々堂々正面突破、やるなら面白くない勝ち戦がモットーの二郎らしいですね

タイトル案は「勝ち戦ほど、つまらない」

それはそうとして陳琳ちゃんには腹パンを・・・って合ってるよね?
302 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/06/04(木) 06:05:25.67 ID:vQRkrhUj0
>>301
どもです。

>あらゆる面で正々堂々正面突破、やるなら面白くない勝ち戦がモットーの二郎らしいですね
ありがとうございますー!
そのためにいろいろと積み上げてきましたしね。

>タイトル案は「勝ち戦ほど、つまらない」
これはよきですね。ありがとうございます。

>それはそうとして陳琳ちゃんには腹パンを・・・って合ってるよね?
その通りでございまするw
303 :赤ペン [sage saga]:2020/06/04(木) 12:54:43.73 ID:nZ/e5Ua50
乙でしたー
>>296
>>相変わらずそびえ立つ難攻不落は変わらずである。  【相変わらず〜変わらず】だと意味が重複して見えるので
○相変わらずそびえ立つ難攻不落は健在である。    あるいは【難攻不落は相も変わらずそびえ立っている。】とかどうでしょう
>>298
>>いつぞやの際に白紙の勅を何進からもらったのを覚えてる人は偉い。 メタいこと言ってるな…そのこと知ってるの作中に何人いるやら
○いつぞやの際に白紙の勅を何進からもらったのを憶えてる人は偉い。 記憶してる、ですからこっちですね

>>常ならば勇ましい武者姿も今日この場では女官姿だ。 くっそみたい!!いつものナチュラルメイクすらしてなさそうな夏侯惇がおめかししてるとかヅカも真っ青よ(断言
夏侯惇からすれば別に自分がちょっと目立ったといっても勝敗には大して意味ないからなあ、その状態に持って行った袁家工兵隊が本来受けるべき称賛を自分に向けられるようなこととか…ねえ
腹パン…幸子?私のシオニズムは机とか強くたたいて「ひっ」と言わせたり野肉体的嗜虐の少ないタイプです(隙あらば語る)
304 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/06/04(木) 19:59:46.70 ID:vQRkrhUj0
>>303
赤ペン先生いつもありがとうございますー!
今回は少ない!やったぜ!
※ノーミスを目指しております

>くっそみたい!!いつものナチュラルメイクすらしてなさそうな夏侯惇がおめかししてるとかヅカも真っ青よ(断言
これは完全に同意ですね
きっと、はおーが自分好みの化粧を施してるんやろなあ
※眉毛統一はこの世界線ではないものとする

髪の毛を結い上げて冠装着して着飾ったらそらもうね、凄いよ多分
公式でやってくれないかなあ
やらんやろけど

>腹パン…幸子?私のシオニズムは机とか強くたたいて「ひっ」と言わせたり野肉体的嗜虐の少ないタイプです(隙あらば語る)
あ、腹パンは幸子か。これはやってしまったか(棒)
土下座強要からの「ひっ」こそシオニーちゃんの真価よね(適当)

数年前に脈絡無く後輩に語ったけど(十分くらい)、ヒロインの属性があふれかえる昨今、
シオニー・レジスというキャラは空前絶後でオンリーワンな地位を築いたと思っております
305 :赤ペン [sage saga]:2020/06/05(金) 10:13:21.73 ID:6CQ4UICY0
シオニーちゃんは腹パンしたい派、痴漢して訴えますよされてから逆切れしたい派、桃鉄でリモネシアを独占した後キングボンビーで壊滅させたい派、たっぷりと水を飲ませてから土下座させておもらしさせたい派、男子トイレに行かせたい派、と多岐にわたるので
srwの世界の歪みを一身に受けたと言われたり彼女のせいで(現実)世界の(性癖の)歪みが生まれたと言われたり凄いお方ですよw
306 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/06/05(金) 22:02:10.98 ID:CtPB9C/90
>>305
ヒエッ
307 :俯瞰者 ◆e/6HR7WSTU [sage saga]:2020/06/08(月) 14:11:02.13 ID:jpmj6wrL0
乙です。

陳琳さんって……へ?陳蘭さんに妹いたの?おじさんびっくりだー
まぁつまらんでもなんでも結果としての勝ちならそれでよいかと。正直双方に人的被害(死傷者)が少ないという点は評価します(何様じゃ

恋ちゃん(呂布)のやった行為は覚えておきましょう。こちらでちゃんと教育しましょうかね。
あかんよ、言葉に物理で押さえつけるのは。それって自分の価値を下げちゃうよ。
ナギー(おい)。一回「やあってやるぜ」って言って。もしくはクッソエロいチャイナドレス姿で演武するとか。

見ておられるかはわかりませんが、もし見ておられたら、支援絵師様なにとぞこれを描いていただけませんか。
>春蘭さんの女官姿@フルおめかしver
私も見たいっす



さっちゃん(幸子)いじめんといたってね。個人的な癒しなんですよ。
308 :赤ペン [sage saga]:2020/06/08(月) 16:19:08.98 ID:MGcTxH3I0
分かる…あの子はすごいいい子
ただそれはそれとして苛めると輝く子でもある。罰ゲームで青汁一気とかバンジーのリポートとか見えない箱の中の蛇(毒無し)を当てるとかやってほしい
309 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/06/08(月) 21:23:36.67 ID:x9mXsbYW0
どもです。お疲れさまでございます。

>>307
>陳琳さんって……へ?陳蘭さんに妹いたの?
お姉ちゃんですね

>まぁつまらんでもなんでも結果としての勝ちならそれでよいかと。正直双方に人的被害(死傷者)が少ないという点は評価します
本格的なんはこれからですわw

>あかんよ、言葉に物理で押さえつけるのは。それって自分の価値を下げちゃうよ。
何事も暴力で解決するのが一番、となったら最強は恋ちゃんですのよね

>一回「やあってやるぜ」って言って。
凪「へ……っ?や、やってやります!
 こんな感じでしょうか?」

>支援絵師様なにとぞこれを描いていただけませんか。
見たいですねえw
310 :赤ペン [sage saga]:2020/06/10(水) 12:06:13.49 ID:/8xQUWwm0
某アニメの名台詞に「撃っていいのは撃たれる覚悟のある奴だけだ」というのがあるんだけど
これって殺される覚悟があればそこいらの善良な市民を虐殺しても良いってことよね
『僕は地獄に落ちるだろう…それを受け入れてるからそれにふさわしいだけの罪を犯すね』

語呂が良いからなのか作品が有名だからなのか結構いろんな投稿小説やらなんやらで見るけど作者はこの言葉意味を理解して使ってるのだろうか?
311 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/06/10(水) 21:44:11.71 ID:4bcIfx7b0
>>310
>「撃っていいのは撃たれる覚悟のある奴だけだ」
かっこいいですからね。断罪的な決め台詞としてはよきよきw

>これって殺される覚悟があればそこいらの善良な市民を虐殺しても良いってことよね
そこまで考えてないでしょうねえw
相手を処する時の口上ですしおすし
まあ、それを逆手にとってその場から去ってより邪悪、、巨悪になった時にブーメランはアリですねw

次回作でギミックに使ってみようかな
312 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/06/10(水) 22:02:13.75 ID:4bcIfx7b0
「水関が落ちたそうだよ」

その声に少女は肩をびくり、と震わせる。

「ああ、安心したらいい。董家軍に大した被害はなかったようだから」

クク、と言葉を紡ぐのは皇甫嵩である。目の前の少女――董卓――に笑いかけながら慰める。その笑みは爽やかではあるのだが、実質嬲っているのと同意である。

ここは洛陽の奥の奥。執金吾の地位をもって洛陽に広げる捜査の網も届かぬ地。
そこで董卓は監禁されている。そして、いまだ生かされている。
もとから線の細い少女であったがその顔色はより青白く、その身体はややもすると儚くなってしまいそうな印象を受ける。
だが瞳には確かな意思の力があり、臆することなく視線を受け止めていた。

「それにしても大ごとになっちゃったわね。それもこれも貴女のせいよ?相国様?
 貴女のせいで洛陽は荒廃し、諸侯は叛乱しているわ。
 ねえ、どんな気持ちかしら?貴女のせいで世は乱れているのよねえ。
 禁裏を血で染め、恩人を屠ってなお命を永らえているなんて……、可愛い顔して随分とえげつないわねえ……」

侮蔑の念を隠そうともせずに董卓を糾弾するのは李儒である。にまりと笑いながら楽しげに言の葉を紡ぐ。
だが、青白くも表情を変えない董卓の表情を見ていらだたしげに舌打ちを重ねる。

「ああもう!生意気なその顔を見られないようにしてやろうかしら!」

ヒステリックに響くその言葉に皇甫嵩は口を挟む。。

「その辺にしておくんだね。正直、見苦しいよ」

その言葉に李儒は黙り込む。自分との面会で複数の人物が来たのは初めてである。だが、中々に興味深い構図だと董卓は思う。
そ、と窺えば王允が後ろに控えている。だが口を挟む様子は全くない。
この三者の力関係。それを親友に伝えられれば、思う。叶うことはないことであろうが。

しばしの沈黙。それを破ったのは王允であった。初めて董卓に問う。
どうして生きているのか、と。この上は死で償おうと思わないのか、と。

「あら、的外れね。この子はね。命乞いまでしてるのよ。生き汚いったら!
 誇りとか、そういうのを期待するのが馬鹿よ。お馬鹿さんよ。
 ええ、そうでしょうよ。蝶よ花よと甘やかされてたんでしょうよ。
 だから死ぬなんて考えもしないのでしょう!そうよね!そうでしょ!
 死にたくないでしょ!死にたくないんでしょ?」

皇甫嵩がうんざりとした表情で口を開こうとする前に、董卓はその小さな身を折りたたむ。

「お願いです。殺さないでください。この身、如何様にもお任せしますのでお助け下さい」
313 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/06/10(水) 22:02:47.48 ID:4bcIfx7b0
その様子を見て李儒は愉快とばかりに大笑して場を辞する。

それでも董卓はその身を小さく折りたたんだままであった。

「――もう、李儒はいないよ?」

その言葉にも董卓は反応せずに、もっと身を小さく折りたたむ。
見ていられない、とばかりに苛立って吐き捨てる。どうしてだ、と。
苛立ちに任せて董卓の髪を掴み、無理やりその可憐な顔を引き上げる。問う。

「お願いします。詠ちゃんや恋さん、霞さんにねねさんをお助け下さい」

ひとえに自らの責任により漢朝を乱したのだと訴える董卓。

「この身は如何様にも。ですから」

部下の助命を必死に乞う董卓に嗜虐心を刺激されて皇甫嵩は問う。

「へえ、どうやって?」

びくり、と身を震わせて数瞬後、董卓が顔を上げる。
するとその眼差しは別人のように鋭い。

「この身、ご自由に。如何様にもしてください。
 ですが、命はお助け下さい」

「――質問に答えてないなあ。それじゃあ駄目だよ。流石に」

冷然と皇甫嵩は。だから分からぬ。理解できぬとばかりに問う。

「もはや君は死んだも同然だ。いや、今のうちに毒を呷るのがいいだろう。楽に死ねる。
 そうして命を繋ぐことに何の意味があるんだい?」

き、と董卓は視線を皇甫嵩に合わせる。流石の皇甫嵩が一歩後ずさるほどの、覇気すら感じる強烈さ。

「私は死ぬわけにはいかないんです。だって。だって私のためにみんな。みんなが動いているんですもの。
 それは漢朝に対する叛の道。それは死ですら許されぬ反逆。どうして首魁たる私が死を選べましょう。
 ええ、そうですね。董家の乱は袁家により治められるでしょう」

それはいいのです、と董卓は儚げに笑う。

「ですから今はこの命を保たねばならないのです。私が今死ねば、皆に。そして付き従ってくれた兵達にも」

迷惑がかかると董卓は気弱に笑う。

「そして、私は責任を取らなければなりません。
 ですから死ぬわけにはいかないのです。
 だって、そうじゃないと。私の分まで人死にが出ますもの。
 私がいないと、困る人がいるって、思うんです……」

儚く笑う彼女に皇甫嵩は何とも言えない表情を浮かべる。

「つまり、君は自分のせいでない乱の責任を摂ると言うのかい」

是、と頷く董卓に皇甫嵩は唸る。

「なるほど。今上陛下が君を頼りにしようとしたのが分かるよ」

そして納得する。李儒や王允が董卓を危険視し、除くべし、と動いたのは実に正しかったと。
ただし、惜しい、という気持ちもある。

「では、君の部下たちの助命のために一筆頼むよ。なに。僕とて漢朝が荒れるのを歓迎しやしないさ」

――助命嘆願。部下のそれを果たしたと確信しながらも董卓は表情を緩めない。
なんとなれば、だれか一人の気まぐれでそれらは反故になるのだからして。

そして、漢朝を覆う叛乱の首魁、元凶となるわが身を笑うのだ。
そんなに、大したもんじゃないのにと。

そして、万感を込めて、呟く。

「ごめんね、詠ちゃん……」

その呟きは、誰に聞かれることもなく消えていくのだった。
314 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/06/10(水) 22:06:15.71 ID:4bcIfx7b0
ほい、本日ここまですー感想とかくだしあー

題名案は「月詠の悲哀」

はい、雰囲気だけで内容がないよう。
よさげなのオナシャス。マジで困っております。

めでてえ内容でコラボできたらよかったんだけど、
当分辛気くさいかんじです、ごめんなさいね→俯瞰者さん

個人的に祝杯あげております
よりよい未来のために頑張りましょう!
315 :青ペン [sage]:2020/06/11(木) 11:34:45.78 ID:SmOpf8BDo
>>314
乙ん乙ん。
月ちゃんつらたんよね…

しからば。

願いはか弱くも輝めく月光の如く

とまいろうか
316 :赤ペン [sage saga]:2020/06/12(金) 16:54:59.06 ID:iv7KqMtj0
乙でしたー
>>312
>>ヒステリックに響くその言葉に皇甫嵩は口を挟む。。  転換?乖離?…???
○金切声に眉を顰め皇甫嵩は口を挟む。         【耳障りな金切声で喚き散らされるその言葉に】とかも良いですね!!
>>この三者の力関係。それを親友に伝えられれば、思う。   ちょっとぶつ切り感がありますね
○この三者の力関係……それを親友に伝えられれば、と思う。 【……】より【――】の方が良いかな?どうかな?
>>313
>>苛立ちに任せて董卓の髪を掴み、無理やりその可憐な顔を引き上げる。〜中略〜びくり、と身を震わせて数瞬後、董卓が顔を上げる。    どこで顔を伏せたのかな?
○苛立ちに任せて董卓の髪を掴み、無理やりその可憐な顔を引き上げる。〜中略〜びくり、と身を震わせて数瞬後、董卓の纏う空気が変わる。 それまで弱弱しかったのがキリッとなる感じで
>>き、と董卓は視線を皇甫嵩に合わせる。流石の皇甫嵩が一歩後ずさるほどの、覇気すら感じる強烈さ。  それまでの嘆願をそっぽ向いてやってたんなら董卓ちゃんなかなかになかなかだよね
○董卓は己が思いを皇甫嵩に示す。流石の皇甫嵩も一歩後ずさるほどの、覇気すら感じる強烈さ。     それとも【董卓はその胸の内を皇甫嵩に明かす。】とかどうでしょう
>>「つまり、君は自分のせいでない乱の責任を摂ると言うのかい」  大体【取る】でいいよ
○「つまり、君は自分のせいでない乱の責任を取ると言うのかい」  もしくは【責任を負う】でどうでしょう
>>そんなに、大したもんじゃないのにと。   間違いと言うほどではないですが
○そんなに、大したもんじゃないのに、と。  それにしてもトップクラスで目を付けられてそうな二人が集まってやってることは…リスクとリターン釣り合ってる?

まあ戦争中だから詠ちゃんの自由な手も目も耳も少ないんだろうけど…テロリストと売国奴が集まってやってることが苛めって…お前ら実は暇なんだな?
そんなことやってる暇があったら食糧調達でもやってろよ
317 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/06/12(金) 22:30:29.66 ID:S9RcxdRd0
>>315
どもです。

>月ちゃんつらたんよね…
つらたん祭りルートです……っ!
そこでも前を向く月ちゃんはやはり尊敬に値すると思うのアタイ

>願いはか弱くも輝めく月光の如く
詩的や素敵や
ただまあ、ネタバレ満載という感じもするw

>>316
赤ペン先生いつもありがとうございますー!

>それにしてもトップクラスで目を付けられてそうな二人が集まってやってることは…リスクとリターン釣り合ってる?
至極まっとうなツッコミに一ノ瀬も苦笑い

>…テロリストと売国奴が集まってやってることが苛めって…お前ら実は暇なんだな?
実務を担っている詠ちゃんの悲しみが深まりますねぇ……っ!

>そんなことやってる暇があったら食糧調達でもやってろよ
彼らが飢えることはないですからね
318 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/06/12(金) 22:37:38.43 ID:S9RcxdRd0
「しかしまあ、まさか水関をどうするのかと思ったら。埋め立てるとはなあ」

その発想はなかったな、と苦笑交じりに頬を掻くのは北郷一刀。義勇軍を率いる劉備一党のご主人様である。

「ええ、袁家が攻城兵器を持っているというのは知ってはいましたが、あれほどまでに鮮やかな運用。そしてこのような戦術。
 前代未聞と言っていいでしょう。
 ……お恥ずかしながら私も雛里ちゃんもこのような展開は予想だにしていませんでした。
 攻城戦には妙手なぞなく、衝車で門扉を破るか櫓車で城壁を制するかくらいしか本来ありえません。
 ……まあ、こんなにも攻城兵器を揃えている袁家の存念は留意する必要がありますが」

陰鬱に諸葛亮が応える。
その声に意外そうに北郷一刀は答える。

「え?でも水関や虎牢関という難攻不落の関を攻めるんだから、攻城兵器を準備するのは当たり前じゃないのか?」

道理である。だが、と諸葛亮は思う。
一体、なぜあんなにも大量の攻城兵器を袁家は準備していたのだと。

「攻城兵器。そんなものを諸侯が持っているのがおかしいのです。
 そもそも袁家の職責は北方に於いての匈奴への備え。
 匈奴は城邑を落としたとしても、略奪するのみですぐさまその場を去ります。ですから、本来攻城兵器なんて必要ないのです。
 騎兵に籠城させても強みを消すだけですし」

「朱里ちゃんの言う通りです……。もっと言えば、あそこまで鮮やかな運用を見るに、常から攻城兵器を使う想定をし、訓練していたのは間違いない、です。
 そこで問題になるのは、一体なぜ袁家は攻城兵器を準備し、運用する訓練をしていたか、です……」

ふむ、と北郷一刀は考え込む。
かの伏竜鳳雛が懸念を呈するのであればそれはきっと重大なのだろう。
そして袁家の思惑を推察する。

「――。つまり、朱里と雛里は。こう言いたいのかい?袁家はもともと攻城戦をするつもりだったって?」

是、と諸葛亮は頷く。

「はい。そうとしか考えられません。ひょっとしたら袁家は中華に覇を唱えるつもりなのかもしれません」

ふむ、と北郷一刀は頷く。なるほど。これからは乱世になるのだ。そう思う諸侯があってもおかしくはない。そういえば袁家なんて皇帝を僭称したっけ。あれは袁紹だったか袁術だったか。

「虎牢関が落ちれば、あとは無防備な洛陽のみです。ご主人様の仰る通り、手柄を。目に見える派手な武勲を挙げるには虎牢関の戦いにて戦働きする必要があるでしょう。
 ですが、いよいよ恋さんを相手取らないといけなくなります。
 万夫不当の飛将軍。恋さんは個人で戦局を変えるほどの武を持っています。ですから、それをどう防ぐか、がこの反董卓連合の焦点になるでしょう」

いっそ悲しげに呟く諸葛亮。そして鳳統に北郷一刀は問う。問わずにはいられない。

「なあ、ひょっとして朱里と雛里は。
 董家軍がどう出るかって読み切ってるのかな?」

諸葛亮と鳳統は、黙りながらも、是、と頷くのであった。

「乾坤一擲。それしかないでしゅ……」

「朱里ちゃん、噛んでるよ……」

「はわわ……。やっちゃった……。
 で、でも。それしかいないのです。
 結論としては袁家当主を討つ。これに尽きます。むしろこれ以外にこの状況。
 追い詰められたこの状況をひっくり返すことはできないと思います」
319 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/06/12(金) 22:38:07.20 ID:S9RcxdRd0
ふむ、と北郷一刀は思う。なるほど、大筋で三国志に準ずる展開なんだなあと。
ならばここで名を上げないといけないであろう。張飛と関羽という英傑がいるのだ。
なに、何せ呂布が相手となるのだ。きっと彼女たちに出番はある。
いや、むしろ彼女たち以外に万夫不当が止められるはずもないのだ。
それはそれとして思いついたことを今のうちに幼女軍師二人に問う。

「例えば、皇帝の身柄を確保して洛陽から物資と資金を略奪して、長安に遷都するとかってのは、どうだろう。
 いや、月がそんなことをするはずはないんだけどさ、ふと思って」

唐突なその絵図に諸葛亮も鳳統もその幼い身を震わせる。
なんとも鬼畜の所業。だが、有効ではあるのだ。

「あ、あわわ……。荒廃した洛陽を餌として退くのは本当に有効と思います。
 そこまでされたら、どうしようもないですね……」

嘆息する諸葛亮に鳳統も頷く。
そうなれば、荒廃した洛陽を前に諸侯は割れるであろう。
なんの旨みもない反董卓連合はその目的を果たすことなく解散されるはずだ。
いや、互いに争うかもしれない。
そこまでの未来絵図を示唆する眼前の青年の叡智はやはり天の御使いに相応しいだろう。

「でも、月がそんなことをするはずがない。そしたら、なんで恋達はあんなにも必死に抵抗するんだろう」

むむむとばかりに考え込む。そんなの分かり切ったことなのに。

「きっと月さんは悪い人に捕えられているか、操られているんです。
 そうでないとつじつまが合いません!
 それに、董家軍は時間稼ぎを最優先しています。本来霞さんも恋さんも戦場を駆け廻る人です。
 ですから、董家軍のおかしな動きも、それで説明がつきます」

あくまで推論ですがと諸葛亮は嘯く。

北郷一刀は思う。月を救って、なおかつ義勇軍たる自分たちの名声を高める。どちらもせねばならないなあと。
そして、声望高まる機会はここに至りもたらされるだろう。

「……とりあえず、紀霊に会おう。なに、無碍にはされないと思うよ」

――なにせ万夫不当の呂布を封じるべく動くのだ。

張飛と関羽。

彼女らの武があれば流石の呂布も拘束できるだろう。
そして董卓の現状を聞けばいい。

だって。あの優しげな少女が漢朝を揺るがす動乱の元凶だなんて、ありえないことなのだから。
だから、できることをしようと決心も新たに、北郷一刀は張飛と関羽を呼び寄せる。

そして呂布と董卓を思い、心を震わせる。

そうだ。皆が笑って暮らせる世界。
だったら彼女たちを見捨てるわけにはいかない。

「愛紗、鈴々。頼まれてくれるか――」

決意を新たに、北郷一刀は口を開く。
彼がこの外史にその意思をもって介入を決意したその瞬間であった。
320 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/06/12(金) 22:40:56.51 ID:S9RcxdRd0
本日ここまですー感想とかくだしあー

題名募集しまくりんぐですよ本当に!
今回も迷走ですマジですよ

頑張るぞいっと。ねむい


アジアというか日本で孫とか愛でたい人は頑張れ
ひとさまに迷惑がかからない範囲でね(ブーメランはアリ)

にゃはむ
321 :青ペン [sage]:2020/06/13(土) 01:58:28.84 ID:+RTNqMXAo
>>317
んんんー?
わたしゃひとっことも
月たん生存確定とかは言ってませんがねぇニヨニヨ
322 :青ペン [sage]:2020/06/13(土) 02:08:46.52 ID:+RTNqMXAo
>>320
そして今回のは…シンプルに【天使(あまのみつかい)の決断】
323 :赤ペン [sage saga]:2020/06/13(土) 13:21:05.91 ID:Q7zvvKYN0
乙でしたー
>>318
>>「――。つまり、朱里と雛里は。こう言いたいのかい? ちょっと違和感
○「――。つまり、朱里と雛里は、こう言いたいのかい? 少し前の黄巾の時にこういうのあれば、と思ったことは無いのか?…無いのか。たかが賊徒に苦戦するとかあっちゃ駄目だもんな
>>で、でも。それしかいないのです。  董家軍総勢一名、参上!
○で、でも。それしかないのです。   張遼(うちもおるで……おるで)
>>319
>>そしたら、なんで恋達はあんなにも必死に抵抗するんだろう」  これってどこかの方言だとこう使うんだっけ?
○それなら、なんで恋達はあんなにも必死に抵抗するんだろう」  一応標準語ではこれが一般的、だと思います

>>北郷一刀。義勇軍を率いる劉備一党のご主人様である。 何度読んでも違和感が消えないw本郷一党名乗れよwwwもしくは呼ばれて何度訂正しても頑なだったんならお前も劉備をご主人様って呼んどけよ
>>まあ、こんなにも攻城兵器を揃えている袁家の存念は留意する必要がありますが」
>>そもそも袁家の職責は北方に於いての匈奴への備え。  城壁強化しても翻意、街道整備しても翻意、お前ら袁家が食糧増産しても翻意とか言うんだろ(決めつけ
そういや董卓の人物鑑定には随分と自信があるようだけどそんな一刀から見て記霊はどんな人物なのかぜひとも聞いてみたいものだね
呂布と張遼と陳宮くらいしかいないんだから将の数から言って抑え込むだけなら別に義勇軍の力が無くてもどうにかなるんだよなあ
まあこの二人がいた方が被害が少ないことは事実だけど
324 :赤ペン [sage saga]:2020/06/13(土) 17:05:41.29 ID:Q7zvvKYN0
夏侯惇、許チョ、典韋、趙雲、孫尚香、黄蓋、文醜、馬岱。ジェットストリームアタックを仕掛けるぞ!!俺は麗羽様のそばに侍る、顔良もこっち来い
その他の有力武将は主君の警護に回れ、神速の動向に注意し、各自高度の柔軟性を維持しつつ臨機応変に対処せよ!(指揮権は軍師連中に丸投げ)
勝ったな、がははー風呂入ってくる。今日の晩飯はステーキ…はないからでっかい肉の丸焼きだ。この戦争が終わったら俺麗羽様に告白するんだ
325 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/06/13(土) 21:06:01.93 ID:SU0b92pFo
乙したー

うん、気持ちは分かる
分かるんだけど、一刀君さぁ・・・ってなっちゃう

三国志パロ作品全般に言えるんだけど何故か劉備陣営好きになれないのです・・・・・・
326 :赤ペン [sage saga]:2020/06/14(日) 17:53:17.68 ID:x4nEyZmB0
本郷君のフラグよな
これだけの深謀遠慮、神算鬼謀の持ち主なら軍師が1から10まで説明しなくても軍師の思考以上に物が見える、と思われる
いざというときには軍師がいなくても本郷がいればある程度はなんとかできると誤解される
…!これが今はやり(?)の勘違い物か!
327 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/06/14(日) 20:12:24.33 ID:ZUcthOOx0
>>321
どもです。

月生存はなあ。
董家ルートではいけるんじゃがね
いつかやらんといかん董家ルート

>>323
赤ペン先生いつもありがとうございますー!

>そんな一刀から見て記霊はどんな人物なのかぜひとも聞いてみたいものだね
ベースが三国志知識と自分の知見と思われるのでお察しになりますな

>呂布と張遼と陳宮くらいしかいないんだから将の数から言って抑え込むだけなら別に義勇軍の力が無くてもどうにかなるんだよなあ
そこに気付くとはやはり天才か……。

>>324
パインサラダ食べるのを楽しみにして黒猫が横切り、下駄の鼻緒が切れているからセーフ

>>325
どもです。

>うん、気持ちは分かる
実際しゃあないとこは大いにあります。経験値も少ないし。
それもこれも紀霊って奴の仕業が影響しているんだ

三国志派生で劉備陣営が魅力的なもの。さて。
蒼天航路はかなり魅力的ですな。そのベースとなってそうな秘本三国志も中々。
え。趣旨が違う?どっちも名作ですよ。
後は秘本三国志の陳舜臣さんの諸葛孔明もアリです。月英さん異民族で実は美人説をぶっこいたのアレが走りじゃなかろうか。
それを龍狼伝がええ感じにアレンジしているような。

三国志ではやはり爆笑三国志シリーズが珠玉なのかなあ。副読本としては最強だと思います。

>>326
>本郷君のフラグよな
そうですねと言うわけにもいかないw
328 :俯瞰者 ◆e/6HR7WSTU [sage saga]:2020/06/14(日) 23:38:37.18 ID:f2LR/ZFy0
乙です。

まず、皇甫嵩、李儒。おどれら覚悟しとけや(ぼそ

二郎さんもそうだけど、パシリも知識としては流れを把握してるんだよね。でもってちゃんと自分が持ってる戦力も把握していると。
とはいえなぁ、「子龍は一身、之肝也」がどうにもこうにもひっかかる。
趙雲さんのことじゃなくて、呂布以下一騎当千の人物でも一対大多数に勝てるのか?春蘭さんもそうだよ。
ま、パシリの目論見としては董卓軍の主要武将を吸収したい。それを可能にする関羽・張飛がいるから呂布だけでも身柄を拉致りたい。
いいけどさぁ、食わせられんの?というか逆賊認定されている(公的に)人物ほいほい取り込むなよ。黙らせるだけの力あるのかいな。

……こっちの横家長男がやってることがブーメランwww

はわあわの分析が当たっていれば、麗羽さんが危ないんだけど。二郎さん気づいている?
いや普通本陣の守りは手厚く堅くが当たり前だし、どないかなるか。
329 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/06/15(月) 21:20:38.53 ID:Q/tC3Ank0
>>328
どもです。

>まず、皇甫嵩、李儒。おどれら覚悟しとけや(ぼそ
無言のガッツポーズ

>二郎さんもそうだけど、パシリも知識としては流れを把握してるんだよね。でもってちゃんと自分が持ってる戦力も把握していると。
まあ、ちゃんと、というのがどこまでかということもありますが

>ま、パシリの目論見としては董卓軍の主要武将を吸収したい。それを可能にする関羽・張飛がいるから呂布だけでも身柄を拉致りたい。
そこまで長期的視野ではないかと。
単純に助けたい!くらいのものじゃないっすかね。今は。
軍師は知らんけど。

>はわあわの分析が当たっていれば、麗羽さんが危ないんだけど。二郎さん気づいている?
ご期待くださいませませ。
330 :赤ペン [sage saga]:2020/06/16(火) 11:12:49.17 ID:EZ+fIxVc0
パインサラダは南蛮ならあるか?クロネコ、と言うか猫って…俯瞰者さんの方でやってたし居るのか、下駄とか世界観ぐちゃぐち大丈夫、恋姫の世界だよ
>>ベースが三国志知識と自分の知見と思われるのでお察しになりますな 二郎ちゃんも似たようなものだしセーフ。はともかくとして、実際に一度会って話したので、忌憚のない意見を聞いてみたいな、と。三国志知識だけなら董卓も呂布も糞だしその辺は完全にはとらわれてる訳ではないとして、武力は雑魚いの確定としてま、多少は頭の回る虎の威を借る狐だな、とか
俺の趙雲への勧誘を邪魔するとか空気の読めないモブだな、とか
331 :赤ペン [sage saga]:2020/06/17(水) 12:55:21.65 ID:+VMp/JjF0
二郎ちゃん本人は気づいてないけど稟ちゃんさんが気付いてるよ(厚い信頼
そうでなくても麗羽様の安全マージンを凡人を自称してる二郎が無駄になるくらいとってないわけない
実際にどの程度あの二人がやれるかは知らないけど二郎ちゃんにとって麗羽様と美羽様は何があっても守るべき至宝だから(適当
万夫不当の近くにいるのを許容する代わりに鉄壁といざというときの逃走経路と影武者と肉の壁その他諸々でガードしてるさ…七のんが
332 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/06/22(月) 21:14:40.15 ID:pj/oFiYr0
うう、がんばる
明日には更新したいでう
333 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/06/23(火) 21:15:46.06 ID:tvO3hrbd0
関羽、張飛という豪傑――いや、見た目はとびきりの美少女であるのだが――を伴い北郷一刀は歩を進める。
これまでついに一度として賊と干戈を交えることなくきた劉家軍であるが、収穫は大きかった。
付き従う関羽、張飛。それに諸葛亮に鳳統と。才能はそれぞれ中華でも五指に入るであろう英傑ではあるが、経験不足はいかんともしがたかった。
それが、今回の輜重の護衛においては望外に経験を積むことが出来たのである。
そこには一人の武人。その存在が大きい。
益州の州牧たる劉焉、彼女の信頼が篤い、厳顔である。

――厳顔が輜重隊の護衛に当たったのは無論訳がある。

劉璋が人質にとられており、それにより劉焉は反董卓連合に全く協力をしていない。
見ようによっては厳顔が反董卓連合にいるというのもむしろ董卓側に情報を流すためと思われても仕方ない。
だからと言って露骨に排除をするわけもいかない。
なので郭嘉は、厄介な存在は一所にまとめてしまおうとばかりに劉家軍に同行させたのである。

――結果的に劉家軍が全く黒山賊に襲われなかったことで董家軍との繋がりを噂されることとなってはいるのではあるが、そんなものを気にする厳顔ではない。

まあ、なんにせよ、だ。厳顔という経験豊富な実戦指揮官の薫陶により、これまで経験不足という、ある意味どうしようもない弱点を抱えていた劉家軍はその弱点を克服しつつあったのだ。
ロクに組織というものを運用したことのない劉家軍の面々にとっては、厳顔の一言一言がまさに金科玉条。渇いた大地が水を吸うように教えを血肉としていったのである。

「いや、白蓮。済まないなあ」

にこやかに北郷一刀は謝辞を述べる。
公孫賛の口添えなくしてはこれから臨む会議に顔を出すこともできなかっただろうから。
持つべきものは頼れる友人であるなと。
いや、横にいる韓浩からは冷たい視線を貰うがそれはもう慣れた。どうということはない。

何にしても、董卓や賈駆を救わなくてはならないのだ。自然、気合いも入ろうというものである。

◆◆◆
334 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/06/23(火) 21:16:12.75 ID:tvO3hrbd0
どもです。二郎です。いやあ、水関は強敵でしたね。あれやこれやで割と大変でしたよ。ほら、門扉を物理的に閉じてしまいましたしねえ。

閑話休題(それはともかく)。
さて、いよいよ虎牢関攻略である。
基本的には水関と変わらない攻略を考えていたのだが、稟ちゃんさんから待ったがあった。
曰く、董家軍は決戦を挑んでくるであろうとのことだ。ほむほむ。

「董家軍は騎兵突破が持ち味。ですから時間を稼ぐにしても虎牢関に籠ることはないでしょう。
 虎牢関に籠るよりは乾坤一擲の博打に全力を尽くすかと」

穏もネコミミも、稟ちゃんさんのこの意見には同意した。
……極秘である情報。月が囚われているであろうとかそこいらへんは口外無用として伝えている。
前提としている情報に齟齬があったらいかんからね。中華最高級の頭脳といえども前提となる情報が違えばもたらされる結論は違うだろうし。

だからまあ、全力で董家軍が挑んでくるであろうというのが俺たちの予想だ。

無論、そうでなければまた土攻めをすればいいだけだ。なに、籠城した董家軍なんぞ物の数ではない。って穏が言ってたからそうなんだろう。多分。
だからまあ、野戦での決戦を前提に戦術を立案していたのだ。軍師陣がな!これは勝ったなガハハ。

んでまあ、決戦が予想されるから虎牢関攻略に関しては出し惜しみなく全力だ。
水関はあっけなく袁家単独で陥落させたから、手柄が欲しい諸侯軍はこぞって出陣の打診をしてきたんだけどね。
足手まといはいらんとばかりにばっさりと切り捨てた稟ちゃんさんカッコいい。気分を害した彼らのフォローはまかせろー。バリバリ働くぜ。多少は働いてるアピールしとかんとね。

で、まあ。陣構えはこうだ。中央の本陣。ここに麗羽様が陣取る。顔家と文家はここに控える最終防衛線だ。なにせここがやられたら負けだからして。
そして中央でそれを守るのは曹家軍だ。そして右翼に孫家を配し、左翼に紀家軍。
虎の子の騎兵の馬家軍と公孫家軍は温存、である。

これでいける、と軍師陣からはお墨付きをもらってるけどなー。できたらメイン軍師とぶっちゃけトークで確認したかったなあ。

「まあ、なんにせよ袁紹殿の首級さえ無事ならばこちらの勝ちは揺るぎないでしょう」

怜悧な稟ちゃんさんがそんなこと言うけど、逆に考えたら麗羽様が討ち取られたら負けってことですよね分かります。

「……ご自分のお立場をもっと考えてほしいですね。
 ああ、風ならばもっと上手いこと諫言したのでしょうが生憎私にそんなのは無理ですから直言ご容赦願いたいですね」

更に言い募ろうとする稟ちゃんさんの言を遮ったのは。

「義勇軍を率いる北郷一刀様がおいでです」

白蓮の口利きならば仕方ない。稟ちゃんさんともうちょっと語りたかったけどしゃあない。
しかしまあ、なんとも厄介なことだ。
つか、本来義勇軍とか相手する余裕ないくらいにクライマックスなのである。

◆◆◆
335 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/06/23(火) 21:16:39.40 ID:tvO3hrbd0

「却下」

関羽と張飛を恋に対して使ってくれという北郷一刀の申し出に対して俺は即座に返答した。

「な、なんでだ!鈴々と愛紗の武をもってすれば恋を止められるんだ。
 無駄な人死にを減らせるんだぞ」

言い募る少年の熱意やよし。でも駄目。

「総大将の守りをどうして他家に任せられるか、という話さ。
 袁家は武家よ。そこを察してくれたら嬉しいな」

稟ちゃんさん、穏、ネコミミも董家軍が摂る戦術の予想は一致している。
即ち乾坤一擲。麗羽様を討ち取り刻を稼ぐというもの。流石に公言なんてできないけどね。
そしてその要は恋であろうというのも一致している。
どうしてそれを、内通の噂さえある義勇軍なぞという有象無象にゆだねられようか。
いや、義勇軍の風評は八割くらい俺のせいだけどね!

「なるほど君が言う関羽と張飛の武勇を認めるにやぶさかではないがね。
 だがまあ、これでも俺は恋と矛を交えたこともあるのさ。
 そして、だ。そこのお嬢ちゃん。張飛か。
彼女が産まれる前から俺たちは武を磨いてきたのさ。
 その子がおねしょをしているより前から俺たちが磨いてきた武というもの。馬鹿にできないと思うがね」

まあ、恋を力づくで、本気で押し返そうと思ったら、信頼する人財しか当てにできやしない。
だから。猪々子、斗詩。すまんが付き合ってくれ。
ちら、と視線をやると二人ともにこり、と満面の笑みで頷いてくれる。
これは俺もみなぎってくるね。
などと気合い充実な俺に北郷君が食い下がってくる。いや、頑張るねえ。だが無意味だ。

「で、でも俺たちは、俺は恋や月と親しかったんだ。だから、こんなのは何かの間違いかもしれないって説得できるかもしれない。
 無駄な血は流すべきじゃないだろう?
 話して分かるならば、それにこしたことはないはずだ!」

いやいや。話せばわかるとかそんな段階は終えているんだがね。
まあ、いい。俺たちのスタンスを示そう。

「猪々子!」
「あいよ!」

最も信頼するおにゃのこの一人に呼びかける。暇そうにしていたのが俺の呼びかけにたちまち全身に覇気を巡らせる。

「袁家、鉄の掟その壱!」

にまり、と猪々子は俺の呼びかけに応える。そして高らかに謳う。

「とりあえず、ぶっ飛ばす!話はそれから聞いてやる!」

「その弐!」

「戦いは数だよアニキ!」

「結論!」

「勝てばよかろうなのだぁ!」

いやっほうとばかりにハイタッチする俺と猪々子である。斗詩がぱちぱちと拍手しながら囃したててくれる。
なお稟ちゃんさんはため息、北郷君たちはあっけにとられてるね。フフン。

「ま、そういうわけだ。お帰りはあちら、ってな」

まともに議論する気はないのさ。一応面通しもしたから白蓮への筋も通したし、これでよかんべ。
336 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/06/23(火) 21:17:21.59 ID:tvO3hrbd0
◆◆◆

そしていざ出陣の時である。
眼前に揃った兵たちを煽る。
シンプルにいこう。いつものやつでもある。盛り上げていこう。

「俺たちは、強い!」

兵たちが唱和し、応える。

「俺たちは、強い!
 俺たちは、強い!
 俺たちは、強い!」

怒号は熱狂になり、奔流とすらなるだろう。
その熱は袁家軍より発し、たちまちに伝染すらしていく。

この勢い、無駄にしてはなるまいと稟ちゃんさんをちらりと見ればコクリ、と頷くのを確認する。

「全軍、進め!」

そして。

「猪々子、斗詩。済まんが俺に命を預けてくれ」

「アニキになら、よろこんで」
「今更ですよ」

そして俺は万夫不当の飛将軍に挑むことになるのである。
フフ、怖い。
337 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/06/23(火) 21:18:29.76 ID:tvO3hrbd0
本日ここまですー感想とかくだしあー

題名案は、「前日」です。
はい、いつも通り今ひとつですね本当に。
手抜きと言ってもいい。

オサレな奴オナシャス。

頑張るぞいっと。
338 :青ペン [sage]:2020/06/24(水) 10:56:48.76 ID:MqPe41lHo
>>337
おっつんつん。
色々踏まえて
【弾丸論破〜生兵法(ニワカ)は相手にならんよ!】
かねぇ
339 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/06/25(木) 21:30:13.42 ID:iKqomNBV0
>>338
どもです。

ダンガンロンパはアリですね
にわかについてはねw
二郎ちゃんに還ってくるブーメランになりそうw

ほむほむ
340 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/06/26(金) 00:19:19.70 ID:b0CTfZRDo
おつしたー
話し合いで済ませるには血が流れすぎてるのを「知らない」んだろうなぁ
少なくとも哀家、馬家は止まれない

次は恋ちゃん、身の毛がよだつぜ

タイトル案は「もはや賽は投げられて」
341 :赤ペン [sage saga]:2020/06/26(金) 18:21:53.65 ID:4hleIu3D0
乙でしたー
>>333
>>益州の州牧たる劉焉、彼女の信頼が篤い、厳顔である。  これだと劉焉と厳顔が横並びと言うか《劉焉&厳顔》な感じがするので
○益州の州牧たる劉焉の信頼も篤い武将、厳顔である。   こんな感じでどうでしょう
>>これまで経験不足という、ある意味どうしようもない弱点を 【、】の位置に違和感が
○これまで、経験不足というある意味どうしようもない弱点を の方が良いと思います
>>335
>>稟ちゃんさん、穏、ネコミミも董家軍が摂る戦術の予想は一致している。 《摂政》を考えるとまつりごとは取るものなのか?(ぐるぐる目
○稟ちゃんさん、穏、ネコミミも董家軍が取る戦術の予想は一致している。 【取捨選択】か【執政】か、軍事関係なら【策を採用】で【採る】もありかな?

>>付き従う関羽、張飛。それに諸葛亮に鳳統と。才能はそれぞれ中華でも五指に入るであろう英傑ではあるが、 名前の呼ばれてない人がいますねえ…一刀君の人物評としては魅力はあるけど能力は微妙なのかしら
>>だからと言って露骨に排除をするわけもいかない。  はて?誰に配慮して【いかない】なのかしら。劉焉に配慮するなら手紙持たせて帰らせてこっちに与するならちゃんと表明しろ、と言うだけで良さそうだけど
むしろなあなあでこの状況だと武将一人拘束して劉焉が…それが狙いか?実際にやるかできるかは置いといて劉焉が後ろから反董卓連合を襲わない理由付けと劉璋の命の保証(迂闊に殺すと劉焉が反董卓に加わる可能性がある)と戦後の領地安堵の密約と…負けない戦い方してるな劉焉
で、二郎ちゃんとしても別に無理して欲しくもない土地に手を出さない約束すれば知り合いも安全だし背中もある程度気にしないで済む、と
>>――結果的に劉家軍が全く黒山賊に襲われなかったことで董家軍との繋がりを噂されることとなってはいるのではあるが、そんなものを気にする厳顔ではない。
>>240>>「黄巾の乱のときに月……董卓殿とは知己を得た。彼女はけして暴政を布くような子じゃないんだ。
そのうえで向こうに欲をかかないようにする策も張り巡らせてる、と…二郎ちゃんがかき集めた手札で軍師連中が勝った後の算段を付けまくってやがる
これ厳顔は気にしないどころか下手したら上の方で話が本当に通ってると考えてるかもだけど劉焉からすればここまであからさまにされるとかきっついワナ
>>公孫賛の口添えなくしてはこれから臨む会議に顔を出すこともできなかっただろうから。 前回の会議では一応全勢力がそれぞれのトップ二人までだったのに何があった。水関攻略の功績があるからって独断専行すれば無用の軋轢が生まれるだろうし…
と思ったらばっさりやってんのかーい!?上下関係教え込むとしてはアリだけど…ああいや、袁紹の筆頭軍師が鞭をふるって袁術の右腕にして袁家筆頭武将が飴をやるのか、モチロン曹操とか孫権にはそれぞれの軍師を通じて配慮しておく、と…こわっ
>>「義勇軍を率いる北郷一刀様がおいでです」  何度でも言ってやるぜ!!「劉備軍がついに有名無実どころか無名無実になっちまったなアーーwww」
いや本気で、確かに袁家の頭はいないから頭が行かないのもギリギリ非礼にはならんけどもよ、袁家のトップと義勇軍のトップなんて重さが違うんだから今回に限って(限ってと入っていない)の全権代理人に頼み事しに行くなら劉備が行くべきだろjk
そしてこの交渉の場に伏龍鳳雛を連れて行かないとか随分とまあ(笑)

公孫瓚は…多分劉備に頼まれて劉備が記霊に会うと思ったんだろうなあ。一応袁紹の口利きで劉備が県令になったっぽいことが>>98で書かれてるし
まさか無位無官の風来坊と武辺物で会議の場に物申しに行こうとは…読めなかった!この赤のペンの目をもってしても!!
342 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/06/27(土) 17:00:24.59 ID:O1jg3yil0
>>340
どもです。

>話し合いで済ませるには血が流れすぎてるのを「知らない」んだろうなぁ
間違いなく知らないですね。だからこその言動ではあります。
いや、知らせてやる義理も義務もございませんが

>少なくとも哀家、馬家は止まれない
止まる訳にもいきません

>タイトル案は「もはや賽は投げられて」
シンプルにしてよきよきですね。これになるかな

>>341
赤ペン先生いつもありがとうございますー!
ほむ。

>…負けない戦い方してるな劉焉
割と奸雄であります。出目次第ではえらいことになります。

>公孫瓚は…多分劉備に頼まれて劉備が記霊に会うと思ったんだろうなあ。
普通に考えたらそうですものね。

>まさか無位無官の風来坊と武辺物で会議の場に物申しに行こうとは…読めなかった!この赤のペンの目をもってしても!!
それは海のなんとかさん並の眼力になるのでは(素朴な疑問)
343 :俯瞰者 ◆e/6HR7WSTU [sage saga]:2020/06/28(日) 11:02:49.75 ID:TEX48d4v0
乙です。
うーん、単純に見ればパシリの言葉も一応説得力はあるんだよね。
ただ、「なんでこうなった」の深いところまでを自分の目で確認できてないからそれぞれの遺恨やらなんやらをわかっていない。
まぁそれ以前にこの時代の人間からしたら、「ヌルイ」で終了だろうけど。
つうか、二郎さんがなんかカッコいいんですが。さすがハーレムの主。腹くくってますね(褒め言葉)

「俺たちは強い」

前の凡将伝を読んでいないので既出ならこれ言えないのですが……
どこかで、どんどこ太鼓打ち鳴らしながら「取られた」と騒いでいる一団がwww
いや気にしないかwそもそもの原作(ルナ・ヴァルガー)ではあんま細かいこと気にしてないですしw

これだけ言いたい、二郎さんと文醜顔良のやり取りが某戦車道のあの高校みたくなってるwww
でもこっちはそもそものレベルがはるかに隔絶してますが。

で、韓浩さん。あなたも親方に殴られてくださいね。理由はあっちで明かされるでしょう。いつか(おおい)

いよいよかぁ。見たくないけど見なきゃいけないんだよな、しょうがない。原始的な闘争ってどれだけ命をやりとりするか、直視します。
344 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/06/29(月) 20:11:47.11 ID:Of1GcSB80
>>343
どもです。

>うーん、単純に見ればパシリの言葉も一応説得力はあるんだよね。
一応、彼らは彼らでベストを尽くそうと頑張っております。

>ただ、「なんでこうなった」の深いところまでを自分の目で確認できてないからそれぞれの遺恨やらなんやらをわかっていない。
>まぁそれ以前にこの時代の人間からしたら、「ヌルイ」で終了だろうけど。
これもその通りでございます。
なお、経験をさせないようにどっかの凡人が細工した影響もでかいらしいですよ!

>つうか、二郎さんがなんかカッコいいんですが。さすがハーレムの主。
唐突な賞賛に小躍りしました。やったぜ。成し遂げたぜ。
まあ、ここら辺から二郎ちゃんは苦虫かみつぶす生活が続きそうですがw

>「俺たちは強い」
>いや気にしないかwそもそもの原作(ルナ・ヴァルガー)ではあんま細かいこと気にしてないですしw
ぎりぎりルナさんは履修外なんすよ。いや、何冊か読んでお世話になった記憶はあるのですがそこまで覚えておりません
黄金のワイバーンの群れとか、ちゃらんぽらんなネーミングはかすかに残ってますがw
スラムダンクを想定してました

>これだけ言いたい、二郎さんと文醜顔良のやり取りが某戦車道のあの高校みたくなってるw
ガルパン、いいっすよね……っ!
でもどこ高校だろう。ノリ的にはドゥーチェかにゃ?そんなつもりはなかった。だが光栄ですうぇあ。

>で、韓浩さん。あなたも親方に殴られてくださいね。理由はあっちで明かされるでしょう。いつか(おおい)
韓浩さんは遠慮した。まあ、主君を止めるか態度を改めるかのどっっちかしとけよ的なことはありますね
鉄拳制裁については……理屈と納得がないと表面上の謝罪で終わりそうです
韓浩さん、地味様の意思を尊重しているので、そこまで言うならしゃあないか的な妥協(妥協は多分雷薄さんあたりにため息交じりに仕込まれた)の産物かな


どんどこいきまう。
345 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/06/29(月) 21:48:01.63 ID:Of1GcSB80
「来よったか!」

ガタ、と張遼は我知らず椅子から立ち上がる。
いよいよ、いよいよ勝負の。決戦の時が来たのだ。
ここは虎牢関の司令官室。ぐったりと空腹にへたりこんだ呂布と、伝令の報告にむむむと唸る陳宮のみがいる。
董家軍の、もっとも信頼できる幹部陣だ。本来ならばここには、彼女らを口やかましくまとめ上げる軍師と、それを困ったように包み込む総大将がいるのが常だったのだが。
だから、自分が総大将的な役割にいるのは落ち着かない。いや、向いていないのではないかとすら思ってしまう。
かつては、董卓と賈駆に好き勝手言っていればいい立場だったのに。いざそうなるとこんなにも自縄自縛になるものかと嘆息してしまう。
だが、ようやく決断を下すべき好機が来た。
いよいよ、反董卓連合が水関を出て進軍してきているという。

当然、水関の時と同じく橋頭堡なり、野戦築城しているであろう。
であれば時間が過ぎるほどに勝ちの目は失われていく。
未だまともに備えがない今こそが野戦にて乾坤一擲の機会。

と、言うよりそれしか董家軍の勝ち筋はない。ないのである。
時間をかければかけるほどに反董卓連合――袁家――はその陣容を文字通り分厚く整えてくる。
で、あれば野戦築城する陣地を確保すべく生身の兵が動く、今こそが好機。

まともに野戦を仕掛けることのできる機会は今を置いて他はないのだ。

「董家軍、出撃の時、というわけや!」

虎牢関という要害に籠るのを利点とさせてくれない敵に歯噛みしつつあった張遼は指示を飛ばす。
出し惜しみはしない。する意味が無い。

虎牢関には門扉を守る兵のみでの全力出撃。
それはともかくとして。まあ、まずは。

「ほな、皆な。腹いっぱい食べえや」

これまで飢えていた兵達に思う存分食べさせる。
いや、満腹の兵なぞ使い物にはならないが、まずは士気を上げること。そして、即刻ぶつかり合うことはないだろうという計算もある。
なにせ、払暁から日没までのみ戦闘すると伝えてきて、それを履行してきたのだから。
実際、色々な意味でありがたかった。
だが、それもこれまでである。

なんにせよ、落ち込んでいた士気をどうにか立て直して張遼は手元の軍勢を虎牢関より発したのである。

野戦であれば、一撃で逆転もありうる。ありうるのだから。
346 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/06/29(月) 21:48:27.97 ID:Of1GcSB80
◆◆◆

反董卓連合の本陣。その最奥。急ごしらえの天幕とはいえ、そこは袁家当主が逗留するに相応しい豪奢なつくりとなっている。
だだっ広いその空間に悠然と袁紹は鎮座し、優雅に茶を喫する。

「落ち着いて、らっしゃるのですね」

声をかけたのは郭嘉。袁紹の傍らで対董家軍の方針を立案、統括する軍師である。
元々名家の出身であったがその地盤による栄達を嫌い、名を伏せて中華を放浪したという変わった経歴の持ち主である。
まあ、それで当初仕官を進められていた袁家に結局腰を落ち着けることになろうとは、と郭嘉は苦笑するしかない。
だが、その過程は間違いなく糧であり、それがなければ今の自分もないであったろうと郭嘉は確信している。
なにより自分とは全く違った視点を持つあの友人とは出会うこともなかったはずである。

などと、益体もないことを考えている郭嘉を見ておかしそうに袁紹は笑う。くす、と。

「何か粗相を致したでしょうか」

内心ちょっとだけ焦って郭嘉は問う。いや、ちょっと思いを馳せていただけでおかしな態度はなかったはずなのだが。

「いいえ。でも、心ここに在らず、といった様子がおかしくって」

ころころと重ねて笑う袁紹に郭嘉は憮然として応える。

「――落ち着いて、いらっしゃる」

くす、と袁紹は笑いを軽やかに重ねる。

「ええ、郭嘉さんにそう見えているのならば安心できますわ。
 だって、そうでしょう?総大将が慌てて、狼狽しているような軍が勝てるはずありませんもの。
 ええ、そうですわ。今私にできることは、こうしていることだけですもの。
 前線で槍を振るうことも、献策することもできない。
 それでも。この反董卓連合において一番重要なのは私ですわ」

だから、と袁紹は笑う。華々しく。

「如何に袁家が隆盛か、諸侯が如何に弱小か。この身で示すのが私のお役目ですわ。
 そう、戦わずして勝つ。それをこの身のみで強いられているのです」

だから、と笑う。豪奢で、華麗に、雄々しく、気高く。

「袁家軍については私の手を離れていますわ。既にね。
 だってそうでしょう?」

そして一際艶然と、光輝を放つのだ。

「だって、二郎さんが仰いましたもの」

任せてください。勝ちます。徹底的に。そしてその栄光は貴女に、と。

「だから、私はこうしているのですわ」

全身で語る、放つ。自分の仕事は戦の結果に対して責任を取ることである、と。
既に断は下しているのだ。誰に権限を与えるか、という。

「なるほど。では。私は、その二郎殿に引き立てられたのですから。これはいよいよ負けられませんね」

下手な冗談である。が、そのような戯言を口にすることを知れば程立や趙雲は瞠目したであろう。

「ええ、二郎さんが仰ってましたもの。進むも、退くも貴女次第と。あの二郎さんが全幅の信頼を預けているのですもの。
 くれぐれも変な遠慮なぞしないでくださいましね?
 貴女の献策に立ちふさがるものはこの私自ら裁きの鉄槌を下してやりましょう」

おーほっほと笑いは、高貴に響く。

「いいですこと?わきまえてらっしゃるわね?」

郭嘉は頷く。

「勝利こそ最優先。魂魄に刻んでおりますとも」

「よろしくってよ。その忠勤、嬉しく思いますわ」

袁家鉄の掟。その根底。
勝てない戦に意味はない。しない。だから袁家は最強なのだ。
347 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/06/29(月) 21:48:53.99 ID:Of1GcSB80
◆◆◆

「で、うちらは何をしたらええねん」

怒気すら露わにして李典は郭嘉に問う。心底から彼女は怒っているのだ。
だって、李典は知ってしまったのだ。これからあの青年。自分を取り立ててくれた、かけがえのない青年。紀霊がその命を晒すのだ。
そのような無茶をしなくても、と李典は歯噛みする。例えば連弩だ。紀霊から示唆を受けたのは結構な前のこと。或いは、或いは。
思いつきでしかなかったであろう数多い兵器。その中にはきっと珠玉もあったはずなのだ。それを総動員すれば彼をそのような修羅場に立たせることもなかったのではないか。
そんな悔いが李典にはある。
実用化と量産化さえしていれば、と肺腑が焼ききれそうなくらいに燃え上がる悔恨。

だが、その思いは郭嘉には届かない。
たかが攻城兵器で戦局が移るものかと。いや、移るならば袁家の底知れない、無尽蔵な財源あればこそだ。
それにしたって、と内心苦笑する。

「あんたなあ、勘弁してや。うちらは、ほんまに頑張ってるし、お望みなら不眠不休待ったなしや。二郎はんが珍しくうちらに頼ってきたからな。
 ああ、知っとるわ。戦場で死ぬより過酷やよ。死に至るのは一瞬ちゃうし。
 つまり。ええか、二郎はんのためやったら袁家工兵は一日十二刻休まず職責を果たすで!
 なんなら一日四十八刻の任務も果たしたるわ!」

だから、と李典は訴える。

「二郎はんが何や身の程知らずなことをしようってのは分かってるねん。
 あんたが、だからつれないのも分かってるねん。
 何でもええ。うちに、うちらにできることは言ってほしいねん。
 後生や……」

嗚咽を交え、みっともなく哀願する李典に郭嘉は問う。

「どうしてそこまで紀霊殿に肩入れするのですか。
 貴女の才能については把握しています。どこでも、誰でもそれは評価するでしょう」

冷然とした郭嘉の言葉に李典は激昂する。

「あほ!あんたはあほや!アホ!うちはな!うちは!そんな大したもんやあらへんわ!
 阿呆!うちはな!本来そこらへんで野垂れ死んでるくらいにどうでもええ存在や!そんなもんや!
 うちがな、お役にたってるとしたら二郎はんのおかげや!
 やから!やから!
 うちかて分かるわ!あの呂布に二郎はんが挑むて!
 やから、うちはあんたの相手なんてしたないねん。そんな暇ないねん。 
 水関と同じく土攻めで虎牢関を落としたいねん。
 でもな、二郎はんはそうやないねん。 
 水関みたいに土攻めしたら楽やのに。そのためにうちは、うちらは頑張ってるのに」

幼子のように滂沱の李典。彼女の献身は報われないであろう。
だが、その想いは無駄ではない。

「分かりました。貴女の想い、把握しました。無駄にしません」

郭嘉は思う。
自分はどうにも、おかしいなと。
袁紹の想い。それは高貴であった。そして覚悟があった。信じる男に委ねて揺るがぬ思いがあった。
そして李典の嗚咽。そこには慕情があった。自分を引き立てた男に対する思いは慕情か、感謝か、それとも。

「まあ、それがどうした。と言うべきなのでしょうか」

既にあの青年に毒されているのかもしれない。
そして、既にこの戦に於いて勝利は約束されている。

後は。

「勝ち易きに勝つ。お見事です。後は貴殿の武勇、或いはそれ以外の何か。
 それを楽しみにしていますよ。
 なに、貴方が討死したって……」

袁家に勝利はもたらしますとも。
笑みなぞなく、真面目くさって郭嘉は思う。

願わくば、あの青年が呂布を打ち砕きますように、と。
348 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/06/29(月) 21:50:19.13 ID:Of1GcSB80
本日ここまですー感想とかくだしあー

あうあうあー

題名は、本当に困ってるのです!
かっこいいやつたのみまするよう

お盆までにいけるかなあ
349 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/07/02(木) 21:31:48.25 ID:JiI9QVaH0
ぺきり、と骨の鳴る音が響く。

「うんとこどっこいしょ、と」

身体を精一杯伸ばし、固定する。背に暖かで柔らかい感触を感じながら精一杯伸びをする。
両腕を伸ばし、背に背を預けて星のやらかくもしっかりした身体に身を預ける。
はい、絶賛ストレッチ中な二郎ですこんばんわ。
ちょっと離れたとこでは斗詩と猪々子が二人組でストレッチをしてます。
まあ、袁家軍では割と一般的な準備運動だったりするのだが、特別ゲストの秋蘭は奇異なものを見るような、何とも言えない視線でこちらを見ている。

いや、そりゃあね?秋蘭みたいにいきなり身体をトップギアに入れられる人はいいよ?
でも俺なんて凡人なんだから、こうやってストレッチしてアップせんと実力をきっちり発揮できないわけで。
いや、まあ。多分この場でそんなものが必要なのは俺だけだと思うけどね?
何にせよこれから万夫不当の恋の相手をせんといかんのだ。斗詩と猪々子が文句ひとつ言うでなく付き従ってくれるのがありがたい。
しかしまあ、これで三人とも討死したら袁家崩壊だよなあとか益体もないことを考えていたら、ストレッチに付き合ってくれてる星が問うてくる。

「しかし主よ。てっきり水関に穴熊を決め込むと思っていたのだが。
 それにいくら万夫不当と言っても相手は黄巾だろう?精兵で圧殺すればよいのではないか?」

ふむ。そういやそこんとこロクに説明もしてなかったな。だというのについてきてくれる斗詩と猪々子に感謝だ。
……秋蘭も無関心を装ってるけど興味津々って感じか。
まあ、いいや。別に知られても問題はなかろう。多分。

「まず、だ。水関に反董卓連合の将兵全員を収容するのは無理だ。これが一点」

流石に十数万の兵を収容できないのだ。それに土に埋もれてるしな。門扉のとこだけ掘り起こしたのよ。

「そして水関の時と同じく野戦築城をしてはいるが完成には程遠い。つか、無理」

「ほう。それはどうしてか聞いても?」

「うん。ぶっちゃけ工兵隊は攻城兵器にかかりっきり。母流龍九商会から技師とか呼んでるけどなあ」

だって、攻城兵器。あれ、真桜がやり過ぎたのだ。でかいのよ。水関の門扉を通らないから一旦分解せんといかんの。ぜーんぶ。
それを再起動して実戦テストしてとか、万全を期したらどんだけ時間がかかるやら。
いや、時間をかけるのはいいのだが、流石に領地を放り出して参加している諸侯が文句の一つでも言おうというものである。
そして、最大の理由。

「なあ、今一番やられたら不味いのは何か、分かるか?」

さて、と小首を傾げる星の髪をわしゃ、と掻き交ぜて。

「一番怖いのは。恋が単騎で特攻してくることだ。それも夜陰に紛れて本陣を衝かれると、どうしようもない」

それだけは避けたかった。だから水関に籠らずに陣を布く。あくまで軍と軍の戦いに持ち込む。
これでも万が一に備えてはいる。麗羽様の本陣には流琉と華佗を。
美羽様のとこには凪と張魯さんを配している。
即死でなければ救ってみせるという張魯さんのお言葉が頼もしいのだ。
そして、いよいよ始まる。

「始まったか」

喧噪が風に乗って聞こえる。
いよいよだ。いよいよ軍と軍がぶつかり合っている。戦法は曹家軍と孫家軍。戦線を支えてくれるであろう勢力である。

「ほう、四万弱、か。出し惜しみはないと見える」

鷹の目、とはこういうことなのだろう。
秋蘭、流石の眼力である。

ともあれ、まずは歩兵のぶつかり合いだ。
その喧噪を聞きながら俺は入念にアップを再開する。
なに、数の上ではどうあれ、曹家軍と孫家軍ならば支えるだろうさ。いや、支えてくれないと困るんだけんども。
俺にゃ無理だけどね!倍の兵と真正面からぶち当たるとか。

そんなことを思いながら
俺は入念にアキレス腱を伸ばすのであった。
350 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/07/02(木) 21:32:31.51 ID:JiI9QVaH0
◆◆◆

水関と虎牢関を守備する兵。それが怒涛となり前進する。四万の大軍に用兵なし。
ただ前進せよとばかりに真正面の敵にぶつかる。ぶつかる。
そして。

「やるやないか」

数の上では初手に於いてはこちらが上であるのにも関わらず。
真正面からぶつかり合って押し負けることなく、戦線を支えている。いや、このままであれば押し返すやもしれぬ。
で、あれば。

張遼は手を挙げ、振り下ろす。

「いったれー!」

銅鑼が響き、神速と謳われる張遼がいよいよ戦場に姿を現す。
ぐる、と左翼より出でて向かうは袁家本陣。
狙うは袁紹の首級一つ。

孫家軍の脇を掠めて陣を布く袁家に迫る。
涼州騎兵の本領を見よとばかりに駆けに駆ける。

「っしゃおらーー!」

だが、その突撃は勢いよく姿を現した軍勢に阻まれることになる。

張の旗を確認するや否や馬超は無言で出撃する。
言葉はいらない、最早いらないとばかりに。

「張遼!」

最早かつて交わした真名をすら呼ばずに突出する馬超に刹那、切なげに視線を送り馬岱は号令を下す。

「いくよ!」

馬家軍は一つの生き物となり動き出す。走り出す。一つとなって突き進む。そこには熱狂。
そう、馬家軍は一塊の狂戦死と化して馬超に続く。
なんとなれば、馬家当主を喪った怨恨は馬家軍の末端まで刻み込まれ、焔となり吹き出でる。
だから、真正面からぶつかる。神速の張遼なにするものぞとばかりに我先に身を投じる。

よくも、よくもおめおめと我らの前に身を晒したなと。
なるほど、一番槍はお嬢に譲ろう。だが、彼奴らは殲滅してやる。涼州騎兵、舐めるな。

そして騎兵と騎兵が。精鋭と精鋭がぶつかり合う。
初撃は互角。流石に鍛えていると馬岱は内心感嘆しながらも姉の姿を見失わない。

「あああああああああ!」

羅刹と化した馬超はそれでも直線的に馬を走らせる。
張遼からすれば厄介なことに迷いなく張遼に向かい突き進んでいる。その勢いたるや。
351 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/07/02(木) 21:32:57.95 ID:JiI9QVaH0
「ちい、猪が……!」

罵るもその前進を止めることはできず、ついには眼前に。

「よくも!父上を!」

「あほんだらあ!」

ついには単騎で切り込んだ馬超の槍は張遼に向けられる。
二合、三合と切り結びながらも、矢継ぎ早に配下へ指示を飛ばす張遼こそ褒められるべきであろう。
だが。

「ああもう!うっざ!」

張遼の指示を上回り馬家軍はその勢いを増す。増していく。
打つ手全てに対応し、その裏を掻こうという悪辣な動き。放置すれば致命傷になる嫌らしい一撃。
薄い陣構えを突破しようと下知を下すも言葉一つで阻まれる。

「ここにいるぞー!」

そしていつの間にか馬岱は実際に分厚く防衛線を構築するのだ。

「ええい!うっとおしい!」

張遼は心底叫ぶ。全力で向かえば突破できるだろうに。馬岱ごときが敷く防衛線なぞ。だが。

「張遼!覚悟!死ねえええええええええ!」

その槍は度々張遼に迫る。流石に片手間に対応できるものではない。

「ああもう、やってられん!」

馬家の用兵は支離滅裂なのに、変に噛み合って結局は戦線を押し上げている。
単騎で突撃する馬超。そしてそれを援護しようともしない馬岱。だが、それは結果としてこの上もなく噛み合って張遼の意図を妨げ、戦場を混沌と化している。
そして馬超にかかりきりなれば戦局は馬家に。戦局を優先すれば手元の兵は馬超により切り裂かれる。
これではまるで。

「馬騰はんを相手してるみたいやないか……」

個人の武と軍としての武。それが絶妙に噛み合って匈奴相手ですら連戦連勝であったあの日。帰ってはこない黄金の日々。
それが馬家軍。その一員であったからこそ張遼はその厄介さに舌打ちする。
そしてその刹那の感慨すら読み取るか如くに馬岱は軍を操る。
馬超の影に隠れていた凡庸な係累。それが馬岱に対する評価であった。だが、そんな評を下した過去の自分を切り捨てたいとばかりに張遼は盛大に舌打ちを重ねる。

「く、ここまでやるか!やってくれるやないか!」

だから、後は頼む。馬家軍はせめてここに釘付けにしてやるから、後は頼んだ。

「恋!頼んだで!」

肺腑より絞り上げたその声は、万夫不当の飛将軍に届いただろうか。
どうあれ。その直後、真紅の呂旗が動きだすのであった。
352 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/07/02(木) 21:33:23.71 ID:JiI9QVaH0
本日ここまですー感想とかくだしあー

タイトル案は「開戦」です

よろしくお願いします。
353 :赤ペン [sage saga]:2020/07/03(金) 12:38:42.29 ID:SKLFZ13E0
乙でしたー
>>347
>>郭嘉は思う。      この後の言葉をわざわざ目の前で言うのは人の心が分からないにもほどがあるので
○道すがら郭嘉は思う。  (その場を離れる)を行間に入れる感じでどうでしょう
>>348
>>そして李典の嗚咽。そこには慕情があった。自分を引き立てた男に対する思いは慕情か、感謝か、それとも。     慕情があったのか無かったのか
○そして李典の嗚咽。そこには慕情があった。自分を引き立てた男に対する思いは慕情、感謝……それだけではない。  色んなものが混ぜこぜになってそうかな【慕情か、感謝か、】だと一つを選ぶ感じがするのでこれでどうでしょう
>>349
>>両腕を伸ばし、背に背を預けて星のやらかくもしっかりした身体に身を預ける  えっ【やらしくも】?
○両腕を伸ばし、背に背を預けて星のやわらかくもしっかりした身体に身を預ける もしくは【やあらかくも】とか言ってみる?
>>それにいくら万夫不当と言っても相手は黄巾だろう?     間違いではないですがこれだと【黄巾兵の万夫不当】のように読めるので
○それにいくら万夫不当と言っても黄巾を相手にした話だろう? 元黄巾の万夫不当とかいたら怖いなw
>>即死でなければ救ってみせるという張魯さんのお言葉が頼もしいのだ。   間違いではないですが
○即死でなければ救ってみせるという張魯さんのお言葉は頼もしいものだ。  ちょっとした好みのようなものですが
>>戦法は曹家軍と孫家軍。戦線を支えてくれるであろう勢力である。  そんな【戦法;呂布】みたいなスタイルを?
○先鋒は曹家軍と孫家軍。戦線を支えてくれるであろう勢力である。  前衛と言うか先駆けと言うかそういう意味ですよね?
>>350
>>そう、馬家軍は一塊の狂戦死と化して馬超に続く。  こええ…誤字じゃない可能性すらあるのがなお怖え
○そう、馬家軍は一塊の狂戦士と化して馬超に続く。  多分こっちでいいはず
>>羅刹と化した馬超はそれでも直線的に馬を走らせる。  怒りで頭に血が上ってるなら直線的なのは普通では?
○羅刹と化した馬超はその中を直線的に馬を走らせる。  【騎兵同士がぶつかった】=乱戦に掛けるならこの方が良いと思います
>>351
>>馬超の影に隠れていた凡庸な係累。  【影に隠れる】だと黒幕感が出るので
○馬超の影に埋もれていた凡庸な係累。 凡庸な係累ならこの方が良さそうかな?

麗羽様の尊さとかそれぞれの思いとか…イイね!
稟ちゃんさんの対応の仕方もなんとも面白いというか、まじめくさった思考の後に願い事とか
馬家の以心伝心なのか目標が同じだからこその最高のコンビネーションなのかは知らんけど張遼もかわいそうに…自業自得だけど
354 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/07/03(金) 21:19:33.90 ID:11bQfaHc0
>>353
赤ペン先生いつもありがとうございますー!
よっしゃ。

>麗羽様の尊さとかそれぞれの思いとか…イイね!
どもです。
隙あらば全部持ってく麗羽様ですが、稟ちゃんさんは頑張りました。

>稟ちゃんさんの対応の仕方もなんとも面白いというか、まじめくさった思考の後に願い事とか
ロジックだけでなくエモーションも持ち合わせた最強の軍師になってくれるはずですw

>馬家の以心伝心なのか目標が同じだからこその最高のコンビネーションなのかは知らんけど張遼もかわいそうに…自業自得だけど
元々馬騰さんに目をかけられて幹部になってきたのに、それはないやろうと
そら馬家軍一万総火の玉です(全員気力170)
355 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/07/03(金) 22:04:59.05 ID:11bQfaHc0
蒼天に翻る真紅の呂旗。
右翼よりその姿を現し、眼前の敵に相対する曹家と孫家を尻目に袁家本陣に向かう。
その戦闘には万夫不当。

なに、相手にとって不足はない。

「白馬義従、出るぞ!」

手にするのは兵卒が手にするのと変わらない普通の剣。
だが、それでいい。白馬義従の強さとは、平準されたところに真髄がある。一人の武勇に引きずられる類のものではないのだ。
そして白い奔流が頸木を解かれ、疾走する。

馬家軍のように真正面からぶつかるのではなく、途中で進路を変え併走する。
ニヤリ、と口を歪ませて公孫賛は先手を取る。

「挨拶代わりだ!撃てぇ!」

騎射。白馬義従が匈奴と互角以上に渡り合う所以である。
袁家本陣に直進するため本腰を入れての対応ができないのをいいことに、と陳宮は歯噛みする。
牽制に迫れば退き、こちらが引けば迫る。なんともいやらしいことこの上ない。
そしてまた牽制に一部隊を寄せる。どうせ届かぬだろうが、矢の雨の中進むよりは遥かにマシというものだ。
だが。

「甘い!」

牽制でしかないと見るや公孫賛はその部隊に寄せ、叩き潰す。

「各個撃破、とはこういうふうにやるのさ!」

あくまで袁家本陣への吶喊を最優先するのを見越し、ゴリゴリと消耗を強いてくる。その手際は熟練と言っていい。
そしてその損害が無視できぬほどになり、陳宮は舌打ちを重ねる。
いや、白馬義従を牽制しつつも損害を最小限に保つ陳宮の用兵は褒められるべきものであろう。例え白馬義従が呂布の武威を警戒して不必要に迫ってきていなかったとしても。
だが、その圧力により着実に進路は歪められており、このままでは袁家本陣への吶喊が果たせるかは微妙。いや、正直厳しくなりつつある。

「……公孫賛、片付ける?」

静かに呂布は陳宮に問う。アレが邪魔ならばアレを除けばいいのではないか、と。
一瞬その言葉にうなずきそうになりながらも陳宮は首を横に振る。

「いえ、いけませんぞ。それこそ彼奴らの思うつぼなのです。
 ……恋殿。行ってください。そして、袁紹の首級を」

その見切りこそ陳宮の真骨頂であったかもしれない。
自分たちが呂布の足手まといであると、ある意味軍師としては屈辱的なそれを認めて手元の戦力をもっとも効率的に運用する術を選ぶ。

「なに、公孫なぞ有象無象もいいとこなのですぞ。まともにやりあえば敵ではないのです!」

ちっちゃい体躯を精一杯踏ん反り返して陳宮は呂布を解き放つ。
軍団の長という枷を解く。解き放つ。最強を。

「……わかった。行ってくる」

そして呂布は単騎で進路を修正する。勿論立ちふさがる敵なぞいないも同然。

目標たる袁家本陣に狙いを定めて呂布は単騎で突撃を敢行するのだ。

「ちい、呂布には構うな!陣形を崩すな!」

流石の公孫賛が狼狽える。呂布と、切り離された配下の軍。どちらに対応するか。常ならばそこに乗じて戦局をひっくり返されることもあったろう。
だが。

「大事ない。呂布単騎の突出は想定内。今は目前の敵軍に専念すべき」

韓浩の淡々とした進言が響く。全く、それほど大きい声でないというのに、痛いほどに耳に響く。不思議なこともあるものだ。

「そ、そうだな。こっからが本番だった。すまんな、狼狽(うろた)えた」

「いい。呂布はやはり埒外。アレと戦場で互角以上に渡り合う。そのことにこそ尊敬の念を覚える」

「はは、嬉しいことを言ってくれるじゃないか。じゃあ、呂布がいないんだ。彼奴の武勇に備えこれまでは沈黙していたが……」

にま、と公孫賛は笑う。手控えていた接近戦を、騎兵突撃を、そして騎射を組み合わせた白馬義従の本領を見せてやろうとばかりに。

「行くぞ!白馬義従は伊達じゃない!」
356 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/07/03(金) 22:05:26.00 ID:11bQfaHc0
◆◆◆

単騎で恐ろしい勢いで騎馬が迫ってくる。言うまでもなく恋だ。
まさにそれは飛ぶが如く。飛将軍というのは言い得て妙だな。明らかに先ほどまで軍を引きていた時と速度が違う。人馬一体とはこのことか。
まあ、これからそんな化け物と遣り合わんといかんのだけどもね。
だが、此方も恋対策はしている。

「見せて貰おうか、飛将軍の実力とやらを!」

いや、知ってるけどね。武力100だし。でもまあ、これくらいは言わんと恰好がつかん。

「陳蘭!」

最前列にて構えるは陳蘭率いる長弓隊。既に五千の兵が展開し。ざく、ざくと矢を地に突き立てて臨戦態勢。
通常ならばまだまだ射程距離外だが、虎の子の長弓部隊にとってはそうではない。

「なんと、まあ……」

流石の秋蘭が感嘆する。この距離で届くのか、と。へへ、すごいだろう。いや、彼女なら可能だろうが、それを一般兵がやることに意味があるのだ。集団でね。
そして五千の弓兵はただ一人恋を目がけて矢を射る。ひたすらに。
もはやそれは矢の雨。或いは奔流。点でなく面で制圧するのが長弓兵の戦い。大体の位置に只管(ひたすら)矢を射る。

「……」

それらの矢が、恋には届かない。ただひたすらに飛ぶように馬を走らせる。手にした奉天画戟。残像すら見えないそれが降り注ぐ矢の雨を全て弾き返しているのだ。
マジかよ。
いや、想定はしていたけど実際目にすると笑うしかない。
だから。

「秋蘭、頼んだ」

「任されようとも」

秋蘭は不敵に笑い、静かに弓を構える。

「唸れ、餓狼爪!」

一射で三矢。それを文字通り矢継ぎ早に三射。
山なりに襲いかかる長弓部隊と違い、限りなく水平に襲い掛かるそれに流石の恋が……ってマジか。
眉間に迫る矢を掴み、その矢でもって続く二の矢、三の矢を弾く。
降り注ぐ矢を奉天画戟で弾き返しながら、だ。

だが、そこまでである。フ、と笑う秋蘭。

「依頼は果たした。では私はこれで華琳様の処(ところ)に戻らせてもらおう」

いや、しかし呂布とは恐るべきものだな。或いは討ち取れるかとも思っていたのだがな――。
苦笑交じりに秋蘭は踵(きびす)を返す。
そしてその目的は果たされている。
確かに恋の身体には一矢たりとも届いていなかったが、見事にその乗馬の前足を打ち抜いていたのだ。
倒れ込む馬体から軽やかに身を躍らせて……。

「弓兵、下がれ!」

守備力なぞあってないような虎の子を下げる。ここで消耗させるわけにもいかん。そして。
ここからが本番だ。やっと恋をその身一つにすることが出来た。そして。マジか。いや、詠ちゃんに話を聞いたことはあったが半信半疑だったんだよなあ。

――まさか、本当に。
二本の足で走る方が速いとかどういうことだよ。

ぎゅん、と速度を上げ、土煙を背に恋が迫ってくる。なるほど。人中の呂布とはこういうことか。などと軽く現実逃避をしながらも前に出る。
猪々子と斗詩が付き従ってくれる。

「アニキ。やっぱアタイが前に出た方がいいんじゃね?」

猪々子の気遣いに首を振る。

「なに、たまには俺もいいとこ見せたいのさ」

どんどんと近づいてくる恋。その表情は相変わらず何を考えているか読めない。
まあ、それでも言葉が通じるだけありがたいとしよう。
だからまあ、まずは声をかける。

「恋!」

ん、とばかりに義理堅く速度を落とし、停止する。
さて、とばかりに俺は恋に声をかけるのであった。
357 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/07/03(金) 22:06:00.61 ID:11bQfaHc0
◆◆◆

さて、何と言ったものかと逡巡している間に恋の方から声をかけてくる。

「……ほしいのは袁紹の首級だけ。二郎を殺す必要は別にない。だからそこをどいて」

いやいやいやいやいや。

「――悪いがここは通行止めだ。大人しく帰ってくれよ」

ふるふると、どこか悲しそうに恋は首を振る。

「月のため。どうしても袁紹の首級がいる。だから、どいて」

「そいつはできねえ相談だな。そもそもだ。それが叶ったとして月が帰ってくるとも限らんだろうに」

流石に仮定の話とは言え麗羽様の首級云々なんて口に出せねえし。それに、月のことは、まあね。そうだよね。しゃあないね。

「それでも、いるの。だから、そこをどいて。袁紹一人で済ませるから」

一生懸命に語る恋に泣きたくなる。なんでだ。なんでこんなにも俺たちはぶつかり合わないといけないんだ。
やってらんないね。本当に。

「聞けないな。麗羽様をやらせるわけにはいかん。こっちは三人。まっさか、卑怯とは言わんよな」

斗詩と猪々子が臨戦態勢に入る。

「……どうでもいい。三人が三万人でも大差、ない」

「は、言ってくれる!恋よ、袁家を、舐めるなぁ――!」

そして三尖刀によるブーストを発動させる。吠えて、やる!

「トランザム!」

四肢に力が漲り時の経過が遅くなる。
漲る力に思いを込めて、叫ぶ。
先手、必勝!

「ちぇすとおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
358 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/07/03(金) 22:06:54.18 ID:11bQfaHc0
本日ここまですー感想とかくだしあー

題名募集しまくりんぐですよ本当に!

「対戦」

ほら今ひとつなのでs
よろしくお願いします。
359 :赤ペン [sage saga]:2020/07/04(土) 12:47:01.74 ID:iAYY6nXZ0
乙でしたー
>>355
>>その戦闘には万夫不当。  まあ確かに戦闘中だけど
○その先頭には万夫不当。  一番前を走ってるのは、って意味だよね
>>その見切りこそ陳宮の真骨頂であったかもしれない。  ここで過去形って…お前、死ぬのか?
○その見切りこそが陳宮の真骨頂かもしれない。     間違いと言うほどではないですがこの方が良いと思います
>>流石の公孫賛が狼狽える。呂布と、切り離された配下の軍。 ここで【流石】と評されるほどには優秀なんだよなあ
○流石の公孫賛も狼狽える。呂布と、切り離された配下の軍。 地味だけど(真顔)
>>356
>>明らかに先ほどまで軍を引きていた時と速度が違う。 全速力出したら遅いのが孤立するからなあ
○明らかに先ほどまで軍を率いていた時と速度が違う。 【引き連れてきた時】だとなんか違うよね
>>「見せて貰おうか、飛将軍の実力とやらを!」   え、何?見稽古とか言うチート能力に開眼した?飛将軍の実力を貰うとか
○「見せてもらおうか、飛将軍の実力とやらを!」  【コートを脱いでください】と【コートを脱いで下さい】には実は大きな隔たりがあるのだ
>>流石の秋蘭が感嘆する。この距離で届くのか、と。 総合力は別にして長距離に矢の雨(弾幕)を降らせる一点ではどこよりも上かもしれんね
○流石の秋蘭も感嘆する。この距離で届くのか、と。 夏侯淵個人では可能かもだけどこの人数による制圧射撃は、ね
>>手にした奉天画戟。残像すら見えないそれが 呂奉先が使うから字を間違いやすいのかな
○手にした方天画戟。残像すら見えないそれが 馬への矢もすべて弾くとか人間業じゃねえな
>>限りなく水平に襲い掛かるそれに流石の恋が……ってマジか。  ほぼほぼ水平なら打たれた側からすれば【・】ここまではいかなくても大分見づらいだろうに
○限りなく水平に襲い掛かるそれには流石の恋も……ってマジか。 微修正も混ぜつつ
>>降り注ぐ矢を奉天画戟で弾き返しながら、だ。  両手放してってことはやろうと思えばこいつも騎射出来るんだろうな
○降り注ぐ矢を方天画戟で弾き返しながら、だ。  そういや奉天って中国の都市の名前なんだな…ちょっと昔だけど
>>ん、とばかりに義理堅く速度を落とし、停止する。     【ん、とばかりに】とはいったい
○ん、と顔を向けた恋は義理堅く速度を落とし、停止する。  こんな感じでどうでしょう
>>さて、とばかりに俺は恋に声をかけるのであった。
>>◆◆◆
>>さて、何と言ったものかと逡巡している間に恋の方から声をかけてくる。  呼びかけはしたけど声掛けは恋からだよね
○さて、とばかりに俺は恋に向き合うのであった。   いやまあ最初の【「恋!」】はあるけどあれは【さて、とばかりに】に合わないしね

公孫瓚が輝いてる!めっちゃ輝いてるよ!…違った白馬義従が輝いてるよ!!
冗談はともかく軍の在り方としてはガチで最高峰よね、公孫瓚以外がトップに立ってもほとんどパフォーマンス落ちないだろうし
陳宮が被害を最小限に抑えてなお吶喊が厳しくなるとか状況的なものもあるとはいえ凄すぎる
恋はなあ…まあ仕方ないよね。お互いに譲れないモノのために戦ってるんだから会話は平行線だわ
どうにかする手段はいくつもあったけど事ここに至ってはどうしようも…
まあアイツラならそれでもみんなが笑って暮らせる世界のためにとかなんとか言ってどうにかしようとするんだろうが(どうにかできるとは言わん)
360 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/07/04(土) 15:35:37.11 ID:jfF7oO/lO
乙っしたー

どっかで聞いたセリフがちらほらww

タイトル案「対峙」
361 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/07/05(日) 05:12:01.42 ID:N9N52iJv0
>>359
赤ペン先生いつもありがとうございますー!
ほむ。今回は多かったな。頑張るぞいっと。

>公孫瓚が輝いてる!めっちゃ輝いてるよ!…違った白馬義従が輝いてるよ!!
強化しといてよかった白馬義従!です。

>冗談はともかく軍の在り方としてはガチで最高峰よね、
作中少ないネームド軍団ですからね……
虎豹騎実装してないということは、作中最強軍団かもしれません

>恋はなあ…まあ仕方ないよね。お互いに譲れないモノのために戦ってるんだから会話は平行線だわ
おっしゃるとおりここはしゃあないところです。

>どうにかする手段はいくつもあったけど事ここに至ってはどうしようも…
董家ルートでは初手最適解ができたはずなんですよね

>まあアイツラなら
ほんと、魏√での彼らの不気味さといったらなかったw

>>360
どもです。

>どっかで聞いたセリフがちらほらw
ナンノコトカナー

>タイトル案「対峙」
ほむ。対決よりよかですね。ありがとうございますー!
362 :俯瞰者 ◆e/6HR7WSTU [sage saga]:2020/07/06(月) 21:08:43.21 ID:iXKxy26L0
乙です。

嗚呼……とうとうか。原始の肉体武闘の血生臭き戦が。
で、ちゃっかり現代のアップトレを持ち込んでじゃないの。二郎さんw

チェストーって薩摩示現流じゃないの。二郎さん前世は鹿児島出身?

今回のクレームwwwwww
癒し愛人幼馴染の陳蘭ちゃんを前線に出すんじゃないのw
しかも活躍までさせてさw
これも陳蘭ちゃんの愛のカタチ?

個人的には真桜さんの魂の叫びというか慚愧というかが一番印象に残りました。


でさ、どっかの親方が陳宮ちゃん拉致りたいそうなんだけど……どうでしょう?
363 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/07/06(月) 21:33:10.65 ID:ST1CGF8G0
>>362
どもです。父上乙ですた。あっちにもちょっとしたら行きますのでお待ちくだしあ。

>嗚呼……とうとうか。原始の肉体武闘の血生臭き戦が
やはり肉体言語ありきですよね。

>で、ちゃっかり現代のアップトレを持ち込んでじゃないの。二郎さんw
ベストを尽くすということで一つ。少しでも勝率を上げないといけませんのでね。アスリートによればアップに30分以上かけるらしいですね。

>チェストーって薩摩示現流じゃないの。二郎さん前世は鹿児島出身?
中の人が示現流の道場で立木打ちを体験したくらいの関係ですw
猿叫については作品により表現が様々ですが、ここはやはり旧作をリスペクトな感じです

>癒し愛人幼馴染の陳蘭ちゃんを前線に出すんじゃないのwしかも活躍までさせてさw
紀家は武家にて、彼女の掌握している部隊も同様。ガチ戦力で虎の子なのです。
呂布にぶつけようとするくらいには稟ちゃんさんからも戦力として計算されておりますん
ということで一つ。

>個人的には真桜さんの魂の叫びというか慚愧というかが一番印象に残りました。
ありがとうございますー!
彼女は本来楽しく技術開発してキャッキャウフフしてたい人生だったのですが、惚れた男が悪かった
研究開発以外のことも、考えないといけないという立場になってしまっております
それが、なんだかなあー、って感じと、惚れた男のためになるので嬉しかったりする真桜です

>でさ、どっかの親方が陳宮ちゃん拉致りたいそうなんだけど……どうでしょう?
短期留学、かつ彼女の心根(呂布原理主義)は変わらないなら、かなあ
364 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/07/06(月) 22:15:15.42 ID:ST1CGF8G0
「ちぇすとおおおおおおおおおおおお!」

全力での俺の一撃。脳天目がけて三尖刀を振り下ろす。文字通りの全力全開の一撃。その一撃を恋は難なく躱す。身をよじるだけで。
うん、知ってた。

「ちぇいぃ!」

地面に三尖刀を叩きつけた反動を利用してもう一撃食らわす。横薙ぎの一撃。

「秘剣、燕返し!」

流石に三撃を同時展開なんていう人間離れした剣技なんて俺にはない。これが精いっぱい。
無理やりな軌道での連撃は、だが恋には届かない。バックステップ一つ。なんつー超反応だよ!
全力の一撃であったので俺の身体は今度こそ完全に流れてしまった。

「……覚悟」

ゆらり、と身を揺るがして恋が奉天画戟を振り上げる。このままでは間違いなく脳天からばっさりであろう。
が。

「斬山刀、斬山斬!」

恋の死角に回り込んでいた猪々子がその大刀を渾身の力で振り下ろす。
一か八かの大振りの一撃。

「――!」

サイドステップ一つ。恋の身には届かず、斬山刀は大地を抉る。
豪快に土煙が巻き起こり、視界が妨げられる。そしてそれを煙幕代わりに離脱しようとする猪々子を恋は逃がさず追撃。流石、速い!

「はぁっ!」

だが、土煙は猪々子の離脱用じゃあない。奉天画戟を振りかぶる恋に迫る斗詩をこそ隠すためなのだ。
裂帛の気合いを響かせて双剣を振るう。

「やったか!」

確かに斗詩の双剣が恋の身体を捉えた……と見えたのだが、間一髪、紙一重で躱す。

「しぃっ!」

だが、斗詩の攻撃は連撃、そして相手を追い込む運足の妙が持ち味。更に舞うが如く追撃を加える。躱す恋の動きは斗詩とは対照的に野生の獣を思わせる。

「くっ!」

舞いながら、双剣の軌道を捻じ曲げ、恋の体幹部分。回避しづらい部位に斬撃を次々と繰り出すのだが、少しずつ恋が対応し始める。
流石の斗詩の連撃が勢い弱まってくる。あの連撃は無酸素運動を続けるものだからそれほど長く続けることはできない。
だが、それで十分。斗詩は確実に獲物を追い込んでいる。
既に恋の死角を押さえた!五臓六腑に気合いを込めて、迸る裂帛の咆哮。

「ちぇすとおおおおおおおおおおおおおお!」

俺が全力の一撃を振るう。完全に入ったと思ったのだが。

「これが当たらんのか!」

二の太刀も躱されてしまった。ぐぬう。

「どっせーい!」

猪々子によって再び抉られる大地。そして巻き起こる土煙。その中から斗詩が接近して連撃を加える。
次々と死角に回り込み攻撃を加える俺たちの動きはまさに三位一体。そのコンビネーションは恋を少しずつ、少しずつ追い詰めていく。無論、一度でもしくじれば即死につながるという危険極まりない綱渡りなのではあるが。

「うし!」

思わず歓声を漏らしてしまう。
紅い筋が一筋恋の身体に刻まれている。糸のように細いそれは確かに一撃が届いたという証。斗詩の双剣が届いたのだ。

「いける!」

恋に向けて幾度三尖刀を振るったか分からない。だが、今度は届く。その確信がある。
ここぞとばかりに斗詩が死力を尽くして恋を追い詰める。もう一筋、今度は恋の脇腹に紅い筋が。

「殺った!」
365 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/07/06(月) 22:15:42.06 ID:ST1CGF8G0
いかに恋の身体能力が化け物じみていても流石に三尖刀の全力の一撃を喰らえばひとたまりもない。はずだ。あの飛将軍に届く。俺の一撃が届く。そう確信してにやり、と口が歪むのすら認識しながら三尖刀を振り下ろす。

「な――!」

その腕から急速に力が抜けていく。いや、腕だけではない。全身を脱力感が襲う。くそ!時間切れか!
三尖刀がもたらしてくれていたブーストの効果が切れ、代わってその副作用が顕現してしまう。

「畜生!」

それでもなんとか、なんとかこの一撃だけはと振り下ろそうとするのだが。
恋は生まれた隙を見逃してはくれない。瞬時に間合いを詰め、蹴りを放ってくる。

「が、は!」

鈍い音が全身に響き、盛大に吹っ飛ばされる。

「二郎さん!」
「アニキ!」
斗詩と猪々子が悲鳴を上げ、すぐさま俺の前に立って恋に向かい合う。
二人とも乱れそうな呼吸を必死で整えようとし、それぞれの武器を構える。だが、一度切れた緊張の糸はもはやつながることは無い。

「……結構、強かった。でも、終わり」

奉天画戟を手にした恋がゆっくりと近づいてくる。
風が仕掛けた洛陽での物流の混乱による飢餓。長弓部隊による面制圧。秋蘭による乗騎の射殺。
それもこれも全部恋の弱体化、疲労を誘うそのためだけに為されていた。あんだけ何回も奉天画戟を振るい、その足で全力疾走を続けて間違いなく消耗しているはず。だのにそれでも、三人がかりでも届かなかった。
だが。

「まだだ、まだ終わらんよ!」

切り札は最後に切るもの。主役は最後に出張るもの。俺たち三人が挑んだのも仕掛けに過ぎない。恋に更なる消耗を強いるための一手。いや、危険すぎると稟ちゃんさんには呆れられたけどね。
いやだって兵卒万単位で投入とかしたらそりゃ消耗を強いれるかもしらんけど乱戦で恋を捕捉するなんて不可能じゃん。だからこれしかなかった、と個人的には思っている。
そして、腹部の痛みに顔をしかめながらも、叫ぶ。いや、これアバラ何本かやられてるんじゃないかな。

「星!出ませい!」

痛みをこらえつつ、今の俺に出せる精一杯声を張り上げる。

「全く、無茶をなさる。出番があるのは喜ばしいのですが、正直肝を冷やしましたぞ」

真打、登場である。

手にした愛槍龍牙を一つしごき、高らかに名乗りを上げる。

「常山の昇り竜にて紀家一の将、趙子龍。推して参る!
 一手、馳走になる!」
366 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/07/06(月) 22:16:08.34 ID:ST1CGF8G0
◆◆◆

ようやっとの出番である。趙雲は軽やかに舞台に躍り出る。
不敵で無敵。そう嘯(うそぶ)く常と変らずに、笑みを浮かべ愛槍龍牙をしごきあげる。
だが内心穏やかではいられない。
何となれば主と定める青年、そしてその傍らにある二人は袁家の宿将たる人物。なぜ自分がその場にいないかと内心臍を噛む思いなのだ。
いや、理解はしているのだ。してしまっている。
過日見た飛将軍の武威。それは趙雲をして手の届かない所に感じられるほどに遠いものであった。最強を見せたかったという主の言を受けて尚、その隔絶した差に絶望さえ覚えたほどだ。だが。
お前ならば至ることが出来ると、閨で囁かれた時に趙雲は決意した。そして理解した。
自分の主は本気であの飛将軍、人中の呂布に克つことを求めているのだと。自分ならばできると本気で思っているのだと。
それを理解して後、趙雲は愛してやまなかった酒すら断ったのである。

多忙な紀霊や顔良、文醜とは中々手合せできなかったが、典韋や楽進、陳蘭と暇さえあれば武を競った。
仮想敵はあくまで呂布。
ついには眠っているときにさえ呂布と打ち合うほどに武を追求する。
だが、それでも。それでも呂布には及ばない。あの日あの時見た呂布に及ばないのだ。
だから、だから主はこのように策を重ねたのだと趙雲は理解している。無論、不本意ではある。このように策を重ね、消耗を強いて得た勝利に意味はあるのか、と。

「勝てない戦はしない。だから袁家は最強なのです。
 星、いいですか。そもそも貴方の武人としての誇りというものに私は何の価値も認めていません。
尊重くらいはしますがね。勝てないまでも負けないための策すら忌避しようというそれは百害あって一利なし。傍迷惑この上ないですね」

郭嘉は忌憚なく語ったものだ。自分に伝わると信じてだろう。そして自分がどのような思考回路で策を積み重ねるかを示して。
だが、と言葉を重ねる。そのような武人の誇りと言う奴すら自分は考慮して策を重ねていると。

「まあ、正々堂々と遣りあって袁家の武家三将と星、貴女が揃って討死しても構いません。それでも袁家は勝ちます。そのように策を重ねています。風と私がそうしているのです。ですから、貴女はお好きにしなさい。ええ、ご随意に」

甘えるな。

親友からのその言外の叱咤を趙雲は正しく受け止める。そして思い知るのだ。寄せられる期待の重さを。
紀霊自ら、他の二将まで動員して呂布の消耗を図るなぞ。いや、紀霊は笑っていたが。

「なに、恋の消耗を図るのはいい。だが、俺と斗詩と猪々子でかかるんだ。倒してしまっても構わんのだろう?」

冗談めかして笑ったあの声。
希代の演出家が拵えてくれた舞台なのだ。なにせ、黄巾の乱を率いたという三姉妹の舞台だって紀霊が助言を与えてからその飛躍が始まったと程立は漏らしていた。
だったら。
だったら、期待に応えねばならない。そして今の自分は程立、郭嘉の策を重ねて。
趙雲の目から見ても紀霊たち三人の連携は完璧であった。なのに呂布を討ち取るに至らない。だからこそ無様は晒せない。
最高の舞台をあつらえてくれたのだ。ならばそこにおいて蝶のように舞おう。そして蜂のように刺そう。

「常山の昇り竜にて紀家一の将、趙子龍。推して参る!」

そして、挑む。最強に。口元には優雅で、雄々しい笑みを。そして華麗な勝利こそが袁家にはきっと相応しい。

◆◆◆

先手を取ったのは趙雲である。猛る呂布が動くのを制するが如く槍を突き出す。舌打ちと共に呂布はそれを紙一重で躱す。

「はいはいはいはいー!」

連撃。けしてそれは神速ではないし洗練もされていない。
だがそれを呂布は躱すのに精一杯で反撃もできない。いや、それを趙雲が許さないのだ。

闘いは傍目には一方的にすら映るほどに趙雲が圧倒している、ように見える。

それまでの、紀霊との戦いとは打って変わって防戦一方、それも心底嫌そうな表情の呂布が呟く。

「お前、気持ち悪い」

にやり、と趙雲は笑う。
ああ、そうであろう、そうであろうとばかりに。
呂布の武。それは天性のもの。野生の獣が獲物を襲うときに無駄な所作がないように、呂布の動きには全く無駄がない。
ただ、振るう一撃が最適にして最強。生まれ持った強靭な肉体と獣の本能こそが呂布を最強たらしめているのである。
それに対し、呂布を襲う趙雲の一撃はそこまで鋭くもなく、重くもない。だというのに防戦一方。じりじりと下がり、いらいらとした様子の呂布を翻弄するが如くまた槍を振るう。
367 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/07/06(月) 22:16:34.12 ID:ST1CGF8G0
◆◆◆

「なあ、アニキ。なんで呂布はやられっぱなしなんだ?
取り立てて速くもないし重くもなさそうな攻撃なのにさー」

怪訝そうに猪々子が俺に問いかけてくる。いや、答えてやりたいんだが今は呼吸をするのが精一杯。いやこれ何本肋骨持ってかれたのやら。蹴り一つでご覧の有様だよ!
代わって応えてくれたのは俺が背を預けている斗詩だ。声と共に柔らかいものが震える感覚が多少なりとも痛みを和らげてくれる。気がする。いえい。

「文ちゃん、駄目だよ。二郎さんは負傷されてるんだから」

「あ、そっかごめんね、アニキ」

ひらひらと手の平を振って気にするなと伝える。

「あれはね、恐らくだけど。後の先。
 星さんは呂布が槍を振るうその予備動作を感じ取って先んじているんだと思う。
 私だって理論は知ってたけど、まさか完成させていたなんて……」

後より出(い)でて先に穿つ。まさにカウンターの極みである。そりゃあさぞかし恋はやりにくかろう。自分が攻撃しようと思ったら敵の攻撃が迫っているのだから。
いや、そっから躱したり打ち返したりする恋の化け物っぷりもすごいんだが。
ただまあ、基本的に本能で動いている恋に対しては鬼札だろう。つか、人の技が恋に対して有効なのだと思うと胸に熱いものがこみ上げるよ。

「なるほどなー。以前アニキが言ってた奴かあ。でもまあ、押してはいるけど星も見た目以上に消耗してそうだなあ」

猪々子の言う通りである。いかに後の先で主導権を握っているとはいえあの恋の相手を一人でこなしているのだ。心身ともに消耗は激しいはずだ。しかも決め手に欠けているときたもんだ。いや、そんな中きっちりと猛攻を仕掛ける星はすごいわ。

「うん、そうだね。このままじゃ、ちょっと厳しいかも……」

悔しそうに斗詩が呟く。だが、現状俺らにできるのは見守ることくらいだ。

さて、どうしたものかと思っていると、けたたましい銅鑼の音が響く。どうやらここではないどこかで戦局が動いたようである。
368 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/07/06(月) 22:17:36.42 ID:ST1CGF8G0
本日ここまですー感想とかくだしあー

題名募集しまくりんぐですよ本当に!

今回の草案は「VS呂布」でいs

よさげでかっこいいやつたのみまするよう
369 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/07/07(火) 15:39:18.82 ID:99brJZgQo
乙です

この、ここからの戦闘シーンが本当にカッコよくてずっと好きなのです
いやぁほんと、弱者たる人の技術が生まれもっての強者たる呂布に届くというのは熱くなりますよね


ということで題案ですが
『人技にて天才に挑む』
『星は昇りて、天に届くか』
みたいなかんじでー
370 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/07/08(水) 05:59:03.46 ID:cl8kAEE80
>>369
どもです。

>この、ここからの戦闘シーンが本当にカッコよくてずっと好きなのです
ありがとうございますー!気合い入れて作ったシーンなので嬉しい限りでございます

>いやぁほんと、弱者たる人の技術が生まれもっての強者たる呂布に届くというのは熱くなりますよね
原作での星ちゃんは、どこか諦めている風すら感じさせるムーブですからねえ
このまま折れずに進んで欲しいところです

>『人技にて天才に挑む』
>『星は昇りて、天に届くか』
ほむ。詩的でよきですね
ストックさせていただきます!
371 :赤ペン [sage saga]:2020/07/09(木) 15:04:46.73 ID:F0uvBfph0
乙でしたー。私はとても悲しい(ポロロン)
>>364
>>地面に三尖刀を叩きつけた反動を利用してもう一撃食らわす。横薙ぎの一撃。  脳天めがけて振り下ろした↓反動だと横薙ぎ→は難しいかな
○地面に三尖刀を叩きつけた反動を利用してもう一撃食らわす。切り上げの一撃。 ↗か↖だと思うので…反動を利用しないなら人外の膂力で可能かもですが(全力全開からの急制動)
>>ゆらり、と身を揺るがして恋が奉天画戟を振り上げる。 震えたの?
○ゆらり、と身を翻して恋が方天画戟を振り上げる。   それとも恋はバックステップしてたから【と距離を詰めて】とか【と歩を進めて】かな?
>>奉天画戟を振りかぶる恋に迫る斗詩をこそ隠すためなのだ。 それとも原作で奉天画戟って言ってる場面あったっけ?だとしたらごめんなさい
○方天画戟を振りかぶる恋に迫る斗詩をこそ隠すためなのだ。 一応モバゲの方の恋姫だと方天画戟なんだけど
>>流石の斗詩の連撃が勢い弱まってくる。  【勢い弱まる】って文章としては勢い良いね
○流石に斗詩の連撃も勢いが弱まってくる。 この場合【流石の斗詩】と言うまでもなく【恋】は格上なので(呂布の前では)と前に付けるつもりでこれでどうでしょう
>>紅い筋が一筋恋の身体に刻まれている。 【目から滴が一滴】みたいな微妙な違和感が
○紅い線が一筋恋の身体に刻まれている。 もしくは【赤い筋が一本】とかどうでしょう
>>365
>>奉天画戟を手にした恋がゆっくりと近づいてくる。 確かこれについては随分前にも言ったはずなんだけど
○方天画戟を手にした恋がゆっくりと近づいてくる。 ましてや前回>>359も…
>>あんだけ何回も奉天画戟を振るい、 方天画戟がゲシュタルト崩壊しそう
○あんだけ何回も方天画戟を振るい、 この悲しみは月詠の幸せな未来でないときっと晴れないなあ(ゲス顔)
>>痛みをこらえつつ、今の俺に出せる精一杯声を張り上げる。  喋り言葉としてはこれでもいいっちゃいいんですが
○痛みをこらえつつ、今の俺に出せる精一杯の声を張り上げる。 の方が良いと思います
>>366
>>だがそれを呂布は躱すのに精一杯で反撃もできない。 間違いではないですが文脈がちょっとゴチャットしてるような違和感が
○だが呂布はそれを躱すのに精一杯で反撃もできない。 もしくは【だがそれを躱すのに精一杯で呂布は反撃もできない。】の方が良いと思います
>>ただ、振るう一撃が最適にして最強。 前の文章が例えば【呂布の戦いには武の理が無い】みたいな否定のものならこれでいいんですが(ただ(し)、振るう〜】みたいな
○ただ振るう一撃が最適にして最強。  そうではないので一息で言った方が良いと思います
>>367
>>代わって応えてくれたのは俺が背を預けている斗詩だ。 《出来る?》と言う問いに《出来る!》と言うのは答えですが
○代わって答えてくれたのは俺が背を預けている斗詩だ。 もしくは内心と言うか痛みに苦しんでる状況を考えれば
○俺が背を預けている斗詩が目くばせに応えてくれた。  阿吽の呼吸的な感じでこれもありか?

二郎は随分とフラグを建ててますなwお前そのセリフは一矢報いるけど途中退場のセリフやろがい!
多重次元屈折現象やらフラガラックやら運命好きね
人事を尽くして天才に克つ。か…二郎ちゃんに頼まれてつぶれ役を引き受けた二人とかあらゆるものを策のうちに練りこんで憎まれ役まで買って出た軍師とか見どころ満載やね
372 :俯瞰者 ◆e/6HR7WSTU [sage saga]:2020/07/09(木) 21:28:25.18 ID:adKo1iIT0
乙です。一ノ瀬さんと二郎さんと文ちゃん顔ちゃんに。

感想は書けないです。ひたすら引き込まれて一気読みしましたので。強いて言えば、二郎さん、文ちゃん、顔ちゃん、趙雲さん、呂布さん。
皆さんお疲れ様です、かな?
でも、呂布対趙雲はまだ続いているからこの対決も期待かな。
つか、呂布さん。これ終わったら、おじさんがお腹一杯中華料理御馳走してあげるから、死ぬんじゃないよ。いいね。

二郎さん、骨折なめてるとこの先で不具合出るからちゃんと固定して安静にしなさいよ。あとリハビリもしっかり。
武家だろうがブースト持ちだろうが基本は人間だからね。つか顔ちゃん、そのまま押さえときなさいよ。
無茶しやがって。がまるっと当てはまる場面ですな。
373 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/07/09(木) 21:48:50.99 ID:cRY7Feyw0
>>371
赤ペン先生いつもありがとうございますー!
いつもより多いな(当社比)。頑張るぞいっと。

>私はとても悲しい(ポロロン)
出たなトリスタン!うっせえお前を犯人です(暗黒翡翠)。

>二郎は随分とフラグを建ててますなw
お守りみたいなもんですねw ないとガチダイスロールが発生しますのでw

>お前そのセリフは一矢報いるけど途中退場のセリフやろがい!
パインサラダがないからセーフ。

>人事を尽くして天才に克つ。か…二郎ちゃんに頼まれてつぶれ役を引き受けた二人とかあらゆるものを策のうちに練りこんで憎まれ役まで買って出た軍師とか見どころ満載やね
三国志を題材にしたらその瞬間呂布と向かい合わないといけないですものねw
まあ、当初プロットでは稟ちゃんさんも星ちゃんも陣営にいないはずだったのです。
どうやって勝つんだろう(ノープラン)
あ、普通にデッドエンドですねw

>>372
俯瞰者さん、どもです。

>感想は書けないです。ひたすら引き込まれて一気読みしましたので。
やったぜ。何よりの感想です。嬉しいす。

>強いて言えば、二郎さん、文ちゃん、顔ちゃん、趙雲さん、呂布さん。皆さんお疲れ様です、かな?
今回に限っては、二郎ちゃんが一番身体張ったかもしれませんね。体当たりで恋ちゃんに挑んでくれましたw

>二郎さん、骨折なめてるとこの先で不具合出るからちゃんと固定して安静にしなさいよ。あとリハビリもしっかり。
あれ、痛いんですよね……っ。骨接ぐときは呻いてしまいましたわw

>武家だろうがブースト持ちだろうが基本は人間だからね。つか顔ちゃん、そのまま押さえときなさいよ。
声援ありがとうございますー!

無茶もせなあかんタイミングと言う奴ですね。三尖刀については、ほぼ全て固定イベントです。
それで勝てるかはともかくないと普通に死ぬのですw

頑張るぞいっと。

つか、お忙しいだろうさなかに、ありがとうございますー!
少しでも楽しんでいただけたなら幸いでございます

みんながんばろう
374 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/07/09(木) 21:49:32.82 ID:cRY7Feyw0
「なかなか、やるわね……」

くすり、と口に笑みを浮かべて曹操は薄く笑う。
戦場が供する喧騒を楽曲が如く、その音色を掌(たなごころ)の上で弄ぶ曹操。その讃辞は無論目前の敵兵に向けてのものではない。曹家一万、孫家五千。対するは五万という圧倒的な兵力を前に曹操は既に勝ちを確信している。
例えばこれを賈駆や董卓が率いていたならば話は別であるが、曹操自ら指揮をする曹家軍にとって数なぞ全く意味をなさない。少数を以って大軍を翻弄、撃破するその用兵の冴え。
それはこの瞬間は余技に過ぎない。

「楽しませてくれるものね……」

その視線の先にあるのは孫家軍である。
曹家軍一万と孫家軍五千。対する敵軍は五万。いささか兵数の差が大きすぎる。故に義勇軍を後詰、そして寡兵である孫家軍への編入を提案したのだが。

「お断りしますぅ」

陸遜に拒否されてしまった。曰く。義勇軍、我知らず。故に不要、と。

まあ、実にもっともな話ではあるのだが。
あるのだが。

「兵は孫家に押し付けて関羽だけ引っ張って来ようと思ったのだけれどもね」

そして関羽は客将として腕を振るうのだ。そして曹家軍の精兵を率いる喜びを知る。そしてこの自分の用兵の冴え。その命に従い、その指揮に心服するのだ。そのはずだったのだ。
それを。

「よくも台無しにしてくれたわね……」

だからこれは意趣返し。
曹操が相対するのは孫家軍。勿論直接矛を交える愚は犯さない。だから。
数十、数百の単位で孫家軍に敵軍を誘導しているだけである。陣の綻びそうな所に、陣形を維持する急所に、或いは伝令の通り道に兵を置く。
無論それは弱兵によるものではあるが、曹操が振るうそれは苛烈にして執拗。兵の逐次投入と波状攻撃の何が違うかと言うと、要は費やす兵数である。そしてそれは半ば無尽蔵に目の前にあるのだ。

「まだまだいくわよ?どこまで凌げるか、楽しみね」

不敵に笑い、曹操は戦場を支配する。そう、曹操によって戦場は支配されつつあった。

◆◆◆
375 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/07/09(木) 21:49:58.84 ID:cRY7Feyw0
「んー。中々にしつこいですねえ」

陸遜は小首を傾げて呟く。
いや、実際に執拗に妨害は続いている。正面の敵兵のみでなく、側面からの圧力にも対応せねばならない。それを孫家軍の首脳は理解しつつある。
……僚軍の不穏な動きに陸遜は即座に対応していた。いや、予測すらしていた。なんとなれば、あの紀霊が徹頭徹尾警戒する英傑。その為人(ひととなり)は彼の洞察――陸遜は紀霊の人物評について高く評価している――を閨においても根掘り葉掘り聞きだしている。
そして曹操から事前にあった提案。義勇軍の参戦について突っぱねた。一見穏やかそうな曹操の顔(かんばせ)に刹那浮かんだ凶相を見逃す陸遜ではない。なるほど。確かに理性的でありながらも激情家のようだと納得したものだ。
そしてその有能さについては語るに及ばず。前面の、ひたすら押し寄せる敵よりもむしろ側面より誘導されてくる敵兵の方が何倍も厄介である。

「でもでもー、無意味ですぅ」

陸遜は嬉々としながら矢継ぎ早に幾度目かの指示を飛ばす。臨機応変こそ孫家の本領。不安定な水上。風向き一つで変わる戦況。それに比べればなんとまあ読み易いことかと。

「穏、大丈夫?」

主の言葉に深く頷く。

「ええ、突如吹き荒れる東南の風と比べればどうということはありません。都合のいいことに、あれはこちらの弱点を的確に衝いてきます。

――故に備えは万全。
 ご安心くださいな」

その言葉に頷きつつも孫権は眼前の戦況、そしてそれを可視化した盤から目を離さない。自分の用兵の才は甘寧に、軍略の才は陸遜に遠く及ばずとも。せめて現状の把握くらいはせねばならぬとばかりに目を凝らす。
その様に満足げに視線を一つ。そして陸遜は再び曹操と向き合う。そしてくすり、と笑う。兵の数は少なくとも孫家軍は精鋭。江南の地を、流血でもって治めてきたのだぞとばかりにお返しに弓の斉射をくれてやる。なに、一度ならば誤射で済まされる。済まさせる。
そしてこちらには切り札がある。こちらが挑発に乗らなければそう看破するかと思ったのだが。
いや、それをすら見越しているのだろうか。

「あらあら〜。まだやりますか。んー。孫家を甘く見たことを後悔させてあげちゃいましょうかしらねえ〜。
あまりこちらにばかり構っていたら、お手柄は孫家総取りしちゃいますけども」

くすくす、と陸遜は朗らかに笑う。その笑みに艶の色が混じっていく。嗚呼、この戦場を今や陸遜は認識している。把握している。なんという悦楽か。
欲情し、恍惚とした貌の彼女はいよいよその思考を研ぎ澄ましていくのだった。

◆◆◆
376 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/07/09(木) 21:50:25.65 ID:cRY7Feyw0

「みんな、がんばってー!」

応!とばかりに野太い声が応える。
激励する声の主は孫尚香。寡兵を以って大軍に挑む孫家軍の消耗は必然。その、歴戦の精鋭をもってしてもこれほど絶望的に兵数が開いた戦いを経験したことはない。
だからこそ孫尚香は最前線にその身を置いている。兵を率いることは甘寧に任せている。だから、単騎での鼓舞と遊撃がその使命。
孫家の愛くるしい三の姫の鼓舞に孫家軍の兵士はその身に力が沸き立つのを実感する。

「孫家万載!孫尚香様万歳!」

轟く雄叫び。孫家軍はその精強さを驚くほどに継続し、敵の波状攻撃を弾き返す。

「全く、孫家の血筋というのは……」

甘寧は最前線で剣を振るいながらそう思う。あの人望は。最前線で兵卒の士気をあそこまで操るのはまるで、と。かつて仕えた孫堅、そして孫策を連想させると。

一方孫尚香は治まらない。いや、このままではいけないという焦燥感すらある。だから更に前線に向かう。孫家の守護獣たる白虎に命じて前線に向かう。けして敵中に向かうなと姉から言われたことなぞ無かったかの如く。

「シャオの邪魔をすると、ひどいんだから!」

追走する周泰は嘆息する。或いは感嘆する。
そしてある時から孫尚香の動きの質が変わった。縦横無尽に駆け廻り、自陣を鼓舞する。そして敵陣を崩すのは変わらないのだが。

戦場を駆け、血に染まるほどに孫尚香は内より出でる本能に身を任せ、ついには敵陣に単騎で突撃する。
慌てて付近の兵が陣形が崩れるのも構わず追走する。ここで彼女を喪う訳にはいかないとばかりに。

「ええい!流石に孫家の息女は、やってくれる!」

甘寧は一声吠えて苛立ちを解放する。そして淡々と戦線を復旧させる。なに、孫家の血筋によって前線がかき回されるのは慣れっこだ。そして腹立たしいことに彼女らの一手はこの上なく有効なのだ。

「あんなもの、真似できるはずもない……」

そんな甘寧の嘆息なぞどこ吹く風か。孫尚香は敵中枢に単騎で切り込む。そして返り討ちにしてくれんとばかりに取り囲む敵兵は端的に言って不幸だったろう。

「GAAAAAAAAAAAAAA!」

孫家の守護獣たる白虎が咆哮する。それは圧倒的な存在感。生物としての階梯の差。捕食者と被捕食者の差。圧倒的なその立場の違う存在からの咆哮に周囲の兵は白目を剥き、失禁し失神する。その咆哮はいともたやすくその戦意を刈り取り、恐慌を与える。

「やっちゃえー!」

再度、咆哮。

砕ける戦意、士気は地に墜ちる。
そこに押し寄せるのは孫家の精兵。
かくして虎牢関守備兵の主力は大崩れすることになったのである。
377 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/07/09(木) 21:52:03.79 ID:cRY7Feyw0
◆◆◆

「兵が、引いていく……」

銅鑼の音と共に董家軍が退却を始めるのを見て北郷一刀は誰にともなく、呟く。

「張、呂の旗は無事、か……。霞も恋も、生き残ってくれたか……」

その声に劉備がにこやかに笑う。

「うん、みんな無事でよかった!よかったね!ご主人様!」

「ですがこれより追撃戦があります……。翠さんも白蓮さんも機動力では大陸屈指でしょう。虎牢関に入るまでの追撃が心配です……」

「あわわ……大丈夫だよ朱里ちゃん。
白蓮さんは恋さんを深追いしないと思う……。
 殿に決死の恋さんがいたらそれだけで公孫の軍が瓦解するくらいの被害があると思うの……。
それより心配なのは霞さん……。きっと翠さんは、馬家軍は霞さんを討ち取るまで追撃をやめないと思う。
でも、神速と異名を取る霞さんなら、きっと逃げ切れる、と思う……」

頼れる軍師二人の言に頷きながらも胸を襲う焦燥に北郷一刀は今にも駆け出したくなる。そんな様子を見かねたか関羽が声をかける。

「よろしかったのですか?今の虎牢関ならばもぬけの空。我らのみでも隠密裏に落とすことは可能だったはず」

そしてその手柄と引き換えに董卓一派の助命を、という案を摂らなかったのは北郷一刀だ。

「ああ、朱里も雛里も虎牢関を落とすまでは容易いと読んでいたけどな。その後がどうにも難しいんだろ?」

「は、はい!虎牢関に迫った時に翻る劉の牙門旗。それはとても目立ちますし、分かり易いお手柄ではあります。
でも、そうなれば帰るところのない董家軍は殲滅されてしまいます。それに、虎牢関に籠った状況で紀霊さんと交渉しようにも伝手は白蓮さんくらいしかありません。
 いえ、白蓮さんならば仲立ちをしてくれるとは思うのですが、虎牢関を盾にしての交渉というのはいかにも悪手です」

「朱里ちゃんの言う通りです。そして紀霊さんは私たちにいい感情を持っていません。交渉は難航するでしょう。
 そして最悪、反董卓連合が私たちの籠る虎牢関を力づくで落としにかかる可能性だってあります。そうなれば結果は言うまでもありません」

苦渋の表情で暗鬱たる未来を語る軍師二人に関羽は黙らざるをえない。
だが、それでは誰も救えないのではないかと目で訴えかける。その視線を真正面から受け止めて北郷一刀は力強く頷く。

「大丈夫だ。なんとかなるさ。虎牢関に籠っても交渉材料には弱い。だったら、もっと凄い交渉材料を、武勲を手にしたらいい」

「ですが、一体、どうやって……」

関羽の疑問に北郷一刀は重々しく口を開く。

「なんとかなると、思う」

そして語る。伏せていた天の国について。自分がいかなる存在かということを。

「俺が桃香と一緒にいるっていうのは、きっと意味があると思うんだ。
 だから、皆の力をこれからも貸してほしい」

皆が笑って暮らせる世の為に、と劉家軍首脳はその団結を新たにするのであった。
378 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/07/09(木) 21:53:57.04 ID:cRY7Feyw0
本日ここまですー感想とかくだしあー

タイトル案は「趨勢」

はい、よさげなのを求めております

「董卓軍、袁本初への強襲を断念して兵を退き、天の御遣い、天の国を語り救済を改めて誓う。」

講談ならこれなんだろうなあ(他力本願寺)
379 :赤ペン [sage saga]:2020/07/11(土) 18:00:24.09 ID:BBVBboHJ0
乙でしたー…一応できれば奉天牙戟について回答願いたい…悲しいなあ
>>374
>>まあ、実にもっともな話ではあるのだが。 好みの話ですが大切な事だから2回言ったなら同じ行にした方が良いかと
あるのだが。
○まあ、実にもっともな話ではあるのだ。  もしくは一回目は否定を入れないか
あるのだが。
○まあ、実にもっともな話ではあるのだが。あるのだが。 まあ間違いと言うほどではないですが
>>376
>>甘寧は最前線で剣を振るいながらそう思う。あの人望は。最前線で兵卒の士気をあそこまで操るのはまるで、と。かつて仕えた孫堅、そして孫策を連想させると。 【そう思う】だと前の文にかかるので
○甘寧は最前線で剣を振るいながらそう呟く。あの人望は。最前線で兵卒の士気をあそこまで操るのはまるで、と。かつて仕えた孫堅、そして孫策を連想させると。 もしくは【嘆息する】とかするか
○甘寧は最前線で剣を振るいながら思う。あの人望は。最前線で兵卒の士気をあそこまで操るのはまるで、と。かつて仕えた孫堅、そして孫策を連想させると。  後の文にかけるならこうですね

ちょっと風呂入ってきます…そのまま飯かな?
380 :赤ペン [sage saga]:2020/07/11(土) 22:16:28.43 ID:BBVBboHJ0
さて続きをば…ああそうだ前スレの685でも奉先については触れてたんですよ(にっこり
>>376
>>一方孫尚香は治まらない。 【気がおさまらない】という意味なら
〇一方孫尚香は収まらない。 【収拾がつかない】となるのでこれですね
>>慌てて付近の兵が陣形が崩れるのも構わず追走する。ここで彼女を喪う訳にはいかないとばかりに。  そりゃそうだよな(納得)だけどそれって孫家軍が「やべえよやべえよ」ってなってるから状況としては尚香ミスってるよね
〇慌てて付近の兵が陣形が崩れるのも構わず追走する。彼女の進む先にこそ勝機があるとばかりに。   寡兵という状況でも引っ張られて勝利を確信できる、みたいな統率力としてはこうかな?
>>「GAAAAAAAAAAAAAA!」  ドラゴンとかならいいんだけど東洋の白虎でこれは…端的に言って好みでない(笑)
〇「牙呀荒昂鳴啼吼!」   使ってる漢字は適当ですが実際に使う場合は3,4つ【が】と【あ】を2つくらいがおすすめかな?【呀荒嗚呼嗚呼】とか【呀嗚嗚呼呼】とかって感じで
>>圧倒的なその立場の違う存在からの咆哮に ちょっと違和感が
〇圧倒的に立場の違うその存在からの咆哮に もしくは【立場の違う圧倒的なその存在からの咆哮に】の方が良いと思います
>>377
>>董卓一派の助命を、という案を摂らなかったのは北郷一刀だ。 【採決】と考えるか【執行】と考えるか…
〇董卓一派の助命を、という案を採らなかったのは北郷一刀だ。 【採用】か…一番楽なのは【取らなかった】だけど

>>「うん、みんな無事でよかった!( ^ω^)・・・ウン!ソウダナ!
>>紀霊さんと交渉しようにも伝手は白蓮さんくらいしかありません。 馬家のお嬢さんがものすごいいい笑顔で自分を指さすよ!よ!(もしもそれをやればほぼ確実に張遼を殺れてそれは本郷たちのおかげだと思うだろうしね!)
>>そして紀霊さんは私たちにいい感情を持っていません。 ご覧ください。本人の目の前で部下の勧誘をしたり厚かましい乞食をしてなお、良い土地に推挙されたり糧食を恵んでもらっておきながらこれですよ
いったいどんなトリックをもってすれば馬超と張遼が一緒に笑って過ごせる未来が来るというのか
ネームドはいないわ、董卓軍の大義名分は微妙だわ…董卓の人柄にひかれて部下になった人たちからすれば洛陽の現状は…ねえ。前回の水関があっさり落とされたことも併せて考えるとむしろよくここまでもったよ
381 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/07/12(日) 21:49:02.11 ID:6q8F18s+0
>>379
赤ペン先生いつもありがとうございますー!

>方天画戟
ですね。これは完全に辞書が悪い(他責)
読み返してもなんかスルーしてましたね。いやあ、申し訳ない。

>ドラゴンとかならいいんだけど東洋の白虎でこれは…端的に言って好みでない(笑)
ほむん。
文字化しない方がええかもしれませんね。これは迷ったんだよなあ。

>ご覧ください。本人の目の前で部下の勧誘をしたり厚かましい乞食をしてなお、良い土地に推挙されたり糧食を恵んでもらっておきながらこれですよ
彼らなら言うという確信がございます。苦労もしてませんしね。

>いったいどんなトリックをもってすれば馬超と張遼が一緒に笑って過ごせる未来が来るというのか
お花畑でキャッキャウフフすればきっとおめめぐるぐるしてみんなしあわせ!

>前回の水関があっさり落とされたことも併せて考えるとむしろよくここまでもったよ
まさに、です。
382 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/07/14(火) 21:30:57.39 ID:HaclHHix0
「おお、効く効く……」

脇腹に当てられた掌からじんわりと熱が伝わってくる。少しずつだが確実に痛みが引いていき、呼吸のたびに激痛が走っていたのがどんどん楽になっていく。極楽極楽生き返るぅ。

「そうか、それはよかった。しかし、無茶をする。下手をしていたら死んでいてもおかしくなかったぞ?」

そう言って文字通り手当てをしてくれているのは華佗である。
普通骨折とか月単位で治癒に時間が必要だと思うんだが、もう一刻もすれば痛みも完全に消えそうである。曰く、【気】のちょっとした応用、だそうである。【気】、半端ないって。そんなんできひんやん普通。
知ってたつもりだったが、実際自分の身で体験すると違うね。すごE。
これは習得に頑張ってもらわんといかんなと冗談混じりに言ったら、凪はえらく深刻な表情で頷いていた。いや、そんなに真に受けられても逆に申し訳ないんだが……。

閑話休題(それはともかく)。
……鳴り響いた銅鑼はどうやら退却の合図だったようで、恋も一瞬の隙を突いて戦場から離脱していた。流石に全力で逃げられると、流石の星でも追撃を諦めないといかんくらいであった。見事な逃げ足である。是非とも見習いたいものだ。
どうやら真正面でがっぷり四つに組んでいた曹家と孫家の軍が相手を潰走させたらしい。あれ、相当に数的不利だったはずなのだが。戦線を維持してくれたらいいか、くらいの割り振りだったのにね。詳細聞けば聞くほど華琳と穏がしゅごい。
もっと言うとシャオが頑張ったのがもっとしゅごいそうなんだが、意味が分からない。流石孫家の血筋ということだろうか。末恐ろしいことこの上ないやね。こわE。

馬家と公孫家は散々に追撃したらしい。流石に白蓮は引き際を心得ていたみたいだが、翠はもう、執念深く深追いしてしたたかに逆撃を喰らったそうな。まあ、想定内ではある。稟ちゃんさんの想定だけどな!

それはさておき、ちょっと心配なのは真桜である。えらい剣幕で俺のとこに来て、顔を見るなり「あほ!」ときたもんだ。それ以来不眠不休で工兵を指揮し自らも攻城兵器の再組立てと調整に奔走しているらしい。いかんよ、きちんと休まんと。と苦言を口にしようとしたんだが。

「……いえ、好きなようにやらせてあげてください。私も真桜の気持ちは分かります」

ここで稟ちゃんさんのインターセプトである。
ほむ?そんなもんかね。
と、首を傾げていたら一通り治療が終わったらしい。

「二、三日もすれば違和感もなくなると思う。思うが、余り無茶はするなよ」

そう言って立ち去る姿はマジイケメンである。野郎、凪に気の応用を教えるのはいいが粉かけたら許さんからな。
そういや、あいつ女の噂聞かないな。どうなってんだろう。

などと小物丸出しの益体もないことを考えていたら音もなく近寄った七乃が耳打ちしてくる。

「そうか、真桜にゃ悪いが攻城兵器の出番はなくなりそうだな」

降伏の使者として張遼自らが訪れたとのことである。
まあ、籠られてもこっちゃ力押しで完勝しちゃうからなあ。妥当な判断だろうて。

◆◆◆
383 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/07/14(火) 21:31:25.32 ID:HaclHHix0
「なんや、恋の本気の一撃喰ろうたて聞いたから死んだかと思たらえらい元気そうやないか」

「ご挨拶だな。まあ、こう見えて不死身なもんでね。あれしきの怪我、どうということはないのさ」

「ふうん。別に強がりってわけやなさそやな。ま、ええわ。
 うちは七面倒くさい口上とかは苦手やさかい、単刀直入に用件を言うで」

まあ、用件自体は予想通りである。無条件降伏と言う奴だ。

「勝ち目があらへんからなあ。これ以上ついてきてくれた兵達を犠牲にするわけにもいかんわ。一か八かの博打にも負けてもうたしなあ」 

せやから、と苦い笑みを浮かべながら言葉を繋ぐ。

「これ以上の抵抗は無意味やろ。月と賈駆っちにもまあ、義理は果たしたわ」

いっそさばさばと、張遼は呟く。そこには深い苦悩の跡が見て取れ、揶揄なぞできようはずもない。

「やからまあ、あんじょう頼むわ」

「おうよ。悪いようにはせん。知らん仲じゃないしな」

「ん、おおきに……」

用は済んだとばかりに去ろうとする俺に、らしくなく弱々しい声が届く。

「なあ、月と賈駆っち。なんとかならんか?」

きっとそれをずっと聞きたかったんだろう。そのために彼女らは必死になっていたんだろうし。だが、その問いに対する答えは決まっている。既に決まっているのだ。

「ならんな」

「……そ、か」

最早、是非もなし。
ただし、このろくでもない事態を引き起こした奴についてはきっちり落とし前をつけてやる。

らしくなく、悄然とした張遼を室に置いたまま室を辞する。そして俺はぎり、と歯を食いしばる。
虎牢関を落としたことに昂揚なんぞ欠片も感じない。最高にくそったれな気分である。

後は、洛陽をどうするかだけだな。

こっからはマジで慎重にいかんと、なあ。
384 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/07/14(火) 21:31:53.06 ID:HaclHHix0
◆◆◆

さて、虎牢関を落としたら次は洛陽なのだが、一旦ここで足踏みである。なんせ董家軍の主力が降伏したんだから、これ以上干戈を交える必要はない。まさかに洛陽に攻め寄せるわけにもいかんからに。
虎牢関を落として一番助かったのは、洛陽とのやり取りにかかる時間が大幅に短縮されたことだ。メイン軍師たる風とのやり取りがスムーズになったのは本当に大きい。これには稟ちゃんさんもにっこりである。
ちなみに使者には毎回張?を派遣している。人材の無駄遣いと言うなかれ。ここのやり取りは本当に重要だから、万が一にも使者が途中でぶっ殺されたり買収されたりするわけにはいかんのである。
これが他の場合であれば何人も色んなルートで書状を送ったりするんだが、張?ならば問題はない。だって多分素で俺より強いしね。それに無論諜報畑だから色んな、俺の知らない機微にも通じているだろうし。うむ、餅は餅屋、である。

「随分と張?君を買ってらっしゃるんですねえ」

「うお!」

気配もなくいきなり耳元でふう、と息を吹きかけつつ囁いてきたのは七乃だ。前張家の当主であり、今も穏然と影響力を持っている。
と思う。
その隠密スキルは大したもんで、ここまで密着されるまでほんと察知できなかった。ガチで。
いや、俺の気配察知スキルが低いという説もあるけどね。

「脅かすなよ。寿命が縮んだかと思ったっての」

「おやおや。おやおやおや?
寿命が縮んだのはこっちですよ?まさかほんとにあの、人中の呂布と遣り合うとは思ってませんでしたからね。
いいですか?二郎さんは、二郎さんが思っている以上に重要人物なんですよ?死なれたら色々と困るんです」

にこにこしながらしなだれかかってその身体の柔らかさを伝えつつ耳をがじり、と齧るという高等テクニックを駆使しながらそんなことを言う。いやほんと、ごめんて。

「いやいや、俺もこんなところで死ぬつもりは全くなかったし。あれはあれで蓋然性があったし」

「ふうん?本気でそういうこと言ってるあたり救われませんねえ。美羽さまなんて、ほん  
 と、どれだけ枕を涙で濡らされたか。それだけでも万死に値しますよ?」

マジか。これは後でご機嫌伺いに行かんといかんなあ。嫌味混じりでもそういうことをきちんと伝えてくれる七乃にはマジ感謝である。流石袁家の諜報を一手に握っていただけのことはある。そういう機微は超一流だね。
いや、そういうのをきっちりしとかんと意外と組織の円滑な運用って難しいのよね。中元歳暮、年末年始の挨拶マジ重要ってなもんである。
とは言え、聞いてくれよ。

「だってさあ、恋を軍で迎え撃ったら見失って本陣への侵入を許したかもしれないじゃん。
 それに、あの子万単位で兵の相手できちゃうからな。常備軍たる袁家の兵卒をそんなとこで使い捨てにはできんて」

徴兵したら揃うってわけじゃあない。時間も金もかけてるのだよ、袁家の兵には。何せ常備軍なんだから。

「六万の兵卒を使い捨てにしてもよかったと思いますけどね。個人的には。
 ま、そこは二郎さんと私の認識の差でしょうね」

「まあ、最悪俺が討死してても袁家勝利は揺るがなかったろうしな。稟ちゃんさんも保証してくれたぞ?」

「ほう。あの女狐がそんなこと言って二郎さんをけしかけたのですか。これはいいこと聞いちゃいましたねー」

「え?俺余計なこと言った?」

「いいええ。そんなことはないですよ?ただ、ですねえ。二郎さんの価値について見解の相違があるというだけです。そうです。この戦いだけであればいいでしょうが、二郎さんがいなくなっちゃったら、結構めんどくさいことになるんですよ?」

ああ、そっか。紀家の跡継ぎとかいないしな。そういや文も顔もか。いや、軽挙妄動しちゃったかもわからんね。

「……分かってなさそうですねえ、その顔だと。ま、いいです。所詮些事ですから、貴重なお時間ですものね。失礼しちゃいました!」

いやいやいや。

「いや、ちょうどいい。呼ぼうと思ってたんだ」

「おや?珍しいですねえ。ああ、戦(いくさ)の後は激しいですもんね。
じゃあ、ちょっと失礼して……」

おもむろに服を脱ぎだそうとするのを慌てて止める。

「違う、違うから!いや、別にそれが嬉しくないってわけじゃあないけど、そうじゃなくて!そうじゃなくってだな!本当に相談したかったんだってばよ!」

こっから先について、な。

一応稟ちゃんさんには確認したし、これから風からの添削も来るとは思うが。やはり謀略と言えば七乃である。にこにことしたままの七乃に、俺が思う所を語ったわけである。
385 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/07/14(火) 21:32:44.96 ID:HaclHHix0
本日ここまですー感想とかくだしあー

題名案は
陥落

です

ええ感じのやつ、オナシャスる
386 :赤ペン [sage saga]:2020/07/16(木) 12:16:57.99 ID:nd/JbgFZ0
乙でしたー
>>382
>>普通骨折とか月単位で治癒に時間が必要だと思うんだが、もう一刻もすれば痛みも完全に消えそうである。 それが分かるとか医学の心得でもあるのか…抗生物質作らなきゃ!
○普通骨折とか月単位で治癒に時間が必要だと思うんだが、もう少しすれば痛みも完全に消えそうである。  もしくは【もう一刻もすれば痛みも完全に消えるそうである。】素人診断するなら時間はふわっと、時間を指定するなら華佗の診察によるものにした方が自然だと思います
>>流石に全力で逃げられると、流石の星でも追撃を諦めないといかんくらいであった。 【流石】が2階続くと違和感が
○恋に全力で逃げられると、流石の星でも追撃を諦めないといかんくらいであった。  もしくは【流石に全力で逃げられると、あの星でも】とかどうでしょう
>>えらい剣幕で俺のとこに来て、顔を見るなり「あほ!」ときたもんだ。      間違いじゃないよ?あくまでも好みの問題で
○えらい剣幕で俺のとこに来て、顔を見るなり「この、どあほう!」ときたもんだ。 むしろ【こん……ドあほう!】とかの方が雰囲気出るかな?

>>「六万の兵卒を使い捨てにしてもよかったと思いますけどね。個人的には。 あぁ〜重い愛が心地よいんじゃあ…実はこれって下手したら6万が無駄死にして失敗する可能性があってなお言ってるよね…基本的に美羽様以外は自分も含めてみな平等に無価値と見てそうな彼女が二郎のことは美羽様の次あたりにおいてそうな良き描写でございました
一応ここからでもどちらかだけなら助ける道はあるんだけど…それしても助けられた方は救われないんだよなあ
両方を救う道はすごい無理をするしその後で一体どれだけの血が流れるかを思うと…二郎ちゃんは選ばないんだろうなあ

そういえば思ったんだけど二郎ちゃんを凡将呼ばわりしていいか微妙になったよね…少なくとも呂布に戦いを挑もうとするだけでネジ外れてるわ
そして分かってないんだろうけど君が呂布に打ち取られて、かつ呂布が君の遺体を持ち帰らなかった場合降伏の受け入れは…
387 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/07/16(木) 20:37:18.73 ID:54pRcYUb0
>>386
赤ペン先生いつもありがとうございますー!

>あぁ〜重い愛が心地よいんじゃあ…
えへへ

>実はこれって下手したら6万が無駄死にして失敗する可能性があってなお言ってるよね…
これはその通りですね

>基本的に美羽様以外は自分も含めてみな平等に無価値と見てそうな彼女が二郎のことは美羽様の次あたりにおいてそうな良き描写でございました
貴重な?七乃さんのデレでございました。七乃さんが自覚してるかどうかは、どうなんでしょねw

>一応ここからでもどちらかだけなら助ける道はあるんだけど…それしても助けられた方は救われないんだよなあ
ほむ。どちらも覚悟完了してますからねえ。

>両方を救う道はすごい無理をするしその後で一体どれだけの血が流れるかを思うと…二郎ちゃんは選ばないんだろうなあ
おとぎ話の主人公なら、それでも両方救うのでしょうけどね。凡人だからね。ある意味諦めてますからね。

>そういえば思ったんだけど二郎ちゃんを凡将呼ばわりしていいか微妙になったよね…少なくとも呂布に戦いを挑もうとするだけでネジ外れてるわ
関羽とやり合ったり、呂布と弓比べしてるから(記憶曖昧)セーフ?

>そして分かってないんだろうけど君が呂布に打ち取られて、かつ呂布が君の遺体を持ち帰らなかった場合降伏の受け入れは…
こわや、こわや……っ!
388 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/07/17(金) 07:28:17.89 ID:HQeadq550
てすと
張?
389 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/07/17(金) 07:28:43.85 ID:HQeadq550
てすと
張郃
390 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/07/17(金) 07:46:21.14 ID:HQeadq550
「おや、虎牢関が落ちましたか。予想より早かったですねえ。
 しかし、二郎さん自ら矛を交えるというのはいただけません〜。これ、誰もお止めしなかったのですか?」

小首を傾げる少女の表情は眠たげであり注意力散漫といった風ではあるが、それは擬態であろうと張郃は推測している。
なんとなれば目前の少女――程立――は単身洛陽に残り、後方より董家軍に有形無形の被害を与え続けていたのだから。まあ、その功績はごくごく限られた人物しか知ることはないであろうが。

「ふむ。紀家当主の強い意向とのことだったな。それに文、顔の当主までが賛同したならば否やはないだろう」

反対意見も根強くあったが、押し切られたというのが実際のところだと張郃は答える。

「それでは致し方ありませんね〜。まあ、それは置いておきましょう」

そのような綱渡りをさせたのは自分にも責任があると程立は追及の手を緩める。内心忸怩たる思いはあるのだが、毛ほどにも顔には出さない。

「それでは参りましょう。護衛の方はお願いしますね?」

「ふむ。それは一向に構わんが……」

この期に及んで誰と会うのだという視線での問いにくふふ、と程立は笑う。

「今日は忙しいですよ〜。まずは賈駆さんのところですねえ。それからはまあ。その後に決めましょうか〜」

ふむ、と張郃は頷く。

「もとより異存はない。虎穴に入ったとしても、君一人くらいならばなんとでもしてみせよう」

「これは心強いですねえ。そのような事態は起こらないとは思いますが、その時はお願いします〜」

にこやかに笑う程立。その胆力を目にして、張郃も感嘆の念を惜しまない。
そこいらの自称武人よりもよほど腹が据わっている。

「いえいえ、風は出が庶人ですから〜。この程度は鉄火場とは言えません〜」

頼りになる護衛もいますしね、と柔らかな笑みを浮かべて言う。

「そう言えば二郎さんと初めてお会いしたのも野盗に襲われて万事休す、という時だったのですよ。ええ。あの頃は毎日が生きるか死ぬかでしたねえ」

程立は刹那どこか遠くを見るような目つきをする。

「ふむ。鉄火場にて狼狽されるよりは余程いいな。では、参ろうか」

彼らが向かう先は紛れもなく戦場。血の一滴流れることもない戦場。だが、その結果いかんでは屍山血河が生じるであろう。

「はいはい、よろしくなのですよ〜」

そのような気負いなぞ一切なく程立は含み笑いを一つ漏らすのみであった。

◆◆◆
391 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/07/17(金) 07:46:47.29 ID:HQeadq550
「……そう、虎牢関が落ちたの」

賈駆は嘆息する。伝令より早くもたらされたその悲報。それが意味するところを解さないほど鈍ってはいない。

「どれだけ袁家の諜報力は凄いのよ。まあ、今更だけどね。虎牢関失陥については今初めて聞いたわよボクは」

その一言でも千金の価値がある。どうやら賈駆はここに至って情報を出し惜しみするつもりはないようである。

「ではでは、単刀直入にいきましょかね〜。
 董卓さんはご無事ですか〜?」

その言葉に賈駆は僅かに身を震わせながら首を横に振る。

ふむ、とばかりに程立は数瞬瞑目する。
双眸には深く隈が刻まれ、疲労の色がいかに濃くあろうとも賈駆の能力については高く評価しているのだ。
その彼女が、執金吾――洛陽の治安を司る役職である――の権限をもってしてもその足跡が掴めぬというのはどういうことかと。
そして、至る。

「――さて、かしこき方についても?」

その言葉に賈駆はバリ、と頭を掻きむしる。緑の黒髪が乱れるのを惜しいな、とあの青年ならば思うのであろうか。益体もないことを程立は思う。

「――初手でやられたわ。禁軍は皇甫嵩の手の内。禁裏にボクの手は及ばない」

「結構。ではこれにて失礼するのですよ〜」

用は済んだとばかりに程立は室を辞そうとする。

「待って!」

「……何か?」

その、程立の問いに賈駆は口ごもる。

「え、その。ね。あの……」

いっそ優しい貌で程立は応える。

「後はお任せくださいな。ええ、後始末はきっちりと。それはもうきっちりと致しますから。
 ――二郎さんと、お会いする機会も作りましょうからに」

賈駆は瞠目し、しばし言葉を失う。そして辛うじて言葉を捻りだす。

「月を、よろしく。そして。
――二郎にも、よろしく伝えてちょうだい」

にこり、と無言で程立は踵を返す。ここからは時は千金に値するのだ。寸暇も無駄にできない。

「やれやれ、厄介なことなのですよ」

だがまあ、と思う。洛陽に踏みとどまっていたのは無駄ではなかったと。
矢継ぎ早に指示を出すそんな程立に張郃は無言で付き従う。寄り添う影のごとく。
392 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/07/17(金) 07:47:28.63 ID:HQeadq550
◆◆◆

「なんと、虎牢関がもう陥落したというのか」

嘆息交じりに劉協は瞑目する。西の函谷関と並び称され、天下に鳴り響いた要害がこうもあっさりと落とされるものかと。

「まあ、それは気にせぬがよいでしょう。なにせ守護するのが董家軍。かの軍は騎馬を以って敵を討つが本領です。もとより拠点の防御については不得手極まる」

相性が致命的に悪かったと皇甫嵩は首を振る。
彼の後ろに控える王允と李儒は身じろぎひとつせずに皇甫嵩と劉協のやり取りを注視している。
今や賈駆がなりふり構わずただ董卓の行方を追うことに全力を尽くしている現状、洛陽に於いて漢朝を動かしているのはこの二人である。政務を劉協が、治安や軍事――と言っても洛陽に限られるが――を皇甫嵩が担っている。
お世辞にも大過なく運営しているとは言い難いが、それでもいいというのが両者の共通した認識である。あくまで董卓が相国として全権を担っている。暴政ならば董卓の責任、うまく回ったら自分たちの尽力の成果ということだ。

「しかし、袁家の怒りは予想以上のようでした」

いささか芝居がかった仕草で皇甫嵩は肩をすくめる。

「む。まあ、無理もないか。当主自らが身の危険を感じての逃避行。聞けばあの豪奢な髪をも自ら切り捨てたとか。いや、もったいないことだ」

劉協はかつて見かけた袁紹の、光輝を背負うが如くに輝いていたその容貌を思い出して惜しむ。

「それだけではありません。董卓の手の者が袁紹殿の逗留地を襲った際に、かの匈奴大戦よりの古参の宿将雷薄、更には袁家の幹部候補生が多数討死しております。
あれは、いかにもまずかった」

せめて、やるならばきっちりと袁紹の首級を上げないと。それができないからこうなる。皇甫嵩は刹那その秀麗な顔を歪めるが、気を取り直して言葉を続ける。

「そう、袁家は本気です。勅すら無視するほどに」

「うむ、そのことよ。何進より事前に密勅があったというが真だろうか」

劉協は懸念を口にする。切り札の一つであった勅命。それをすら袁家はものともしない。勅を以って勅を制するなぞ埒外にもほどがある。

「……なんとも言えないですね。ただ、先ほど程立という人物と話しました。かの怨将軍紀霊の腹心です。何とも読めない人物でしたが……」

茫洋と、掴みどころのないその言動には流石の皇甫嵩もその真意を掴むのは容易ではなかった。無論それは意図的なものだ。
こと鉄火場修羅場をくぐるという意味において、程立の経験は皇甫嵩を遥かに凌ぐ。火花が散るようなその戦場での一挙手一投足に至るまで細心の計算に基づくものである。例え傍目にはいささか呑気な小娘に見えようとも。
その程立をして最大の警戒を抱かせる皇甫嵩こそ傑物であったろう。失意のどん底にある賈駆から情報を吸い出して尚、傍らに張郃を控えさせていたのは故あってのことなのだ。
けして程立は相手を甘く見ない。俯瞰し太極から見据えるのが彼女の本領だからして。

「ある程度の流血はやむを得ないでしょうね」

その言に胡乱げに劉協は問う。

「いささか抽象的だな。袁家は何を求めている?まさか帝位なぞということはなかろうな」

「袁家は北方の防壁にして漢朝の藩屏。そこは揺るぎませんよ。ただ、袁術殿が輿入れする以上、帝位は……」

「劉弁のものとなる、か」

苦さを隠そうともせずに劉弁は口惜しそうに嘆く。あの惰弱、無能、無気力の凡人に帝位を、至尊の座を再び与えねばならないのか、と。

「ですが、劉協様におかれましては陳留王の地位を用意する準備があるとのことでした」

隠居隠遁の必要もなしということである。むしろ、これからも漢朝に影響力を保てるということ。

「ふむ、中々に殊勝ではないか。いや、漢朝の行く末を見れば当然の判断か……」

つい先ほどまでは偽帝として討たれる可能性すらあった劉協は安堵する。なかなか袁家も分かっているではないか、と。

「ええ。ですがここは一度お姿を隠すべきかと思います。邪知暴虐の董卓とは無関係であるということを示すためにも。あれと一連托生する気はないのでしょう?」

可笑しげに、唄うような皇甫嵩の言に内心苦々しいものを感じながらも劉協は頷く。

「そう、だな。一時の雌伏。致し方あるまいて」

返り咲く際には、と劉協は思いを巡らす。

なに、宮中は如何様にもなる。宦官勢力は曹操が押さえるのであろうが、それはきっと袁家の掣肘により大幅に打撃を受けるだろう。
ならば、地力に勝るであろう自分が主導権を握ることができるはずだ。

同床異夢。ほぼ同じ思惑を抱いているのを知ってか知らずか。皇甫嵩と劉協は比較的穏やかにその場を後にするのであった。
393 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/07/17(金) 07:48:03.59 ID:HQeadq550
本日ここまですー感想とかくだしあー

タイトル案は「波紋」です

ええ感じのやついただけたら嬉しいんやなって
394 :赤ペン [sage saga]:2020/07/18(土) 12:19:08.89 ID:0mmXyFUK0
乙でしたー
>>392
>>せめて、やるならばきっちりと袁紹の首級を上げないと。それができないからこうなる。                    前の言葉からすると
○せめて、やるならばきっちりと袁紹の首級を上げないと。それができないならば次に繋げるための布石にするべきだ。それすらできないからこうなる。 雷簿の死やら何やら…生け捕りにしてればまだ交渉材料になったのに…(なお覚悟完了の死兵…机上の空論ってやつだな
>>俯瞰し太極から見据えるのが彼女の本領だからして。    間違いではないですが好みとしては
○俯瞰し太極から見据えることこそが彼女の本領だからして。 とかどうでしょう

>>貴重な?七乃さんのデレでございました。七乃さんが自覚してるかどうかは、どうなんでしょねw
つ【袁家二の姫と女郎蜘蛛】 彼女はきっちりと二郎が自分にとって特別だと気付いていますですよ
>>関羽とやり合ったり、呂布と弓比べしてるから(記憶曖昧)セーフ?
水木しげるとか手塚治虫とか羽生善治とか織田信長とか徳川家康とかに転生した一般人が本人と同じことをできても中身は凡人認定するかっていうと…しないんじゃないかなあ?
>>茫洋と、掴みどころのないその言動には流石の皇甫嵩もその真意を掴むのは容易ではなかった。
真意を掴むのは容易ではなかった(掴めたものは真意とは言っていない)ですかね…見ているものが違い過ぎる凡人の考えを知らない以上彼女の目指すものを読み取るのは無理な気がする
李儒はともかく王允の立場がよく分からんな…ここまで知って良いというか知るべき立場なのか…能力があるのは分かるけどそれはそれとしてクーデターまがいのことに積極的に与する程権力好きって印象もないし首脳陣には組み込まれてないと思ってたけど違ったのか
395 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/07/20(月) 00:00:03.99 ID:8CW2ywaU0
otuです
一刀たちにはぜひ空気読まずにばっちょさんに袁家へのとりなしをお願いしてもらいたいのだが・・・董卓たちを救うために
396 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/07/20(月) 06:28:58.53 ID:A34dce7M0
>>394
赤ペン先生いつもありがとうございますー!

>雷簿の死やら何やら…生け捕りにしてればまだ交渉材料になったのに…(なお覚悟完了の死兵…机上の空論ってやつだな
これはマジでそうです。

>水木しげるとか手塚治虫とか羽生善治とか織田信長とか徳川家康とかに転生した一般人が本人と同じことをできても
たとえがすごいw
熱帯で妖怪見たり、医学部入ったりとかむーりー
敦盛踊れないし三河武士の頭領とかやってられないしw

>李儒はともかく王允の立場がよく分からんな…
元から皇甫嵩の手飼いという設定、確かに解説していなかった気もします。どっかで付け加えておくか。

>>395
どもです。

>一刀たちにはぜひ空気読まずにばっちょさんに袁家へのとりなしをお願いしてもらいたいのだが・・・董卓たちを救うために
え?!よりによって馬家に?
多分翠の政治力のアカンさを幼女が察してインターセプトするんじゃないかなあ……っ!
あえての突撃も面白そうではありますね
397 :赤ペン [sage saga]:2020/07/20(月) 14:03:18.33 ID:8CW2ywaU0
まあ手飼いだろうな、とは思ってたけどこういう場に連れ込むほどだったのか…とね
皇甫嵩って自分の頭の良さに自信持ってそうだからいざと言うときの護衛役はいてもこういう時の相談役みたいなポジションがいるのが意外だわ
水木さんとかが無理ならあれだ…ピース又吉で。転生得点に彼の書いた作品を完全記憶で
398 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/07/20(月) 22:25:35.98 ID:A34dce7M0
>>397
どもです。

>まあ手飼いだろうな、とは思ってたけどこういう場に連れ込むほどだったのか…とね
どちらかというと、何進はそれでもそれを重用しないといけなかったという。
うーーん、でも実務というよりつながりですかねえ

>相談役みたいなポジションがいるのが意外だわ
そういう感じではないっすね
おっしゃるとおりです
使い捨てのコマですわ

>水木さんとかが無理ならあれだ…ピース又吉で。転生得点に彼の書いた作品を完全記憶で
勘弁してくだしあw
399 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/07/20(月) 22:54:49.98 ID:A34dce7M0
「しかしまあなんだね。陳留王とはまた張り込んだねえ」

むしゃむしゃと茶菓子を頬張りながら魯粛は程立に問う。陳留王は権威がありすぎるのではないかと。なんとなれば国政に口を出すことを認めたも同然であるのだ。

「そですか?妥当なところだと思うのですが〜」

くふふ、と陽だまりのような笑みを漏らしながら程立は応える。

「劉協どのを陳留王として封じる。これにより袁家が洛陽に兵を進めても至尊の座に座る彼は命脈を保つことが出来ます。彼が一番懸念していることはまあ、言ってみれば保身に尽きますから〜。これに否やはないでしょねえ」

「そこだよ。紀霊さんにしては甘っちょろいんじゃない?」

どこか不満げに魯粛は程立にぼやく。魯粛としては地味な後方支援に徹しながら期待していたのだ。苛烈なまでの、怨将軍たる紀霊が本気になって動いた時の酷烈さを。かつて郭図率いる義勇軍を貶め、殲滅せしめたように。洛陽の奥底に潜む汚泥をきっと焼き払うと思っていたのだが。その一端を担っていたのは魯粛ではあるし、だからこそ洛陽に派遣されていたと思っていたのである。

「とりあえずは慎重にいかないといけないのですよ。洛陽を火の海にするわけにもいきませんしねえ」

やけに主君たるあの青年は洛陽が戦禍に巻き込まれるのを気にしていた。防ごうとしていた。ならばそれに至る可能性を排除するべし。

「ああ、ちらっと聞いたよ。洛陽を焦土として諸侯軍の消耗を図る。更には長安に遷都するって与太話でしょ?正気の沙汰とは思えないね」

やれやれとばかりに魯粛はそれを一笑に付す。

「まあ、正気の沙汰かどうかはさておき、なんとも嫌な一手ではありますね。無論前提として、玉体を手にしていないと意味はないのですが」

それもそうかと魯粛は頷く。故に劉協との交渉はこの上なく重要だったのだろう。そして禁軍を掌握する皇甫嵩とも。

「まあ、よかったんじゃない?禁軍は諸侯軍の進駐に対して無血開城するんでしょ?」

「ええ。どだい、正面から禁軍単独では袁家軍単独にすら勝ち目はありません。ですが流石に洛陽を袁家の手で攻め寄せるのはいかにも世間体が悪いですからねえ」

「あれ?勝てばよかろうなのだじゃなかったっけ?」
400 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/07/20(月) 22:55:31.47 ID:A34dce7M0
袁家鉄の掟的なものを思い起こして問いただす魯粛に程立は苦笑して返答する。

「いえいえ、ここに至って勝つのは当然なのですよ。そして当代の袁家当主からは勝ち方についてもご指定頂いていますしね〜」

華麗とか優雅とか雄々しくとか。まあ、勝ち方を気にすることが許されるほど余裕がある、ということでもあろう。

「とすれば洛陽を灰塵に帰するわけにはいきませんしね」

くふふ、と笑う程立。そこを混乱に叩き落としておきながらどの口が言うのだろうか。脱力しながらも魯粛は更に問う。

「でもさ、皇甫嵩にしても劉協にしても傑物なんでしょ?まあ、そんなのが本気で抗戦するよりは取り込む方がいいってのも分かるんだけどさ。実際今の朝廷を牛耳ってる人らでしょ?
普通に考えて獅子身中の虫になんない?」

魯粛の問いにごもっともとばかりに程立は深く頷く。

「いやいや、魯粛さんのおっしゃる通りなのですね。ですが、それはそれで悪くありません。意外と袁家の戦略には合致しやしませんか?」

は思考を広げる。なんとなれば、離れてなお、袁家を引っ張るあの青年の軍師は自分であるのだから、との矜持とともに。
401 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/07/20(月) 22:55:58.94 ID:A34dce7M0
はあ?と魯粛は反射的に返すが、刹那考えてぐぬぬ、と唸った。

「なるほどねえ。そういや紀霊さんの戦略というか方針は三竦みだっけか。当初の目論みでは何進、清流派、そして宦官を率いる曹操さん。それが今回の件で変わったと。何進の位置に劉協殿。それに対して清流派、曹操さんの立ち位置は変わらずかあ。なるほどね。
ぶれないんだね、紀霊さんの戦略って」

なるほどと魯粛が頷く。揺るがぬその方針。それは簡にして単。故に強固。それが察知されても揺るがぬその重厚さよ。

「まあ、今回の乱で曹操さんの権力基盤になるだろう宦官勢力には掣肘が加わるか。となると、ちょっと三つ巴にするには宦官が弱くない?」

その言ごもっとも。しかし、と程立は苦笑する。

「傍目にはそうなのですがね。如何せん曹操さん、そして側近の力を加味すれば、それでも削り足りないのじゃないかと思ってらっしゃるみたいですよ」

「ふうん。私は曹操さんと会ったことないからよくわかんないんだけど、そりゃ厄介だねえ。
でもさ、ちょっと思ったんだけどね。曹操さんの優秀さを置いといたらさ、普通に考えて清流派と劉協さんに組まれたら結構厄介じゃないの?」

「まあ、そこでこれまでの布石が活きてくるのですよ。幾度も上洛して漢朝を欲しいままにする機会あれども袁家は北方の護りに専念してきました。もはや中央に対する権勢欲なぞないと認識されています。
つまり」

董卓亡き後の洛陽、ひいては漢朝は文字通り三つ巴に混沌とするであろう。いやさ、なんとなれば曹操がいない今こそが次の漢朝を手にする好機。
漢朝という極上の餌を前に、清流派を率いる皇甫嵩と劉協が手を取りあえるものだろうか。

「二虎、相喰らう、ってこと?」

にまり、とした程立の貌に魯粛は苦笑する。

「そっか、そうだよね。そうなってもいいし、三つ巴になってもいい。前提が違うんだ。もう、違っちゃったんだね。袁術様が入内される宮中をそのままに放置するわけがない。その嚆矢でもある、か」

そう。袁家は確かに武門。だがその、二の姫が入内するにあたり権力闘争に無関心ではいられないであろう。そしてそこには張勲が傍らにいるのだ。

「ああ、なるほどねえ。袁家はこれまで通り我関せずと思わせておいて後宮に鬼札を潜ませる、か。いやあ、程立さんも悪だねえ」

「いえいえ、それほどでもないのですよ」

袁家の外において張勲という政治的化け物の真価を察していたのは、水面下で暗闘を繰り広げていた何進くらいのものだろう。李儒ですら怪しい。

「まあ、どう転んでもいいようにするのが風達のお仕事ですので〜」

その言葉を合図にやれやれとばかりに魯粛は重い腰を上げる。これからはまた、洛陽に集まり配分される物流を混乱させる簡単なお仕事が待っている。
正直気が滅入るその仕事についても、お役御免となるのは近いうちであろうが。

室を辞した魯粛を見送り、程立は顔を引き締める。

「あれで、身内に厳しい方ですからねえ、二郎さんは」

いっそ董卓一派を無罪放免するくらいに公私混同するのならばよかったのだが。
師匠筋の薫陶よろしくむしろ身内には厳しい処断を下すであろう。それはいい。
それはいいのだが。

「あれで、情に脆い方ですからねえ……」

どうせならば情に棹差して流されればいいのにと程立はくしゃり、と顔を顰める。
きっと余計なものを背負ってしまうのだろうなあと思うのである。

「或いはお側に侍っていた方がよかったでしょうか……」

あれで繊細なところもあるのだ。あの青年は苦悩するだろう。だがまあ、致し方なし。何事も万全で挑めることはないのである。

だから、責は果たした。洛陽進駐に於いて禁軍との武力衝突は避けられた。謀略の種も仕込んでいる。できることはしたはずだ。役割は果たしたはずだ。

それでも内心穏やかでないというのは。

「これが、心の贅肉というやつなのですかねえ」

やれやれ、と程立は肩をすくめる。どうにも仕える主に入れ込み過ぎているのかな、という自問と共に。
そしてその、自らの思いすら秤に乗せて程立
402 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/07/20(月) 22:57:06.73 ID:A34dce7M0
そしてその、自らの思いすら秤に乗せて程立は思考を広げる。なんとなれば、離れてなお、袁家を引っ張るあの青年の軍師は自分であるのだから、との矜持とともに。
403 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/07/20(月) 22:57:55.31 ID:A34dce7M0
最後ちょっとミスりましたが本日ここまですー感想とかくだしあー

題名募集しまくりんぐですよ本当に!

「黒幕会議」

そこまで黒幕かなあ
404 :赤ペン [sage saga]:2020/07/21(火) 11:49:26.51 ID:rqiELf7R0
乙でしたー
>>400
>>は思考を広げる。なんとなれば、離れてなお、袁家を引っ張るあの青年の軍師は自分   誰だお前?
○程立は思考を広げる。なんとなれば、離れてなお、袁家を引っ張るあの青年の軍師は自分 まあ筆頭軍師なら彼女か
>>401
>>幾度も上洛して漢朝を欲しいままにする機会あれども これが来ちゃったかあ…難しい解説はググってもらうとして
○幾度も上洛して漢朝を縦にする機会あれども     ホシイママの書き方は一般的には【恣】(好き勝手に、ぞんざいに)【縦】(したい放題、勝手気ままに)【擅】【独り占め、自分勝手に】の意味を含むので一番近いのは【縦】かなあ?
○幾度も上洛して漢朝を思う儘にする機会あれども   そのものずばり《思った通りに》な感じで、もしくは【漢朝を思うがままにする】こっちはより独善性と言うか意味としては【(自分の正しいと)思うがままに】な感じですね

いっそ公私混同して、どうせなら情に流されて、と言う考え方が良いですね〜二郎ちゃんは本当にもっと恣にしても周りがどうにかしてくれるのよ?(それによってどれだけ多くの外側の一般人が切り捨てられるかを気にしなければ)
ぶっちゃけ背負い込み過ぎだよね、まあ二郎ちゃんとしてはどっちかと言うと殺すことで背負い込みたくないから生かす道を模索してるのかもしれんけど
そう考えると背負い込むというよりは囲い込むの方が近いか?沢山の人たちで手を繋いだ中で更に沢山の人を庇護しているというか…
405 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/07/22(水) 05:42:26.68 ID:AAQSJSuG0
>>404
赤ペン先生いつもありがとうございますー!

>二郎ちゃんは本当にもっと恣にしても周りがどうにかしてくれるのよ?
二郎ちゃん、愛されてますからねえ
知らぬは本人ばかりなり。なお知ったらもっと苦しむ模様

>ぶっちゃけ背負い込み過ぎだよね
これは正直そうですね。もっとお気楽に生きてもいいのに。
どの口がいうかというのは置いといて。。。
主人公してくれてます。
406 :赤ペン [sage saga]:2020/07/22(水) 11:37:51.39 ID:F8MZ8cvZ0
補足説明でもしとこうかな
【ほしいまま】が【欲しい儘】じゃない理由…なおこの説明は私の個人的意見によるものであり文部科学省その他による公式解答ではありません

例文として【パイを欲しいままにする】…食えよ。となります【欲しい】なら自分のものにすればいい
でも実際には【ほしいまま】は自分の好きなようにする、と言う意味が強く(もちろん独り占めにする意味合もありますが)【自分の物にする】と言うよりは【自分の物のように扱う】感じがするので【欲しい儘】だと意味がずれるんですね

で、【恣】は下心があるので【思い通りに、我儘勝手に】が強く出ます、また上の【次】は【欠】が屈んだ人、【二】が揃えるを意味するので【座ったまま部屋を片付けるようなぞんざいな】意味があります
【縦】は糸偏に従うで糸をのばすこと、ひいては伸ばす方向を決める意味も含み【追従させる】形になり【多くのものを】が強く出ます
【擅】は手偏があるので【自分の手で】ひいては【自分だけで、独り善がり】が強く出ます

ただメンドクサイのでそれぞれの持つニュアンスをそのまま抜き取って別の言葉に置き換えた方が楽です
きちんと文字の意味を理解したうえで使えば文章としての奥行とか厚みが出ますが…とりあえず例文でお茶を濁して終わります

董卓は洛陽を恣にする悪魔だ。……好き勝手、ぞんざいに扱う場合。感覚的には無駄遣いしてるニュアンスですかね
何進は漢朝を縦にする悪魔だ。……7好き放題、思い通りに扱う場合。感覚的にはワンマン社長とかの引っ張ってるイメージですね。大体助長になりますが
富も名声も擅にした天下の怨将軍だ。……一人で自由に、独占する場合。まあもう少し小さい範囲でまとめて【麻薬の流通を擅にするギャングのボス】とかでも良いのかな…他二つよりも使い勝手が悪いイメージ
407 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/07/25(土) 21:19:45.42 ID:mnDPLlQC0
>>406
あうあうあうあうあー

非常に繊細なご指摘感謝とともに、あれなんです。
今回のご指摘でちょっと気付いてしまったことがございまして。
ここだけの話ですが、凡将伝では一部システム的なアレがアレする登場人物がいらっしゃいます。

まあ、CPB(カリスマピーチビーム)とか一刀さんとかは優遇枠ですのですが。

他にメタ的視点とか持ってるのは韓浩と風ちゃんでしたのです。
まあ、どっちも微細なものでしたが。

これ風ちゃんは周回プレイしてますね。
なるほど、本来星ちゃんも稟ちゃんさんも二郎ちゃんとこに来ない予定でしたもん。
そらそうですよね。あの三人まとめて登用とか、ね。

ということになりまして。
納得しました。風ちゃん、頑張ってるんやなって。
幾つものバッドエンドを、なんとなく認識してはるんやろうね。

ということになりそうです。

これは本当に赤ペン先生のご指摘から派生いたしました。

ああ、風ちゃんが手腕を発揮してしまうw
408 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/07/25(土) 22:48:14.44 ID:3wo2Zapc0
それって前回の周回の時(多分曹操に仕えた)に「この人の下はもういいかな」ってなったってこと?…ブラックだったんやな
409 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/07/26(日) 06:11:28.32 ID:6IY1Gbmq0
>>408
どっちかっていうと、他の周回に二郎ちゃんいないんで
「お、特異点かな?ついてったろ」
くらいの軽いノリじゃないかと
410 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/07/27(月) 22:05:48.70 ID:z2f4tQkH0
虎牢関を落とした後、反董卓連合は一度その軍勢を集結させていた。
その大軍を虎牢関に収容しきることはできず、洛陽まであと二日ほどという地点に拠点を築いている。圧倒的な戦力を背景に無言の圧力を洛陽に加えているが、なぜ攻め寄せないのかという不満が諸侯軍からは寄せられている。
その不満は諸侯軍がこれといった武勲を挙げていないということの裏返しである。
董家軍は中華でも屈指の強さを誇る軍勢であるというのは共通認識であり、そのような精強な軍団に手持ちの、さほど練度も高くなく数も多いとはいえない軍勢をぶつけるのに躊躇していたからこそ活躍の機会がなかったのである。
無論諸侯もそれを理解しているのだが。いや、だからこそ残されているであろう、武勲を立てる機会に群がろうとしているわけである。

「つか、ある意味、皆暇を持て余しているってことだよなあ」

誰にともなく呟いたその言葉に関羽は柳眉を逆立てる。

「ご冗談でもそういうことを口になさらないでください。我らはあくまで後ろ盾すらない義勇軍。つけ入るすきをご主人様自ら作られてどうするのですか」

その言葉に北郷一刀は苦笑する。

「いや、ごめんよ愛紗。そういうつもりはなかったんだ」

そして内心感謝する。
何かと口うるさい彼女がそれでも付き従うのは万が一のことに備えてのこと。常在戦場とはよく言ったもので、彼女は常にその凛とした態度を崩すことはない。
むしろ、もっと楽にしてくれてもいいのになあ、と北郷一刀は思うのである。

「翠のとこに行くんだからそんなに気を張らないでもいいんじゃないの?」

馬家軍は反董卓連合においても有数の武家である。その武力は質も量も袁家をして一目も二目もおかざるを得ないほど。その馬家の本陣に向かうのだから、そんなに気を張る必要はないのに、と。

「いえ、だからこそお傍を離れるわけにはいきません」

その、いかにも暢気で、器の大きさを感じさせる言に関羽は首を横に振る。なんとなれば所詮自分たちは義勇軍。
有象無象を束ねている存在である。軽んじられるのは慣れているが、思う所がないわけではない。武門の名家である馬家が相手ならばなおさらのことだ。

舐められて、たまるか。

関羽の心境はこれにつきるのである。

◆◆◆
411 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/07/27(月) 22:06:17.20 ID:z2f4tQkH0
「ああ、一刀か。久しいな。うん」

北郷一刀は馬超のその言葉に、その様子に内心ため息を大きく吐く。
だって。もっと、もっと。
この子は元気で、全身でその清冽な気を発していたのに。見ていられない。見ていられないほどに鬱屈としているのだ、あの錦馬超が。
だからこんなことを言う。

「翠、翠だよな?」

「は?あたしはあたしだ。何を言ってんだよ一刀」

その声も弱々しく感じる。北郷一刀の知る馬超ならば、そのような妄言あれば刹那の間もなく鉄拳制裁が来たはずなのだ。だから、らしくない。後ろに控える関羽すら違和感を覚えるほどである。

「無理するなよ」

そして張りつめていた糸はその一言で崩壊する。

「は?あたしがなにを無理してるって?なに?あたしのなにを知ってるのさ。何でそんなことを言うのさ。
 いい加減なことを言うのだったら、一刀と言えどただじゃおかないぞ……?」

湧き起こる殺気は本気のもの。無言を貫いていた関羽が主を庇うべく前に出ようとするのを制して北郷一刀は言い募る。

「分かりはしない。
 でもな。
 翠がそんなんで馬騰さんが喜ぶのかな?」

その言葉に、名前に馬超は激昂する。

「ち、父上のことを!言うな!何も知らないくせに!」

反射的に出た槍を関羽が弾く。
それに一層激昂して言い募る。

「父上が、死んだんだぞ!あの父上が!それでなんの馬家軍だよ!
まだ、もっと!教えてほしいことがたくさんあった!あたしが馬家を継ぐに値するだけの武を持っているって、伝えたかった!全部、伝えられなかった!」

力任せの連撃。関羽は苦虫を噛み潰したような貌でそれを弾いていく。

「それでも、翠は今、生きているだろ!馬騰さんが今の翠を見てどう思うか考えろよ!
 そんな翠、見てられないよ。なあ。翠……」

「なんだよ!なんなんだよ一刀!お前は一体なんなんだよ!」

手にした愛槍――銀閃を取り落して馬超はこれまで抑え込んでいた悲嘆を吹き出す。
嗚咽を漏らす。
その馬超に、北郷一刀は優しく声をかける。

「なあ、翠。馬騰さんは凄い人だった。俺なんかが言っても説得力がないと思うけどさ。
 そんな俺でも分かるくらいに馬騰さんは凄かった」

その言葉に馬超はこくり、と頷く。

「だからさ、翠。馬騰さんの死にざま、ちゃんと、さ」

思えば、敬愛する父の死にざまを知っていなかったのだと馬超は愕然とする。

「そ、そりゃそうだけど……。でも、張遼は絶対に許さないからな!」

その、抗う声に北郷一刀は苦笑する。そんなこと一言も言っていないのに、と。

「いや、まあ、なんだ。話は聞こうよ、な?」

馬騰さんの最期を看取ったに違いないからさ、という言に馬超は無言で頷く。
暫しの沈黙。そして。
伝えられる言葉。最期の言葉。
412 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/07/27(月) 22:08:21.59 ID:z2f4tQkH0
◆◆◆

「一刀、済まなかったな」

詫びる言葉。歩み寄りの言葉。
いくらか湿り気のある言葉。

「いや、いいんだ。それより、よかったな。霞と翠が仲直りできて、さ」

……一触即発、紆余曲折あったものの、馬超の、張遼との面会は最上の結果であったと言っていいだろう。

「お蔭で、父上の言葉を聞けた。そりゃ、さ。霞には思う所がないわけじゃない。でも、一刀が言った通り、父上はきっとそんなことを望んでないと思うんだ」

――万里を駆けよ。

その、馬騰の遺言はようやく愛娘に伝わったのである。

「一刀が言った、さ。憎しみは何も生まないって、こういうことなのかな。
 一刀の言う通り、確かに霞が死んでも父上が帰ってくるわけじゃあないし……」

未だ煩悶としている馬超だが、それでいいと北郷一刀は思うのである。だって。

「うん、そうだな。翠はそうやって笑ってる方が可愛いよ」

こんなにも馬超は輝いているのだ。鬱屈としていた先刻とはまるで別人がごとく。

「な、なななな!そ、か、可愛いとか、何を言うんだ!」

慌てふためく馬超を見て北郷一刀は思うのである。馬家軍を率いると言っても、やはりというか、年頃の少女なのだなあ、と。
そして思うのだ。きっと彼女の父たる馬騰もそのように、笑っている姿をこそ願っていたのではないか、と。

色々と抗議の声を上げる馬超と戯れながら、思う。皆がこのように笑えるならば、それはきっと素敵なことだろう、と。

◆◆◆
413 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/07/27(月) 22:33:46.99 ID:z2f4tQkH0
洛陽まであと二日ほど。虎牢関より先は遮るものもない。陣を構えて諸侯軍の集結を待つ。いやさ、流石に今いる兵力で突入というわけにもいかん。洛陽を舞台に手柄争いとかされたらかなわんからな。
専(もっぱ)ら最近は、逸る諸侯とか春蘭とか春蘭とか春蘭をなだめるのがお仕事なのである。あと春蘭な。
ええい、無思慮に洛陽につっかけて禁軍と遣り合うつもりかよ!
だが、そんな忍耐の日々もこれまでだ。

「うし、張郃ご苦労さん」

俺は張郃が持ち帰った報に内心胸をなでおろしていた。

「どうやら禁軍と相対することは避けられたようですね」

背後に控えていた稟ちゃんさんの言う通り、風がやってくれました。これはファインプレーです。
押し寄せる反董卓連合軍に対して洛陽を、禁裏を守護する禁軍。その兵権を握っている――その兵権のありかは風がつきとめたものである――皇甫嵩と風が極秘裏に会談を行った成果だ。
見事無血開城をとりつけてくれた風には流石の一言である。

「禁軍とやりあうつもりはないし、洛陽を攻めて花の都を灰塵とするつもりもないからね。
というかそんなこと間違っても起こってほしくないっての」

俺が今一番恐れているのは洛陽が戦場となり、荒廃してしまうことだ。
史実……と言っていいか分からんが、俺の知る歴史的なものでは董卓が洛陽を焼き払った。長安への遷都と併せての焦土作戦は見事の一言だ。
荒廃した洛陽の再建は曹操も諦め、許昌に帝を招くこととなった。
だが、と思うのだ。果たして董卓の焦土戦術のみでそんなにも荒廃するものか。と。
そして、反董卓連合は収穫なく洛陽を後にするのだが、それまでの戦費の回収はどうしたのだろうか、と。
ぶっちゃけ、洛陽からの略奪で補填したんじゃないかなあなんて思ったりするわけである。そりゃまあそうであっても史書には残らんさね。
歴史は勝者が作るものだから。それはいい。俺の妄想である可能性も高い、が。
既に洛陽近辺に於いて諸侯軍の脱走兵と思われる奴らが略奪暴行をしているという報告も上がっている。そりゃ常備軍として給与が支払われている袁家軍とかと違って徴兵された奴らはなあ。

それはいい。そこいらへんの治安活動は手柄を必死に上げようとしていた義勇軍に任せている。単発で兵卒が起こすそんな事件に対応しきれるならばまあ、たいした求心力である。むしろ義勇軍内部からそういった不逞の輩が出ないかなあなどと思うほどだ。
そんときゃこれ幸いと処分してやるんだがね。

そんな風に暫し思考に耽溺していた俺なのだが。張郃は、にまり、と口を歪めながらとんでもないことを言ってくる。風の差配らしいのだが。マジか。
マジかぁ。

「まあ、洛陽の内実に関してはお詳しい方から聞くがよかろうと思いますな」

そして張郃の手振りでその人物を招き入れる。そして、その名前、その姿に自分の正気を疑う。背後で稟ちゃんの息をのむ音に辛うじてこれが夢ではないのだ、と思い知る。そう、張郃が招き入れたその人物―――。

「賈駆殿です」

緑の黒髪、狷介そうに見えてたまに見せる柔らかい笑顔を彩る鋭い双眸。董卓軍の軍師たる詠ちゃんその人が、そこに、いた。

◆◆◆
414 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/07/27(月) 22:34:56.93 ID:z2f4tQkH0
張郃に招き入れられ、賈駆はその場に身を晒す。
突き刺すような視線は郭嘉のもの。
それによって、却って賈駆は落ち着きを取り戻す。その顔に微笑みすら浮かべられるほどに。

「――久しぶり、だな」

無表情で、なおかつ鋭い視線を寄越す郭嘉と違って紀霊の言葉には様々な思いが込められている。それを嬉しく感じてしまうのはきっと人として駄目なことなんだろうな、などと賈駆は思う。

「ええ、ほんと。
ほんとに久しぶりね、二郎……」

ややもすると万感の思いを込めそうになるその言を、はたして。無味無臭に自分は発せられただろうか?
くしゃり、と刹那歪む彼の貌(かお)に自分はどう映っているのだろうか?みっともなく、荒れた顔で彼の前には立ちたくなかった。
――正直頬はこけ、目の下にはくっきりと隈が現れている。肌はかさつき、唇はひび割れて。
それを補うために慣れない化粧を今日は念入りに仕立て上げている。おつきの女官には保障されているが、佳人に囲まれている男にすれば見え透いているだろう。

漂う沈黙。それに身体の奥底から込み上げる激情に飲まれないよう、賈駆は懐より書を取り出す。

「洛陽、それと禁裏の見取り図、それに警備の配置図よ」

「な――」

絶句する紀霊と言葉を交わさずに畳み掛ける。

「洛陽の門扉を守る兵は皇甫嵩に掌握されてるわ。禁裏は言うに及ばないわね。でも、これがあればある程度渡り合えるはずよ」

その言葉に紀霊は瞑目する。
くすり、と漏れそうになる笑みを噛み殺す。思えば、目の前の青年の浮かべるこの表情が賈駆は嫌いではなかった。
自分や、配下の軍師には到底及ばないと苦笑する彼は。それでもこの表情をするたびに、自分では思いつかない案を――突飛過ぎて現実的でない時もままあったが――提示したものだ。そんな彼をからかい、彼と語らう時間は賈駆にとってもかけがえのないものであったはずなのだが。

だから、瞑目している彼に、問うてしまう。

「ねえ、なんで、こうなっちゃったんだろ、ね……」

それは彼女なりの、精一杯の甘えであった。
415 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/07/27(月) 22:35:23.13 ID:z2f4tQkH0
それを知ってか知らずか、見開いた紀霊の目。いつものようにへらへらとしてくれたらよかったのに。
見据えた目は、真剣そのもの。
だから、甘えてしまう。いつかのように。いつものように。

「ねえ、どうしたらよかったんだろう……」

それを、俺に言うか。今になって俺に言うのか。
そんな心の叫びを感じるくらいに賈駆は紀霊と通じ合っていたのだな、などとぼんやり思う。そして、ひび割れたような、途切れ途切れの叫びに身を引き裂かれる。

「言ってくれりゃ、よかったんだよ!言ってくれれば!なんとでもしたさ!したよ!
なんとでも、したさ……」

激した、或いは悲嘆にくれる紀霊の激情に言葉を喪う。なによりその熱さに。

「言ってくれれば、なんとでもしたさ。例えば、何進に内密に打診すりゃあ、月の参内を命じたろうさ。
そうなりゃ、漢朝総出で月の捜索さ。いかに漢朝の闇が深くても、それでも何進はそれをすら制してたんだ。
奴の一言あれば、あの政治的化け物が動けば!」

その叫びは賈駆の全身を打ち据える。

「そっか。そうか……。そうだよね……」

無論、賈駆とてそれは検討した。だが、万が一を考えてできなかった。親友たる董卓の身の安全を思うが故にできなかった。それが正しいと知っていても、できなかったのだ。

「ほんと、ボクって、ほんとに、馬鹿だ……」

その結果がこれだ。

「ボクって、ほんと、馬鹿……」

顔がくしゃりと歪み、嗚咽が湧き出ようとするのを必死に抑えて言葉を継ぐ。せめて、不様は晒したくない、これ以上。
これ以上。だって。

「……執金吾の権でも月の行方は知れなかった。だから、月は、月を浚ったこの度の乱の首謀者は」

畏れ多くもかしこき禁裏に。
それこそが賈駆が自ら足を運んだ理由。せめて、自分たちを陥穽に落とし込んだ首魁くらいは間違えなく伝えたい。

「悔しい。悔しいよ、二郎。
 月も、ボクも。一生懸命だったのに。頑張ろうとしてたのに。それでもきっとボク達は世紀の謀反人。悪逆非道の佞臣ってなるのが、悔しいよ」

伝えようとしたことを伝え、やはり甘えてしまう。言わずもがなのことをそれでも言ってしまう。そんな自分を馬鹿だなあと思っても、最早止まらない。それでも。

「それでも……好きだった。ううん、好きよ、二郎。
うん。愛してる……」

閨にて、幾度も囁かれた睦言。けして返さなかった男のそれに応え、こらえきれずに双眸から溢れる涙。

「好きよ、二郎」

だから。

ボクのこと、忘れないで……
精一杯の笑みを浮かべて賈駆はその場を去る。
くしゃり、としたそれ。柔らかな、透きとおったその顔を。紀霊は生涯忘れることはないだろう。
416 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/07/27(月) 22:36:19.37 ID:z2f4tQkH0
本日ここまですー感想とかくだしあー

題名募集しまくりんぐですよ本当に!

仮題はなんだろな
「幸福な結末と別離」

もちっとなんとかなりませんか
417 :赤ペン [sage saga]:2020/07/30(木) 12:53:53.12 ID:Y4a+Y6Th0
乙でしたー
>>410
>>誰にともなく呟いたその言葉に関羽は柳眉を逆立てる。  間違いではないのですがこの言葉はかなり強い印象を受けます(例えるならもしも二郎が呂布に挑むときに顔良をハブにしたりしたら柳眉を逆立てそうかな
○誰にともなく呟いたその言葉に関羽は諫言を以て応える。 関羽が柳眉を逆立てるような気迫で返答したら一刀がそれに苦笑で返したりできなさそうだし、そもそもご主人様相手に本気で怒れないでしょ(信頼感(笑)
>>411
>>教えてほしいことがたくさんあった!あたしが馬家を継ぐに値するだけの武を持っているって、伝えたかった!全部、伝えられなかった!」 【全部】だと既に【馬家を継ぐに値するだけの武を持っている】ように聞こえますが
○教えてほしいことがたくさんあった!あたしが馬家を継ぐに値するだけの武を持っているって、伝えたかった!全然、伝えられなかった!」 【教えてほしいことがたくさんあった】ので自分がまだ未熟だと思ってたようなのでこの方が良いかな?
>>馬騰さんの最期を看取ったに違いないからさ、という言に馬超は無言で頷く。   これだと(多分)看取ったはずだ、みたいな意味になるので
○馬騰さんの最期を看取った事には違いないからさ、という言に馬超は無言で頷く。 下手人な事には違いないけど、みたいな意味で言うならこの方が良いと思います
>>伝えられる言葉。最期の言葉。                この前の文からするとこれ(馬家の天幕内で)沈黙、(その場にいた張遼から)伝えられる言葉になりそうなので
○一刀と共に張遼のもとを訪ねる。伝えられる言葉。最期の言葉。 どう書くかは置いておいて、張遼に会いに行く描写を入れた方が良いと思います
>>412
>>「お蔭で、父上の言葉を聞けた。そりゃ、さ。霞には思う所がないわけじゃない。  待って、ちょっと待とうか?君そんなにあっさりと許した感出すとか本当にどうしよう
○「お蔭で、父上の言葉を聞けた。そりゃ、さ。張遼には思う所がないわけじゃない。 上で「張遼は絶対に許さない」とか言ってたのにもう真名呼びとかもう少しあるだろ?まさか張遼も義勇軍の大将の前で董卓の真実を語るわけないから何故そうしたのかまで話してないだろうし…えっ話したの?(そんなに口が軽いなら)裏切る前に馬騰さんに話して?どうぞ(馬騰→何進の直通ルートを横目に
>>413
>>俺は張郃が持ち帰った報に内心胸をなでおろしていた。 まあ実際にそういう動作をすることもありますが慣用句なので
○俺は張郃が持ち帰った報に胸をなでおろしていた。   【内心】を入れなくても問題ないと思います
>>既に洛陽近辺に於いて諸侯軍の脱走兵と思われる奴らが略奪暴行をしているという報告も上がっている。  間違い?間違いじゃない?勝ってる側で糧食は袁家が持ってる諸侯軍から脱走兵って…中抜きされて食うや食わずなんて袁家が許さんだろうし
○既に洛陽近辺に於いて諸侯軍の兵と思われる奴らが隠れて略奪暴行をしているという報告も上がっている。 そのあと何食わぬ顔で戻ってくるまでがセットで、な気がしますが
>>414
>>ややもすると万感の思いを込めそうになるその言を、はたして。無味無臭に自分は発せられただろうか? 間違いではないですが
○ややもすると万感の思いを込めそうになるその言を。はたして、無味無臭に自分は発せられただろうか? 【果たして】は【発せられただろうか】にかかりますのでこの方が良いと思います
>>それでもこの表情をするたびに、自分では思いつかない案を――突飛過ぎて現実的でない時もままあったが――提示したものだ。  ちょっとひと手間
○それでもこの表情をするたびに、自分では思いもつかない案を――突飛過ぎて現実的でない時もままあったが――提示したものだ。 まあ現代人の持つ視点とかがあるからねえ

まあここまでなるとは思ってなかったにしろ…詠ちゃんの未来予想図はどういうものだったんだろう、とは思うね
万が一を恐れて自分だけでなんとかしようとしてたけどそんなことをすれば反董卓連合が組まれるだろうとは思ってただろうしそうなれば信頼できる戦力を外に向けなきゃいけないことも分かってただろうに
洛陽で袁家を襲うときにネームドを派遣しなかったとか、せめても言い含めなかったこととか流されるだけだったから仕方ないっちゃないんだが

天の御使い?あ〜はいはい、すごいね。みんなハッピーにまいしんしてるね
418 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/07/30(木) 22:08:45.08 ID:EBuKRdwr0
>>417
赤ペン先生いつもありがとうございますー!
うむ。今回多いな。精進せんといかんね。
しかしお盆に間に合うかなあ。割とギリギリのスケジュールだなあと思ったり。

>まあここまでなるとは思ってなかったにしろ…詠ちゃんの未来予想図はどういうものだったんだろう、とは思うね
それな。
いやほんと、気の毒でしかないですが、目の前のことに一生懸命です
そしてもっと言うと、大戦略とかは彼女の不得手なとこじゃないかなって

>万が一を恐れて自分だけでなんとかしようとしてたけどそんなことをすれば反董卓連合が組まれるだろうとは思ってただろうしそうなれば信頼できる戦力を外に向けなきゃいけないことも分かってただろうに
ここで二郎ちゃんに泣きついてたらねえという董家√
6レスくらいでハッピーエンドですね(確信)

>天の御使い?あ〜はいはい、すごいね。みんなハッピーにまいしんしてるね
猪突猛進dす

がんばる
419 :赤ペン [sage saga]:2020/07/31(金) 11:06:04.36 ID:ZXvRgiRN0
まあねえ、所詮はって言い方もアレだけど馬家の下にいた董家の軍師だったからねえ
戦術レベル、うまくいけば戦略レベルまで考えられるとしても国規模の大戦略レベルで考えられるかっていうと、ね
言ってしまえば全国展開してる大企業の一地方の重役レベルがいきなり本社のトップになったようなものだからね…地方レベルで考えても失敗するのは確定的に明らか

さて、天の御使いについての感想があまりにも雑だった気もするからもう少し書いてみるか
今回の行動はなにも間違ってないし考え方もとても正しいと思うよ、結果も考えうる中で最良と言ってもいいと思うし素直に凄いと思うよ?
前提が間違ってるはずなのに結果が正解になるという異常性があることだけで…そもそもなんで彼女は一人で鬱屈としてて、その状態で一刀と会おうと思ったのさ
親の敵を討って落ち着いたら喪失感が、とかでもなく。そんな状態の姉に対して妹が気を紛らわせようとするでもなく。こんな精神状態だから仕事じゃとじゃないなら一人にしてくれとお付きの兵に追い返させるでもなく。会うからにはと空元気でも虚勢でも張ることもなく弱弱しい姿を見せて。
どう考えても弱ってるから慰めてほしいというアッピールですね、本当にありがとうございました。
420 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/08/03(月) 06:24:47.78 ID:3UJ9GBCK0
>>419
>まあねえ、所詮はって言い方もアレだけど馬家の下にいた董家の軍師だったからねえ
州を回すくらいまではともかく流石に国家はね。
経験積めばまた別だったでしょうけど

>今回の行動はなにも間違ってないし考え方もとても正しいと思うよ、結果も考えうる中で最良と言ってもいいと思うし素直に凄いと思うよ?
からの
>前提が間違ってるはずなのに結果が正解になるという異常性があることだけで…
上げて落とす!お見事w

>どう考えても弱ってるから慰めてほしいというアッピールですね、本当にありがとうございました。
これには納得です。
なるほどなあ。。。
421 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/08/05(水) 06:00:01.30 ID:o17giggl0
「愛紗。お疲れ様」

北郷一刀は帰ってきた関羽をねぎらう。彼女は先ほどまで近隣の村落を巡り治安活動に励んできたのである。

「いえ、どうということはありません」

関羽の言は誇張でもなんでもない。あちこちと転戦しているのではあるが疲労の影すらなく平然としている。
いや、むしろ兵卒の群れに関羽という豪傑を宛てるというのが贅沢な話であろう。

「しかし、大忙し、だなあ」

彼の言に偽りはない。ここ最近――虎牢関が陥落し、洛陽まであと数日というところまできての足止め。それから劉備率いる義勇軍は東奔西走している。それまでの閑(ひま)さが嘘のように。

「略奪、暴行。ひどいものです」

関羽は吐き捨てる。彼女の言は嘘ではない。後方にいた諸侯軍が合流してこの方、治安や軍規は乱れる一方なのだ。
そんな彼女に気遣うような視線を送られているのを感じて慌てて取り繕う。

「ご安心ください。彼奴等の性根を叩きなおしてやりましたが……それだけです。命までは奪っておりませんし、致命的な怪我も負わせてはおりません」

数日悶絶する打撲くらいのものだ。骨を折ったりまでは及んでいない。言って聞かない相手にその鉄拳を振るうことに関羽は躊躇しなかった。切り捨ててしまいたいところではあったのだが、主たる劉備や、その軍師たる諸葛亮からも人死には避けるように言明されている。
関羽とて諸侯軍との関係を決定的に悪いようにしたい訳ではない。
例え正義がこちらにあろうとも、人死にが出てしまえばそれを口実に自分たちは不味い立場になるかもしれない。後ろ盾なぞない自分たちなのだ。
故に激発する可能性のある張飛は劉備や北郷一刀という安全弁から離すことは出来ない。
故に関羽のみが劉備一行と離れて行動しているのだが、それが自らに対する信頼の証であると関羽は理解している。
故に、だからこそ軽率なことはできない。例え目の前でどれだけの非道が行われていても、鉄の意志で関羽は激発をすることなく。だが、それでもその憤りは消えることはないのだ。

「どうして、このようなことに……」

関羽には理解できない。どうして同じ漢朝の民にあのようなことができるのか、と。

「――諸侯軍は常備軍ではありません。それが全てです」

静かに諸葛亮は応える。

「――っ。どういうことだ、朱里」

北郷一刀はだから、問いを発する。関羽があのように苦しんでいるのだ。その理由を彼は知らずにはいられない。

「諸侯軍の多くは徴兵された兵です。故に給与は支払われません」

反董卓連合。しかして完全に常備軍なのは袁家くらいのもの。いや、輜重に至るまでにそうである袁家がおかしいのだ。
つまり、袁家軍は真に戦うための集団。戦うが生業。よくもそのような集団を限界せしめたものだと諸葛亮は改めて戦慄を禁じ得ない。

「だったら!さっさと洛陽に入るべきだろう!」

諸葛亮の言葉を受けて北郷一刀は苛立ちを覚える。どうしてこのようなところで足踏みをするのかと。

「おそらく、ですがそのための交渉をしているのではないかと」

未だ洛陽には禁軍がある。そして禁軍との交戦は袁家軍としては何としても避けたいはず。

「此度の反董卓連合。袁家は極めて慎重にその歩を進めています。ええ。持っている影響力からすれば臆病と言っていいほどに……。
あくまで漢朝の臣として。けしてその矩を越えぬよう。越えてはいないと示しながら手を打っています」

いっそ迂遠なほどである。迂闊と言ってもいいかもしれない。
極端な話ではあるが、袁家単独でも洛陽に迫ることは可能であったろうと諸葛亮は思うし、鳳統も同意している。極めて高度に鍛えられた常備軍と、何より攻城兵器群だ。かつて思った通り、事あらば洛陽、とは言わずとも攻城戦を想定していたとしか思えない。
422 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/08/05(水) 06:00:27.20 ID:o17giggl0
「じゃあ、あの、何進が下したという勅も本物だって朱里は思ってるのか?」

時系列を考えればあからさまに怪しい勅であるのだが。

「はい。極めて怪しいと言わざるを得ませんが、真であると思われます。
あの、紀霊将軍は極めて遵法意識が高いように思われます。
ここで彼が手配したならばそうなのでしょう」

諸葛亮としては、その勅が正規の手続きにより下されたとは考え辛いと思っている。だが、何らかの抜け道によりもたらされたのかもしれない。その仮説も捨てきれない。

「うーん。あれで、やることはきちんとやってるってことか……」

北郷一刀は呟く。好きか嫌いかと言えば嫌いな相手である。
が、やっていることは確かなのだな、というのは認めざるをえない。そしてそれは諸葛亮も大いに頷くところである。

「はい。紀霊将軍。恋さんと立ち会ったような武勇伝には事欠きませんが、真に評価すべきはその卓越した政治力ではないかと」

そう考えるとその手腕は恐るべきものである。
彼が武家筆頭となってから袁胤という不穏分子を除き、袁術という不和の種になりかねない人物を見事に駒として活かしている。
まさか入内させるとは。
袁家の威光はこれまで以上に留まることはないであろう。このままでは、袁家にあらんずば人に非(あら)ずというほどに権勢を誇ることすらありえるだろう。

「なるほどなあ。そんなのに董家軍みんなの命を乞う訳か。なかなか大変だ……」

苦笑する北郷一刀に関羽と諸葛亮は肩に入っていた力が抜けるような感覚を覚える。
見据える目標は困難。それでも気負わずに前を向く彼の言葉に決意を新たにするのだった。

◆◆◆
423 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/08/05(水) 06:01:02.52 ID:o17giggl0

詠ちゃんが去ってから数日。洛陽に進駐するスケジュールは皇甫嵩とやりとりし、あらかた固まってきた。

「明後日だ。明後日。日輪が中天に差し掛かるころに洛陽に入る。そう諸侯軍に伝えろ」

そして、けりを、つけよう。

「諸侯軍には前祝として酒を配れ。秘蔵の火酒、全部配って構わん。ありったけを配れ」

そして。

「張郃。配下から選りすぐりをそうだな。百ほど選んどけ」

俺の言葉に張郃はニヤリ、と愉快そうに口を歪める。正しく俺の意図を汲んでくれたようだ。

「ほう。張家からということでよろしいのか?髑髏の面を集めなさるか。出立は?」

「払暁前。もっと言うと、一番鶏の鳴く前」

俺の言葉に稟ちゃんさんが問うてくる。

「それで、よろしいのですか。これまでの名声を地に落とされますか」

幾度か話し合ったことではあるのだが、それでも問うてくる。

「くどい。もう決めたことさ」

別に俺が手を下す必要はないというのはその通りだ。でも、さ。
更に言い募ろうとする稟ちゃんをどこか可笑しげに張郃は眺める。それに構わずに俺は言葉を続ける。

「殴られっぱなしは性に合わんからな。というよりだ。袁家は武家よ。
舐められたままでいられるかよ。このまま矛を収められるものかよ。
――玉無しどもと同じ空気を吸うのもこれまでだ」

そして。

「これは洛陽にて散った者たちの弔い合戦でもある。袁家に仇なすということの意味を教育してやろうじゃあないか」

なに、禁軍とは話が付いている。後宮に残っている男は宦官のみ。ちょっとしたお掃除。それだけのこと。
宦官の誰が悪くて誰がもっと悪いなんて知る術もないならばまとめてポイするのが合理的な発想というものさ。

「最優先は弘農王……いやさ正当なる皇帝陛下劉弁様の身柄。そして宦官は殲滅だ」

「降伏か、死か、ということですかな?」

「違うね。逃げる奴は宦官だ。
降伏する奴は狡猾な宦官だ。
抵抗するのは訓練された宦官だ。
悉(ことごと)く、殺せ。宦官は悪だ。ゆえに鏖(みなごろし)だ」

悪、即、斬。それを体現するだけのこと。

「承知した。なに。禁裏にて血の雨を降らすことに臆するようなものはおりません」

汚れ仕事は張家の誉。その判断はこの上なく正しいと言わんばかりに、恭しく張郃は一礼し、その身を闇に同化させる。
424 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/08/05(水) 06:01:34.86 ID:o17giggl0
「何も二郎殿が手を汚すことはないでしょうに」

苦い声に苦笑する。

「怨将軍とか、英雄とか、そういうのは、いいのさ。
もとより身の丈に合ってなかったしな。だから、いいのさ。いいんだよ」

それに。

「そろそろ路線変更しようかなと思ってたとこだ。
そういうのは、もっとちゃんとした英雄が背負った方がボロが出ない。そして袁家、いやさ紀家には正真正銘の英傑がいるし」

一騎当千、趙子龍。

「天下にその名を轟かせるのは星の方が似つかわしい。そうだろう?」

「――貴方は!」

尚も言葉を重ねようとする稟ちゃんさん。
だが刹那の感情の爆発。その後に紡がれた言葉は別方向からのアプローチであった。

「では、譲られたその英雄の座。星はどう思うか。そして十全に槍を振るえるとお思いですか」

「う……」

流石である。そうきましたか。そして困る。
つまり宦官どもを皆殺しにするってのは、半ば俺の私怨と言ってもおかしくないからなあ。そこはまあ、怨将軍だから許してほしいな。
とか愚にもつかないことを考えていたのだが、思わぬところから助け舟が出た。ようそろ。

「稟よ。主をそう苛めるものではない。主には、いやさ男には譲れぬ思いがあるものだ」

そして助け舟を出してくれたのは星でした。いやなんで君ここにいるのん。

「ふ。そう不可思議な顔をすることもないでしょうに。まあ、種明かしをすると簡単ですがな。張郃どのから聞いたからですな。風からの伝言通り護衛を兼ねて控えさせていただいただけのこと。
まあ、主には言いたいこともあるのですが」

それでも、と。ニヤリ、と。

「天下一を目指すというのはこの身が発した志。そのために主はその身を挺してまでも飛将軍と渡り合う機会を作ってくださった。
――もっとも、それでも。それでも討ち取れなかったわが身には忸怩たる思いがある」

暫し視線を地にやり、改めてこちらを見やる。

「紀家軍の指揮、承りましたとも。
下駄をはかせていただいたとは言え、一騎当千のこの身。けして禁裏、いやさ洛陽に余人を近づけませぬとも」

「……すまんな。星」

「何をおっしゃるか。嬉しいのです。
主に受けた恩は計り知れない。ようやく。
ようやくこの身で、この武で返すことができるのです。喜んで果たしましょうとも。
造られた英雄大いに結構。
もとより流浪の、一介の風来坊のこの身。望外の栄光。
見事果たしてみせましょうとも」

そして。

「それに主よ。それがしが聞きたいのはそのような謝罪の言葉ではない。感謝を、鼓舞をこそほしいものです。
と、女からここまで言わせる御身は相当に罪作りですぞ?」

艶然と笑む星。強張っていた思考が動き出す。そうだな。悲壮ぶるのは俺らしくない。
きっとね。

「星、ありがとう。そして何人たりとも洛陽に立ち入らせるな。
――頼りにしてるよ」

「承った。なに、はねっかえりを押さえるだけの簡単なお仕事だろう?」

不敵で無敵。一騎当千な星に見送るしかない俺であった。
あ、微かに。微かに苦笑する稟ちゃんさんを見れたのもすごい収穫だなとかなんとか。

うん、ありがとな二人とも。

それはそれとして。

けじめはつけんとな。

まあ、地雷原での綱渡りではあるのだが、ね。

後始末が、はじまる。
425 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/08/05(水) 06:02:01.65 ID:o17giggl0
寝落ちしておりました

ここまですー感想とかくだしあー

今のところ無題でごんす
426 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/08/05(水) 14:03:00.79 ID:1Cc5hk/D0
面白いからよし
427 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/08/06(木) 12:39:47.66 ID:C090nCv+0
>>426
ありがとうごぜえやす
えっへっへ

それはともかく、お盆には間に合いませんでしたね。
前後編に分けるしかないにゃー
428 :赤ペン [sage saga]:2020/08/06(木) 14:12:30.22 ID:fAoB5U7T0
乙でしたー
>>421
>>そんな彼女に気遣うような視線を送られているのを感じて慌てて取り繕う。 これだと一刀が関羽に気遣うような視線が向けられてるように読めますね【(一刀が)そんな彼女に〜】
○そんな彼女は気遣うような視線を送られているのを感じて慌てて取り繕う。 この後の言葉からすると【そんな彼女は(一刀の)気遣う様な〜】だと思うのでこうですね
>>故に、だからこそ軽率なことはできない。 意味が重複してますね
○だからこそ軽率なことはできない。    意味を重ねるなら【だから……だからこそ】とかかな、と思いますけどそうする程でもないでしょ
>>静かに諸葛亮は応える。 関羽の「どうして」と言う問いに対するものなので
○静かに諸葛亮は答える。 答えを教えるということでこちらですね
>>北郷一刀はだから、問いを発する。関羽があのように苦しんでいるのだ。その理由を彼は知らずにはいられない。 これだと【だから】の掛かり先が分かりづらいので
○北郷一刀は問いを発する。関羽があのように苦しんでいるのだ。ならば、その理由を彼は知らずにはいられない。 でどうでしょう
>>よくもそのような集団を限界せしめたものだと諸葛亮は改めて戦慄を禁じ得ない。 あ?何が限界だって?(チンピラ風
○よくもそのような集団を現界せしめたものだと諸葛亮は改めて戦慄を禁じ得ない。 なお最近の造語なので【設立せしめた】の方が良いかな?むしろ袁家の凄さはそれを維持してることだと思うけど
>>「おそらく、ですがそのための交渉をしているのではないかと」 ちょっと【おそらく】の意味が伝わりづらいので
○「おそらくですが、そのための交渉をしているのではないかと」 もしくは【「おそらく……ですがそのための】勿体ぶるというか思索してて考えをまとめる感じならこうですね
>>422
>>袁家の威光はこれまで以上に留まることはないであろう。 間違いではないですが【これまで以上に留まる】と【ことはない】で分けて読むと違和感が出てしまうので
○袁家の威光はこれまで以上に中華に響き渡るであろう。  書いて思ってけど威光って響くのか?【包み込む】?【照り付ける】?【示される】?いっそ
○袁家の威光はこれまで以上のものとなるであろう。    がすっきりしてて良いかな?
>>424
>>つまり宦官どもを皆殺しにするってのは、半ば俺の私怨と言ってもおかしくないからなあ。    間違いではないですがこれだと前の文章に【つまり】がかかってるように読めて《?》となるので
○つまるところ宦官どもを皆殺しにするってのは、半ば俺の私怨と言ってもおかしくないからなあ。 趙雲が槍を十全うんぬんかんぬんにかかると彼女も宦官皆殺しに関わってしまうけどそうじゃないでしょうし
>>下駄をはかせていただいたとは言え、 下駄って日本の物っぽいんだよなあ…恋姫世界ならありそうだけど…と言うか星の履いてるのが下駄っぽいっちゃぽいんだよなあ
○嵩上げいただいたとは言え、     もしくは【水増しいただいた】とか?まあ気にしなくても良い事か

>>切り捨ててしまいたいところではあったのだが、 劉備に最も近い位置にいるはずの彼女の思考回路が…お前、何で劉備が止めるのか分かってないだろ。あくまでも劉備が止めるからやってないだけだろ
>>北郷一刀は呟く。好きか嫌いかと言えば嫌いな相手である。 一応聞くがなんで嫌いなん?自分の物(趙雲)に手を出されたから?義勇軍に糧食しか提供しないから?董卓を助けようとしないから?
【凡人、終わり方を整える】と言うかこの場合は結び方?締め方?それにしても張コウ君が愉しそうだわw
喧嘩なんてのは始めようと思えば結構簡単に始められるけど終わらせようとするといろいろと大変なのよね…それが戦争になったらなおのこと
そういや食い詰め略奪して痛めつけられた諸侯軍の一兵卒はその後どうしたんだろ…もともとの諸侯のところに届けたのか袁家に届けたのか自分たちのもとに吸収したのか…
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